205 【身内】いちごの国の三月うさぎ
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
[欲しいと願えば、応えてくれる。
小さく落とされた言葉に、とくんと胸が高鳴った。
焦れるみたいに引き裂かれるパッケージが、
ゴミ箱に投げ入れるのも惜しいと、足元に落とされて。
そそり勃った刀身が薄膜に包み込まれていく。
そう思ったのはこれで、二度目。
顔を上げた彼の瞳が欲望にギラついていて。
その火照りの強さに目を奪われた。
余裕もなく、足を開かされて秘部へと猛りを充てがわれ。 触れて、直接その熱さを知って。]
……ぅッ、 ……く、
[指とは違う大きさのものが、性急に押し入っている。]
[力を抜かないと、と思うのに。
大きさの違いにさすがに受け入れる場所が、
ぴり、と痛むような感覚がある。
息を詰めて、吐いて。唇を噛んで、解いて。]
……っ、ぅ、
ぁ゛ッ……
[堪えきれずに濁った声が混じってしまう。
くるしい、いたい、おおきい、こわい。
かんじたい、もっと、おくまで、のんで。
ぱた、と彼の髪から汗が滴って頬を濡らす。
自身も苦しいけれど、もとより受け入れる場所として
出来ていないその狭い場所に割り入っていくのも、
酷く、苦しいだろうと感じたなら。]
……は、 ぁッ ……、
[息を吐き出して、肩を握りしめる力を緩め。
その隙きを見計らうかのように、押し込まれる昂りに
ぶる、と吐息を震わせてしまう。]
[力を抜いて、背に爪を立てて、息を吐いて。
そう何度か繰り返す頃には、目尻に溜まった涙が零れていた。
辛そうな声が耳を擽って、上がった息が肌に掛かる。
俺も肩で息をしながら、下腹の圧迫感に少し慣れた頃。
入った、と囁く声に気づいて。]
……ン、ッ ……
[余裕もなく、浅く首を揺らして頷きを返した。
今、動かれたら内蔵が飛び出しそうだ。
くるしい
、けれど。
どこか、微かに湧き上がってくる
幸福感
。
腰と腰を密着させて、彼との隙間がゼロになる。]
[気持ちいい、とは素直には言えない。
だけど。
唇にふりかかるように落とされた告白。
そこには
黒
にも似た、深い色の
愛
しさと欲が覗いたから。]
…… ッ、 ……
[たったそれだけのことでぶわりとまた熱が上がって。
腰元からぞくぞくと快感が駆け上がってくる。]
[ゆっくりこちらが落ち着くまで十分なぐらい、
余裕はあったはずなのに。
緩やかに彼の腰がスライドしたら、窮屈な場所が
ズ、と抜け落ちていく硬さが内壁を擦る。]
……ンッ、ぅ、 あッ、 まだ、動い……ぁっ、
[ローションの力を借りて狭路でも滑らかに動くそれが、
抜かれて、また押し入ってくる。
僅かな焦りと、怖れを吹き飛ばしていくみたいに、
律動は、次第に速められていって、言葉が途切れて。]
は、ぅッ、……ぁ、ッ……、
は
……
[彼を笑う余裕など、こちらもない。
くるしいの奥に、密かに眠っている快感を掘り起こされていく。]
[彼が腰をスライドさせる度に、濁った声が零れて。
とても可愛いなんて言えない、男の低い声。
どうか、そんな姿や声を聞いても萎れないで欲しい。
その昂りはまだ、感じられているから、ホっとしながら。
色香の漂う、溜息に。思わず唇に視線が向く。
彼をこんな顔にさせたのは自分なのだと思えば、
少し優越感も感じながら、ようやくそこで。
微かに、笑う余裕も出来ただろうか。]
……いい、からッ、
おれで、 きもち、よく、なって……?
[涙を浮かべながら、もう一度。手を伸ばして。
恋人みたいにあまく、手を繋ぎ合えば。
そこには満たされていく気持ちしかなくて。]
[ 指を飲み込むくらいに解れたとしても
それより遥かに大きいものを難なく受け入れられる
とは到底思えない。
それでも欲してくれる。
大事にしたい、優しくしたい
乱暴に覚え込ませたい、ほかのだれとも
できなくなってしまうくらい。
痛みで与えるのではなく、
幸せで、快楽で。
僅かな焦りが、判断力を鈍らせて、
想定より性急に押し入ってしまうと、
痛みを感じたのか、息を詰めて、濁った声が
耳に届く。
言葉で力を抜くことができていれば
苦労しないだろう。
ぽたりと落ちた汗を拭うように
頬を撫でて。 ]
[ 息を吐いたところを見計らって、
もう少し進むか、それとも――。
迷ううちに、肩をつかむ手の力が
緩められて。
――もう、食いちぎられてもいいな
なんて非現実的なことを、空想した。
性行為を食事に例えることがある。
食べちゃうよ、とか食べて、とか。
この場合は、どうなのだろうと
考えることに意味など、あってないようなもの。
どっちだって、構わないんだ。
君と繋がれるなら。
ぐ、と押し込みながら ]
――泣かないで、 可愛くて、
……手加減、できなくなっちゃう
[ 戯れるような言葉を投げても、
聞ける余裕はなさそうだけど。
頬に伸ばしていた指で、両の目から
溢れる涙を掬い取って、
一番奥まで到達すると、余裕もなさそうのに、
浅く首を揺らして、頷くから。
ぎりぎりのところで踏ん張っているのにまた、
ずくん、と熱が集中して、質量が増して
しまうのを感じてしまう。本当に堪え性のないことで。 ]
わかる?
今ここに、いるよ。
[ 薄い腹の下、臍のあたりを撫でる。
どくん、とひときわ大きい鼓動が
限界を訴えて、緩やかに動き始めると
まだ、と引き止める声がする。
――それを拾えても、一度熱を上げた体は
そうそう、止まれない。
でもせめて、指で覚えた場所を
今また、当てることができれば、
少しは、苦しさから救ってやれるだろうか。 ]
[ 抜き挿しを繰り返す度、
濁った声が耳を触る。
肉のぶつかり合う音と、
その肉の間、ローションが泡立つような音。
ぎゅうぎゅうと圧迫されて
今にも。って程、余裕がないのに。 ]
んっとに、……、煽り上手
、
ほんと、余裕ない、……気持ち良いよ、
今まで、ない、くらい、
本当に、――溶けそ、 うっ、
熱くて、……ぎゅうぎゅうで、
[ 涙を浮かべながら伸ばされた手を取り、
また律動を早めていく中で、奇しくも
すき、の言葉を聞いた直後。
こちらでも、探し当てた事を感じ取ったので ]
那岐、……好き、 好きだよ、
君も、
今は、無理でも
良く、なって
[ 苦しみが、幸せに、
痛みが、快楽に変わるよう、丁寧に、
何度も、そこを突くように、動きを変えていく。
不規則な動きから、規則的な動きへ。
今は難しくともいずれ、その行為も
好きだから、気持ち良いから、したいと
思えるように、なって欲しい。 ]
ここ、好き?
じゃあ、もっと――。
[ うねる内部が、収縮を繰り返し、
離すまいとするように、ぎゅう、と締まれば ]
ッ……!
締、まる……ッ
も、たな い……
イク……ッ……
ッ……うっ、…っん…
[ 繋がった手をシーツに押し付けて、
体全体で伸し掛かるように、抱き締めながら
彼の中で、どくん、と脈打ち、精を放つ。
それがおさまるまで、そうしていた。
やがて、幸せの滲んだため息が、
君の耳を擽れば、 ]
すごく、良かった……
もう少しだけ、こうしてたい
[ そうねだるように言いながら、やさしく
額を撫でて。** ]
[頬を撫でる手に擦り寄って、甘えて。
少しずつ埋め込まれていくモノを受け入れていく。
時に眉根を寄せても、やめないでほしくて。
呼吸を紡いで、奥へと誘い込む。
しっとりと濡れているのは、彼だけじゃなくて。
自身も肌に汗を浮かび上がらせて、
湿り気を帯びた手が、求めるみたいに彼に伸びる。
泣かないで、と言われて。
泣いていることに今更気づいて。
生理的に溢れてくる涙を、抑えることは出来なくて。
目尻を撫でる指を受けて、片目を眩しそうに細める。
お腹が苦しいけれど、
確かに彼のモノを受け入れている感覚。]
ぁッ、 おっきく……
ンぅッ、
[不意に増した質量に目を瞠って、
伸ばした手がきゅ、と思わず縋ってしまう。]
[は、は、と動物のような乱れた呼吸を繰り返して、
熱をやり過ごして、落ち着かせようとするのに。
覚え込ませ、分からせるみたいに。言葉と共に、
彼が埋まっている下腹を撫でるから。]
……ンぁ、ッ、 言わない、で
[それだけで、ぶる、とまた身体が快感を拾って震える。
知ってる、はずなのに。
彼に言われると、ぞくぞくする。
撫でられただけで蕾が悦ぶみたいに収縮して、
彼のモノに絡みつくように蠢いて、液を滴らせ。
それだけじゃ物足りないみたいに、腰が揺れる。]
[ぱちゅん、といやらしい水音が響いて、
律動が始まって、二人の吐息しか聞こえなくなって。
時に、動きに呼応するみたいに啼いて。
だめ、と首を揺らす。]
……ふ、ァッ、 あッ、 ン、
[ただ苦しかったはずなのに、中を擦り上げる動きに
ぞわぞわと別の感覚がどんどん引き起こされて、
苦しいの奥に、僅かに、気持ちいいが生まれていく。]
……
やっ
、 だから、
言わッ、なくて ぁ、ッ、 いい、のにッ……
[中の熱さを説明されれば、かぁ、とまた頬が染まる。
嗜める声が揺さぶられて弾んで、途切れて。
あまくなって、拗ねるみたいになって、余計恥ずかしい。]
ぅンッ、 ん、……
[名前を呼ばれて、好きだと言葉と態度で教え込まれて、
何度も首を揺らして頷いて、応える。
余裕がなくて、声には出来ないまま。
代わりに繋いだ手に力を込めて、
は、と熱の籠もった息を零して、震え。]
…ッぁ、 ……アッ、 そこッ、
だ、め ッ
ンッ、
んぅッ
、ぁっ……
[突き上げられ、びくんと、跳ねた箇所を。
執拗に何度も押し上げるみたいに、動かれたら。
気持ちいい、が一気に押し寄せてきて、戸惑い。
だめ、と、いやらしい声が溢れて。涙に変わる。]
[動きを封じるみたいに、ぎゅうと下腹に力を込めれば、
彼が息を詰めて、低く唸る。
シーツに沈んでいく繋がった手、
一際彼の重みを感じて、腰を押し付けられたら。
彼の腰が、数度跳ねて、吐息が耳に掛かる。]
……ッ、 は……、
[皮膜があるから直接感じることはないけれど、
達したのだと分かる、声の詰まり具合に。
空いた手を背に回して、受け止めて、撫でて。]
[彼が落ち着くまで撫でるのを繰り返して、
耳を擽る声に身を竦めながら、ン、と穏やかに返して。
一緒に達することは出来なかったけれど。
彼が自身の身体で達することが出来たことに、
無量の幸福感が、襲って、それだけで満たされて。]
……うん、
[身体を交えることがこんなにも幸せで、
気持ち悦いもので、満ち足りたものだと感じるのは。
きっと、初めてのこと。
それを、教えてくれた彼のこめかみに。
触れるだけの口づけを贈る。
疼きを残したままの下肢はつらいけど。
額に張り付いた髪を払われて、目を見合せたなら。
どちらともなく、唇を触れ合わせて、笑った。*]
[ 泣かないでと目尻を拭いながら、
奥歯を噛んでも少し遅かった。
今までなら、理性を削り切られることなく
行為に及びながらも冷静に相手を観察し
射精のコントロールも効いていた。
相手の状況を見て、達するのを待つことすら
出来ていたのに。
自制が出来ず、質量を増したことにも
気づかれて、薄く笑う。
過去に起こったことは、
子供のままごとの延長線上にあったのでは
ないか、と思うほど。
抑える事すら、愉しいだとか思っていた
数時間前のことが、遙か過去の出来事みたいに
――
欲しい
、それが抑えられなくて。 ]
……どうして、
恥ずかしい?
