「何より彰弘ちゃんは生かしておいた方が面白そうだし？
　何なら番犬を味方につける訴求力もあるらしい」

あんまりいじめすぎると怒られるかもしれない。厄介だ。
とはいえ梢矢後輩も若干面白がっている辺りこっち側なのか。
顔はともかくそんな気配がする。ならいいけど。

「だってよ〜彰弘ちゃん。
　いつまでも死んでると冷めるぞ〜」

梅昆布茶配布を受けて落ちてる人間を軽くつついた。
とはいえ特に面倒を見るつもりも無いので、
それでも死んでたら死んだままにしておくつもり。

「番犬」
「番人と言ってもらおうじゃないか」

結構面白がっている。

「構うだけなら悪いことじゃないから止めないかな」
「自らすすんでやることはしないけれども……」

特段気にしてる様子もないようだ。悪戯には寛容。

「じゃあ間を取って番梢矢」

何の間を取ったのかは誰にもわからない。

「こういう時って大体誰かしら
　かわいそうだからやめなよ〜とか言い出すもんだけどね？
　まあ俺も悪い事してるつもりは無いし。
　お小言言われない分には楽でいいや」

「……ああ、気にしないで。
　独り言が多い性分だから」

>>112『さおとめちゃん』
『何か考えごと？お悩み？面白いこと？』

結構ぐいぐいくる142cmだ。

>>113
「考え事よ。
　面白いかどうかは……人によるかしら」

口元はうっすら笑っている。

>>114『さおとめちゃん、この状況で楽しそうだから安心できるな〜』
『文芸部の……あもんくんはとしてたけど、大丈夫かなぁ』

山田花子は、放っておけば、ぽやぽや〜っとしているので。
そのうちふわふわ〜っといなくなるだろう。

>>115
「ええ、楽しいわ。
　なかなか体験できない事ばかりだもの。
　誰も彼も個性的だから、見ていて飽きないし」

あなたもね、とぬいぐるみ越しの姿を見遣って。
名前の字面に反して読みのインパクトがすごい。

「あれで結構マイペースよね、彼も」

「犬は喜び庭かけ周り、猫はこたつで丸くなる？」
窓の外見て。

「合ってるわね」

「戸森も炬燵でまるくなりたーい。
　そういえば雪合戦どうなったん？やる？」

その瞬間、>>116 早乙女さんの一言が
なぜか山田の琴線に触れた……！！



……と本人は主張しています。

「あら……気に障ったかしら」

貶すつもりはなかったのだけど……と呟いて、
それでも詫びの一つも入れなくてはと
逃げた花子を追いかけに席を立った。

「んん…っくしゅ！さむ……え。あ…。」

窓からの冷気で身震い。
くしゃみと共に目を覚ました。
あれ、煎餅……

「え。」

「……ちょっと誰か、押し上げてもらえるかしら」

哀愁。

「ええ、ありが」



言い切る前に柔らかな雪の中に沈んでいった。

「ゆっきだるまー、作るぞ！」

とにかくでかいのを作ってやる、と。
そう意気込んでごりごり雪玉を転がしている。
でかい子供である。

「ええと…咲花ちゃん、大丈夫…？」

真尋くんが押し上げてくれるかな、とひとまず任せる。

「あと…誰かわからないけど、煎餅ありがとう…？」

まだ少し寝ぼけてる。

「って、うわ、早乙女ちゃん！？
　今、雪にめり込んだけど大丈夫かー！？」

これには棗くんもびっくり。
立てるかー？　と、手を差し出すだろう。

「わお」

寝起き早々見たのが雪へ沈んでいく早乙女の姿
びっくりして声を上げ、二度見して、から…

とりあえず適当な場所に座った。

「あ！雪合戦！雪合戦するんだね！
　たのしみだなあ、たのしみだなあ。
　はじまるころにぼくもおじゃましよーっと。
　……石は入れないから安心してくれよな！」

「彗ちゃんも、おはよう？髪、整えておいで？寝癖が…」

受け取った膝掛けは腰に巻いて
梅昆布茶のコップは食器洗い機あるかな？あったら入れておいた。
煎餅は小腹空いたら食べよう。

>>129
「あ、彗ちゃん。髪が無法地帯だよ。くしもってる？」
つんつんと義妹の飛び出した荒くれ髪をつついた。

「ぷはっ……大丈夫、生きてるわ。
　水に溺れるのとは違うのね。新感覚だわ」

棗の手を借りながら引き上げられた少女は
どこか満足げだった。

「あっちに山田さんも埋もれてるわ」

スカートを払いながら指し示した先には
じたばた動く足。

「え？」



犬神家もとい、山田家か！
このままではギャグどころか危険になってしまう。

堂本棗は大慌てで救出した。
それはもう滅茶苦茶救出した。