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人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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視点:




  アスル、ただいま。


[湖の上。愛する人の腕の中。
ふわりと現れた人影は風に乗り、唯一の居場所へ帰ってきた。*]

[ミツキが去った後も、空を見上げていた。
予感は少ししたらだった。花の香りを運ぶ風が吹いた。
浮かび上がった真珠の光は役目を終えるように輝きを失い元の真珠の耳飾りとなって戻り手の中に戻り]

 おかえり、ペルラ…

[風に運ばれてくる俺のペルラを抱きしめる。強く熱意をこめて]

 ……随分…待たせたな。もう離さないぞ…

[気取ったこともいわずに、彼女の存在をかみしめるように囁くのであった*]

そうして必死に駆けた先で、古びた小屋を目に留める。
 およそ人が住む場所とは思えないが、それでも彼には直感があった。こここそが探し求めた場所に違いないと。

 辺りに草が生すのを見て足取りを緩め、慎重に様子を窺いながら少しずつ歩く間、ふと視界に飛び込んできたものがあった。
 泥と埃に塗れたそれは、白かった物・・・・・に見えて]


  椿!


[反射的に名を呼びながら駆け寄って、抱き締めようと両腕を伸ばした。汚れることも厭わずに]**

 要さん、入りますよ?


[どうせなら、と、水に濡れているだろう要を撮りたい。
昼間だから外から入る光も明るくて。そして独特な照明の色もあいまって、赤くそまる彼の肌がいつもより健康そうに見える。
彼の肌を転がる水滴が、キラキラと水晶のように輝いて、濡れた彼の髪もいつもより黒くて。
ほう、とファインダーを覗くのも忘れてため息をついた。
夜に見る彼の姿とまた違って、こちらもいい]



 要さん、撮りますよー。

[先ほど思いが溢れすぎて問答無用で撮影を開始してしまったら怯えさせてしまったので、わざとらしいかもしれないが一声かけてから写真を撮り始める。
完全なヌードの撮影。これが本当の濡れ場……と脳内でぼけてしまった。

思いやりを大事にしないと要に嫌われてしまうかもしれない。それを考えると本能を押さえてカメラマンに徹しようと、ぐっと腹に力を入れる。
完全なヌードだから、個人使用するつもりだけれど、どうせなら芸術的なものを、と思うと無駄に写真の枚数が増える。もっともモデルがいいのだけれど。

一息ついてから、持ってきたボンテージスーツを身に着けさせようかとカメラを置いた。
初見だし一人で着るのは難しいものだろう。
もっともこれを誰がいるかわからない外で着させるのはどうなんだろうか。
何かの撮影と思われそうだけれど、ちょっと抵抗があるかもしれない]


 外でするなら着エロかなって思ってますけどね。


[無意識にエロを入れてしまったが、いまさらだろう。
興が乗って服を脱ぎだしてもそれはそれ。
彼のサイズでオーダーしているのでちゃんとぴったりだ。
セクシーな中でも品よく肌に映えて見えるのがいい。
最後の仕上げとばかりに、彼の左手首にかしゃん、と手錠をはめた。無骨なデザインなのに彼が嵌めるとまるでアクセサリーのように見えるのが不思議だ*]

【人】 天原 珠月


 ふふー、寂しかった?

[身体が受け止められて、くるりと回転する浮遊感。
すごく身長が違うわけでもないし、小さい頃に比べてとても重くなっただろうに、幼馴染>>0はしっかり支えてくれる。
衝動と感動のままにぎゅうっと抱きついて。
たった三日ぶりともいえるのになかなか離せない。

顔を上げたら、予想以上近くに幼馴染の顔があった。
頬が赤いのは帰ってきたのを喜んでくれているからだろう。
照れて、実は気恥ずかしくなってきて、こちらも目元を染めながらも意地で視線は逸らさずに、目を細めて笑った。]

 ……そんなに寂しかったの?

[だってなかなか離してくれないから。
さすがに心臓の音が届きそうで、悪戯っぽくそう言うと、自然な仕草で抱擁を解こうとするだろう。]
(32) 2023/03/11(Sat) 18:03:08

【人】 天原 珠月

 
 いっぱい心配かけちゃったよね。
 雅空兄ぃに話したいことがたくさんあるんだ。

[まだキャンプの日が残っていて良かった。
青いワンピース姿で、群青色の瞳を見つめて、よかった本当に雅空兄ぃがいるんだ……と小さく呟いた。*]
(33) 2023/03/11(Sat) 18:03:15


 ……んあ?
 いらっしゃい。


[よう来たな。とシャワーに濡れた身体で迎えた彼は手にカメラを持っていた。髪を軽く絞るようにあげて、ため息をつく彼に微笑みを浮かべて、振り返るその顏に先ほどまで彼に見せられない、それこそ恋する乙女のような表情はないはずだ。此方を見つめる彼の目が輝いて見えた気がして、喉の奥が鳴った。

ほんま、ええ男やん。
カメラを構える姿は学生とは思えないほど様になる。自分よりもずっと上手くなった彼の腕前を知っているからこそ、足を開いて写真を撮るという言葉に振り向くような姿勢で映ろう。

彼が写真を撮るのが上手くなったように
自分も彼に撮られるの上手くなったやろうと笑みを湛え。
独特な照明の下で赤く染まる肌を晒して]



 …はーい、綺麗に頼むで?


[先ほどの事を覚えているらしく
声をかけてくれる彼が愛おしい。彼を嫌う理由など何処にあるのか。背中を映せるようにと意識するのは、ヌード写真であることもあって、大事な処が写ってしまうのは別に叶わないのだが。白い背中は自慢の一つだから、照明に当たり何時もとは異なる色の肩甲骨を意識するように浴槽の縁に座り。

顔を下げ気味に、彼を流し目で見つめた。
1つ二つと切るシャッター音が増すごとに息が上がっていく
彼が本能を抑えるのと同様に自分もまた抑えていて]


 ……着エロ?
 そうなん?ついつい寿と一緒やと服脱いでしまうけど
  …今度のデートとか寿が選んだ服でいこうかな。


 いい子の僕は、好きな子の好みで居たいんよな。

[ボンテージスーツを着せてもらいながら
頬の黒子の横、唇に笑みを湛えてのたわいのないやり取り。自分の考える着エロの範囲ってどんなもん。て首を傾げれば、ぽたりと水滴が肩に落ちて、鎖骨に溜まった水を意識させる。紐状の其れは中々に性的だがさて、似合うやろうか。と鏡をちらり。
大きな其処に映る体にサイズぴったりな事に気づけば、流し目で、えっち。と軽い揶揄いを口にし]


 やー捕まってもうたな。
 ふふ、右側は何処にはめんでええん?



[嵌った手錠の鎖を摘み。
輪の部分から彼を覗き見れば、撮ってほしげ笑いかけ。それから彼が望むポーズをとるだろう。もっとも其処にエロスを混ぜてしまうのはもはやお約束。ぴったりとしたボンテージスーツの紐を指でなぞり、彼を意識するように視線を投げて]



お姫様ちゅうより、女王様やろか。


[鞭とか似合いそうやん。と
悪戯っ子のような含み笑いを*]

【人】 天原 珠月

[珠月は?と聞かれてしまった。>>34
そう言われたら素直になれないくせに嘘もつけず、かといって隠そうとしたら眉が寄ってしまうのがいつもの癖。]

 ……寂しかったに決まってるでしょ。

[分かりきったことだけれど、少しぶっきらぼうに。]

 あと数日遅かったら噴火して沈没してたかも。
 夜寝る時も、もう会えないのかなって考えちゃったら全然寝付けないし、多分ご飯も美味しく感じなくて痩せちゃう。

[幼馴染なら自分にとって由々しき事態と伝わるだろう。
そんな風にぽそぽそ口を尖らせていたら。
離されなかったのはいい。
理由も分かる。だって、自分も本当は離れたくなかった。
服を掴もうか、手を繋ごうかと迷っていたのだ。

――でも、これはなに!? この抱っこはなに!?]
(39) 2023/03/11(Sat) 22:10:35

【人】 天原 珠月


 なっ、なな、な……っ なにこれ、ちょっ!

[重いって。そんな。
え、抱き上げられるものなの? こんな力持ちなの?

背中にしっかりした手と腕の感触に、太ももへと回された手にビックリして固まっている間に浮き上がった足元。
どんな抱え方をされているか理解した瞬間、噴火していた。
怒ったのでも嘆いてるのでもなく、恥ずかしさで。]

 あ、下ろして、誰かに見られるって……!
 私本当のお姫様とかじゃないんだから……!

[ジタバタして。
でも桟橋だと思い出すとピタッと止まる。
幼馴染ごと落ちるわけにはいかない。

コテージはすぐそこなのだからここは諦めて運ばれた方がいいのかもしれないと覚悟して――幼馴染の体温がじわりと伝わるのに、こっそり、ぐすんと鼻を啜ってしまっていた。*]
(40) 2023/03/11(Sat) 22:10:44
 手錠のこちらは、はめないでいいんですよ

[彼が手錠の輪からこちらを覗いているので、迷わずシャッターを押す。
要はこういうシャッターチャンスを作るセンスが最高だと思う。いっそモデルにでもなればいいのにと思うのだけれど、自分以外の人に撮られる彼を想像するだけで嫉妬してしまいそうになる]


 じゃあ、その手錠の先に口づけて?


[自分が言うまでもなく、自分の魅力を熟知している要は自分で様々にポーズをつけてくれるのだけれど。指先1つで様々な表情も色も変えていく。
ボンテージスーツの紐をなぞり、そこの下にあるものまで想像力を膨らませるような演技力。何かを思い浮かべていそうな気配。
もっともその思い浮かべている『何か』は自分と同じ行為だったらいいと思う]



 女王様、か……それも悪くないですね。


[姫を守る騎士でも、女王を守護する兵士でも、自分の役割はどちらもかわらない。
彼が言う女王様が意味が違うのをわかっているけれど、二人の思い出からだとそう解釈する方が自然だから。
それにしてもボンテージスーツが似合うと思っていたけれど、ここまで似合うなんて。
要の流し目や煽りを見てたら、むくむくととあるシチュエーションがわいてきた。
この色温度ならいけるか、と照明の照度を確認してから、要に囁いた]


 要さん…………嫌ならいいんですけど……。
 一生のお願い、聞いてもらっていいですか。


[安い一生のお願いと笑われるだろうか。しかし、こんなチャンス二度と来ないかもしれないし。
いうだけならタダ、おねだりするだけなら……最悪殴られるくらいで終わるだけだ]


 そっちの手錠を右手に嵌めてから――――フェラしてる写真、撮らせてください。


[つまり自分にご奉仕してもらっている図を写真に撮りたい。
単なる拘束写真でないし、彼の美しさを残したい目的でもない……完全なヌキ目的写真だ。
さんざん今まで、あんな写真撮っておいて今さら何を言うかと思われるかもしれないが。
女王様然とした恰好なのに抵抗できないような状況を作ってのご奉仕の図は絵になるだろうしそそるだろう。
元々自分は緊縛ものにフェチズムを感じる人間なのだ。
そうとはいっても要に恐怖や屈辱を感じるような表情をさせたいわけではないので、無理強いをするつもりはないのだけれど*]

[そうなん。と彼のこだわりに従おう。
シャッターを押す音ともに自分が彼のカメラに収まる。こんな姿を晒すのは彼の前でだけ、だから必然的に写真を撮るのは彼だけだ。そして、自分より彼の方がどうすれば綺麗に映るかを知っている。レンズ越しの魅力を知る彼の言う通り。

彼の言葉の通り手錠に口づけ。
じっと上目で見て、触れた唇で軽く手錠の先を噛んでみた。綺麗に撮る方法を知っている彼ならきっと上手く自分を撮ってくれる。微笑みを浮かべて、口に手錠を咥えたまま、片手はボンテージスーツの紐をなぞった。『何』を意識しているかなんて、きっと彼は分かっている。やってそのレンズ越しの目が物語っているやん。灯りの色とは異なる色が肌に少し灯る。

女王様みたいと口から手錠の先を離し。
揶揄う悪戯っ子を覗かせて]



 …やぁ、悪くないん?
 ふふふっ、どっちでも守ってくれるもんな。


[寿なら、僕を守ってくれるやろ。と
違う意味を浮かべる彼に乗って、自らが噛んだ手錠をなぞった。捕まったお姫様、とらえられた女王様。どちらにしろ、傍にいるのは決まっている。ただ一人。目の前の存在だけ。ボンテージに身を包み、彼のレンズ越しの視線を受け居ていたが、ふと彼が証明の方に視線をずらしたのを見て、何か思いついたんかな。と少し好奇心を覗かせ気味に伺っていれば]



 …んー?何?