[ 恥ずかしくなるような事、してるのに。
そこまで続けて、 ]
ッン また、締まった
[ きゅん、と悦ぶみたいに、収縮するから。
実はそういうの好きなんじゃ?とか思うけど
生まれた疑問を今解決するには、
余裕がなさすぎるから、今は捨て置くけど。 ]
可愛い
[ 打ち付ける度に上がる声に、
苦しみ以外のものが滲んでくれば
殊更に、止まれなくなる。
そうなってしまうくらい、
君を感じているよと伝えようとした言葉に
また、言わなくていい、と啼くから、
捨て置いた疑問の答えを、
こちらで勝手に得たような気持ちになる。 ]
うん、……うん、
[ わかったよ、の代わりに頷いて。
告げるためではなく、溢れてくるから
こぼれ落ちて言った好き、の言葉への
応えを得て、快楽を拾い、戸惑うような声を
聞けば、本能が望むままに、何度も
繰り返し、腰を打ち付けた。 ]
ダメ?……ん、 分かった
[ けだもののように、深く貪るように。 ]
[ 食われている、最後のひとくちまで。
意識的にしているのか、無意識なのか
最後まで搾り取られるように抱き締められて。 ]
……は、 ……、
[ 受け止めて撫でられる。
達した後の、気怠いため息、熱を孕む呼吸が
落ち着くまで、甘やかされる手に縋っていた。 ]
[ 触れ合わせた唇の合間で笑い
体を起こし、ずるりと質量を失った肉を引き抜いて
処理を終えると。
にっこり、満足そうにと言うよりは、
艶が滲むような笑い方をして、
するすると体を再び、下方へと向かわせていく。
萎れることなく、熱を持ったままであれば
尚笑みは深くなる。その顔のまま、べ、と
舌を出すと、 ]
……ん、む、
[ 片手で支えるように持ち、口の中へ。
追い立てるように、ではなく、甘やかすように
緩やかに舌先を遊ばせて。* ]
[恥ずかしい?と聞いてくる声が尚更恥ずかしい。
返事をするよりも早く、身体が反応して。
ひく、と蕾が悦ぶみたいに彼の雄を締め付けた。
だから、言わなくていいって言ってるのに。
また、身体の変化を口にされて顔から火が出そうだった。]
……、 も、
[涙混じりにつく悪態では牽制にもならない。
身体の変化を口にされる度に酷く疼いて、
自身の知らない性癖を暴かれていくけれど。
すき、と伝えるにはまだ心が追いつかないから。
今はそれ以上、追求されなくて良かったと思う。
じりじりと追い詰められたら、応えてしまっただろうから。
]
[萎えることなく、硬い刀身で何度も擦り上げられて、
共に果てるまではいかなくとも。
可愛いと愛でる声に、身悶えて。
だめ、と伝えたら少し緩やかな動きに変わる。
圧迫感はずっとあり続けたまま。
達することは出来なかったけど、開かれた奥に。
確かに熱を火照らせる場所が、あったこと。
このまま、弄られ続ければ、きっと。
自分も堪えきれなかっただろうから。
先に彼が果ててくれたことに、ちょっと安堵して。
緩やかに背を撫でて、後は落ち着くまで。
……と、思っていたのに。]
……ッ、ン、
[引き抜かれていく感触が生生しくて、吐息を漏らす。
些細な動きまで拾えるようになった身体は、
身体の奥どころか、彼を迎える入り口も敏感になったよう。
質量のなくなった空間が、
くぱ、と息をするように開いて、閉じて。
苦しかったはずなのに無くなってしまえば、
少し物足りないような気がして無自覚にほぅ、と溜息が零れた。]
……ぁ、
[終わった、と思った。はずの逢瀬。
解かれた手で、自身の唇をなぞり、物憂げに瞳を伏せる。
だから、彼の笑った表情に少し反応が遅れてしまった。]
[口角を上げて笑う艶めいた表情に息を呑む。
言葉を無くして、見惚れていれば。
下がっていく身体は、まだ熱を孕んだままの下肢まで。
降りて、見せ付けるみたいに舌を覗かせて、
再び口の中に招き入れられたら、その熱さに。]
……
ふ
、ぁッ ……、熱、……
[びく、と腰が引けてシーツに皺が寄る。
女性の膣にも似た熱さに包まれて、
舌先で猛りを舐め取られたら、堪らずに目を眇め。]
ぁっ、俺のは、いい、からッ……、
……ぅぁ、 ふ、ぅッ……、ン
[手の甲で口元を隠し、また小さく頭を振る。
二度も達した身体はすぐに快楽を拾って、
敏感になった身体、全部、性感帯になったみたいに。
シーツに触れる部分さえ、擽ったくて。
何も受け入れていないはずの、後孔が。
ひく、と呼吸するみたいにひくついて。
乱れされる。
もう吐き出せるものなど、ないはずなのに。
熱が集まってきて、硬さを取り戻していく。*]
[ たった一晩では、互いの好きなこと
好きなふれあい方、全てを知るには至れない。
一つずつ、欠片をつなぎ合わせるように、
知っていく中のひとつ。
恥ずかしそうにしながらも、素直な反応を
示されれば応えるように、笑って。
涙混じりに可愛らしく詰ってくることすら、
自分に届く頃には悦びにかわる。
熱を与える与えられるからという以上に、
よく、顔を赤くすることも、今日知れたこと。
大胆な物言いをするくせに、
すぐに照れて顔を背けちゃうとこも。 ]
[ 淡白どころか、
自分とおなじくらい、欲張りなところも。
愛しくて愛しくて。
口から零れ落ちる言葉くらいは許して欲しい。
熱を上げさせるようなつもりもなく、ただ
知った事を、伝えたいだけなので。
引き抜くときにもまた、艶めかしい声を
上げて。さみしげに、こぽ、と泡だって
白くなったローションをとろりと、こぼして。
唇をなぞり、物憂げに瞳を伏せられたら
喉が鳴りそうになるのを、ぐ、と堪えた。
今日のところはこれ以上、無体を働くような
ことをするつもりはないので。
体への負担も相応だろう、当然。 ]
[ それでも、痛みを苦しみを散らすためとは
いえ、好き放題熱を覚えさせられた、
いとしいからだを、そのままにしては
おけないから。
招き入れて、嬲るように、舌を絡ませる。
目が細まったら、先端をちう、と吸い上げて ]
そんな寂しいこと言わないで
気持ち良くなって?
[ 手と口とで、ゆるゆると快楽を与えながら。
さみしげに、ひくつく蕾にもそっと指を挿し入れた。
一人で試した時には感じられなかったものを
感じ取れるようになったなら、いずれ
ここでしか得られないものも、
拾えるようになるかもしれない。
そうしたらまた、 ]
ン………、
[ 君も知らない、君の姿を、見られるような気がして。 ]
[ 二度も達して、どこもかしこも
敏感になってしまった体、
追い立てるようにしなくても、
勃ち上がり、熱を蓄えていく塊、
待っていたと言わんばかりに、
指を締め付ける、体内。 ]
ふ、……ン、 いつでも、
らして、 ね
[ 口の中に収めたままでは
呂律の回らないような言葉しか
出せないけれど、伝わればそれでいい。
なにかしら、応えるような反応があれば
こりこりと中を引っ掻くようにしながら
奥まで咥え込んで、
添えるだけだった手も、
愛おしげに、君を撫でた。* ]
[裏筋に沿うように舌を這わされて、先端まで。
弱い部分を辿るように、じっくりと。
一番反応があった先端を窄められた口先で吸い上げられて、
腰が思わず浮いて、押し付けるみたいに反ってしまう。]
ン、ンぅッ……、は、ぁッ……
[赤く染まっていく顔を腕で覆い隠して、
唇を噛んで、声を押し殺そうとしても堪えきれない程。
生暖かい感触がダイレクトに伝わって、つらい。
指で擦り上げられた箇所を、丁寧に吸い上げられて、
気持ち良さにぐらぐらと思考回路を崩されながら。
墜ちていい、と促す声に甘えそうになる。]
[口淫だけじゃなく、指が寂しいと訴える後孔に、
ぬぷ、と押し入ってくれば。]
うぁ、ッ……、
く、
ぅンッ……
[か細い犬の啼き声みたいに喘ぎ洩らして、ふると身体を震わせた。
今日だけで何度も埋められて、拡げられた場所が、
悦ぶみたいに指を受け入れて、飲み込んでいく。
伏せた瞳にまた涙が浮かび上がる。
痛い、とは違う、身体を震わせるような快感を伴って。
後孔に指を差し込みながら、下生えの下で揺れる頭。
ぐちゅりと音を立て、淫猥な音を響かせて。
快感に溺れさせようと、甘く誘い立てる。]
[勃ち上がったモノを喉奥で擦られて、血が集まる。
顔を隠す腕とは、反対の手を伸ばして。
腰元を擽る頭に触れて、くしゃりと彼の髪を掻き乱す。]
[喉奥で挟まれたら、咥え込んだ後ろが窄まって、
長い指をあまく締め付けるのに。
もっと、と探るみたいにその指を曲げられて、
かり、と膨らんだ部分を引っ掻かれたら仰け反って。
悦い、と知らせるみたいにびくん、と身体が跳ねる。
滲む視界で、様子を窺う視線と目が合えば、
ぞく、とまたその目に魅せられて。蕩けて。]
[かり、と口元に当てた自身の指を食む。
食んでない、と。淫らに求めてしまいそうで。
ぶる、と達する前触れが襲って、
髪を撫ぜる手に力が籠もる。]
ん、
ぁ、離、してッ……、
ぁッ、……も、ぅ、出そ、ッ、
[睫毛を濡らして、もう何度目か分からない否定を口にして。
緩く首を振っても、射精を促すみたいに。
腰を撫でる手が、窄められる口が、引っ掻く指が。
堪らなくなって、身を起こそうとした時。
中の指が、こり、と曲げられて。]
[ 素直にこうして、ああしてと
ねだってくれたらいいのに。
見たいだけだろうと言われれば、そうだけれど。
快楽に弱いところがあるのは、
男として諸手を挙げて、歓迎したいところ。
先程から時々、逃げるように、
否定の言葉を言い掛けるくせに、
もっとってねだるみたいに、
押し付けてくれるのが愛おしい。
その刺激に慣れていないのか
――それとも、相手が俺だからか。
]
[ 赤く染まった顔を覆い隠しても、
唇を噛んで声を逃がそうとしても、
抗いきれずに、隠しきれずに、
ちらりと見える赤が、声が。
震える体が、望んでくれると
思わせてくれるから。
誘われるままに――。 ]
[ くしゃりと髪を混ぜる手と
あまく締め付ける蕾、
だめ、と紡ぎながら、
悦いとはねる体。
そのどちらも、愛おしいから、 ]
ン、……ァ ん、 いいよ
[ 涙ながらの離して、
という願いは聞き届けられそうにない。
蕩け切った目をゆるく閉じて、
抱き寄せられるままに、奥の奥まで
迎え入れると、熱い液体が喉へ口腔内へ
飛び散って。
こくり、喉を鳴らしたのはわざとではなく
勢いに負けるような形で。 ]
――んん、
[ 最後の一滴まで搾り取るように、
根本から吸い上げ、ちゅぽ、と音を立て解放してから
もう一度、惜しむようにキスをする。
同時にゆっくりと指も引き抜いた。
刺激しないよう注意を払って。
しかし、その瞬間に締め付けられた力の強さに
入っていたら本当に食いちぎられていたかも
知れないな、と思えば笑って。 ]
いいこ、 疲れた?
[ 体を起こし、頭を撫でながら
封を切ったほうのミネラルウォーターを
片手であけて、こくり、こくり。 ]
那岐くんも、水分とったほうがいい
[ 随分汗かいちゃったから、と
封を切っていないほうを渡して、 ]
お風呂入る?
……立てそう?
