【人】 XIX『太陽』 ヒナギク―― 回想/せんせい ―― [せんせいは優しい人だった。 隣り合わせて本を読んでくれて、 私の読みにくい字を上手だと褒めてくれた。>>2:300 文字を書くにあたって、 最初に教わったのは『箱庭』の人たちの古き『役目』と、 それから、今の洋館に住む仲間たちの名前。 世界にずっと受け継がれている物語は、 小さな私ですら聞いたことがある童謡にもなっている。 せんせいは『正義』らしい。 どんな意味?とか、どんな人?とか、 せんせいを困らせる質問もしたかもしれない。 でも、最終的には。 『なんだかかっこいい!』と解らないながらも、 説明を聞いて満足気にしたかもしれない。] (162) 2022/12/18(Sun) 22:15:55 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[せんせいの生まれた場所を聞いて。 人には『ふるさと』があることを知った。 ならば、私のふるさとは南東の街になるのだろう。 せんせいが話す場所は、 チェレスタからも聞いたことがない海の上の街。 私の生まれた場所とは、何もかもが違って、 どれもこれも未知のもののように思えた。 教わった文字すら違う形をしていて、 文字にも言語があるのだと、その時に覚えた。 せんせいが見せてくれる挿絵と照らし合わせて、 一つ一つを吸収していく。 教わったばかりの文字を、先生がくれたノートに 書き出しながら、先生に尋ねる。] 『せんせいは、ふるさとが好き?』 [聞いてみたのは、いつか私も。 せんせいから教わった場所を この目で見てみたくなったから。] (163) 2022/12/18(Sun) 22:16:49 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[枕に残った赤い染みの話は、 せんせい本人には出来なかった。>>2:305 朝一番にノートと筆記具を抱えて、 眠った先生のベッドに飛び込んだ時に見えた赤。 見ちゃいけないものを見てしまった気がして。 その場では、気づいていないふりをした。] (165) 2022/12/18(Sun) 22:18:36 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[その代わりに。 勉強会の後にこっそりと。 いつも証持ちで賑わうお店に立ち寄って。 その時、既に成人を迎えていたフォルスの、 袖を引っ張る少女の姿があったかもしれない。] 『せんせいは、いたいのがまんしてる』 [どこの怪我とも知れない。 見間違いかもしれない、小さな子供の言葉を。 『力』はどう受け取っただろうか。*] (166) 2022/12/18(Sun) 22:19:59 |
XIX『太陽』 ヒナギクは、メモを貼った。 (a38) 2022/12/18(Sun) 22:27:14 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[カルクドラの話を聞いている傍らで。 ベッドへ視線を戻せば、瞬くプロセラの瞳が見えた。] ……あ、プロセラ。起きた? 起き上がれる? 起きるならゆっくりとね。 [彼が身体を起こそうとするなら、手伝いもした。 ベッドサイドの差水を彼に手渡して。 唇を湿らせたなら、ゆっくりと事情を話しただろう。] (213) 2022/12/18(Sun) 23:25:38 |
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