[一生のお願いって。
何やら大ごとのようだが、その願いが不純なものなのは何となく想像がついていたから浮かべる笑みは深いものになっていた。囁きの続き、その言葉を聞いて、一瞬きょとんとすれば]


 ……すけべぇ


[やらしい子。と笑う舌をだし。
上目で見上げ、手首に嵌る手錠をなぞった。それが一生のお願いやなんて可愛いやん。きゅんきゅんするとばかり眼差しを柔らかくして、そのまま彼に近づけばカメラをどけ。

ちゅっと唇にキスをした]

 僕がフェラしている写真なんて
  何に使うん?

 ふふっ、……ええよ。


[大事にしてな。と自らの右手を彼の目の前に見せ。
そのまま手首にパチリと嵌めれば、自分の手は自由が利かなくなった。鎖の長さを確かめるように、彼に見せるように両腕の不自由さを見せつけ。それから、彼の前、膝をつこう。]


 は…… ぁ… ん


[彼の緊縛フェチを知っているから。
手錠が見えやすいように手を見せて、それから逸物の形を確認するようにズボン越しにそこを舐めた。べろっと肉厚な舌腹が布の繊維に触れる。零れる吐息は熱く、見上げる目は艶を見せて瞬き。舌腹は彼の刀身を意識するように形を辿り]

[アスルの腕の中におさまる。
自分を導いてくれていた風がふわりと舞った。

抱きしめる手の強さ。あたたかさ。
数日離れていただけで数年にも感じた。
アスルはまだおじいさんになってなかった、と涙の浮かぶ目尻を下げて笑むと、愛おしげに頬擦りをした。
滑らかな肌に涙が触れて、あっ、とした顔。]

 もう、離れないから、離さないで。

[そして、再び誓うように、そっと頬に口付けて。]

 ここに来てくれたのね。
 アスルを信じてたの……ありがとう。

[彼にとっても自分にとっても様々な記憶の残る場所だった。
痛みを残してしまったはずのアスルの瞳を覗き込み、巫女のようにではなく、ただのペルラは明るく笑みを咲かせる。

消えた日から季節が過ぎて。
湖の周りにはたくさんの花が風に揺れていた。*]


 …お願い …騎士様

       はしたない姫に
              
お恵みをください。



[此処、開けて。とチャックを歯で噛み。
彼に懇願をしただろう。縋るような声音と瞳で、囁き。そのまま舌腹でチャックの部分を舐めた。此処を開けてと懇願の指が動き、ボンテージに包まれた肉体がもぞっと動く。

口で開けて、取り出しスルのではなく
彼の慈悲に縋るように。
唇を震わせて、彼を呼ぶように布越しの逸物にキスをした*]

【人】 天原 珠月


 そ、そんなの昔の話だもん。
 あの頃は雅空兄ぃのことほんとに王子様とか思ってたし。

[その話を出されるとどうしても赤くなるからやめてほしい。
黒歴史なんてことは一度も口にしたことはないけれど。]

 ……。

[バランスとるためなら、仕方ない。>>45
心の中で言い訳して、首に腕を回すときはそろりそろり、でも覚悟を決めたかのように最後はしっかりと抱きついた。
想像以上にいろんな距離が近い。
互いの昔と変わった体型と、それぞれの違いがよく分かる。
意識しないように一生懸命に呼吸を整えていた。

そもそも足を怪我しているわけでもないのだから一緒に歩いて行けるという意見は――幼馴染の態度を見て言わなかった。
決めたことはやり通す強さを持ち合わせているのは知っている。
まぁ本気で嫌がったら下ろしてくれるとは思う、けれど。]
(51) 2023/03/11(Sat) 23:59:43

【人】 天原 珠月


 ……。

[幼馴染>>46が大人みたいに諭すように言っていたなら、いつものように素直になれず反発して、今度こそ強引に降りたかもしれない。
でも困ったような声音で囁かれると。
どうしていいか分からなくなって。
じわじわ染みるなにかが止められず、鼻の奥がまたつんと痛んで、憎まれ口は勝手に翻訳されていった。]

 ……今は特別、だからね。
 ふたりしかいないし……。

[そんなこと言ったら、今でもそれなりにふたりだけの機会はあるのだが、普段の生活を離れたキャンプ場は特別で。
とてつもない状況を乗り越えたあとなのも、特別で。

幼馴染として甘えてもいいんだな、と思えた。
きっと幼馴染もそれを望んでくれているのだとも。]
(52) 2023/03/11(Sat) 23:59:53

【人】 天原 珠月


 しばらくは絶対離れないから……!

[一度素直になってしまえば正直者というか。
こちらこそ幼馴染が消えないか不安だと明かして。
下ろしてもらった後はここにきた時のように遠慮なく服の裾を摘んでは、子供のようにつんつんと引っ張った。*]
(53) 2023/03/11(Sat) 23:59:59
[誓うように頬に口づけるペルラへと応えるように、自分も流す涙を拭うように頬に口づけを返す]

 そんなの当然だろう…何度も…何度もここに着てたんだからな。

[頬に触れた唇をそのままゆっくりと耳元へと運ぶ。]

 お前のアスルだからな。

[信じてたという言葉に自信満々に応え、瞳を覗き込むペルラを見つめて笑みを浮かべるペルラ。消えたと思ってから、二度とみることのないと想っていた姿をしっかりと一つ一つ確認するように、背中を髪をなでて、額にもそっと口付けをする。
月色の美しい髪、空からみた湖のような清廉とした青。愛した人の姿だ。]

 それにな…ほら…

[飛行機のハンドル隣、ペルラのお気に入りの場所へと座らせる。
もっと触れていたい気持ちもあるが、全身をしっかりみたい気持ちもあったのだ。
それに受け取ったものを元に戻すために……手の中におさまっていた今や力を使い光を宿さなくなった真珠の耳飾り]

 美女のそばじゃないと真珠も輝かないんだぞ。

[空いている耳のほうに指を這わせっと、もう一つの真珠を着けて]

 それに…もうずっと俺の傍にいるんだしな。
 ペルラが幸せをくれるなら、渡しておく必要はないよな?

[悪戯気に囁いた*]

【人】 天原 珠月


 うん、夜更かし……しよう。
 素敵なテラスも、コタツも、屋根裏部屋もあるんだから。

 だって私、まだ雅空兄ぃと全部満喫してないもん。

[幼馴染のほうはどう過ごしていたのだろう。
警察などの騒ぎにはしないでくれていたようだけれど。
そのあたりも聞きたいことだらけだった。
でも何が気になるより、そばにいたいとばかり思う。
振り返ったメガネ越しの群青色と視線が合う。
こちらの紫には、安堵も嬉しさと高揚と、本当にもう終わったよね、もう離れ離れにならないよね、と縋る色が見え隠れしていた。
戻ってくる前の強気さはどこかにいってしまったみたい。]

 ……っ、

[ひどく優しい響きの声。>>58
なぜか幼馴染としてのいつもとは違うように聞こえた。
心臓が震えたけれど理由がわからないことにして、でも今度こそ我慢できない涙が一粒落ちて、唇を引き結んで。
ただいま、とみっともない震え声で返したのだ。*]
(59) 2023/03/12(Sun) 1:31:31
[彼なら恋人のおねだりに応えてくれるとは思っていた。
しかし女王様の彼が自分の懇願に応えてくれるとは限らない。
上目遣いで舌を出す彼は、仕方がないなあとばかりに目が笑っている。
そうしてキスしてくれた。
それはきっと了承の証]


 そんなの、使用目的は1つしかないですよ。


[まるで見せつけるようにもう一つの輪っかを右手に嵌める要は跪いて、布越しに愛撫を重ねてくる。
エロい。まだ力ないはずだったその箇所に血が通い、一気に自己主張を始めたのがわかる。
射精管理されているなぁ、と自分で自分を笑ってしまう。
ボンテージ服のその破壊力たるやすごい。それを着こなしている要もすごい。
しかも、こんな顔で哀願するまでして。
性欲だけでなく自分の性癖までコントロールされている気がする。いや、実際既にされているのだけれど。
震える指でズボンのチャックを下ろし、中から形を変えだした逸物を取り出すと彼の口元に差し出す]

 はい、これ。
 これが欲しかったんでしょう?