[ 難しそうならこのまま、くっついて
一つの生き物みたいに、眠ってしまうのもいい。
だけどすぐに眠ってしまうには、少し惜しい。
そんな顔をしていただろう。* ]
[促す声に導かれるみたいに、集まった熱が爆ぜて。
離して、と乞うた願いは受け入れられないまま、
彼の口腔を自分の吐き出したもので汚していく。
びく、びくっと、溜まったものを吐き出すみたいに
腰が数度揺れてしまうのを止められずに。
吐き出してしまえば、一気に襲ってくる脱力感。
もう一滴も出ない、と思うのに。
先端を吸い上げる唇に、か細く啼いて。]
……ぁ、…… は 、ぁッ……
[ふ、と力んでいた身体が弛緩していく。
きつく指を締め付けていた後孔も、緩んで。
ふやける程皺になった彼の指を解放して。
くたりと、シーツに身を沈めていく。
自慰のときでも、今まで彼女としてきたSEXでも。
こんなに達したことは、ない。]
[荒いだ呼吸のせいで胸を大きく上下させながら、
シーツに沈んだ頭を、あやすみたいに大きな手が撫でる。
その手の大きさを、指の長さを覚えてしまった。
心地よさも、
気持ち悦さも。
]
……ん、
[問い掛けに素直に頷いて、水を嚥下する喉を
力の抜けきった身体でぼんやりと眺め。
喉を鳴らして、動く喉仏がまた色香の残滓を放つ。
水分を促されて、こくん。とまた頷くけれど。
すぐには身体を起こす気になれなくて。
渡された、ペットボトルを一度受け取ったものの。]
[封を開けないまま、横に転がして。
甘えるみたいに、両手を彼に向かって伸ばす。]
……飲ませて、
[そんな子供みたいな、わがままを乗せて。
ン、と唇を突き出すみたいに顎を逸らす。
お風呂に入るのはそれから。]
[ローションと精液でべたべたになった身体のまま、
寝るのは、さすがに少し抵抗が残る。
シーツも汚してしまったから、
変えないといけないかもしれないけど。
もう少しだけ、甘えてもいいかな。なんて。
従姉妹の杏にも見せたことのない。
甘い顔を蕩けさせて、]
それから、一緒に入ろ?
[ワンルームの自宅より広いという浴室。
使うのは初めてだから、使い方を教わるのは、
家主の責任だと言い訳をしても許されるだろうか。*]
| [囁きに別の意味が含まれているかって? >>1:22 そこは想像にお任せします。 声を潜めた意味を、真っ直ぐに受け止めてくれるなら。 その答えも見透かされたようなものだけど。 こちらから伝えるには分が悪くなるのと、 妹の前での建前上。 そんな表情を見せるのは、彼の前だけでいい。 重ねた手の上、トントン、と合図するみたいに。 指の腹で叩いて、指の間に指を差し込む。 視線は窓の外の景色へと意識を向けながら。 ウィンドウに反射して映る横顔を盗み見て、 ため息を漏らす姿に、くすりと笑った。] (4) 2023/03/26(Sun) 0:34:07 |
| [白いいちごに興味津々なのは >>1:23、 物珍しさから、その匂いに惹かれたのか。] どうですかね。 レアではあるから、 もしかしたら、ないかもしれませんけど。 [自分も始めてくる場所だから、把握はしていない。 あれば彼の驚く顔が見れるだろうし。 仕事以外で食べられる珍しさもまた一興。 眼の前の赤いいちごに浮かれて、 摘んだ端から、食べてもいいという摘み放題。 良いシステムだと、考えてくれた人に感謝しつつ。 摘み取った一つ目は、彼の目前に。] (5) 2023/03/26(Sun) 0:34:31 |
| [いいの?という問い掛けに、うん。と頷いて。 開かれた口元に運んでいく。 赤い実が、彼の口の中に含まれて、 一瞬だけ、彼の唇が指先に触れる。 無意識に撫でたくなったのを堪えて、 手を引いて。] 甘いですか? 良かった。 俺も食べよう。 [今日、俺はいちごの信者を一人増やしました。 いちごの神様にそう報告しながら。 自身でも一粒、摘んでそのまま口へ運ぶ。 赤い実に歯を立てて、溢れる肉汁を飲んで。 甘味と僅かな酸味を味わって、目を細める。] (6) 2023/03/26(Sun) 0:35:14 |
|
……旨い。
[好物を目の前にした子供のような笑顔を零して、 ぺろ、と汁気の飛んだ指を行儀悪く舐め取って。
ハンカチで拭き取ったなら、また一粒、一粒。 選り好みしていく為に、畑を歩く。 摘んで、食べて。籠に入れて。 抱えた籠が、いつの間にかいちごで溢れていく。
時々、こっちのいちごのほうが大きいとか。 こっちの方が甘そう、だとか。
そんなやりとりを彼と交わしながら、 45分のいちご摘みはあっという間に溶けていく。] (7) 2023/03/26(Sun) 0:35:41 |
| [籠に盛りだくさんになったいちごは、 Hareで待つスタッフたちのお土産の分にも十分だろう。
きっと生のいちごだけでは飽き足りないだろうから。 その後、お土産売り場に立ち寄って、いちごジャムや、 フリーズドライのいちご、いちごミルクのプリンなど。
どれも欲しくなってしまうような種類の多さに、 頭を悩ませながら、彼に相談を持ちかけて。 人数分のお土産をなんとか選ぶこともしただろう。
あとは、興味のあったいちごのピザ。 デザート作りはメインを担当するわけでもないけれど。 料理よりも計量通りに作らないと完成しない、 繊細なデザート作りは楽しむ方。 ピザといちごという食事のようなデザート。 作り方には大変興味が唆られる。] (8) 2023/03/26(Sun) 0:36:04 |
| いちごピザ、うちでも出したら喜ばれるかも。 作り方、覚えて帰りたいな。
[その時は、いちごを好きになってくれた彼に。 一番に出すことにしようか。**] (9) 2023/03/26(Sun) 0:36:26 |
[ 一度受け取られたペットボトルは
風が開かれないまま転がされる。
問いかけには頷きを得たが、
よもや起きれない程辛いのではあるまいな
と覗き込むように見て、 ]
ふふ、……ん、
[ 甘えているだけだと分かれば、
またペットボトルを傾けて、そのまま
唇を合わせ、流し込むように少しずつ
唇を開いた。こくり、嚥下する音を聞いても、
啄むように、数度。 ]
転んだら困るからね
[ 一緒にと誘われれば、笑いながら
そう言って。蕩けた顔にまたキスを。
顔を見る度、したくなりそうで、困ったものだが。
一度立ち上がり風呂場までの扉を全て
開いて、給湯のスイッチを入れようとしたところで
いつでも入れるようにしていたことを思い出した。 ]
[ ――そういえばシャワー浴びる間もなく、
なだれこんでしまった、……若さってこわい、
なんて他人事のように思いながら、 ]
しんどいなら抱っこする?
[ ベッドまで戻り腰を撫でつつ ]
――そういえば前にもそんな話したね
[ 浴室まで向かって――。
二人一緒に浸かれる浴槽にゆっくりと沈み。
させて?と髪を洗う事や、体を洗う事も
引き受けて、先に浴室を後にした。
汚れたシーツの取替と、ドライヤーで
髪を乾かすのに時間を食うために。
そうしてゆっくりしていれば、夜も更けて。
寝巻きを貸すこともできたけれど、
肌の触れ合う幸福に抗えず、下着だけ纏い
その日は眠りについたのだったか。 ]
[ ――翌昼、君より早く目が覚めて、
ベッドを抜け出そうとすると、むずがるような声。
音を立てずに小さく笑う俺は、
その夜、自分の腹、火傷痕の残る部分に
口付けられたことは、知らない。
だから、掛け布団をめくり、
君の腰のあたりに、吸い付いた。
今度するときには、してね、と言いたげに。
散らした赤を隠すように掛け布団をかけ、
顔を洗い、歯を磨いたあと、 ]
おはよう、よく眠れた?
[ そう声を掛けたのと、コーヒーマシンが
抽出完了の合図をしたのは、同時くらい。 ]
コーヒー飲む?*
―― 忙しい日々の中で ――
[ 時間が取れれば会いに行き、
運が良ければ、二人で帰り道を歩む日も。 ]
泊まってく?
[ そう聞く日もあれば、自然と、
初めての日、よりはスムーズに
ベッドへ誘う事も出来た、だろうか。
ベッドの上では素直に甘えてくれない君の代わりに ]
したい、
[ 直接そう伝えて後ろから抱き込んだ日もある。
あの日だけが特別なわけじゃなく、
いつだって、溺れる感覚はあった。
むしろ体を重ねれば重ねるほど深く。 ]
[ ――だというのに、俺と来たら。
手放してやれなくなる だとか。
普通の幸せを奪ってしまった だとか。
抱けば抱くほど、深みに嵌まるほど、
身勝手な罪悪感を募らせていた。
愛される覚悟というものを
根本的に理解した日もあった。
嫉妬に駆られた夜なんかは、
痛みを感じるほどに抱きしめて、
苛めてしまったというのに。 ]
――……まだ、だよ。
甘やかしてくれるんでしょう?
ね、ここ好きでしょ?
好きだよもっとして、って言ってくれたら
ずっとずっとしてあげるのに。
俺の指、好きだもんね?
こうしてされると、泣いちゃうくらい
やだ、って言っても今日は聞かない。
[ 嫉妬に駆られた日には、
どろどろに煮詰まった愛を囁きながら。 ]
おいていかないよ、
[ 泣きそうな顔で、そう言ったのは、
君があまりにも愛おしげに、生きた証に
口付けたから。
そうして順当に、死んでしまったら
君を一人にしてしまうこと。
大事な人に紹介したいくらい、
君に愛されていること。
一つずつ、覚えて、確かめて――。
明日が旅行当日という日にも。 ]
すっかり綺麗になっちゃって、
……こう綺麗だと、……はい しません
[ 貸し切りや部屋付きの風呂のことはまだ
知らないから。旅行に向けて消えていった
痕を指でなぞり、つまらなそうに唇を尖らせて。
――そうして、旅行当日を迎える頃には、
愛する覚悟、愛される覚悟、
この先ずっと、ふたりで居る未来を、
確定的に捉えられるように、なっていただろう。* ]
[水を飲みたいという甘えを正確に読み取った恋人が、
愉しげに笑う様につられて目を細める。
今度は口に含むだけだから、喉は動かない。
倒れ込んでいる自身に覆い被さるように、
傾いてくる身体に細めた目を軽く伏せて、]
…… ン、ぅ……
[薄く唇を開いて水を招き入れて、こくんと喉を鳴らす。
乾いた喉が水分で潤っていく。
飲み干した後も、触れ合わせたままの唇を
堪能するように味わって、離れていく間際。
つぅ、と舌先で彼の唇を舐めたのは、物足りなさからか。]
[転ぶような覚束ない足元にはなりたくないけれど。
初めて受け入れた、腰はまだ少し異物感が残っていたか。
転んだら、と言い訳するのが少し歯がゆくて。]
そんな理由がないと、入れないんですか?
