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人狼物語 三日月国


205 【身内】いちごの国の三月うさぎ

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視点:


[ちら、と視線を彼の方に流しやり、
 露天風呂にくつろいで意識が取られている内にと、
 指を沈ませて、息を詰め。]


  ……ッ、
  ……



[細く息を吐き出して、ぬちゅ、と指を何度か往復させる。
 身体が細かく震えるのは、どうしても仕方がない。

 中に直接吐き出された訳じゃないから、
 掻き出すものは、少ないけれど。

 感づかれないように、静かに息をひそめ、身を丸めた。*]

[ 背中に残る傷について、実はあまり
 気にしておらず。

 痛みもさほど長引かないし、
 強いて言うなら痛痒さは少し。

 とはいえ慣れたもの。

 こちらとしては大浴場に行く想定は
 もう全くしていなかったので。

 ――とはいえ、脱衣場で
 赤く痕が残った脇腹が目に入れば
 済まなそうな顔はしてしまったかも。 ]

[ 一足先に、絶景と、星空を
 堪能していた。

 風呂は好きだが、自宅以外だと
 どうにも、人の目が気になって、
 早々に引き上げることの方が多いし

 かと言って、こういった風呂が備え付けて
 あるような宿に一人で、をするには
 ある種の勇気がいる。

 ――あと、普通に断られたりもするし

 長湯するというよりは、入ったり出たりを
 繰り返すために入浴時間が長い方では
 あるのだが。

 なにせ今は、一人ではないもので。
 まだかな、と視線をやって……… ]

 ………楽しそうなことしてるな

[ 零した言葉は、拾えまい。
 かけ流しの湯のほうが余程大きな音を
 立てているから。

 岩肌を抱くようにして、丸まっていく体を
 小刻みに体が震えるのを見ていた。

 ――気づかれたくないのだろうから、
 気づかれないように。こそりと。

 悪いことをしている気分も少しはあるのだが
 それ以上に、絶景は逃したくないたちなので。* ]

[かけ流しの湯の音が大きくて良かったのは、
 こちらも同じこと。]


  ……
ふ、ぅ
 ッ、……


[小さく洩らしたあえかな声は、
 そちらまではきっと届かない。背を向けているから、尚更。

 それでも、大浴場ほどじゃない広さだから、
 何をしているかは、視力の悪い俺よりもきっと、
 はっきり見て取れてしまうだろう。
 
 洗い流したばかりの肌に、しとりと汗を浮かばせて。
 掻き出す指を窄まりが、きゅん、と締め付ける。

 その度に、ぴくん、と腰を揺らめかせ。
 は、と甘い息を、そっと吐き出して。]

[ぱた、と石造りの床に水分を滴らせ、
 ぬめりが取れたら、指を引き抜いていく。]

 
  
…………は、ぁ……ッ、



[彼の指から快楽を拾えても、自分の指では彼ほど拾えない。 洗い流すだけだから、それで良かったのだけど。

 今日は、いつもより届かない奥まで貫かれたから、
 指じゃ届かない場所が、少し寂しい。

 ほぅ、と名残惜しげに甘やかな吐息を洩らした横顔を、
 しっかりと見られていたとは気づけないまま。

 また上がってしまった熱を冷ますように、
 少し温度を下げたシャワーを頭から被って。]


[ぷるぷると子犬のように髪から滴り落ちてくる水を、
 払い除けてから、両手で前髪を掻き上げて後ろに流した。

 額を顕にすれば、夜風が顔を撫でる。]


  露天だから、ちょっと涼しいですね。
  湯船に浸からないと、寒いかも。


[季節はまだ夏というにはかなり早い頃。
 夜はまだ少し肌寒いけれど、身を屈めて露天に指先を
 浸せば、少し熱めに設定された湯が心地良い。

 先程致していたことを微塵も感じさせない装いで、
 笑いかけて、肌にかけ湯をしたら、
 ゆっくりとお湯に身を浸して隣に並ぶ。]


  ……は、……気持ちい……、


[満たされた溜息を零して、ぱしゃりと肩口に湯をかける。
 人目を気にしないでいい、貸し切りの露天風呂。
 贅沢な休日に顔は、綻んで。]


 
  景斗さんって、結構お風呂好きですよね。

  どうです? ここは。
  ……満足?


[伸ばした足を足首で組むようにしても、 
 誰の迷惑にもならない。
 両手を伸ばして組み合わせ、ぐ、と伸びを入れて。
 隣で先に楽しんでいた彼に、感想を求め。*]

[ 艶めかしい声も、近づけば聞こえるのだろう。
 が、そうしたら覗いていますと言っているようなもの。

 手伝う?と声を掛けてもいいのだが。
 それこそ、温泉どころではなくなって
 しまうのは自明の理。

 なにせついさっきまで、どろどろに
 溶け合ってた体。いつ火がついても
 不思議はないので。

 事後処理を終えたのか、シャワーを
 被るのが見えたら、何食わぬ顔をして
 空へ視線を戻した。 ]