[これなら写真ではなくてビデオカメラかせめてスマホを持ってくればよかったと思う。
要は一刻一刻色合いが変わって魅力が移り変わるから、一コマしか写せない写真では存分に魅力をあらわしきれない。
それにビデオだと声や音も出るわけだし。わかっていたのに忘れていた。
元々純粋に写真を撮るだけのつもりだったから。

彼の唇に先端から銀色の糸を引くものを押しつけて。
それから強引に口の中に割り入れて。
あえて奥に突っ込むのでなくて、唇を犯す、そんな風に頬のふくらみなどの曲線の美を目で楽しんで。
彼の舌の感触、中のなめらかさ、透明感ある肌を独特の風合いを持つ光が影を作っていて、黒い艶のある服が淫靡さを増す。
どこか幻想的な光景だ。

ようやくカメラを持ち直してファインダーを覗きこみ、接写モードにして彼のアップを撮っていく。
自然と息が上がっていく。
それは、彼の口腔から与えられる刺激だけではなく、彼という存在に煽られている、から。
存在だけで罪な人だ*]

[草の中に倒れ込んで、そのまま暫く動けずにいた。そのうち、“声”すらも嗄れ始めて、微睡に襲われかけたとき、空気の震えを感じた。誰かが、呼ぶ声がする。

 眠りに落ちようとする瞼を強いて開いてみたが、急に差し込んだ光の重さに耐えきれず、思わずぎゅっと目を閉じた。再びゆっくりと、ほんの少しだけ目を開ける。辺りは光に掠れてよく見えない。ただ、慣れたような、懐かしいような匂いがした。同時に、あたたかく、心地よい圧迫感。]


  …………。


[微かな息はまだ、喉を震わせることはできなかった。だから代わりに、そっと囁く。]

[抱き締めたものは間違いなく彼女だった。
 木漏れ日が差す森の中は、楓にとっては薄暗く思えたけれど、彼女にとってはこれでも眩しすぎるほどのようだ。それだけで彼女がどんな時間を過ごしてきたか目に浮かぶようで、胸を苛まれた。

 けれど彼女の囁きで安堵した。
 信じて待ってくれていたのだと思えたから。
 それと同時に思い返したのは、あの湖のほとり。あのとき彼女から聴いた言葉は、今とほとんど同じだった。

 もっと早くたどり着けていれば。
 そう思ったのは事実だけれど、彼女の有様を思えば、言葉が交わせることだけでも喜ぶべきなのかもしれない。そう思ったら、悲しいながらに微笑が浮かんだ]


  オレも、忘れた日なんか無かったよ。


[人の言葉で静かな声をかけながら、彼女をゆっくりと抱き上げ、扉が開いたままの小屋の中へと踏み入る。
 日陰になれば彼女も目を開けられるだろうし、草むらの中では落ち着いて話などできはしないから]

[そうして彼女をそっと床に下ろして]


  水飲めるか? 椿。


[彼女の頬を軽く撫で、腰に下げていた水筒を手に取った。ここまでの旅路でずっと使ってきたもので、中身は村で足したばかり。充分な量が入っている。
 彼女が飲めるというなら水筒を渡すし、手助けがいるなら、それがどんな内容でも迷うことはないだろう]**

[一つしか。と彼の回答に続けて問いかける声は分かっていて問変えている。もっと教えてや。なんて唇は甘い息を吐いて、彼の下肢に傅いた。自ら嵌めた枷を見せつけながらの懇願は、彼に届いたようだ。笑う顏が射精管理をされていると感じていると知ったのなら、それこそプレゼントでコックリングを用意しよか。
なんて悪い提案をしただろう。

彼の手がチャックを開く。
震える指が取り出す其れを間近で見つめ。
蠱惑の息を溢れさせた。すでに形の変わった其れを凝視し、見上げる目と甘い瞬きの目は彼の問いかけに悦と色を浮かべ。

ゆっくりと刀身の先に唇で触れ]

 …、欲しかった。
 ふふ…… 
ありがとうございます。


  …ぁう。
  騎士様…… ん


[恭しくもその肉棒をいただきます。とばかり
装いを身に着けて、開いた口にと押し付けらたものが突っ込まれれば、んぐっと悲鳴にもにた音が漏れた。喉に触れるというわけではなく、咥内。唇を犯す其れを味わいながら見上げて、瞬いた。唾液が彼の肉棒を伝い、落ちる。頬肉を苛まれればびくっと震え、鼻から息を零すだろう。自由の利かない手で彼の足を掴み、膝を少し開いた。ボンテージが締め付けるのを感じる。

何処とは言わないが、拘束されて
感じている箇所がある。

彼の味に、香りに意識して
此方を見る彼を煽るように卑猥な音を鳴らした。
彼がビデオカメラか、スマホを持ってくればと後悔しているとまでは気づかないものの、カメラを持ち直したことに気づけば、咥内から一度、雄を抜いて、息を肉棒へとかけながら]


 …はぁ …ん
 なあ、つぎの一生のお願いで、

   ビデオカメラ…用意したない?


[映像でこの姿を残したくない。と
首を傾げるように舌腹で肉身を舐めて問いかけた。別に露出狂や痴女の趣味はないのだが、彼を煽りたい気持ちと映像であっても彼なら自分を綺麗に撮ってくれるという信頼があって、甘い提案を口にすれば、また口内へと彼の熱を戻そう。

浴室内ということで卑猥な音が響き。
身体の火照りが、照明によって露わになる中、頬肉で、舌腹で彼の棒を擦り、形を覚えてよい処を刺激して、ゆっくりと彼の刀身の先端を喉に導こう。動くたびに黒いボンテージが己を締め付け、興奮を合わせて少しずつ少しずつ、咥内を蹂躙させ、欲を高めるように意識して、カメラ越しの彼を煽るように。]


 ……んっ。


[瞬き、喉仏を上下させ
舌腹で招き。頬を窄めて口内全体で彼を味わいながら
写真にその瞬間を意識させた*]


[懐古。

 ――― 古く、古く。
 出会ったのはもう、いつになるだろうか。]
 


[生まれた時は普通の人間だった俺は、
 ある漁村に生まれ漁師としての道を順当に歩んだ。

 深い入り江のある村だ、
 フカエという俺の名前はそこからとられた。

 あの時代にしてはかなり背はデカい方で、
 ちょっと怖がられたり、頼られたりした。

 なんだかんだと嫁を貰ったのは24の時。
 かなり遅い方で、周りからは早くと望まれていたのでほっとした。

 村独特のしきたりにのっとり祝言を行い、
 子宝にも恵まれそのままのんびり生きていくと思っていたのだが、
 残念ながらそうはならなかったのだ。]
 

[出会ったのは海に住む化け物で、
 そいつの名前を俺は知らない。

 酷く醜い姿をしたその化け物とは、
 夜に家へと戻る途中の海岸だった。

 家からは俺を迎えに幼い子を抱えた妻が丁度出てきて、
 劈くような悲鳴が今でも耳に甦る。


 俺が盾になれば逃がすぐらいはできる、

 逃げろと言い捨て、
 向かって行った一瞬の事はよく覚えていないが、
 左腕をそいつの口に突っ込んで、
 その意識を自分に向けようとしたはずだ。

 一瞬意識が飛び、
 戻ったのはきっとすぐだったのだろう。]

[半身を喰われながら生きている己が身、
 喰わせたはずの左腕が何故かあり、
 今度は右肩に喰らいつかれ、息が出来なくなり、

 ――― また意識を失って、

 再度意識が戻った時には、今度は右肩があった。


 おかしい、おかしい、おかしい、
 解っている、

 だがそれどころではないし、
 絶え間ない激痛にまともに思考なども動かない。

 声をあげているかも解らない。
 どこが動くかももう解らない。

 ただ腰に携帯している牡蠣用の固い刃を、
 無我夢中でそいつの首にぶっさした。]

[自分の呼吸の音しか、今は聞こえない。
 気付いた時に目の前にあったのは、

 首から血を流して倒れているそいつと、
 ボロボロになった衣服を身にまとった無傷の自分と、
 身体に残る確かな激痛と、夥しい量の血の痕だった。

 妻がこちらを見ている。
 子は泣いていた。

 身をひるがえし家に戻る姿に、
 それを追う事は出来なかった。]

[激痛と目まぐるしすぎて真っ白になった思考故
 意識が遠くなりかけた瞬間、
 何かを押し付けられハッとする。

 俺の着替えや、
 少しの蓄えを袋に詰めて押し付けられ、

 そこでようやく妻の考えを理解した。
 妻は泣いていた。]


「死んだことにします」


 …、ありがとう。


「私の台詞です、ありがとう、ごめんなさい」
 

[辺りが静かになったからか、
 漸く周囲の家からざわめきが聞こえ始めた。
 ばけものが出たから家に閉じこもっていたのだろう。

 でもこれは仕方がない。
 海にばけものが出るのは当たり前だし、
 誰だって死にたくはないのだ。

 ばけものの死体が残ってるのは良かった。
 俺が流した生きてはないだろう血の跡も。
 たぶんこれで妻も子も悪い事にはならんだろう。

 俺はその村から姿を消した。]

[――― どうしてこんな事になったんだろうか。
 少し前から、傷の治りが早いとは思っていた。
 病は気から、幸せだからか?とか阿呆な事を思っていた。

 だが、それじゃあ説明がつかない。
 さすがに死んだはずだ。

 それなのに俺は無傷でこうして歩いている。
 全身の痛みもようやく取れて来た。
 まともに息ができるようになって、深呼吸をした。

 そうだ、死んだはずだ。
 なのに死んでいない。

 つまりは、

 俺は多分、不老不死になったのだ、と思い当たった。]


[俺の住んでいた村での、結婚式の独特なしきたり。
 それは無病息災、長寿を祈り、夫となる男が人魚の肉を食べる事、だ。

 勿論本物の人魚なんかではない。
 自分で獲った魚の中で、一番人の顔に近く見える人面魚だ。

 ああ、だが、きっと俺のとったそれは、きっと、
 ―――― きっと、本物だったんだろう。]
 


[どうしてこんな事に。
 考えても埒があかない。

 妻も察していたのだろう。賢い嫁だ。
 俺が不老不死だと知られてしまったら、
 きっと余計ないさかい事がおこってしまう。

 村の風習としてあるとはいっても、
 実際にそんなものになってしまえば化け物扱いだ。

 こどもだってまず、そうかどうかを確かめられるだろう。
 赤子だ、違えば死んでしまう。
 そもそも生まれてから成長しているのだから、
 違うのはもう明白であったが周りは聞き入れなかったろう。

 彼女の英断を誇りに思うと同時に、
 俺はこれからどうすればいいだろうと慣れ親しんだ海から離れ、山へ、山へと入って行った。]
 

[村を出て数年間、
 まず試したのは本当に死ねないかだ。
 ころっと死ねるならそれでいいと思ったが、
 色々と試した結果苦痛はあるが死ねないと言う事だけが解った。

 次にやった事は化け物退治だ。
 自分じゃできない死に方を齎してくれるそいつらは、
 もしかしたら俺を殺してくれるかもしれないし、
 そうでなければ俺が勝ち、他の人間を救うことができる。

 得しかなかった。

 謝礼金で生活は出来たし、まあ飢えても死にはしないから
 なんとでもなった。山のもんに含まれる毒でも死ねなかった。
 途中で得物も手に入れた。
 出来るだけ見栄えのある、強そうなものを選んだ。
 大太刀は自分にとてもあっていたように思う。]

[けれどいくら誰かに感謝されても、
 ここに居てほしいと強く望まれても、
 そうする事はできやしない。
 それでも化け物の噂を聞き行くと、困った人間がいて、
 交流し、感謝され、そして別れ、 …… それが、少し。

 更に十数年経ち、その生活になじんだ頃だ、
 ―――― その狐に、出会ったのは。]

[人を喰い荒らす狐の化生。
 本来は俺はこいつを殺すために、こいつに会いに行ったのに。

 縁とは、不思議なもんだ。

 殺し合いの最中、中断を呼びかけられ、
 耳を傾ければ「生餌に為れ(要約)」だ。

 一蹴しようかとも思っていたが、
 俺がこいつの生餌になったなら他への被害はなくなるし、
 その頃の俺は人との交流もほぼ断っており、
 なんというか、

 そう、
 寂しかったのだ。

 だから、何人もの人間を殺してきただろうこいつの、
 そんな甘ったるい毒のような取引を飲む事にし、

 結果今では、その判断は正しかった、とまでは言えないものの、間違ってはなかったのだと思う。]