[なんて、視線を流して揶揄を含ませる。
どうにも理由をつけたがる彼のこと。
キスを降らせる割には、理性が戻ってきたのか。
それとも、別の理由があるのか。
水面下でまだ元気になりそうな気配があると知ったなら、
さすがにこちらも赤面してしまっただろうけれど。
それは預かり知らぬところ。
浴室に向かうのを見送りながら、ようやく。
転がしたペットボトルの封を開けて、
喉を鳴らして、半分ぐらいまで一気に飲み干した。]
[二度目の抱っこには、さすがに賢者タイムの照れが勝って、
丁重にお断りして、手の支えだけを借りた。
男が二人入ればさすがに少し狭いけれど、
足を軽く折り曲げれば、彼の股の間に落ち着くことはできる。
べたついた身体をシャワーで洗い流して、
少し呆けたように湯船に浸かり。
率先して洗いたがる申し出には、身を委ね。
専属の洗髪屋よろしく髪を洗われた。
身体を洗うときばかりは、さすがに擽ったくて、
身を捩ったり、掠めた手にまた熱が上がりそうになったけど。
悪戯する手は軽く制して、一人残されたなら。
足を伸ばしてゆっくりと広い風呂を堪能させてもらう。]
[一人、気配がなくなって、静かになった浴室。
ぽたり、ぽたりとスポンジから落ちる雫の音を聞きながら。
ちゃぷ、と湯を揺らして、膝を折り曲げ。
膝を立てたら、そこに腕を乗せて沈む。
彼と初めて交じりあった身体。
一人でいくらしても慣れなかった快楽。
彼の手で簡単に拾えてしまったことを、
思い返して、ほぅ、と甘い息が溢れる。]
……癖に、なるかも。
[湯船に身体を沈めながら、ほつり、呟く。
彼には零せない秘密の感想は。
浴室のボディスポンジだけが、知っている。]
[着替えはもってきたものの、寝間着はその日の
服のまま眠ればいいかというぐらいに思っていたから、
風呂上がり、寝間着がないことに気づいたのは後の祭り。
そのままでいいと言われた、布団に滑り込めば、
肌が直接触れ合って温かさを分け合えるから。
それも、いいかと温かくなってきた気候も借りて。
寄り添うように肌を合わせて、眠りに就いて。
まだ朝日も差さない頃。
一人、目が覚めたなら。
規則正しく呼吸する彼を確かめて。
腰元の傷跡に、
慈しむように、口づけを落とした。
]
[翌朝、一番に耳にするのは。
いつもの目覚まし音ではなく、彼の声。]
……ん、
[薄っすらと開けていく視界は、いつもの自分の部屋じゃない。
コーヒーの香りを漂わせる室内に、
愛しい彼の姿が、ぼんやりと視力の悪い目に映り込む。]
……はよ、……ンッ、
……おはよ、 ございます……。
[掠れた声を飲んで、挨拶を言い直して。
気だるさの残る身体を起こせば、
彼が夜更けに変えてくれたシーツが肩から滑り落ちてく。]
[ 名も無い夜が更けて、二人で迎えた朝は、
それはそれは、とても幸福な――一日。**]
―― 流れ行く季節 ――
[付き合う、少し前、からだけど。
来店する頻度が以前よりも増えた気がするのは、
気の所為じゃない、気がしている。
例えば、隙間時間をを縫うみたいに突然。
例えば、会いたい、と一言メッセージが送られた後。
例えば、片付け当番がなく早上がりの日。
俺と過ごす時間を確保するみたいに。
店で待って居られたりすると、ほんのり擽ったい。
そういう頻度増えてきているから、
泊まっていく?という、甘い誘いも断れずに、
頷いて、彼の部屋に行く時間も増えて。
ベッドの上で二人沈むことも、増えていく。]
……明日、早いっ、から……
[そう嗜めた日も、結局。
抱き込まれる腕に抗えずに、肌を這う手に身悶えて。
押し殺そうとする声を、引き出され。
彼の下で、啼いてしまった日も、あった。]
[手放せなくなっていくのは此方も同じ。
それを直接伝えることはなかったかもしれないけれど、
啼いて、縋って、抱き込む腕で伝わっていると、
思っていたのに。心というものは難しい。
彼の言う普通の幸せが、男女での恋や結婚を見据えて、
将来のことを言っているのであれば。
今この手に掴んでいる幸せを失うことのほうが、
怖い、と苦笑を浮かべる夜もあっただろう。
あれだけファンにも愛されているというのに、
時に自分に自信が持てないあなたを、
抱き寄せて、慰めたりする中で、
憂いたり、嫉妬したり、後悔する顔を見れるのは、
俺だけかもしれないという悦に浸っているというのは、
彼にはまだ知られていないと、いい。
俺にもそういった仄暗い独占欲だって、あるんですよ。
]
[ただ、そんな表情を見せた日の彼は、
泣きそうな顔をしながらも、意地悪なことを言う。]
……ぁっ、……ぅ、んッ……、
だ、
め
、 ……それ以上、ッ…あッ
ンぅッ、……は、……ぅッ……、
[甘やかしてといいながら、ぐずぐずに俺の身体を溶かして、
恍惚とした表情を浮かべて、中の弱い部分を。
台本を持つ長い指が、ぐちゃぐちゃと犯す。
好きかと問われれば、そう、なんだけど。
こんな場面じゃなければいくらでも頷けるものを、
後ろで銜えさせられて、指の形を覚え込まされながら。
言うのは、話が違う。]
……は、……ぁ、ッ……、も、ぅッ、
や
[さんざん弄られて、きゅうと甘く指を締め付けて。
そこで感じる、と、知った日から少しずつ。
身体を開かれていくみたいに、性感帯を増やされて。]
[こり、と膨らみを押されて、とん、とんと。
同じ場所を何度も刺激するみたいに、叩く。
ぶわりと一気に上る熱。]
ぁ、ッ……、やッ、 さわらな、で ……ッ
そ、こッ、
……されたらッ……ぁ、ぁッ
[羞恥と快楽を煽られて、ぼろぼろと涙を零しながら。
首を振って、抗うのに。やめない、と宣告されて。
弄られてもいない前が、後孔を探るだけでそそり勃つ。
チカ、とまた襲い来る明滅。
あ、だめ。
と、思うのに。]
……、っふ、ぅッ……
[びく、びく、と痙攣するように腰が跳ねる。
前を弄られないまま、彼の指だけを飲み込んで、
後ろだけで達してしまう程に、感じて。]
[散々啼いて、泣いた、後の微睡みの中。
囁かれた言葉に、
うん、と小さく応えたのは夢現。
分かってる。そんなこと。
生きることを願ったあなただから。
簡単に生を手放しはしないこと。
興味が好意に代わり、好意が愛情になっていく。
好きをもらう代わりに、愛で応えて。
抱き合って、確かめ合って、変えられていく。]
[しばらく痕はつけないで欲しいと願った旅行前日。
正面から抱き竦められて、彼の膝の上。
痕がすっかり薄れた鎖骨に彼の唇が触れる。
ン、と小さく息を詰めながら、髪を引いて。]
だめ、ですよ。
温泉に入れなくなるでしょう?
[ジト目で肌を眺める恋人を窘めつつも、
指でなぞられるだけで、期待に身が震えるくらい。
開発されてしまった身体を必死で抑え込みながら。
ふに、と尖らせた唇を指で押し返す。
そんな拗ねる姿も愛しいと思うくらいに育った感情。
旅行を心待ちにしていたのは、彼だけじゃない。
一緒に、「初めて」を経験する楽しさを、
タンデムしたあの日から、教えられてしまったから。]
[ 思えば、それが――初めての恋だった。
人を好きになってコントロールが聞かなくなる
心の有り様も。欲の有様も。
狭量な男だと思われたくないと思ったのもはじめて
それを口にすることも。
それもそうだ、会いたいも、抱かれたいも
そういう空気を察して、叶えてやらねばと
考えた結果こちらから申し出ていた過去の恋愛と
今は天と地ほどに、違う。 ]
本当にだめ?
それなら本気で拒絶して。諦めるから。
[ 明日が早い。そう言われた日に
零した声は、自分でも聞いたことがないほど
甘く。
余裕を剥ぎ取られて、空っぽになった自分に
愛される素養があるとは思えなくて。
愛情の試し方なんて知らないから、
許されるかぎり、愛を盾に、責め立てて。 ]
だめ?でもこっちは嬉しそうだよ。
ぎゅうぎゅう俺の指食べて。
もっと、って言ってる。
[ 心の何処かで、可哀想に思う日もあった。
仕事終わって、恋人と会ってるのに、
泣くまで追い立てられて。何も悪いことなんて
していないのに。
――それでも拒めないくらい、俺のこと
好きなの。 ]
すごいね、こっちでも
気持ち良くなれるようになっちゃって。
うん、うん、俺のせいだね。
[ 問わずとも知れることをわざわざ問うことはしない。
そのくせ、キスだけは優しく、なんて。
暴力振るった後のDV夫みたいで、
自己嫌悪に飲み込まれたから。
深く反省した。試すようなことはするものではない。
そんな事すら、知らないのかと呆れられて
しまっても、どうしようもないくらい。
――離してやれないくらい 君のことが
好きで。* ]
ん、してる。
[悪戯っぽく視線を流して、笑えば。
降りた腕を取って、手に手を重ねて持ち上げて。
ぱく、と冷えた指先を口に含む。
アイスみたいだと思ったから。
その指先も甘いのかと錯覚して、舌を這わせ。
あったかいと呟く身体を更に熱くして、欲しくて。
*]
[ 行為に慣れてきても、
ぐずぐずに蕩けるまで、あまり声を
上げたがらないから。 ]
じゃ、されようかな。
[ してる、と悪戯に視線を流して笑うから。
そう返して顎先に、キスを。
とっくに参ってるくせに、誘ってくる目が
唇が、いじらしくて。 ]
期待してたよ、今日ずっと。
温泉、一緒に入れますねとか言うから。
[ 指先は誘惑されている最中らしいので
瞼の上から横に少しずつ、唇で触れていく。
擽ったそうに音を拾う、耳までたどり着けば
まだ戯れの延長みたいに、乾いた唇で
触れて、挟んで、擽って。
ときどき、笑って。 ]
あったかい、じゃ済まないね?
[ 口に含まれた指先はすっかり熱を持って
蠢くように、舌先を頬の内側を押して、つつく。
くちゅ、と音が鳴るたび、着実に、
欲に火をつけていくけれど、誘惑はまだ
続いていただろうか。* ]
[素面のままだとどうしても小さなプライドが邪魔をする。
可愛いと言われても、素直に受け取れない思春期みたいな。
敢えて言うならば、それは賛辞なのだろうけど。
受け止めるには照れ臭さが勝ってしまうから、
受け流したり、首を振ったりして抵抗を見せてしまう。
でも、今日は気分がいいから。
可愛いと言われたら愛でられている気持ちになって、
ふにゃりと表情が蕩けてしまう。
誘いに乗るような声に更に機嫌を良くして。]
うん、
[顎先に落とされる唇を笑いながら受けて、
首を竦め、追いかけるようにまた唇を触れ合わせた。]
[期待していたのは朝からだと伝えられて、
そういえば、朝そんな話を振ったな、と。
ウィンドウ越しに見えた表情、
気まずさを紛らわすようにした咳払いを思い出して、
指を食んだまま、くく、と喉奥で笑う。
瞼に降り落ちる唇を受けたら、再び目を伏せて。
咥えた指に軽く歯を立てて、根本まで飲み込んだ。
酒気で熱くなった口腔の中、
ねとりと舌を関節の根本から這わせて、
唇を窄めて、ちゅう、と吸い上げて一度唇を引いて、
また根本まで咥え込む。]
……っ、ン……、
[彼の人差し指を湿らせる間、肌を滑っていく唇が、
耳に届いたら、乾いた唇が耳朶を食んで。
ぞく、といつもみたいに快感を引き出していく。]
[飲み込んだ指が、悪戯し返すみたいに、
内側から頬を突ついて、粘膜を探り、音を鳴らすから。]
……ん、ぁッ ……、
[唾液に塗れた指を一度解放して、酸素を求め。
灯された情欲を隠せずに瞳に滲ませ、俯いて。
自身のTシャツとパーカーの裾に手をかける。
両手で、おず、と裾を持ち上げたら、
日に焼けていない肌が顕になっていく。
あったかい、じゃ済まないから。]
けいと、さんが
あつく、して……、
[首元まで服を持ち上げて、酒で色づいた肌を晒す。
まだ触れられていない赤い尖りは小さく鳴りを潜めて。
その箇所を逸らすみたいに、腰を反らせば。
キスと人差し指だけで僅かに反応している下肢が、
彼の腰元にぶつかってしまう。*]
[ 可愛いと言っても素直に受け取られる
ことはなくて。
なんなら、言わなくて良いと返される
こともあっただろうか。
それが、酒がどうも彼を随分素直に
そして開放的にさせたようで。
ふにゃりと蕩ける表情に、
こちらの表情が固まったのは見逃して欲しい。
今すぐにでも襲いかかりそうになるのを
抑えた故に。
追いかけるように唇を触れ合わせたら
見ないでね、とばかりに甘く下唇に噛みついて。 ]
[ 指を咥えたままで笑うのを見ると、
最初からこのつもりだった?と、
してやられたような顔をしたままで。
瞼に、こめかみに、唇で触れる。
乾いた唇でも、触れられる事を
覚えた体はふるり、と震えて。
誘われた指のしでかした悪戯に、
甘い声が上がれば、顔を引き戻して、
欲に濡れた目と、目線を絡ませれば、
もうすっかりその気になってしまう。
全く持って誘惑のし甲斐のない男で
面目なく。 ]
[ 裾に手を掛けるのが、
やたらとゆっくりして見えて、
小さく、
ぅわ
と声が漏れた。
情欲を滲ませて、誘うには満点の
言葉を紡いで、色付いた肌を見せつけながら
僅かに反応したそれを触れさせてくる。 ]
どこでそんなの、覚えてきたの
[ たまらず、首筋を辿りながら
言葉を直接、肌に打って ]
俺のせいかな、
じゃ、ご期待に沿わないとね。
どうされたい?
