94 【身内】青き果実の毒房【R18G】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
闇谷
奥に辿り着く。気持ちいい。
腰を引く。気持ちいい。
また奥を目掛けて、打ち付ける。気持ちいい。
「は、……ァ、ふ、」
身体ごと壁に押し付けるように、何度も穿つ。
律動の度に涙が溢れ、貴方の腹を汚す。
これまでに教わったことなど、少しも頭になかった。
けれど、腹側の一点に触れれば締め付けが返ってくる。
只それだけの理由で、そこを目掛けて何度も突き上げた。
「……っ!ごめ、んッ、もう、」
駄目だとわかっているのに、我慢が効かない。
貴方の背中に手を回し、きつく抱き寄せる。胸元に額を擦り付け、きつく目を瞑る。
吐精の気配が、背後まで近付いている。
意識の外で鳴った靴音など、気付きもしなかった。
迷彩
浅く息を吐く。
忙しなく上下を突き上げられる感覚にくらくらする。
「っ、ぅあ、あ、あぁッ!?」
ごりごりと容赦なく弱点を責められれば
浅ましく快楽を貪る声が抑えきれずに廊下に響く。
「あッ、ぅ、んんん、っ」
互いの結合部から溢れる水音ばかりが耳に入ってきて
足音ひとつに気付くこともない。
手の甲を更に強く噛み締めて、口内に鉄錆の味が広がり一層眉間を寄せた。
後孔が貴方をぎゅうぎゅう締め上げる。吐精を促すように。
抱き寄せられれば、それを受け入れるように貴方の頭部へ腕を回し、抱きしめる。
自身の張り詰めたものが互いの腹に挟まれ、ふるりと身を震わせて先走る液を吐き出す。
より一層、貴方を絶頂へと誘うだろう。
体の境界線を溶かしていく感覚。
目尻に雫が降りてきて、視界がぼやりと揺れた。
闇谷
「────ッ!」
一部だけを切り取れば、甘えるような仕草だ。その実、腹の中に欲を放っていた。
ふう、と貴方の胸に息を吹き込んだ。その吐息はまだ熱い。
「ん、……」
吐精したにも関わらず、自身は未だ硬いままだった。
抜かないと。
そんな意思とは裏腹に、腰が揺れた。奥で吐き出した精を擦り込むように。
するとようやく少し収まった気がして、腰を引き始める。
結合部から水音が響く。引き抜こうとする度に、温かい内壁が敏感な箇所を撫でた。
「……、」
あと少しで抜けてしまう。
そう思うと、どうしても消えない寂しさが背中を押した。
「ごめ、……っ!」
霞む視界の中。
──再び、貴方を貫いた。
自身の快楽だけを追い求める、思い遣りなどほんの少しもない、獣のような交わりは終わらない。
廊下
───名前を呼ばれた気がする。
暖かい、安心する声色だ。
……きど?
淫欲に溺れていた意識に冷や水が浴びせられたかのように目を見開いて、途端にぼやけた世界が、かちりと小豆色に染まった。
「── 待っ、止めて、
リョウ!待ってッ!き、きどっ、
ふ、ぁっ、
見っ………んん、あっ、
」
力の入らない腕でゆるゆると迷彩を押し返そうとするが、体は欲を貪るのに精一杯で、行為を中断させるまでには至らない。
体内の性器が強く脈打って、熱が吐き出される感覚。何だこれ。知らない。熱い。知らない。混乱。色んな思考があぶくのように浮かんではぱちぱち消えていく。
「待て、あっ、止まっ、んぅ、見ッ、……」
嫌がる言葉と共に甘い声が漏れ、意思とは裏腹に肉壁が畝り暴力的な悦楽に身を痙攣させ
ぱた、と白濁を吐き出して、絶頂を迎える。
「はーーっ、は、ぅあ、あっ、あ、んん、ふっうあ、あ……、……っ!……!!
」
息を整えようにも、達して敏感になった場所を殴り付けるように再び揺さぶられれば、それを止める術はない。
ただ声を押し殺して、涙を溢した。
闇谷
揺れる視界の中で拒絶を聞いた。
当たり前だ。
彼には想い人がいるのだから。
自分はそれを知っていて、
応援する気持ちさえあるのに。
どうしてこんな、人の気持ちを踏み躙るようなことをしているのだろう?
「……っ、ごめん、ぁ、ごめん、ごめんなさ、」
謝罪を繰り返す間も、責め立てる動きは緩まない。
押し返そうとする腕を掴み、自重で押さえ込む。
どうすれば抵抗する人間を組み敷けるのかは知っていた。かつて、襖の隙間から何度も見たのだから。
「ぅう、ぁ、……ッふ、うぇ……」
顔をぐしゃぐしゃにして、大粒の涙を零して、ひたすらに欲を追い求める。
早く、早く、終わってしまえ。
意図的に抽出を強め、残る熱を焚き付けた。
肉壁が収縮する箇所を、何度だって無遠慮に穿つ。
「…………ッあ!」
全身が大きく脈打った。
自分が再び達したことを、すぐには気付けなかった。
廊下
「ぁ、……」
脇の下に腕を滑り込まされた瞬間、僅かに肩が跳ねる。
しかし背後から引き剥がされれば、素直に身体を委ねた。
ようやく顔を上げる。
最もいてほしくなかった姿が、目の前にある。
「うああぁ……、ぅぐ、えぇ……」
かけられた上着を手繰り寄せた。膝を抱え、白い生地で目元を覆う。
自分が泣く立場でないことくらいは理解できる。
それでも溢れる涙を隠そうと、歯を食いしばった。
廊下
見るな、と言ったのに。
組み敷かれていた腕が解放される。
ほっと安堵しつつ、獣のように熱を燻らせていた弟分は大丈夫だろうかと一瞥。
……嗚呼、泣いて欲しくは無かったのにな。
「…………ごめん、きど、
リョウは……悪くなくて、
俺が良いって、言った……から。」
それだけ告げると上体を起こそうとして、うまく力が入らず諦めた。
下腹部が、内側から白濁が溢れて来て、ずくずくと鈍痛を訴えてくる。
床に散らばる、貴方も見覚えがあるだろうポップコーンを指差して
ぷつん、と意識を落とし、瞳を閉じた。
廊下
名前を呼ばれ頭に手を置かれれば、びくりと体が震えた。
恐る恐る、赤く腫れた目を見せる。
しかし、視線は合う前に下へ戻ってしまう。
「……」
俯きながら、穏やかな音を耳に入れる。
貴方の言葉は、少年には少し難しかった。
「……うん」
だから、咀嚼したのは最後の一言だけ。
叱られるのは怖いけれど、
このまま許されるのはもっともっと恐ろしい。
少年は膝を抱えたまま、貴方が戻って来るまで待ち続けるだろう。
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