[――― 一度だけ、
 妻と子に会いに村に戻った事がある。
 村を出て、40年くらいが経って居たろうか。

 妻はすでに亡く子も大人になっており、
 姿だけで言えば俺よりも年上のようだった。
 きちんと家族もいて、も独立したらしい。

 一晩泊めて貰い話を聞いて、
 次の日に妻の墓参りをした。

 あの時に一緒に居てくれたのも、天美だ。 
 あの時、一度「フカエ」は死んだ。
 不死のくせに一度、きちんと死ねたのだ。
 それを齎してくれたのは妻であり子であり、
 そして。]

[生き返っても俺はそのままでいれた。
 人間のままだ。
 いくら死んでも死ねずとも、
 心は人間のまま居れると解ったから。

 自覚をしている。
 俺はもうずっと、あの時から。]

[今はこうして物見遊山、
 清貧な生活を送っている、つもりだ。
 スマホももっているが。
 他にも便利なものをちょいちょいちょいとか、
 狐の化かし力にちょっと頼っている所は、まあ。
 あるが。

 そもそも戸籍というものが
 いつのまにか必要になってたのが一番きつかった。
 身分証の偽装で何とかなっているが、
 色々と気を付けねばならない事は確かだ。

 因みにお互い名字なんてものはない。
 珍しいものにしたらルーツを調べられると困る為どこにでもあるような名字という事で鈴木と田中にしただけだ。佐藤も候補だったが雰囲気で選んでいる。
 名前の漢字も作る時に漸く作ったようなものだ。

 天美の名は俺がつけた。
 天色の眼、その毛並みも天の羽衣のように美しかったからだ。狐は良いぞ。
 ずっとそれを名乗っている所から見ても満更でもないらしい。]

[夢、これが夢ならば。
 良いか?どうだろう。

 良いか悪いか等、
 きっとそんな言葉でははかれない。]

【人】 天原 珠月

[幼馴染>>60からピアスが帰ってくる。
ハンカチに包まれて大切にしてくれていたのが伝わり、水の膜でぼやけた視界がさらに曖昧になるのが分かった。]

 ありがと……。
 うん、……初めて買ったピアスだから。

[手のひらに受け取る。
身動きしたら雫が落ちそうだと俯いたままでいたら、頬に指先が触れた感覚、幼馴染に拭われたことにハッとする。
とても優しい仕草は幼馴染らしくもある、けれど。
さっきから前と違う感覚がするのは自分が原因だろうか。
浮遊感が残っているかのように落ち着かない。

思わずじっと幼馴染の顔を見上げたら、何かおかしいか?とでも言っていそうな表情を返されてしまったから。
3日の間に自分が寂しすぎて混乱してるのかな、とツンケンした態度は出てこなくてほんのり視線だけ逸らした。
幼馴染には照れているように見えたかもしれない。]
(109) 2023/03/12(Sun) 16:03:43

【人】 天原 珠月

[もちろんキッチンにもついていった。>>61
多分お風呂だってトイレさえもドアの前までついていきそうな勢いで、そこに遠慮は一切なく、ただ手を使う作業の時は上着の裾を掴むことにはしていた。
飲み物は甘いカフェオレがいいと伝えた。
幼馴染の作る飲み物の甘さはいつだって自分好みだ。

そうしてふたり、あたたかなコタツに入って。
無事ピアスを両方につけてマグカップにちびちび口をつけながら、まず幼馴染の話を聞いていった。]

 えっ、ペルラさんがこっちに来てたんだ?
 本当に入れ替わり状態だったんだね。

[驚きもあるが、納得感もあった。
帰ってきた時に幼馴染がある程度落ち着いても見えたのだ。
あれは状況を把握して待っていてくれたからだろう。

親には伝えていないこと、警察沙汰にもなっていないこと、どちらにもこくりと頷いて安堵の息をついた。]

 このことはさ、雅空兄ぃと私だけの秘密にしようか。

[悪戯猫よりは穏やかに、ふふ、と笑って。]
(110) 2023/03/12(Sun) 16:03:54

【人】 天原 珠月


 行った日に向こうも新月だったの。
 帰る日が三日月だったけど、こちらもでしょ?

[経過した日数は同じらしいと確認する。]

 よかった、竜宮城みたいなことにならなくて。
 
[玉手箱持って帰ってきてないよね、私、と。
半ば本気できょろきょろしてから吹き出した。]

 ……なるほど?
 雅空兄ぃがとても活躍してそう。

[この幼馴染、お世話係としての技能が高すぎるのである。
料理はうまいし、料理もうまいし、料理がうまいし。
ペルラさんは自分より髪が長いくらいだったから恐らく初めてのドライヤーは手伝ってあげるべきだったろう。
想像した光景は微笑ましく、……いや、それだけだ。
それにしてもスキンケアまでとは、幼馴染にずっと口煩く教え込んだことが発揮されたのか。]
(111) 2023/03/12(Sun) 16:03:59

【人】 天原 珠月


 私の方はね、向こうに落ちたらすぐアスルさんっていう……ペルラさんの恋人の、飛行機乗りさんと合流したの。
 雅空兄ぃみたいなメガネかけてない代わりにめんどくさがりな髭を生やしてて、30歳くらいかなぁ。
 最初生き別れのお兄さんかと思っちゃった。

[とてもよく似ていたから。
そう言って、見慣れた幼馴染をじっと見つめた。]

 すぐにペルラさんがどうにかしようとしてるならって考えてくれてね、力が伝わりやすいところに向かうことになったの。
 そこまでは飛行機で旅して、途中水上都市に寄ったり。

[幼馴染はペルラから向こうの世界の概要は聞いているようだから、生き生きと自分の体験した感想のほうを語っていく。
飛行機から眺めた景色、空の青さ、雲の中を突っ切ったこと、風の柔らかさ、あと本当は最初結構怖かったことも。]

 野営っていうの……まぁキャンプみたいな感じかな。
 景色も良いし寝にくくはなかったけど……、

 うーん、保存食だからなー。

[なんて食い意地の張った感想も溢れだすのだった。*]
(112) 2023/03/12(Sun) 16:04:03
[忘れた日なんか、という言葉には小さく首を傾げる。あの後すこし眠って、そこで世界が小さく折り畳まれるような感覚を得た。夢と夢との境目、もしくは目覚めの前兆だ。赤薔薇の国でも同じように感じて、気がつけば見知らぬ場所にいた。握っていたはずの薔薇の紋章は、いつの間にかなくなっていた。

 この夢は、ここで終わり。
 そう思うと、少し寂しい。
 彼は探しに行くと言った。
 だからきっと、また会える。

 声が聴こえたのは、そんなことを思いながら目覚めた直後だった。]

[問いかけにはゆるく首を横に振る。まだ身体中が錆びついたように動かなかった。

 一体いつからここにいたのだろう、随分長いこと眠っていたような気もする。どこからどこまでが夢なのかも、もうわからない。もしかしたら、何もかもが夢の中の出来事だったのかもしれない。そういえば、踊るカラフルな動物に囲まれる夢も見た。

 自分の手をちらりと見やる。まるで枯れ枝のようだ。全身が乾いてひび割れているような気さえする。気がついてしまうと、急に渇きに襲われた。咳き込もうにも体は動かない。乾ききった唇が、陸に上げられた魚のように力無く動いた。]**

[彼女は首を傾げたように見えた。
 それが意味するところが気にはなったが、声を出すのも辛そうな彼女に余計なことを問いかけたくはなかった。

 だから楓は気付きはしない。彼女が目覚めた直後だということに──それだけの時間のずれがあったということに。

 首が横に振られるのを見て、水も飲みようがないほどの衰弱と感じるとやはり胸は痛んだ。彼女の手は肉が削げ落ち、肌にも瑞々しさは残っていなかった。応える囁きが無ければ、あるいは彼女が見慣れた白いマントを纏っていなければ、彼女だと気付くことさえ無かったかもしれないほどだ]

[痛ましく思いながら彼女を見つめていたとき、唇の動きに気付いた。
 それが水を求めてのものに思えて、水筒の蓋を開ける。自分の口に少しだけ水を含み、彼女に唇を寄せ、くちづけを交わしてそっと水を彼女の口中に移した。ほかに少しずつ飲ませる方法が思い浮かばなかったのだ。
 もし一度で足りないなら、彼女が望む限り応じるだろう。

 乾ききった唇を感じるのは辛かった。
 そうなるまで彼女が独りきりでいたという事実に苛まれた。

 今から少しでも長く傍にいたいと願いながら、隣に腰を下ろして彼女に身を寄せる。ソファで一緒に眠ったときのように]**

【人】 天原 珠月

[ふたりだけの秘密。>>121
自分から言い出したくせに心臓が跳ねて変な心地がした。
コタツの中でもぞもぞと足先が動いてしまう感じ。
表情が分からないようにマグカップに口をつける。]

 雅空兄ぃが行きたくなっても、ひとりではダメだからね。
 
[たしかに破格の旅行体験ではあった。
語りながらも瞳にはきらきらした輝きが浮かんでいただろう。
ただビシッと指さした台詞には必死さも少しあった。]

 うんっ、和食が良いな。
 向こうじゃお米は見なかったから。

 炊きたてのふっくら白ご飯の美味しさを布教し損ねた……!
 雅空兄ぃの浸けた梅干しも最強だからなぁ。

[洋食だけじゃない料理の腕に唸るばかりだ。>>122
ミニカステラと聞くと途端にもう放り込みたい口になってしまうのだけれど、話途中なので良い子の我慢。]
(128) 2023/03/12(Sun) 20:21:34

【人】 天原 珠月


 ……へ?

[髭と眼鏡。>>123
美容の話はするけれど、こういう質問は珍しい気がする。
だって散々もさいと言い続けていても、幼馴染が完全にコンタクトにすることはなかったからだ。
まぁ自分も実は――オシャレな眼鏡を探したことはあれど、贈ったことはないのだけれど。

似ていると言ったアスルのことを想像したのだろうか。
珍しく数秒間、長考という程じゃない長考をする。]

 雅空兄ぃは、うーん。
 
[最近でこそないが、昔はなんども寝起きドッキリ並の突然さで朝の襲撃を仕掛けたこともある。
その時は当然眼鏡オフだ。髭はどうだったっけ。]

 その……眼鏡のことは散々言ってるけどさ、……似合わないわけじゃないし、……その姿嫌いでもないし。

[ああやっぱり素直にはなりきれない。]
(129) 2023/03/12(Sun) 20:21:45

【人】 天原 珠月


 まぁ、髭はない方が好き!
 そもそも雅空兄ぃはその辺ちゃんとするじゃん?

[伸ばしっぱなしの姿は見たことない気がする。
それからまたもごもごしてから。]

 眼鏡はね、うん、レンズ越しに瞳を見るの慣れてるし。
 そうしてくれてたほうが、いつも雅空兄ぃなんだなって感じが刷り込まれちゃってるというか?
 ……安心、するかも。

[反対に安心できないというのはどういうことなのか。
そこは説明しようがないので答えないぞ、のつもりで、ああもう恥ずかしいこと言わせないでよ、とジト目になった。
なんだか少し熱いのはコタツのせいだ。]
(130) 2023/03/12(Sun) 20:21:50

【人】 天原 珠月

[それからは順調に寝る準備を進めていった。
順調と思っているのはこちらだけかもしれないが。]

 雅空兄ぃ、今何してんの?