[ 教えて、とまた言葉が肌を滑って。* ]
[さすがに朝から虎視眈々と狙っていたというには、
誘い方が浅はかだったと思う。
紡ぐ言葉の一つ一つに嘘はないから、
流れが一貫しているといえば、そうかもしれないけれど。
ただ一杯食わせたような反応を見れば、
計画じゃないと素直に伝える程、馬鹿正直でもないから。
狡く見せる術を、借りて笑うだけ。
優しく落とされるキスはまだ前戯とも言えない。
子供のような戯れ、なのに。
反応を返してくれることが嬉しくて、小さく震え。
唾液に塗れた指を離す頃には、すっかりと欲を湛えていた。
彼にも同じようになって欲しくて、
向けたようなものだから、返された瞳に
ギラリと光るものを見つけたなら、こくん、と喉が鳴る。]
[酒の力を借りないと出来ないような誘い方をして、
外気に肌を晒して、魅せつけるみたいみたいに。
驚くような声が上がったのは、
喜びか、それとも引いてしまったか。
思わず固まったように見えたから、少し躊躇いが生まれた。
我慢できずに誘いをかけてしまったこと、
もしかして嫌だったのかも、という考えが過ぎって。
押し黙って、言葉が告げなくなる。
どこで、なんて問い掛けも。
他の人を匂わせるような物言いで。
こんな姿を見せたのは、彼しかいないのに。
首筋を撫でる手が薄毛を撫でるみたいに粟立たせて、
ぶる、とまた期待と恐れで身体が揺れ。]
[たくし上げた服を、両手で抑えたまま。
耳元で囁く声が、意地悪く、いやらしい身体を責める。]
…… ぁ、ッ ……
[囁かれただけ。何もされた訳じゃないのに。
びく、と声だけで身体が反応を示し、下肢に血が集まる。
慰めるみたいに胸元に落とされるキス。
まだ虐めるわけでもない、触れるだけの。
それがもどかしくて、ぎゅ、と服を強く握りしめ。]
[言えば望みどおりにしてくれそうな誘いに。
はく、と呼吸を震わせ、羞恥に瞳を潤ませながら。
先程、唇を滑らせた赤い尖り。]
さわ、って……
[言葉通りに触れて欲しいというみたいに、
胸を反らしながら、ねだるように口にして。
へたりと彼の片股に跨るように腰を下ろした。*]
[ 触れる度、一つ覚えて。
過ごすたび、いくつも知って。
それでも知らなかったことを知らされる度
時々驚かされて。 ]
――触られたくてやらしくなっちゃった?
[ 押し黙る彼に囁きかけて、
ちう、とまた尖りに口付ける。
意地悪みたいに言ったのに、
羞恥に瞳を潤ませて、言葉を紡ぐから
また愛おしく、――狂おしく。
囁くだけで、滑るだけで、期待するように
反応を示してくれるほど、己の手で
作り変えた、いとしいからだ。
隅々まで、どう触ってほしいか
分かってしまうくらいに、夜は長かった。 ]
[ 君から誘ってくれる日のほうが、
情熱的になってしまうことを、
君は知っていただろうか。
唇で触れるだけでも僅かに
尖り始めるそこへ、まだもう少し
焦らすように触れたかったけれど
素直なおねだりには、とても弱いから。
音を立てて、尖るのを助けるように吸って、
片手で抱き寄せ、もう片方は、
さみしげな方を摘み取ろうと引っ掻いて。 ]
……ン、
[ 反応を伺う余裕もだんだんと消えていく、
ひくりと、跳ねるたびに、自身の熱が触れ合って
膨らんでいくのを感じるから。 ]
[ 今日一日ずっと、そればかり
考えていたわけではないのだけど。
こんな風に誘ってくれるとは
思わなかったので、
昨日だってしたのにね。一回だけと
約束して。
風呂もまだ、だというのに、
抱き寄せる手が、焦るみたいに、
下着と肌の間に滑り込んで。
まさぐるみたいに、忍び寄る。* ]
[彼と褥を共にするようになって、作り変えられた身体。
俺が料理で彼の身体を作り変えていくように、
彼はその声と言葉で俺の身体を作り変えていく。
本気で拒絶したことは、一度もない。
本当にだめなことも、一度も。
分かっていて聞いてくるのが狡いと思うのに、
聞かないと不安なのだろうということも分かるから、
だめじゃない、という代わりに抵抗をせずに、
甘い喘ぎに変えて、身悶える日々を送って。
言葉で責め立てるのを覚えた彼が、
いやらしい言葉をわざと選んで、煽るのに。
ぐずぐずになって蕩けさせられて。
俺が口で言葉を紡ぐよりも正直に身体は、
彼に応えて悦んでしまう。]
[俺のせい
だなんて、自分のせいにして。
羞恥を滲ませる俺を慰めることを知っている。
そんな人だから、応えたいと思う。から。
今日も意地悪く問いかけてくる言葉に
ふるりと睫毛を震わせて、今日は。]
ぅ、ん……、
[こく、と素直に頷いた。羞恥はまだ消えないけれど。
今を逃してしまったら、言えなくなってしまうから。
息を吹きかけられるだけで、ふくりと小さな尖りが育つ。
口付けられて、ンッ、と息を詰めるみたいに唇を噛んで。]
[ぴちゃりと唾液で反応し始めた尖りを舐められて、
少しずつ形を見せていく先端を、掬い上げるみたいに
吸い上げられたら、ピリ、と甘い痺れが起こって。]
……ぁ、
ンッ
……、
[いつも以上に甘やかな声が溢れて、唇と同時に
指でもう片方の尖りに爪を立てられて、
ぴく、と肩が震え、は、と熱の籠もった息を吐く。
股で挟んだ片股を、内腿できゅうと挟んで。
彼の太腿に擦れる下肢が熱を孕んで、無意識に腰が揺れ。]
[昨夜はたった一度きり。
だから、返って濃厚に時間を掛けて蕩けさせられた。
彼の熱をまだ薄っすらと覚えている身体が、
欲しがるみたいに、疼いて。
揺れる腰が太い腕に掴まって、膨らみを帯びた
チノパンの下の下着に指が忍び込んできて。]
…… ぅ、ぁッ、
ン、……
[既に下着を汚していた先走りが、乾いた手を濡らして。
弱い箇所を掴まれて、直接的な刺激に思わず腰を引いてしまう。*]
………やっと、そう言ってくれた
[ やだと言いながらも体を任せてくれることで
ダメと言わない代わりに、甘く啼いてくれることで
伝えてくれていた。
何もかもを素直に吐露できないことにも
それはそれで、興奮していた事は否めない。
体のほうが素直、なんて
男としては冥利に尽きるというものだし。
けれど、素直に頷かれて。
一度、何もかもの動きを止めて、
やさしく、その体を抱きしめた。
知っていても、言葉にされることで
漸く真実の輪郭を得たような気がして。 ]
[ 煽られてるでもない、ただ求める言葉に
夢中になって、言葉を忘れて。
甘やかな声を拾えば尚更に、
欲が広がって、溢れて、止まらなくなる。
無意識に揺れる腰を刺激するように
脚を揺らして、
すっかりぷくりと形を成した尖りは
食べる、という表現が似合うほど、
吸い出して、歯を立てて。 ]
――ハァ、……
[ 唸る獣のように、息を吐き、
忍ばせた指で、先走りを塗りつけ掴みながら、 ]
肩、つかんでて、那岐
[ もう片方の手は再び、君の口の中を一通り
蹂躙して、引き抜くと、腰元からするりと
手を入れ、つぷり、と蕾をこじ開けて ]
……まだ、結構やらかい
[ 前と後ろと、同時に追い立てた。
急ぐ中でも、傷つけるようなことはすまいと
思っているのに、制御を失った指は、
無遠慮に、そこを拡げるような動きをして。
ああ、今までにないくらい欲情している。
その欲が、冷静さを奪い取ってしまったようで** ]
[素直に白状してしまえば、割と簡単に零れた。
少し掠れた声を拾った彼の動きが僅かに止まる。
恐る恐ると様子を伺うように目線を上げていけば、
ふわりと両腕で優しく包まれて。
噛み締めるみたいに声にした、それにきゅう、と胸が疼いた。
随分と待たせたみたいだったから、
眉尻を下げて、小さく。]
ごめん、
[と、応えて。彼の頬に甘えるみたいに鼻を擦り付ける。
それと、もう一つ。]
すき、
[これも、伝えておきたいこと。
ふわり、と柔らかく微笑んで。
いつも以上にぽろぽろと零れていく言葉は、
素直に、裏の無いものとして、頬に口付けて。]
[言葉を失った彼に、一度、二度。
頬から、こめかみを辿って、口付けて。
さっきの彼を真似するみたいに。
勃ち上がったものを快楽を得るために擦り付けて居れば、
挟み込んだ脚が上下に揺れて、更に快感を促し、
まるで繋がっているときを錯覚させるから、
後孔が、きゅん、と窄んで悦ぶみたいに締まって。]
ッ、ぁ、……ぅ、ンッ、ぁ、
……は、ぁッ……、っ、んッ、ン……
[吐息を震わせ、胸元に落ちていく髪を見下ろし。
既に表に現れた赤い粒を、乳輪ごと含まれて、
音を立てて、吸い上げられて、カリと歯を立てられて。
いつも以上に痺れを産んで、声が我慢できない。]
[下肢に伸びた手が、俺自身を掴んで。
揉みしだくみたいに形を確かめる。
低く唸るような溜息に、ゾクリとして、
垣間見える色気にクラクラしてしまう。]
っん、……
[首元に溜まった服を口に含んで、留め。
言葉と共に導かれていく手を彼の肩口に添える。
たまに彼が口にする、呼称が変わって呼び捨てになることに。
その違いはなんだろうとぼんやりと思考を巡らせながら、
口元に指が添えられて、促されるままに口に含んだ。]
ん、……ン、っ、……
ふ
ぅ、
[湿らせるように舌を這わせ、口蓋を擽られたら喉を反らして。
口の中まで、弱い部分を知られている。
一本だけじゃなく、二本に指が増えたら。
何のために咥えさせられたのか、理解して目尻を染め。
指にたっぷりと唾液を絡めて、離し。]
[つう、と糸が引くまで濡らした指が引き抜かれて、
下へと降りていく。
下着と一緒にズリ下げられたチノパンが腿に溜まって、自由を奪う。
手伝うように、膝を立てて腰を浮かせ。
つぷん、と指が蕾を割り開いて、埋まっていく。
昨晩の名残は、そこにもあるのか。
彼が言う通り、すんなりと指を受け入れて。]
あ、……ぅ、く、……ンっ、
[飲み込んだ指を甘く締めつければ、前を同時に触れられる。
くちゅ、と水音が前から、後ろから響いて。
聴覚からも責め立てるように。性急に指が弱い所を責めて。]
だ、めっ、……こん、なの、っ……
すぐ、……っ、ぁ、
でちゃ、ぅ……っ、
[弱々しく首を揺らしても、汁を滴らせ、
指を甘く締めつければ、悦んでいることが伝わってしまう。*]
[ ごめん、と謝られて、小さく首を振る。
伺うような視線と、満ち足りた視線が絡む。 ]
嬉しい
[ 次いで告げられた、すきの言葉には
頷くことで答え、頬に受けたものを
返すように、唇にそっと唇でふれる。
急速に満たされていく、優しい色のもの
――そして同時に。 ]
[ 優しさとはあべこべの、
何もかも奪ってしまいかねないような
走り抜けていくような、熱。
言葉を忘れたその生き物へ、
更に火を灯すように、
柔らかな感触が肌を辿る。
ゆっさ、ゆっさと揺れる体に、
繋がりを幻視するのはお互い様だった。
吐息を震わせ、まるでその時みたいな声を
聞かされるものだから、余裕がない中でも
薄く笑う。せっかちなのもお互い様か。
繋がる前の戯れにしては性急な唇が
舌が、歯が、虐めるみたいに、悦ぶ粒を弄ぶ。 ]
[ まるでそうされるために、
捲った服を抑えるように口で留め、
快楽に打ち震える姿が、酷く劣情を煽って ]
いいこ
[ 驚くことなく指を口の中へ受け入れられれば
意図を察して、受け入れられているようで、
一つも二つも、余計に興奮した。
――そう、今からこの指で、
気持ち良いところ、存分に暴き立てる。
口内にも存在する性感帯を、撫でてやりながら
たっぷりと唾液が絡んだなら、引き抜いて ]
[ その後の事も予見していたのだろう。
すんなりと、蕾が指を受け入れて ]
期待してたくせに、
[ 早くもひくひくと甘く締め付けられれば
低く笑って。 ]
じゃあ、やめる?