[ 酒もほどよく抜けたのか、すっかり
 いつもどおりの口調にも、声色にも。
 ひそかに、ぞくっとした。

 
わりと、いつも、そう。かな。


 つい何分前まで、息を詰めて
 目尻に涙を溜めて、揺すられるたびに
 あえかな声を漏らして、離れないでと
 腕も、中も、ぎゅうと締め付けていたのに。

 気持ちが冷えているわけでもあるまいに、しれっと
 シャワー浴びる?と問えば そうですね なんて
 言って。

 オンオフとまでは言わないがその切り替えに
 慣れていても、ぐっとくるものがある。 ]

 山の近くだからそのせいもあるかもね。
 浸かってあったまってると、そのうち
 少し涼もうかな、とか思うけど。

[ ちゃぷり、水面が揺れて隣にやってくれば
 そう狭いわけでもないけど、場所を
 渡すように、少し位置をずらして ]

 そうだね、お風呂好きだね。
 最高だよ。

 ――泉質もいいし、景色もいいし
 隣には那岐くんいるし、言うことないくらい。

[ 顎先近くまで湯に沈み、
 頭の位置を隣よりも低くして、肩に凭れた。 ]

 頻繁に、は無理でも
 半年に一回くらい、出かけられるように
 したいな。

 苺も、大好きになったしここにも ね

[ できるといい、よりもっと現実に近い色をした
 言葉はちゃぷり、跳ねる水の音でも
 消えないくらいはっきりと言って。

 凭れたままで、片手をそっと相手の脇腹へ
 撫でる、よりは当てる、という行為。

 痛みはさほどなくとも、赤々と痛ましい痕に、
 小さなため息をつくも、

 常日頃付けているそれとて、鬱血の痕、
 言うなれば傷のひとつ。

 反省は己の内のみで、しっかりと刻んで。
 
 そっと、顎先にキスをした。
 これより先は、とびきり、優しくすると
 決めているので。* ]

[もし手伝う?なんて言われていたら、
 見られていたことに気づいてそれどころじゃ、
 済まされなかったと思う。

 普段、彼の部屋で身体を交えた時も、
 事後処理と称して、彼に手伝ってもらう時もあるけれど、
 それはそれでなかなか、羞恥と共に、
 収まった熱を引き戻されてしまうので。
 
 困ると同時に、
 淫らな自分を自覚して埋まりたくなるのだけど。
 
 それは彼の預かり知らぬところ。]

[軽く汗を流したからか、時間も置いたからか。
 酒気は少し散ったような気がする。
 ほわほわとしていた熱は今はない。

 それでもいつもより機嫌がいいことは変わらないけれど。

 先にシャワーを浴びたのは、
 身体に纏わりついているような残滓を、
 逃したかったことが一つ。

 自身で意識的にオンオフを切り替えている訳では、
 ないのだけれど、少し冷静になった頭が、
 普段どおりの会話を引き出していくのは、

 何度か彼とこんな夜を過ごした経験も、
 役立っているのかもしれない。

 初めて朝を迎えた日は、とても。
 顔を見れるような状態でもなかったし、
 腰も、今以上に硬い身体に酷使をしていたので。

 少しストレッチを入念にするようになったとか、
 股関節が柔らかくなったような気がするのは、
 少なからず、彼も影響していると、思う。

[そんな普段の口振りが、彼の弱点を突いていると
 気づけるほどまで、察しはよくないから。

 ちゃぷん、と湯を鳴らして、温泉を楽しんでいた。
 山は気温の寒暖が激しいのだったか。
 バイクで遠出をする経験のある彼ならそこは詳しいだろう。]

 
  ああ、なるほど。
  だから、冷えるのかな。


[納得して、涼もうという声には笑って。
 「湯当たりしないでくださいね」と一言添えて。
 
 最高という評価の高い回答を聞いて目を細めた。
 元の風呂好きもあるし、
 初めての旅行という点を差し引いても、
 緑が望める山間を露天に浸かりながら眺められる贅沢。
 そこに、自身も居ることを含まれているなら、この上ない。]

「少しずれた位置、彼の頭が湯に沈んでいく。
 並ぶと少しだけ高い位置にあった彼の頭が、
 自分よりも低くなって、肩に彼の髪が張り付いた。

 重みはそう感じない。

 半年に一回、なら、休みも取れるだろうか。
 スケジュールを調整すれば、なんとか。
 連休は二日、長くて三日。

 長い遠出をしなければ、難しい話ではない。
 いちごを好きになったという声に声を立てて笑って。]


  そうですね、また来ましょう。
  今度は、バイクででも。


[また長袖が必要になった季節に、
 バイクで冷やされた身体を、温めに温泉に来るのも。
 それは、また違った楽しみに巡り会えるだろうから。]

[こつ、と凭せ掛けられた頭に頭をぶつけて、
 少し先の「約束」をまた一つ、重ねる。

 あの日以来、彼は約束を破ったことはない。
 どんな小さな約束でも。

 気にはしていないけれど、
 そう気にかけてくれていることが、嬉しいから。

 それ以上に、彼と過ごせる先の未来の話を、
 共有できることのほうが、満たされる。]


  
……、ッ、



[不意にお湯が動いて、彼の手が脇腹に添えられる。
 お湯の方が熱いだろうに、
 しっかりと掌は、肌に感触を訴えるから。

 撫でる訳でもなく、当てられるだけなのに。
 か細く、息を詰めてしまった。]

 




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