[さっき頼っても良いなんて言ったから、とは自分談。
思う存分に甘える感覚は幼い頃からしっかり覚えているので、こうなったら遠慮なんてするはずもない。
今は何をしているかというと、風呂場のドアの脱衣所側に背をくっつけて座り込み、皿に盛ったカステラを頬張っている。
――風呂に入っているのは誰かって? ひとりしかいない。]

 湖で消えたんだもん、お風呂でも消えそうじゃん。

[水音を聞きながら結局明日まで我慢できるはずもなかったカステラに舌鼓をうち、そのわりにちゃんと100数えるまで浸かりなさいよ!と指示するのだった。
なお自分がお風呂に入るときも居てもらうように頼んだが、幼馴染の反応はいかに、である。]
(131) 2023/03/12(Sun) 20:21:57

【人】 天原 珠月

[お風呂を上がり、甘えて髪を乾かしてもらって、ちゃんと寝る時用に持ってきていた服に着替えた。
なんてことない白の三本線の入ったジャージの上下だ。
そのまま夜の散歩にだって行ける服。
まだ火照って熱いため、上のファスナーは閉めずに、中のTシャツに書かれたゆるキャラのイラストを覗かせていた。

幼馴染より先に急な階段を上っていく。
手を差し伸べて、掴んでもらって、離して。]

 うん、やっぱり夜の天窓はいいね。

[ランプをつける前にベッドから上を見上げる。
あわい月明かりが差し込み、遠くに夜の森の音がしていた。
お互いの声だけがはっきりと優しく届く空間だった。]

 雅空兄ぃはもうここで寝た?

[深く考えた問いではなかったはずで。
でも言葉にした後に、幼馴染とペルラという女性がコテージにふたりきりで数日過ごした事実が心に浮かんできた。*]
(132) 2023/03/12(Sun) 20:22:04
[アスルの唇が頬に触れ、滴を掬ってくれる。
自分が泣いているときにしてくれる涙を受け止める仕草はいつも優しくて、大雑把さが嘘のような繊細さがあった。

胸にこみ上げる熱。嬉しくてくすぐったくて。
触れる手のひらにふんわり微笑んで、自然と首元に回していた手にぎゅっと力を込めて身体を寄せ合う。
銀色の髪からはさわやかな風と彼の香りがする。
覗き込んだなら、今は夜の空のように光を煌めかせる青い瞳がじっと見つめてきて、こんなに長く付き合ってきていたとしてもじんわり頬に熱が上るのは止められなかった。]

 この場所も、私の特等席ね。

[アスルの飛行機限定、ハンドルの隣の場所。
下ろしてもらうとたおやかな仕草でワンピースの裾を整え、その割にはしゃぐように足を揺らしてみせる。
振り向くように仰いだら、ちゃんとアスルがいる。
この場所から眺める、操縦しながら前を見据えるアスルの横顔がなによりも好きだった。
どんな景色より、どんな雲の形や空の色より、自分の心に仕舞われた絵には、彼の横顔ばかりが詰まっている。]


 もう、そんなことを言って。
 でも大切に持っていてくれてありがとう。

[アスルが耳につけやすいよう顔を傾ける。
揃った真珠の耳飾りは力をなくしているはずなのに、心を表すかのように月の明かりをやどして光をまとった。]

 ……うん。

[眉を下げながら、幸せそうに目が細まり唇が綻ぶ。
自分もまた彼の手のひらにあのコインを乗せた。
彼がずっと大切に持ち続けてきた飛行機乗りの証のひとつ。]

 私も、もうアスルを探さなくていいものね。

[昔から街でよく迷子になる見習いだったけれど。
悪戯っぽくこちらも笑んで、視線が交わるままに――彼の手をほんの少し引いたなら、そっと瞼を下ろした。*]

[大切にしてたというのには当然だろというように見せて]

 俺以上に正直者なんていないぞ。なんていうと笑われるのはどうしてだろうな。

[ふふっと冗談めかした笑みを浮かべる、そんな一瞬すら戻ってきた日常を思い返して愛おしい。
特等席に座り、ペルラの月色の髪をより引き立てる耳飾りがあるべき場所に戻ったことに満足して、自分の掌に戻ってきたコイン。親父にもらったお土産で空に興味をもちはじめた切欠のコインが返ってくる。]

 そうだな。幸せになることを考えたら自然とそこにいるわけだしな。

[俺の、ペルラの、互いの幸せをそう評するようにいいながら、強請るように手を引く奥ゆかしい人へと、そっと顔を近づけて重ね合わせる。激しさはなくゆっくりと噛みしめるように触れあう唇に、あの時悼めなかったものが、喜びのものとなって一筋の涙がこぼれる]

 ……そういえば、これいえなかったことあったな…

 一生愛し続ける。だから結婚しよう。俺のペルラ……

[巫女と守り人であったならば言えなかった言葉も、もう二人には関係ない。
彼女が戻ってきたからこそ言える言葉を伝えて――湖上の上で月明かりに映る影を重ね合わせるのであった*]

【人】 天原 珠月

[そうなんだ、ってただ頷く。>>140
ペルラと幼馴染がここで寝ていなかったことに安堵する。
コタツだと寝にくいだろうし美容にもきっと良くない!なんて台詞が出てこない自分は、自分へ嘘をつくのも下手だ。

良いムードと口するのを避けた幼馴染。>>141
敢えてコンタクトでなく眼鏡で居続けた幼馴染。>>142

異性を感じさせず。
いつも守り、穏やかな優しさで包んでくれた、幼馴染。]

 ……ぁ、

[紡がれる台詞の先を聞くのが怖い気がした。
でも身体は冷えるのではなく、熱くなってばかりで。
横たわりながら握っている手が汗ばんできていた。]
(151) 2023/03/12(Sun) 22:49:21

【人】 天原 珠月

[自分は仰向けの幼馴染を見つめてしまっていた。
こういうところは正直で、消えてしまわないか心配だからと理由をつけながら、結局夜空より幼馴染を見ていた。

向こうがこちらを見る。

――視線が交わる。

続けられた台詞に、問いに、ひゅっと息を吸った。
これまで積み重ねた幼馴染との記憶が頭に浮かんでは消えた。
しかし頭の中が混乱する一方で、何故だろう、幼馴染の言いたいことはまっすぐに伝わってくる。
一緒に育ったからだけじゃない、幼馴染がいつも何を言いたいのか、何を考えているのか、知りたがってきたからだ。]

 どういう、いみ……ううん、それはいいや。

[分かっているのに聞いた。
だからすぐに自分で首を振る。]
(152) 2023/03/12(Sun) 22:49:53

【人】 天原 珠月


 それはさ……私を安心させるよりも……そういう意味で、ドキドキさせたいってこと?
 
[じいっと見つめる。
喧嘩の時のように視線は逸らさない。
強気な自分はそうしたら負けだって思うから。]

 雅空兄ぃは、そうできるって思ってるの?
 
[やな言い方しちゃった、と瞬間的に思う。
雅空兄ぃにできるはずないなんて言いたいわけでは全くなくて、そうじゃなくて、ここにきて本気で慌てだし。]

 ち、違うの、ええとね。

 …………私に、そう想われても、いいのかなって……。

[急に弱気さが表に出てしまって。
みるみるうちに顔が真っ赤になり、瞳に涙がたまる。
まってまって、幼馴染は決定的なことを言ったわけではなくて、まだ冗談かもしれない――そんなことはないと自分が1番分かっていながら逸る心に言い聞かせる。]
(153) 2023/03/12(Sun) 22:50:32

【人】 天原 珠月


 もう……っ

[いきなり何言い出すの、雅空兄ぃのばか。
うわーんと泣き出したい、本当に。
でもその時にしがみ付くのは目の前の幼馴染しか――彼しか想像できないのだから、どうしようもないのだけれど。]

 こんなこと話してると、さ。
 これまでみたいな幼馴染でいるの、難しくなっちゃうよ。

 ……いつもの顔、できなくなるもん。

[両手で顔を覆うと、ここで初めて視線も表情も全部隠し、関係が変わりそうな恐れまでも一緒に隠そうとする。

ただひとつ。]


 ……………………嫌じゃない、と、思う。

[時間差の答えは、分かりやすく素直でない一言だけ。*]
(154) 2023/03/12(Sun) 22:51:21

【人】 天原 珠月

[幼馴染の彼>>155>>156はゆっくりと話してくれる。
慌てて何言ってるか分からない自分を待ってくれる。
そういうところに、私の優しいお兄ちゃん、とだけ思えなくなったのはいつからだったろう。

先に逸らしてしまった視線。
負けちゃったなぁ。
最初から勝ち目なんてなかったと思うけれど。

自分の幼馴染は穏やかでなんでも許してくれるように見えるかもしれないが、実はこういう時に折れたりはしないのだ。
こちらのことを分かっているからこそ。
強がりも、弱気さも、ちゃんと受け取るからこそ。]

 ……信じるに決まってる。
 雅空兄ぃは絶対私のこと待ってくれてるって。

[だって、自分が何より幼馴染の元へ帰りたかった。
そして幼馴染と自分ははなんの躊躇いもなくそう信じさせるように、ずっとずっと向き合って時間を過ごしてきた。
今伝え合っているこの気持ちは隠していたとしても。]
(163) 2023/03/13(Mon) 1:50:53

【人】 天原 珠月

[変わって悪いことにはならない。>>156
そろりと手の指の間から幼馴染の方を見たら、向かいのベッドに腰掛ける姿が思ったより近くて肩が跳ねた。]

 ……うん。

[くぐもった声が返事をする。
そしてぐずぐずとみっともなく鼻が音を鳴らした。
とことん幼馴染の前では格好がつかない。]

 もしも、もしも……そういうのじゃないなって、違うなってなっても、幼馴染だったのは、なくならないもんね。
 雅空兄ぃのこと大事なのは……変わらない、から。

[そうして少し落ち着いて話せたかと思えば。
呼び方を聞かれていた>>157のが突如判明して。]

 なっ、あ、あれは、つい!
 兄ぃってつける余裕なかったの。

[顔を隠しているからと気遣われたとまで思い至ることはなく、でもちょうど良かったと真っ赤になった顔を隠す。]
(164) 2023/03/13(Mon) 1:51:06

【人】 天原 珠月


 ……。

 …………じゃあ、これからは。

[声がかすかに震える。
怖いからではない、心が、震えているから。]


 幼馴染で、幼馴染じゃなくなるかもしれない、関係?


[なんてふわふわと、不安定で。
安心だけじゃない、ドキドキと隣り合わせの関係だろう。]
(165) 2023/03/13(Mon) 1:52:02

【人】 天原 珠月

[そろりと手を外していく。
寝転がったまま、赤い目元に、まだ惑いと気恥ずかしさが揺れながらも逸らさない瞳が、

幼馴染を――雅空を映す。]

 あの、私、結構どうしようもないやつだけど……って。

[いや、全部知られてた。
むしろ自分自身より知っていそうだ。

もうこれどうすればいいのか分からない。
そもそも同じ部屋でこのまま寝られる? あれ?