[ くちくちと、前も後ろも悦んでいるのに
だめ、なんて言われたら尚更笑って ]
優しくするのは、あとでね
[ 呟いて、弱い所を同時に責めたてる。
カリ、と粒を歯で掠め、中指と人差し指は
内壁の弱いところを、掌は熱の塊の先端を。
視線は涙の浮かぶ、目尻を捉えて。 ]
[ すっかり己が与える快楽を覚えてしまった
君の体が、思惑どおり、達してくれたなら
熱を逃がそうと吐息を漏らすが、 ]
……あとで、やさしくするから
[ それで落ち着けるなら苦労はない。
重ねるように意味の同じ二度目の言葉を紡ぐと
布団の方へ、まだひくつく体を横たえて
下着ごとチノパンを剥ぎ取ってしまうと、
鞄のサイドポケットから避妊具を引き抜き
口で咥えて、両手で手早くジーンズの前を寛げて
パッケージを破り、装着する ]
入らせて、那岐の、なか
[ イッたばかりの体には少し、辛いかもしれないけど
火を付けたのは、君なので。* ]
[小さな声で零した謝罪に、うれしいと微笑んで。
柔らかな口づけを返してくれたから。
また、甘えるみたいに頬に頬を擦り寄せた。
長く絡まっていた糸がするすると解けるみたいに、
すき、
も、
もっと、
も言えたから。
身体を引き寄せようと伸ばした手を、
肩口に運ばれた時には、ぱち、と瞬いたかもしれない。
胸を這う舌が、身体を揺すぶる足が、
自身を高めていきながらも彼も余裕がないことを伝えて。]
……は、 ぁ
……ン、ッ、
[疼く場所を直接なぶられた訳でもないのに、想像して。
伏した眼にじわりと涙が浮かぶ。]
[子供をあやすみたいな口振りで、
いいこ、と褒められるのにも、ふわりと笑って懐き。]
……ふ、 ……ぁ
[たっぷりと濡らした指を引き抜かれる時。
離すのが少し惜しくて、首が追いかけたりも、して。
ふやけるまで唾液に塗れた彼の綺麗で長い指が、
今から身体を暴くのかと思うと、期待に震え。
欲を湛えた瞳とかち合い、喉を鳴らしてしまう。
臀部に触れる手が冷たくて、まるみをなぞって。
双丘を添って、奥へと向かっていく。
昨夜受け入れた名残のやわさは指を受け入れるには容易く。
ぬる、と奥へと沈めば、下腹がきゅうと締まるみたい。]
[押し黙っていたことを言い当てられて、
羞恥を煽られ、弱く首を揺らして否定するけど。
指はきゅうきゅうと指を締め付けるから、
身体はやっぱり口よりも饒舌に快感を訴える。]
……ぁ、 ッ、やっ……、
[煽る言葉には首を振ったけれど、
指が引き抜かれそうになれば縋るように内腿を締めて。
目尻に浮かび上がった涙が、睫毛を濡らす。]
……や、め、 ないで、
[さっきよりも訴える声は小さくなってしまったけれど。
もっと深みを望んで、腰を揺らめかせ。
肩口に添えた手を、僅かに爪を立てるみたいに。
く、と折り曲げ、彼にも刺激という名の痛みを送り。]
[あとで、という声を合図に。
指が、歯が、痛みを伴った刺激を送る。強く。
膨れ上がった乳頭に歯を立てられて、押し潰され。
何度も啼かされた場所を、長い指が意図的に同じ場所を
何度も叩いて、内側の膨らみを押し上げる。]
……んぁッ、
……ぁぅ、……ッ、は、
あっ、いっしょに、ッ、
や、
だッ……
ぅぁ、っ、 ンっ、
……は、ぅッ、……
[指が押し上げる度に声が腹から押し出されるみたいに、
甘やかな声が零れ、溢れ。
いやだと言っても、止まることはなく。
後孔で指を締め付けたら、前も大きな手が包み込んで。
擦り上げて、熱を呼び覚ます。
胸も、後ろも、前も、同時に責め立てたら、
堪えきれるはずも、なくて。]
[暫く腿の上から動けなくて、彼が身体を抱いて。
並べられた布団の一つに身体を横たえられた。
未だに引かない熱波と、快感の痺れを引きずったまま。
とっくに意味を成していないパンツを下着ごと引き抜かれる。
旅館独特の香にも似た香りのする布団の上で、
ぼうっと彼の所作を眺めていれば、
獣のように、避妊具のパッケージを引きちぎる姿に。
余裕のなさを感じつつ。
影が自身の身体に覆い被さる。
遠回しじゃない直接的な物言いに、心臓が跳ねて。]
……ん、いれて、
[布団の上から両手を伸ばして、彼を迎え入れる。
此方も獣のように、直接的に彼を求め。*]
[ ゆっくりじっくりと高めて、感度を上げて
熱を蓄えて。
――そういう愛し方が好き
だったはずなのに。
欲望に任せて、無理やり襲うような
真似をしてしまった自分に嫌気が差してくるのに、
もう止まってやれなくて。
舌打ちが飛び出しそうになるのは、
なんとか、堪えた。
それなのに、全部受け入れるみたいに、
体を任せてくれるから、泣かせてしまいたい
衝動を抑えられなくて。 ]
[ そんな自分がいることを、
俺は、知りたくなかったのに。
低く笑って羞恥を煽っても、
悦ぶみたいに、指を締め付けて、
睫毛を濡らしながら、やめないでと
内腿を締めて、腰を揺らして。
肩にちくりと感じる痛みすらも、
衝動に色を塗る手伝いをしてしまうから、 ]
うん、やめない
[ あとからうんと、反省するだろうけれど、
今だけは、狂おしいほど、欲しがらせて。 ]
どっちも、気持ち良いね?
[ 一緒に、やだ
大きすぎる快楽は一つも、逸らすことも
逃がすこともできない体制では辛いのだろう。
それでも止まることがなければ、
甘やかな声も止まない。
指を締め付ける後孔は、いつも
啼いて喜んでくれる良いところを。
腫れるみたいに赤く膨らむ粒は
押しつぶすようにすると声を上げるから。
一番弱い所は限界が近くなるまで
擦り上げて、その後はいつもしているように
先端を中心にぐりぐりと親指で。
――どれも全部、そうする良いって
教えてくれたのは、君自身。 ]
……いっぱい出たね
[ 勢いよく震えて手の中に吐いた熱は、
指の隙間から垂れてしまうほど。
跳ねた腰が、より深くへ指を招く結果に
なってしまったのは狙った訳では
ないだろうけれど、欲しがられているみたいで
ンッ、と小さく咳払いをした。
小刻みに震える体はまだ、余韻に
浸っていたいだろうに。 ]
[ 熱を逃しきれず、かといって、
落ち着くまで待ってられる余裕もなく。
布団に体を横たえる前に、
質量を増した己の熱に自ら手を伸ばして。
呆れ返るみたいに小さく笑った。
常々堪え性がないとは思っていたけど、
これほどとは。
浅い呼吸はまだ続いていたか、
すっかり硬くなってしまったそれを
己で慰めていたのは僅かな間。
たいして待ってやることもできず
布団に転がされたのに、 ]
……う、ンッッ
[ いれて、と迎え入れるように言って
両手を伸ばされて、――甘かやされてしまって。 ]
[ 確かめるように、ではなく、
一気に貫くように最奥まで進めると、
抱き締められているような錯覚を
覚えてしまう。
いつものように、言葉を掛けたり、
言葉で羞恥を煽る余裕もなく、
入り口まで一気に引き戻し、また最奥へ。
ばちゅん、と肉のぶつかる音も
いつもより派手に響いて、それにまた
興奮して。
――一歩間違えば独り善がりな動き方
であることは、自覚しているのに。
狂おしいほど、君が欲しくて。* ]
[どちらも気持ちいいと覚え込ませたのは彼。
抵抗も虚しく空を切り、どこもかしこも可愛がられて。
達した後も、わざわざ見せつけるように、
迸りを滴らせて羞恥を煽る。
達したこともまるで悪いことをしたみたいに、聞こえて。
滲んだ視界に更に水膜が張ってしまう。
堪えきれなかったのは、性急に煽った彼のはずなのに。
一人だけ、責め立てるような気持ちになって、
手の甲で顔を隠し、震えてしまうのは。
まだ消えない快楽を逃がすのも理由の一つだけど。
もう一つは、被虐心を突付かれて、というのもある。]
[布団の上で、胸を上下させて呼吸を紡ぎ、
落ち着くまで、どれだけ時間がかかっただろう。
指を締め付けていた窄まりが、まだ微かに収縮していて、
空気を飲み込むみたいに、息をしているような。
ぼうっと熱に浮かれた思考を巡らせ、彼を見れば。
自身の昂りを自らの手で育てていただろうか。
手伝ってあげたい、けれど。
一度横たえてしまった身体を起こすには、
達した後の気だるさではすぐに反応も返せないまま。
それも時間に置き換えてみれば、
大した時間はかからかなかっただろう。
覆い被さってくる彼に手を伸ばして、誘い。
布団に転がったまま、少し片膝を立てれば、
下から掬い上げるみたいに彼の陰嚢を持ち上げた。]
[そんな悪戯はすぐに脚を開かれて、反故にされただろう。
指でさんざん犯された後孔に、刀身を充てがわれ、
一息に、最奥まで貫かれて。]
ぅ、アッ ……、
く
っ……、
[思わず唸るような声を洩らして、ギリ、と背に爪を立てた。
何度受け入れたとしても、最初の圧迫感は相当なもの。
お腹を押し上げられる苦しさを、逃すように、
は、は、と動物のように息を重ねて、吐き出そうと、
するのに。
落ち着かせる間もなく、ずる、と引き抜かれていく。]
……ぁ、ッ …… ?
ンッ、 ぁぅッ、!