急にバタバタと、布団に丸まろうとし出したのは雅空にはとても分かりやすかっただろう。*]
(166) 2023/03/13(Mon) 1:52:33
[わずかな言葉が頭の中をぐるぐると巡るばかりで、他には何も考えることはできなかった。
 その感触はよく知っているはずなのに、記憶はどこか遠く曖昧で靄がかったようにも感じられる。それでも、冷えた身体に伝わる熱にやすらぎを覚えた。

 水が身体に染み渡る、気がした。
 固まっていた身体が少しずつ動かせるようになってくる。
 自分が“生きている”と感じたのは生まれて初めてだったかもしれない。

 痩せた指は大きな手を求めて彷徨う。触れたならばそっと指先を絡める。]


  
……ありがと



[ほとんど吐息のように、彼女はつぶやいた。]**

[水を与えた後、僅かながらに彼女の体が動いた気がした。
 彼女の左隣から身を寄せ、肩を抱いて見守るうち、すっかり細くなった指が彷徨うのを見つけてそっと左手を寄せる。絡まってくる指を感じながらぴたりと掌を合わせ、絡め返した指で一本一本を愛おしむように撫でた。

 弱い吐息に乗せられた声は確かに耳に届き、微笑みが浮かぶ]


  椿、また会って話ができてよかった。


[室内に響かせた声は穏やかに安らいでいた。彼女にとっては聞き慣れないだろうが、夢の中での別れ際に聴いたばかりの声でもあるだろう。

 もう一度言葉が交わせることが心から嬉しかった。
 彼女の命はもう長く続けられないかもしれないけれど、少しでも長く共に在ることができるようにと祈った]**

[語りかける声は優しく、穏やかで。彼にそのような安らぎが訪れたことを嬉しく思う。

 この場所にきてもうどれだけたったのだろう。
 はじめは、二人だった。やがて、ひとりになった。

 ひとりでいることはさみしくて、かといっていなくなってしまうこともできなくて、そのうちにどこにも行けなくなってしまった。

 ここでたくさんの夢を見た。
 こわい夢も、わるい夢も、とてもたくさん。けれど、最後の最後に、あたたかい夢を見ることができた。そして今、夢から覚めても、まだあたたかい。

 あとどれだけ自分は生きていられるだろう。少しでも長くいられるといいと思う。そのために、できることはなんだろう。]


  あのね、


[首をすこし傾けて、声が彼の耳に届くように顔を向ける。]


  おなかがすいたの。
  たまごがたべたい。
 

[“食べるということは、生きることと同義です“
 夢の中の自分がそう言った。

 きっとそうなのだ。どうあれ、食べることは生きることに繋がっている。

 だから、まずはここから、はじめよう。]**

[彼女が食事を乞う。その言葉がとても嬉しかった。
 声はまだ弱々しいけれど]


  卵か……、鶏飼ってたりしねェよな?
  買ってこようか。


[小屋がこの有様では、ろくに食料が保存されていると思えなかった。
 村まで行って食料を買う生活が続けば、森の中に住んでいる人がいると知れる可能性は気にかかったが……。
 食べないわけにはいかない。特に今の彼女は。
 二人とも“狼”として食べたいものが別途あるとはいえ、ヒトとしての食事もまた生きるために必要なのだから。

 こうして、この地での彼女との二人暮らしが始まった。
 これは彼女が旅に出られるほど回復するまでの一時的なもの。楓はそう思ってはいたけれど、それが結構な長期間になりそうなことは予想できていた]

[共に暮らし始めて間もない頃、彼女が無理なく会話できるようになった頃合いに、楓がふと脈絡無く紡いだ言葉があった]


  なあ、椿……
  “いらないもの”なら後に残るはずねェよな?
  後に残るのって、それだけ重要なもの……、
  存在の核とか、柱や基盤とか……
  そういうものなんじゃねェのか……?


[それは確信というより、そうであってほしいという祈りだけれど。
 あの夢から覚めた後、彼女に思いを馳せる間に考えついたことだった。

 たましいを善と悪のふたつに分けて、悪を滅する。それが彼女が生み出された過程で、彼女は滅せられる側──不要物と扱われた側だった。
 それなら、どうして先にもう片方が消えたのか? どうして滅せられる側だったはずの彼女が後に残ったのか?
 真に滅せられるべきは向こうだったのか、それともどちらかを滅するという考え自体が誤っていたのか……そこまでは楓に理解の及ばないことだが。
 楓にとって、彼女は間違いなく『存在していてほしいひと』だ。それを補強する理屈がどうしても欲しかったのだ]*

[初めのうちは楓が食事を作ろうとしただろうけれど、そのうちに彼女が作ってくれるようになったのだろうか。
 彼女が歩けるようになったなら、短い時間でも共に散歩しようと誘っただろう。

 楓は彼女と一緒にできることが増えるたびに喜び、彼女が望むことを果たす助けであろうとした。寄り添い、支え、尽くし、触れ合った。連理の如く]**

[やわらかな温度が、いつもの温度が。
待ち望んでいたぬくもりが触れてまた涙が零れていく。
瞼を伏せていて気づけなかったけれど、それはきっと、アスルが零した想いとともに風に攫われ湖へ落ちるのだ。]

 なぁに、アスル。

[言えなかったこと。
不思議そうにも、予感しているかのようにも微笑む。
そうして彼の言葉にふわりと瞳に光が灯る。
たくさん見つめ、映し続けてきた群青色と空の色に近づいた瞳。
銀白色に憧れた月のような色の髪が彼の風をはらんで揺れる。

腕を伸ばして包むように抱きしめて。
まつげが触れ合うほど近くで見つめ、幸せを笑みにした。]

 私は、ペルラ・ルーチェは、あなたを愛し続けます。
 ずっと一緒ね。私のアスル。

[結婚し家族になって、寄り添いながら年を重ねていこう。
今、月明かりに照らされる姿も、ともに。]

[そうして抱きしめ合って。
ふと、目を瞬かせる。]

 アスル、やっぱり、随分待たせてしまったのね?

[前髪が伸びてる、と指先で額にかかる髪にそっと触れる。
彼に出会ってからなんとなく感じていたことだが、あの狭間の世界とこちらは時間の流れが異なっていたのだろう。

話したいことがたくさんある。
今の巫女はどうなっているのか、今の島の状況、お互いの家族の話、何より彼のこと――将来の話だって、したい。

でも、今は思うままに。]

 アスル、今夜はゆっくりしていても、いい?
 話したいこともたくさんあるし、あそこの小屋で。
 …………儀式のお役目の後みたいにも、ね?

[耳元で囁く声に、彼しか知らない色。
これからもアスルにしか聞かせない声を紡ぐと、]




 ――愛してる。
  
 アスルは私だけの風で、自由な鳥で、ずっと大好きな人。


[それは永遠に。**]

 一生が何度もあるってすごいじゃないですか……

 ん……上手。
 タマの方も舐めて?


[まるで心が読まれていたかのように、ビデオカメラのことを言われて苦笑してしまう。
でもそれだからこそ一瞬を切り取ろうとムキになってしまう。
鎖でわずかばかりに余裕があるとはいえ、いつもよりも自由がきかない両手。
彼は唇、口腔、舌、吐息だけを上手く使って、彼の雄を制御する。
そんな彼の髪を優しく撫でて乱し、もっとして? と指先だけでねだろう。
自分に奉仕しているだけでも感じているのか、きついのだろうか、彼の腰が揺れているのが分かる。

彼の喉仏が嚥下するかのように動く。
真空をつくられ、硬くそそり立った箇所が彼の上顎裏のざらついた箇所をこすって。
軽いタッチでシャッターが切れるはずなのに、それがひどく重い。
はぁ、はぁ、と上がる息の中、目の前が白く飛びそうなのを必死にこらえながら、シャッターを切り続けて]


 んぅぅっ!!


[立ったままだから、思わず身体をそらして、彼の方に腰を突き出してしまった。
我慢しきれず、放つそれ。
思わず彼の口から引き抜いてしまって、その美しい顔にどろり、とかかった白。それは彼の口元のほくろを隠す。まるで化粧をしているかのように。
見慣れているほくろが、それが消えているのが自分が放った欲の多さを表しているかのようで。
彼を縛るボンテージのエナメルの艶にも白がかかり、光が反射している箇所すら自分の慾が飛んだように見える。
穢されてなお美しい人。
奉仕のせいでこすれて唇が紅くなっているのが、艶やかでますます色っぽい。
ああ、抱きたい。
このままめちゃくちゃに犯したい。
しかし、それは我慢だ]




 …………最高の一枚が撮れたと思います。



[そんな風に言って、自分の中の欲を押し殺して隠してごまかして。
しかし、今撮ったこの写真を見るだけで、何度でもきっと自分は一人寝の夜に困ることはないだろう。
そして己ばかり欲を満たしたが]


 要さんは、お預け、ですからね。


[片目をつぶって、ボンテージスーツの中の熱を持て余しているだろう恋人にそう言い放つ。
それは意地悪なつもりでもなく……いや、実際少しそういう気持ちがあったのは否めないが……彼が“欲しい”という飢餓感があった方がいい写真が撮れそうだから。
終わったら、いっぱい甘やかしてあげるから我慢して?
心の中で、ごめんね、と謝った*]

【人】 天原 珠月

[言い切る声の強さ>>205が胸を打つ。
言い聞かせるあやすような響きじゃない。
こちらの背を押しながらもしゃんと真っ直ぐさせる響き。
そんなことあるわけないじゃないかって思うことが出来る。
弱気な心が彼への信頼と自分を信じる心に変わる。

よし、って。ちゃんと立ったところで。
足を踏み出そうとしたら、恋人関係>>206と今度は来て。]

 こっ、こここ、こい……こい、びと……!

[口がぱくぱくしそう。
良かった、顔を隠していて良かった。]

 言われてみればそう、じゃないしっ
 ピーマンは苦いのが悪いし、雅空兄ぃが作れば良いし!
 火は起こすの上手いって言うから焼くのもって、そうしたら勝手に焦げるんだし……生でお腹壊しても困るし……!
 寝起きはビックリさせてやろうってのはあるけど、……いや、それだけだからっ

[反論しようと思えば全部に言い連ねられるけれど、結局全部の終着点や理由が恥ずかしいことになる予感がする。]
(210) 2023/03/13(Mon) 21:05:27

【人】 天原 珠月


 ……雅空兄ぃは、……もう実績過多だよ。
 そういうのはちゃんと分かってるもん。

[どれだけ大事にしてもらってきたかなんて。
反抗期を過ぎて以来、自覚しすぎるほど自覚している。]

 私だって、その……。

[さすがに実績があるという言葉には出来ない。
自信がないのではなく、羞恥心の問題だ。
こういうところ、この幼馴染はきっぱりはっきり言葉に出来るのが心臓には悪く、心はぽかぽかになる。]

 ……うう。

[布団の中が熱い。自分が熱くなっているだけか。
ちょいちょいと叩かれる感覚>>207は昔から慣れ親しんだもののはずなのに、知っている強さとどこか違う気がした。
これも受け取る自分の想いのせいなのかもしれない。]
(211) 2023/03/13(Mon) 21:05:34

【人】 天原 珠月


 ……。……。

[この会話を経て、一緒に寝る。>>208
寝付けると思ってるのだろうか、この幼馴染は。
恋人関係がいいという幼馴染かつ恋人予定の雅空は。

でも理由はもっともだった。
むしろ自分こそさっきまでそれでお風呂までくっついて回っていたのだから、彼の恐怖は何より分かる。

色々を天秤にかけた結果。
そーっと掛け布団から頭だけ出して、彼を見上げた。]

 その前に、私から言っておくことが、あるの。

[急にとても改まった口調で。口調だけだが。]
(212) 2023/03/13(Mon) 21:05:38

【人】 天原 珠月


 ……。

[見慣れた、いつもの、レンズ越しの群青色。
天窓からの月明かりに柔らかく光る、優しい銀白色。

すうっと深呼吸。よし、いける。]


 私だって、雅空に……の、恋人になりたいんだからね!


[言ってしまった。
真っ赤な顔で言い切ると、睨むように見つめて。]
(213) 2023/03/13(Mon) 21:05:52

【人】 天原 珠月


 わかった?

 今夜は怖いのが理由だけど、つまりそういうつもりで、そのことをよーく念頭に置いて、一緒に寝なさいよ。
 あと私は絶対落ち着けないと思う。

 ……でも一緒がいい。

[これまでと状況が違うのだから仕方ない。
でもどんなに安眠できなかろうが同じ布団に寝ると腹をくくったなら行動は早く、急に飛び起きた。
そして雅空の隣をたたっとすり抜けるように駆けて、彼が今まで寝ていた布団に自分が先に潜り込むのだ。]

 ほら、早く来ないと半分分けてあげませんー。

[明らかに赤い頬で、鼻先まで赤い顔で、にやにやと悪戯っぽく笑うと隣をポンポン叩いてみせた。

仕方ないなぁ、幼馴染で雅空は心配性なんだから。*]
(214) 2023/03/13(Mon) 21:05:58
 ああ、三か月ほどな。
 っていうことはペルラはそうでもなかったのか?

[そう聞くと時間の流れが異なっているという風なことを聞くが、プロポーズを受け入れてもらった熱い気持ちと再会できた喜びに、多少待っていた面での辛さなど気にも留めなかった。]

 そうだな…俺も話したいこともあるしな。

[彼女が去ったあとどう過ごしていたかとか、二人のこれからこととか。
それに…会えなかった時間と体温を埋め合わせる時間も必要だ。もう慌てなくていいなどといっても、急いた気持ちになるのは熱情故。]

 愛してる…ペルラ・ルーチェ…

[彼女だけを永遠に*]

[それから、彼女、元巫女であるペルラが帰ってきたことを伝えにいった。
力を使い果たしたら消えるといういわれる巫女が帰ってきたことへの反響などを考えてこっそりと、村のまとめ役の長老へと伝えにいったわけだが]

 「おぉ、新婚旅行から帰ってきたか?」

[第一声はそれであった。は?となったわけだ。
そこから色々と色々と話し合ったが、どうも色々と相違があったらしい。

一番の要因である、巫女が消える。ということに関しては―――だいたいが嫁入りしていく。ということらしい。]

[そこからは長い話が繰り広げられたが大雑把にいうと。相当前の巫女が役目を終えたときのこと、その巫女にちょうどいい年齢の結婚相手がいないということが判明した。
元々浮遊都市という閉じた世界。結婚適齢期から考えても過ぎており、そしてその時代、ちょうど奇数で余ってしまったのだ。
その頃の巫女はここまで特別扱いするという形ではなく、同年代の人と接触が多かったのも悪かったらしい、なんでも夫婦生活を自慢されたりしていたようだ。

そんな役目を終えた巫女の不満のため、婿探しに奔走したという大変な過去があったようだ。
そりゃまぁ巫女になって、自分の意志でならばともかく結婚願望や青春したい!と不満たらたらで人生を終えるなど悪いし、そんなことが広まっては醜聞になるので隠す必要があったようだ。次代巫女居なくなっても困るし、後の婿取りにも響くしな。ということらしい。

ちなみに先代巫女が消えたという件についても、行商人の人と結婚予定だったらしいが、力を使い果たした直後、旅立つ直前だったらしく、このままだと数か月は会えなくなるのが嫌になって飛び出していった、ということらしい。
ペルラとアスルもそれだと思っていて帰ってきたという認識でいたらしい]

 じゃあ…消えるってこう、泡になって消えるとか、死んでしまうみたいものじゃなくてってことなのか?

 「そんなおかしなこと起きるわけないじゃろ。」

[まさかの全否定であった。
だがまぁ、要するにペルラは戻っても特に問題なかったらしい。なんだったら自分もペルラの両親もこっそり知ってるとのことだ。
ちなみに守り人というのもそれっぽい理由をつけて巫女の退職後の付き合い先とかを用意していたという裏話も聞かされるが、非常に疲れた心地であった。

だが、あの現象って結局なんだったのか。という謎は抱えたものの、まさか現代側のほうが異世界と通じる原因になっていたなど二人には知る由もないのであった。]

[そして]

 準備できたか?ペルラ…

[アスルはやり残したことを遂げるために戻ってきた。そして今、それを叶える日だ。
彼は別れていた間、色んな島を巡り、そして他の島にある産物を持ち帰った。――それはゴムとそれを得るための苗木であった。]

 …いくぞ。

[蒼色に銀のラインが引かれたそれ鳥のような形に上部と下部に翼が広げられた、現代で言うところの複葉機に近い形のもの。操縦席の隣にペルラを乗せ、ベルトがまかれているのをチェックする。
エンジン音が響き、前部のプロペラがゆっくりと周り、異常の動きがないのを確認すると、発着所の面々へと親指をたてて合図を送り、固定されていた翼の支えが外される。
そして発着所からゆっくり走り空へと浮き上がっていく]

 …やっと…やっとできるようになったな。

[今回目指すのはペルラの故郷。高度が足りないからとすぐにはいけないといっていたあの山である。
時間さえかければ前からいくことはできたが、中心部から直でいけるようになりたい。とそう考えてしまっていた。

あれから月日が流れ形がつくられていったが、そして一番の問題となっていたのは着地の点。それを解決するのがゴムなのであった。]

[風を受け揺れる隣の月色の髪は美しく、高度をあげていった飛行機はハンドルを引くことで角度を変えて身体が真後ろに倒れるような圧を受けながら、中天まで伸びやか登り詰めていく。
この高さならば中央部から真っ直ぐにペルラの故郷へと迎えるだろう。]

 はぁ…無事いけそうだが、これからペルラの両親への挨拶のほうが緊張しそうだな。

[そんな軽口を叩くような余裕はあった。それは隣に彼女がいるという精神的な余裕でもあっただろう。まだ着地が残っているけれど、自分ならやり遂げられる。
翼が雲を引くように少し機体の制動を確かめるためのテスト飛行をいくつかこなし――というのも建前にして、彼女と空を楽しみながら、ペルラの里帰りへと向かうのであった**]

  ……どうかしら。
  元々の“わたし”は、知っていたのかもしれないけれど。


[彼女も全てを知っているわけではない。自分のことのはずなのに、まるで知らない他人のような気がするのだ。]


  たぶん、いなくなろうとしたのね。“わたし”は。
  ——本当に、お馬鹿さん。


[伝わりそうにはない、曖昧な言葉で語る。
 はじめにいた“彼女”が何をどう考えたのかは椿にはわからない。
 ただ、“彼女”は“自分”を消して正しく生まれ変わろうとしたのだと思う。それに従って、片割れは正しくあろうとした。
 しかし、人間の存在なんて、そう簡単に根本から変えられるものではないのだ。だから、失敗した。もう少し考えるべきだったのだ。古い書物にすでに“それは禁術とされている”と記されていた意味を。]


  でも、いいの。
  いまの私は、ちゃんとここにいるから。
  貴方が、ここにいていいと言ってくれるから。


[そう言って、椿は楓の頬に両手を伸ばす。今では随分、おねだりが上手になった。]**

[彼女の答えを聞きながら、考えた。
 元々の“彼女”──その人が男か女かさえ知らないのだけれど]


  自分が……嫌いだったのかな。


[『たましいから不要なものを取り除きたい』
 その欲求はつまり、自己否定から生じるものだろう。誰か受け入れてくれる人がいたら、そんな考えは抱かなかったのではないか。
 もっとも、その結果やっと椿が生まれたのだから、その行動を否定できはしないが。

 自分の存在を許さないような自己否定は、かつて夢の中で彼女が思い悩みながら伝えてくれた言葉の内容に通じるものがあった]

[だから今の彼女を見ているだけで楓は幸福だった。
 頬に両手が伸びてくると、彼女の腰に腕を回して抱き寄せた]


  うん。
  ……傍にいてくれ、椿。


[甘える彼女に甘え返して、くちづける。

 愛など、もうわかりはしないと思っていた。
 全て食欲に塗り替えられてしまったと。

 けれど“食べたい”という衝動にはいくつか種類があって、彼女に抱くのは特別なものだった。

 もしかしたらこの先、他にも見つけることがあるのかもしれない。失くしたと思っていた人間らしい感情を。
 見つけたところで人間に戻っていいと思える日は来ないだろうが、長らく感じていた絶望は少しずつ和らいでいくだろう。大切な人たちに抱く思いを噛み砕くにつれて]**

[お得やろ。と彼へ返す上目は告げて。
彼に褒められ、唇は小さな息を吐いた。そうして言われたとおり、双玉を舐めれば、甘噛みをして柔らかく射精欲を育っていこう。あまり自由の利かぬ手が彼のズボンを掴む。髪を撫でて乱す手に気をよくして、奉仕の大胆さは増していった。咥内いっぱいに広がる味は彼の存在を確かなものにしてくれる。硬くそり立つそれが、上顎を擦るのが心地よく、興奮が身体を貫いた。

窮屈な周りが、性を訴える。
見上げればシャッター音が聞こえ
自分の奉仕が彼のカメラに収まることを意識して、喉から嬌声が漏れた。彼の息づかいがすぐそばで聞こえる。自分の唇で、喉で、咥内で興奮してくれているのだと嬉しく、吐息を重ね。

その雄を育て、口で扱いた]


 ……んっ ぁ …ぁ 


[びくっと身体が震えたのは
腰を突き出され、一瞬喉の奥に彼の雄が入ったから、生理的なものと深い場所を愛される事への感激に涙が溢れ、引き抜かれた其れにより、肌は濡れた。白がかかったのだと理解したのは、香りと熱さから。どろっとした白を被った顔が鏡に見える。

黒子を隠す化粧のようなそれに
最初、目をぱちくりさせ]

 はぁ …ん
  いっぱい出たなあ。

[可愛いわ。と微笑み。
そのまま唇に乗った白をぺろりと舐めた。
苦みが広がる中、被った白がボンテージにもついていると気づけば、指で其処をなぞり。奉仕の笑みを赤く浮かべて見上げて、彼の褒めを待っていれば、欲を押し殺した声が聞こえ。

すごく――興奮した。
暴きたいとぎらつく視線が言う。
それなのに、それを律する彼が愛おしくて、たまらずいよいよ窮屈さは増して腰周りがきつくなった。吐く息が熱い。そして、薫る雄にくらくらとする。濡れたままの顔で彼を見つめながら]



 最高の一枚か。
  ええなあ、やけど

   ふふ……、お預けか。


[いじわる。と笑う声は言う。
抱いてほしいと彼にいう身体が火照るのを感じながら、言い放つ彼をじっと見上げて、手は浴室の床を撫でた。腰を下ろし、見上げた姿勢で白濁に濡れた姿は彼を煽るのを意識してのこと。『欲しい』という飢餓は、何も自分だけではないだろう。

一度精を吐きだしたとしても
まだ足りへんやろ。と彼に信頼を向け。]


  あのな?