……ぁっ、まっ、て
あ
、ぁッ、 く、ぅッ、……んッ、
[引き抜かれたとおもったらまた、突き入れられ。]
[突き上げられる度に、声が、跳ねる。
手の跡がついてしまうんじゃないかってぐらい。
力強く腰元を掴まれて、引き寄せられ、
ばつん、と腰がぶつかる音が響く。
達したばかりの身体が、すぐに熱されていく。
すっかり彼を受け入れることを覚えた奥が、
突き入れられる度に、うねり、肉に絡みついて、悦び。]
……あ、ッ、……けい、とっ、さ……、
[心がついていかないまま身体だけ高められていく。
こわい、と縋るみたいに背に回した腕で身体を引き寄せ。
はふ、と合間に吐息を洩らしても、また喘ぎに乱されて。
彼が腰を打ち付ける度に、彼の腹筋で肉棒が擦れ、
緩やかにまた勃ち上がっていく。
イッたばっかりなのに、苦しい。
苦しいのに、気持ちよくて、つらい。
苦しさを与える人が、同時に快楽も与えて。
くらくらと目眩がしそうで、縋る腕に力が籠もる。*]
[ 遊び心に応えてやれることもなく、
一気に奥まで暴き立てると、
唸るような声がした。
――指一本だって受け入れたことのない
自分にでも、その苦しさは察するに余りある。
優しく出来ないこと。
責められても詰られてもいい。だけど。
どうか。
]
……ごめ、ん、
待てない
[ 酷いことをされているのは君のほうなのに、
怯えが僅か目線に滲む。
強く掴んだ腰に加わる力すら、
制御出来る余裕もなくて。
泣きたいのだって、君の方だろうに、
涙がぽたり、君の腹に落ちる。 ]
[ 怖がるように背に手が回って、
君の優しさにまた、涙が零れそうになる。 ]
那岐、 このまま、ぎゅっとしてて。
[ 今更でもなんでも、愛しい名前を、やさしく呼んで。
止まれない腰も、中を蹂躙する熱も、
まだ優しさを思い出すには至らないけど。 ]
っふ、……ぁ、………!
[ 唇が触れあえば、その熱には気づくだろう。
――そう、長くは持たないことも、もしかしたら。 ]
……那岐、ッ………う、……あ、
[ 君の望みが何であるか、わからないまま
欲のままに傷つけてしまったなら、何度でも
謝るし、償おう。
だから、どうか。
―― 。 ]
あぁ………、
[ 後悔するような色だったら、良かったのに。
欲が満たされたような幸福の滲む声色で、
ため息をつきながら、ずるりと質量を失った
肉を引き抜いて。 ]
………、
[ なんと声を掛けたら良いか、言葉を探すが
一向に頭は回らないまま、体重を掛けるように
ではなく、そっと寄り添うように、
覆いかぶさった。** ]
[深く奥で繋がれば、自然、彼との距離も縮む。
ぴったりと隙間なく埋め込まれた刀身が、
息づくように育って、内部を抉りたて、
頭同士がぶつかりそうになるくらい、寄って。
間近で彼の焦れったそうな声が聞こえる。
情欲と余裕の浮かぶその音に、熱い吐息を散らして。
腰を引き寄せられ、更に奥目掛けて進もうとするのに、
や、と腰が引けそうになってそれを制される。
ぽたり、と肌に落ちたもの。
汗かと思えば、それは涙だったから。]
……っ、
[少し動揺してしまう。泣いている理由が分からなくて。
此方も余裕などあるわけないのに。]
[背に回した手を持ち上げて、優しく頬に触れる。
体位が向き合うような形で良かったと思う。
後ろを向いていたら、きっと気づけなかったから。
指の腹で彼の頬を撫で、目尻まで。
泣かないで、とは言わない。
泣きたいのなら、泣けばいい。
理由は分からずとも、受け止められるから。
片手は背を引き寄せたまま、名を呼ぶ声に頷いて。]
……は、ぅ、……ンッ、
んっ
ぁ、ッ…… ぁ、 はッ……、
[添える力を篭めて、彼の身体を引き寄せて。
ぎゅう、と縋る。
ぐちゅぐちゅと混ざり合う音が卑猥で、
下肢が熱に犯されて、感覚がなくなっていくように熱くて。]
[前髪が絡み合って、身体を揺すられる度にぱさぱさと跳ねる。
熱の籠もった息が互いの顔の間に吐き出され、
どちらともなく唇を寄せれば、ちょん、と当たって。
足りなくなって、ちゅうと吸い付いて、絡め合い。]
……ぁ、ンッ……、
ふ
、
ん、ッ……、
ンぅッ、……
[喘ぎを唇に吸い込まれ、彼の口腔の中で零す。
ぶる、とまた襲い来る前兆に身体が震え、
ぞくぞくと腰元から駆け上がってくる波に堪え、
一瞬だけ、離れた唇の隙間。
求めるみたいに、名前を呼ばれたら。]
……
っぷぁ
、 ……ぁ、ッンッ
[唇を離して、酸素を求め。快感に飲まれていく。
たった一言、それが引き金になるみたいに。]
[這い上がってくる快楽が、お腹の辺りで溜まる。
甘い刺激は背筋も駆け抜けて、首裏まで。
苦しそうに彼が息を詰め、腰を打ち付ける音が、
一際激しく、ばつんと響いたら。
押し付けるみたいに腰を擦り付けられて、彼が小さく呻く。
薄膜で覆われた中で吐き出されるもの。
直接感じることは出来ないけれど、確かに。
彼の熱を感じたような、気がして。]
……ッ、 ……ぁッ、ンンッ……、
ひ、ぅッ……、ッ…
[どくんと心臓が波打って、それが決定打。
彼に少し遅れるように熱がぶわりと広がっていく感覚。
肩に縋り、背を丸めてぎゅうとしがみついたなら、
ビクンッ、と腰が震え、ぱたっ、彼の腹に白を零して。]
[腹の中で、彼のものを感じながら一緒に果てて。
萎えたものを、きゅうきゅうと締めつける。
達した余韻がなかなか抜けたくて、しがみついたまま。
肩で何度も荒いだ息を納めるみたいに息をして。]
ンッ、……っは、……ぁ、
[ずる、と引き抜かれるのすら刺激になってつらい。
どちらも言葉を発せないまま、呼吸音だけが室内に響く。
自身の身体に覆い被さるように、
彼の重みが掛かったことに。
靄がかった頭の中で、受け止めて抱きとめて。
汗の滲んだ髪に、額を擦りつけて、甘え。
火照った身体が暫く落ち着くまで、そうしていただろう。*]
[ 優しく触れる手に瞳を伏せて擦り寄った。
頬を目尻を拭うように撫でられると、
心配させてしまったのだろうと、ゆるり
首を振って。
揺さぶる度に、あがる声が、苦しげなものから
艶めかしく、誘うような色が混ざり
ぎゅうと引き寄せられたら、そこだけ
腰だけじゃなく、全身がぐちゃりと溶けて
原型を留めなくなるような感覚が襲ってくる。
寄せた唇が、触れ合い、寄せられた唇を食み
絡み合うと、嬌声は部屋の中ではなく、
口腔内に響く。 ]
――……え、
……くっ、あ……
[ 欲を吐き出し切る前ですら、
ぎゅうぎゅうと絡みついてくる体内の感覚を
十二分に味わっている最中だと言うのに、
痛みを感じるくらいの圧迫と、熱が
渦のように襲ってきて、 ]
……あっ、………ふっ、ぅ
[ 堪らず声が漏れて熱い息が、君の肌に
跳ねて、返り、口元を熱くする。 ]
[ ややあって、腹に熱を感じれば
状況は克明に把握出来た、が。
果てた後にも、まだきゅうきゅうと
締め付けられて、達したばかりで
いたるところ、敏感になっている体には
強すぎる刺激に、
熱を含んだ声がいくつも漏れて。
情けない声、喘ぎに似たものも
いくつか、飲み込み損ねて、こぼれ落ちた。
漸く引き抜いた時には、またゆらりと
小さく火が灯りかけていたが、
甘えるように額が寄ってきたなら
一旦その火には蓋をして。 ]
……よ、 っと
[ 落ち着くまでの間に、
両肩の後ろに手を差し入れてやさしく
持ち上げ、体を半回転させて
自分の体を下に持ってくると、
背に手を回して。 ]
辛かった?
[ 聞きながら、いたわるように
腰を撫で ]
素直に、もっとって甘えてくれる
那岐くん見て、……抑えきれなくて、
暴走、しました。反省してます。
[ 許しを乞うように、そっと耳元に
謝罪の言葉を落としたあとは、
落ち着くまで、そうしていたか。 ]
――入ろうか、温泉
[ やがて火照った体も、乱れた呼吸も
落ち着き、冷えたお茶で喉を潤した後、
湯の香りに誘われるように、言うと
のろのろと立ち上がって
二人分の浴衣とタオルを手に、
脱衣場へ。引き戸を引くと、
湯の流れる音が響いて、浮足立つような
心持ちが芽生える。 ]
さっきも思ったけど、立派だねぇ
[ 控えた声量でも響くような浴室は
当たり前だが、自宅のそれとは比べ物に
ならないほどに、広い。* ]
[達して放心するみたいに、呼吸を繰り返していれば。
寄り掛かっていた重みがふと、消えて。
抱き返すように回された両腕に支えられ、
身体を持ち上げられてしまう。
くるりと、場所が入れ替わって彼の上に乗せられて。]
……っ、
[見下ろす形になれば、抱き抱えられるみたいになって、
彼の髪が、布団にふわりと広がった。
互いに下半身だけを取り去って、上の着衣は残った状態。
汗を含んだそれが少し重く、くしゃりと服に皺が寄っている。
上を脱ぐ暇もないくらい、性急に求め合ったことに。
今更少し、羞恥が襲ってきて、目を伏せた。]
ッ、
ん
へいき、
[ふる、と首を揺らして大丈夫だと伝える。
緩やかに腰を撫でる手が、くすぐったくて、
もじ、と逃げるように腰が揺れたら、
返って、下肢同士を擦り付けるみたいになってしまう。
耳元に落ちる謝罪を聞いたなら、瞬いて。
え、と小さな声を漏らしてしまった。
普段に増して性急で激しかった理由を聞かされて、
その理由が自分の一言だったと聞けば、
面映ゆいような、くすぐったいような。]
……はは、
[それ以上に愛しいと思う気持ちが込み上げて。
荒いだ息の隙間に笑って、こつんと額を寄せ合った。]
[布団の上で少し睦み合って、熱を冷まして。
名残惜しさを少し残して、離れ、起き上がる。]
うん、……服も洗わないと、な。
[彼の衣服を汚した白濁も落とさなければ乾いてしまう。
渡された冷茶を喉元に流し込んで、一息ついて。
部屋に散らばった衣服を拾い上げていく。
寝乱れた布団は、今は見なかったことにしよう。
脱衣所に入れば、湯の匂いが一気に強まった。
彼が引き戸を開ければ、かけ流しの音が耳に響く。
脱いだパンツと下着を籠に放り込んで。
パーカーとシャツを一気に脱いで、その上に落とす。]
内風呂と、露天がありますね。
……露天でいいですか?
[個室の露天であれば、瑕を気にすることもないけれど。
聞いてしまうのは癖のようなもの。
横から覗き込むようにして扉の向こうを見れば、
どちらも二人で入っても、
十分に足が伸ばせそうな程広い。
ひとまずは、汚れた身体を洗い流すために、
洗い場へと向かって。*]
よかったか、そっか。
[ 少し、困ったのは本当。
あとで、優しくするとそう言ったのに。
そうする自信が削れていくような気がして。 ]
あぁ、そういえば。
[ ――衣服を脱ぐ間も惜しんでいたのか
と思えば、僅かに羞恥も滲む。
洗って干すのは後回しにして、
散らばった服の回収は任せてしまうことにして。
自分も冷えたお茶を飲み、
向かうのは脱衣場。
汚れてしまったシャツを含めて
全て脱いで籠に収めながら、
ドライヤーと洗面所に視線をやる。
最悪ここで洗って干して、は可能だろう
後ほど宿の案内ファイルの中に、
ランドリーを見つけることになるが。 ]
いいね、露天。
[ 髪を濡らしてしまわないように、軽くヘアゴムで
まとめておいて、汗をざっとシャワーで流して。 ]
おぉ、
[ 露天風呂には控えめなライトアップが
されていただろうか。
都心にはない空気の綺麗さがなす景色に
目を奪われていると、ひやりとした夜風が
肌を撫でる。
濡れた体には、少し冷たい風から
逃げるように、ちゃぷり、風呂に体を沈めながら
……この木造の壁の向こうも、
風呂なのだろうか、と考えつつ ]
………あぁ………、
[ 至福のため息をついた。* ]
[到底男に向けられるはずではない台詞が並んで、
くすくすと肩を揺らして笑う。
彼の言う通り、エロくて可愛いというのなら、
そうした責任は彼自身にある。
それはおいおい彼本人に面倒を見てもらうとして。
彼の言う堪えの効かなかった愛情を受けても、
感じる身体になってしまったのは、本当。
今まで届かなかった箇所に、届いた先端の形を
思い出して、ぞく、と一瞬身を震わせたことには、
どうか、気づかないで欲しい。
]
[シャツを脱いだ彼の背に目をやれば、
思い切り爪を立ててしまった、痕が赤く残っていた。
痕を残すことに気を回す余裕もなく、
縋りついてしまったことに、仄かに頬を染めて、
俯いてしまえば、自身の脇腹の辺りにもしっかりと、
赤く、彼の掌の形が残っていただろうか。
はっきりと手の大きさが分かる形。
ぶわ
、と顔に血が集まって赤面してしまう。
痕を残さないようにと前日あれほど気をつけて、
付けられた後もようやく色が見えなくなる程、
薄くなっていたというのに、これでは。
大浴場になんてとてもいける気がしない。
神田さんに見られたら、とてもじゃないが、
まともな顔をできる気もしない。]
[一人、照れてしまったことに口元を隠しながら、
備え付けの腰掛けに腰を下ろして、
シャワーを頭から浴びて、頭を冷やす。
少し熱めに設定された湯が気持ちいい。
ボディソープを泡立てて、持っていたタオルで
身体を泡に塗れさせていく。
彼の方はといえば、先に湯船に浸かっている様子。
大きな風呂を選ぶ、彼のこと。
もともと長風呂の質なのだろう。
湯の温かさに溢れる声を聞きながら、
身体を綺麗に洗い流して、今度は髪へ。]
……少し、伸びてきたな。
[つんと、自分の前髪を引っ張って、
目許にかかった髪を垂らせば、眼に掛かるほど。]
[ヘアゴムで纏められる彼ほど長くはないけれど。
仕事柄、長すぎると抜け毛が気になってしまうし。
旅行から戻れば、切りに行こうか。
なんて、考えながら備え付けのシャンプーで洗い、
コンディショナーで湿らせていく。
最近の旅館は、何も持たずに来ても、
備え付けのアメニティがあるから便利だ。
短い髪に洗う時間はそれほど掛からない。
手短に洗って、シャワーで泡を流して。]
………………、
[先程身体を洗っていた時に、軽く流しただけの、
臀部の奥。彼を受け入れた場所がまだ残っている。]
[ちら、と視線を彼の方に流しやり、
露天風呂にくつろいで意識が取られている内にと、
指を沈ませて、息を詰め。]
[細く息を吐き出して、ぬちゅ、と指を何度か往復させる。
身体が細かく震えるのは、どうしても仕方がない。
中に直接吐き出された訳じゃないから、
掻き出すものは、少ないけれど。
感づかれないように、静かに息をひそめ、身を丸めた。*]
[ 背中に残る傷について、実はあまり
気にしておらず。
痛みもさほど長引かないし、
強いて言うなら痛痒さは少し。
とはいえ慣れたもの。
こちらとしては大浴場に行く想定は
もう全くしていなかったので。
――とはいえ、脱衣場で
赤く痕が残った脇腹が目に入れば
済まなそうな顔はしてしまったかも。 ]
[ 一足先に、絶景と、星空を
堪能していた。
風呂は好きだが、自宅以外だと
どうにも、人の目が気になって、
早々に引き上げることの方が多いし
かと言って、こういった風呂が備え付けて
あるような宿に一人で、をするには
ある種の勇気がいる。
――あと、普通に断られたりもするし
長湯するというよりは、入ったり出たりを
繰り返すために入浴時間が長い方では
あるのだが。
なにせ今は、一人ではないもので。
まだかな、と視線をやって……… ]
………楽しそうなことしてるな
[ 零した言葉は、拾えまい。
かけ流しの湯のほうが余程大きな音を
立てているから。
岩肌を抱くようにして、丸まっていく体を
小刻みに体が震えるのを見ていた。
――気づかれたくないのだろうから、
気づかれないように。こそりと。
悪いことをしている気分も少しはあるのだが
それ以上に、絶景は逃したくないたちなので。* ]
[かけ流しの湯の音が大きくて良かったのは、
こちらも同じこと。]
……
ふ、ぅ
ッ、……
[小さく洩らしたあえかな声は、
そちらまではきっと届かない。背を向けているから、尚更。
それでも、大浴場ほどじゃない広さだから、
何をしているかは、視力の悪い俺よりもきっと、
はっきり見て取れてしまうだろう。
洗い流したばかりの肌に、しとりと汗を浮かばせて。
掻き出す指を窄まりが、きゅん、と締め付ける。
その度に、ぴくん、と腰を揺らめかせ。
は、と甘い息を、そっと吐き出して。]
[ぱた、と石造りの床に水分を滴らせ、
ぬめりが取れたら、指を引き抜いていく。]
…………は、ぁ……ッ、
[彼の指から快楽を拾えても、自分の指では彼ほど拾えない。 洗い流すだけだから、それで良かったのだけど。
今日は、いつもより届かない奥まで貫かれたから、
指じゃ届かない場所が、少し寂しい。
ほぅ、と名残惜しげに甘やかな吐息を洩らした横顔を、
しっかりと見られていたとは気づけないまま。
また上がってしまった熱を冷ますように、
少し温度を下げたシャワーを頭から被って。]
[ぷるぷると子犬のように髪から滴り落ちてくる水を、
払い除けてから、両手で前髪を掻き上げて後ろに流した。
額を顕にすれば、夜風が顔を撫でる。]
露天だから、ちょっと涼しいですね。
湯船に浸からないと、寒いかも。
[季節はまだ夏というにはかなり早い頃。
夜はまだ少し肌寒いけれど、身を屈めて露天に指先を
浸せば、少し熱めに設定された湯が心地良い。
先程致していたことを微塵も感じさせない装いで、
笑いかけて、肌にかけ湯をしたら、
ゆっくりとお湯に身を浸して隣に並ぶ。]
……は、……気持ちい……、
[満たされた溜息を零して、ぱしゃりと肩口に湯をかける。
人目を気にしないでいい、貸し切りの露天風呂。
贅沢な休日に顔は、綻んで。]
景斗さんって、結構お風呂好きですよね。
どうです? ここは。
……満足?
[伸ばした足を足首で組むようにしても、
誰の迷惑にもならない。
両手を伸ばして組み合わせ、ぐ、と伸びを入れて。
隣で先に楽しんでいた彼に、感想を求め。*]
[ 艶めかしい声も、近づけば聞こえるのだろう。
が、そうしたら覗いていますと言っているようなもの。
手伝う?と声を掛けてもいいのだが。
それこそ、温泉どころではなくなって
しまうのは自明の理。
なにせついさっきまで、どろどろに
溶け合ってた体。いつ火がついても
不思議はないので。
事後処理を終えたのか、シャワーを
被るのが見えたら、何食わぬ顔をして
空へ視線を戻した。 ]
[ 酒もほどよく抜けたのか、すっかり
いつもどおりの口調にも、声色にも。
ひそかに、ぞくっとした。
わりと、いつも、そう。かな。
つい何分前まで、息を詰めて
目尻に涙を溜めて、揺すられるたびに
あえかな声を漏らして、離れないでと
腕も、中も、ぎゅうと締め付けていたのに。
気持ちが冷えているわけでもあるまいに、しれっと
シャワー浴びる?と問えば そうですね なんて
言って。
オンオフとまでは言わないがその切り替えに
慣れていても、ぐっとくるものがある。 ]
山の近くだからそのせいもあるかもね。
浸かってあったまってると、そのうち
少し涼もうかな、とか思うけど。
[ ちゃぷり、水面が揺れて隣にやってくれば
そう狭いわけでもないけど、場所を
渡すように、少し位置をずらして ]
そうだね、お風呂好きだね。
最高だよ。
――泉質もいいし、景色もいいし
隣には那岐くんいるし、言うことないくらい。
[ 顎先近くまで湯に沈み、
頭の位置を隣よりも低くして、肩に凭れた。 ]
頻繁に、は無理でも
半年に一回くらい、出かけられるように
したいな。
苺も、大好きになったしここにも ね
[ できるといい、よりもっと現実に近い色をした
言葉はちゃぷり、跳ねる水の音でも
消えないくらいはっきりと言って。
凭れたままで、片手をそっと相手の脇腹へ
撫でる、よりは当てる、という行為。
痛みはさほどなくとも、赤々と痛ましい痕に、
小さなため息をつくも、
常日頃付けているそれとて、鬱血の痕、
言うなれば傷のひとつ。
反省は己の内のみで、しっかりと刻んで。
そっと、顎先にキスをした。
これより先は、とびきり、優しくすると
決めているので。* ]
[もし手伝う?なんて言われていたら、
見られていたことに気づいてそれどころじゃ、
済まされなかったと思う。
普段、彼の部屋で身体を交えた時も、
事後処理と称して、彼に手伝ってもらう時もあるけれど、
それはそれでなかなか、羞恥と共に、
収まった熱を引き戻されてしまうので。
困ると同時に、
淫らな自分を自覚して埋まりたくなるのだけど。
それは彼の預かり知らぬところ。]
[軽く汗を流したからか、時間も置いたからか。
酒気は少し散ったような気がする。
ほわほわとしていた熱は今はない。
それでもいつもより機嫌がいいことは変わらないけれど。
先にシャワーを浴びたのは、
身体に纏わりついているような残滓を、
逃したかったことが一つ。
自身で意識的にオンオフを切り替えている訳では、
ないのだけれど、少し冷静になった頭が、
普段どおりの会話を引き出していくのは、
何度か彼とこんな夜を過ごした経験も、
役立っているのかもしれない。
初めて朝を迎えた日は、とても。
顔を見れるような状態でもなかったし、
腰も、今以上に硬い身体に酷使をしていたので。
少しストレッチを入念にするようになったとか、
股関節が柔らかくなったような気がするのは、
少なからず、彼も影響していると、思う。
]
[そんな普段の口振りが、彼の弱点を突いていると
気づけるほどまで、察しはよくないから。
ちゃぷん、と湯を鳴らして、温泉を楽しんでいた。
山は気温の寒暖が激しいのだったか。
バイクで遠出をする経験のある彼ならそこは詳しいだろう。]
ああ、なるほど。
だから、冷えるのかな。
[納得して、涼もうという声には笑って。
「湯当たりしないでくださいね」と一言添えて。
最高という評価の高い回答を聞いて目を細めた。
元の風呂好きもあるし、
初めての旅行という点を差し引いても、
緑が望める山間を露天に浸かりながら眺められる贅沢。
そこに、自身も居ることを含まれているなら、この上ない。]
「少しずれた位置、彼の頭が湯に沈んでいく。
並ぶと少しだけ高い位置にあった彼の頭が、
自分よりも低くなって、肩に彼の髪が張り付いた。
重みはそう感じない。
半年に一回、なら、休みも取れるだろうか。
スケジュールを調整すれば、なんとか。
連休は二日、長くて三日。
長い遠出をしなければ、難しい話ではない。
いちごを好きになったという声に声を立てて笑って。]
そうですね、また来ましょう。
今度は、バイクででも。
[また長袖が必要になった季節に、
バイクで冷やされた身体を、温めに温泉に来るのも。
それは、また違った楽しみに巡り会えるだろうから。]
[こつ、と凭せ掛けられた頭に頭をぶつけて、
少し先の「約束」をまた一つ、重ねる。
あの日以来、彼は約束を破ったことはない。
どんな小さな約束でも。
気にはしていないけれど、
そう気にかけてくれていることが、嬉しいから。
それ以上に、彼と過ごせる先の未来の話を、
共有できることのほうが、満たされる。]
……、ッ、
[不意にお湯が動いて、彼の手が脇腹に添えられる。
お湯の方が熱いだろうに、
しっかりと掌は、肌に感触を訴えるから。
撫でる訳でもなく、当てられるだけなのに。
か細く、息を詰めてしまった。]
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