   我慢するから後でいっぱい
           抱いてな?


[僕のこと、愛してや。と
オネダリをした。其れはこころの中で謝る彼に応えるよう。沢山甘やかしてと身体を起こせば、そのまま栗の香りのする唇で彼の口にキスをして、濡れた箇所を拭うようにオネダリしただろう。手錠に阻まれてうまくできへんねん。やなんていって。
彼が拭ってくれるのなら、その手を舐めて。

もう一つ、オネダリを]



 ……
ほんで、いっぱい好きって言ってや。達也



[僕は自分の好意があれば
我慢できるんやから。と囁き、耳に息を吹きかけた。
その顏は少しばかり赤かっただろう*]

【人】 天原 珠月

[やっぱりこういうところ雅空>>216の方が大人なのかなって思う一方で、単に彼の性格でもあるんだろうと思う。
なんとなく悔しくて、とてもむずむずする。
いつも通りの幼馴染が、いつも通りではない雅空に感じた。
ただほんのり早口>>217に聞こえたのは気のせいだったのか。
自信がなかったけれど、落ち着かないと正直に教えてもらったから、そっか、同じなんだなぁとまたむずむずする。]

 私も知らなかった。
 雅空兄ぃがそんな積極的なんて?

[叩いた位置より近くに寄ってくるものだから。
赤くなる顔の熱さが引くタイミングがなくなって。
近い!と足先で雅空の足を蹴りながら、昔は自分が寝にくい!と言われるまで引っ付いていたのが頭の隅に。

これってもう恋人、なんだ。
そうか、想いを伝え合って、確認しあって。
どちらも好きなんだから、うん。

映画や劇のように綺麗に綿密に飾られたセリフじゃない。
日常の延長線にある言葉の応酬で、それは自分たちらしく、なによりもスッと心に届く気持ちの表し方で。
その分、後からずっとドキドキしてしまう告白だった。]
(219) 2023/03/14(Tue) 1:15:07

【人】 天原 珠月


 恋人……になったら、なんか、照れる……。

[我慢して抑えていた感覚が大きすぎるのかもしれない。
これじゃしばらくまともにくっつけなさそうで、幼馴染だけの時の方がくっついていたことになりそう。

なんてこっそり、しょんぼりしていたら。]

 ……きゅ、急になんか、やること変えてくるし。

[どうせ頬をむにられるんだと思っていたら、違った。
近づいた手は頬を素通りして、いつも何より頑張って手入れしている金色の髪を優しく撫でる。
すべらかな感触が伝わればいいと思う反面、正直に身体は驚きと動揺に揺れるし、心臓が暴れた。

そうしたらまた距離が縮まる。>>218
握られた手が汗ばんでいるのもバレバレだろう。]
(220) 2023/03/14(Tue) 1:15:18

【人】 天原 珠月


 近い。あつい。狭い。

 ……雅空兄ぃ、あったかいね。

[こんなに落ち着かなくて、ドキドキしているのに。
ぬくもりを感じるとどこよりも安心していられる。]

 私の最初に買った、このピアスさ。

[視線を伏せて握り合った手を見つめて。
もぞもぞと足を動かしては彼との距離をはかりながら。]

 店で見つけた瞬間に宝物にしようって思ったの。
 つけてたら、そばにいるみたいだなーって。
 まぁ半分ふざけてるんだけどね、でも、半分は本気だった。

[ピアッサー片手に押しかけたときはビックリさせただろうが、最初から病院に行くつもりなんて欠片もなかった。
ピアス穴を開けて欲しがった理由を考えると、もしかしたら自分は過激で重い素質があるのかもしれない。]
(221) 2023/03/14(Tue) 1:15:29

【人】 天原 珠月


 高校生くらいの頃かな。
 雅空、のこと、……す、好きだなって……気付いたの。

[ぎゅうっと目を瞑った。
恥ずかしすぎてここまでにしよう。]


 寝てる間に蹴ってきたら、……頭突きするからね!

[枕投げからの変化だった。*]
(222) 2023/03/14(Tue) 1:15:38

[古く、古く。

 夢が辿る回顧]
 

[生まれはただの狐だった。

 のどけき春に生まれて兄弟と共に育ち、稜線が赤黄に染まる頃には巣を立った。山を駆けて鳥や虫を食らい、凍える冬を越した次の春にはひとつ上の雌と番った。生まれた内の二匹は死に、残った三匹が秋には巣立ち、役目を果たした番いとも自然と別れた。

 そうしたことを幾度か繰り返して、季節を何巡も重ね、生きるために食らい続けた。その日々には、鷹に襲われたか啄まれて体中に穴を開けたかつての番い、狼に喉元を食い破られだらりと足を揺らす幼い我が子、老いて弱り虫に集られた臭いを放ついつかの我が子の骸があった。

 彼らを数多く見送り続けて、己が“ただの狐”を逸していた事実に気づいてしまった。本来とうに死を迎えている筈の体は、生まれて数年の頃と殆ど相違なく衰えを知らない。生気を奪う術を得てからは更に頑健な体を手に入れ、縄張りとした山で恐るるもの無い主となった]

[唯一危ぶんだのは山に踏み入る人間だ。
 爪も牙もろくに持たぬくせに、獣を狩る術を持つ彼らは異質で、何をしでかすか読めない。

 かかずらうこともないと放っておく方が多かったが、怯えるのも癪なもんで、山を汚すような奴らは襲って喰らった。無謀にも己を殺さんとする馬鹿も同じ。飯を奉じる奴らが出てきた時には目こぼしをしてやることもあったし、虫の居所が悪ければ殺しもした。
 飯の中で最も腹にたまり力を増せるのは人だったし、奴らの持つ“もの”は面白い。姿を真似、言葉を真似、知識を吸うのは存外悪くない趣味になった]

[だが、そんな得手勝手に生きて喰らう日々が突如終わりを告げる。
 深江との出会いが、人喰らいの化生の生活を一変させた。

 これまでも命は何度となく狙われてきた。その尽くを負かし逆に喰らって糧にしてきたが、煩わしいことこの上なかった。怪我も生気を得れば多くが癒えても痛むことに変わりなく、続けて何人も送り込まれれば万一もある。

 そんな折に現れた男はあろうことに、いくら傷を負おうが立ち上がった。それどころか裂けて抉れた肉すら埋まり、ひとりでに皮膚で塞ぐ有様で、どう見たって異常だった。
 一体何事かという疑問と関心が先に立つのも当たり前だ。そして異常の答えが不老不死だと知るや、気付けば取引を持ちかけていた。人に狙われる日々からも、都合よく狩れる人の減った生活からも解き放たれる絶好の機会なのだ]


[この時、少し悩むような表情の男から首肯を得られた瞬間が、今後すべての分水嶺であったのだと思う]
 

[深江と始めた新たな生活は、今までの数百をあっという間に上書いた。
 人との関わりを持つ化生なりに、人の生活をいくらか知ったつもりでいたが、いざ本物の人間と暮らしてみれば出るわ出るわ未知の話。
 里山に降りることも殆ど無い山暮らしであるのに、相手がいるというのは大きな変化であり、想像以上に愉快なものだった。
 飯も種類が増えた、習慣も変わった、遊びも増えた、何より日々に会話があった。洞穴に溜め込んでいた訳の分からぬ道具やら本も意味を持った。これらを蓄えた過程に物思うこともあったかもしれないが、それでも深江は隣にいた。

 世を変える戦乱も天地揺らがす災いも、幾度も頭上を通り過ぎていく。一変する大事と深く関わりのないまま数百を過ごして今現在、すっかり人の社会に紛れて生きている]

[ただ面倒なものはいくらかある。その筆頭が戸籍だ。
 当然そんなのと縁もゆかりもない狐にとって、まず何のために存在するんだというレベルの話だったが、深江に言わせてみれば彼が生きてた時代から似たようなもんはあったらしい。
 当時は人の数を把握するもんじゃなく、年貢やら公事を取り立てる為に郷や村単位で管理してたと聞く。かったるそうだ。

 ともかく“最近”は身分をきちんと証明できないと出来ない手続きが多かった。その都度必要な書類を化かす羽目になる。まあ、化生でも不老不死でもない人間だって偽造してるんだから別にやったって構わないだろう。

 本当に面倒なシステムだが、それでも写真の横に記される自分の名を見る時間は好きだ。
 暮らしていた山の名から「アマミの狐」と呼ばれていたのを、深江があてた漢字だ。名付けの理由を聞けばいっそこそばゆい程の賛辞だったが、事実には変わりないので、誇らしげにふわふわの胸毛を張るようにしてそれで良かろと認めてやった]


[それに、山はもう役目を果たしたのだから。

 広い海が映えて望める「海見」の山。
 あそこは、「深江」を見出すには絶好の勝景であった]
 


 ええ、ええ。ずっと——


[言い終わらないうちに、唇を塞がれてしまった。やわらかな唇も、絡めた舌も、なぞる歯列も全てがいとおしい。少し手を伸ばして、耳朶に触れる。少しずつ熱を帯びてゆくのがわかって、時折悪戯めいて引っ張ってみる。触れたところから、身体中全部が溶けてしまいそうに感じる。それは以前のようなかたちのない不安ではなくて、たましいが溶け合って包み込まれるような、あたたかさに満ちたやすらぎ。たった一人で、さみしくて蹲っていたあの頃からはとても信じられないくらいに、そう、夢のような、しあわせ。]

[夏が終わろうとしている。

 季節は変わっても、実のところ、私は何ひとつ変わっていない。
 誰かにそばにいてもらわなければ自分の足で立っていることさえできなくて、何もかもを支えてもらって、ようやくここに立っている。

 何ひとつ正しくなくて、何もかも間違えたまま、それでも手にしたとくべつなものを離したくはなくて。ここのところはすっかり慣れてしまって、少しばかり欲張りになりすぎたかもしれない。]


  ずっと、そばにいたかったな。


[隣で安らかな寝息を立てる貴方の頬をそっと撫ぜる。さすがにそれは過ぎた望みだとわかってはいるけれど、願わずにはいられない。

 この先の貴方の旅路が、良きものでありますように。そしてできれば、せめて貴方が目を覚ますまで、私があたたかくありますように。]**

[悪戯を窘めるように耳朶を擽り返し、なめらかさを取り戻した唇に舌を滑らせる。汗に濡れた肌を重ね合わせ、彼女の内に熱を注ぐ。たましいまで溶け合ってひとつになるような至福の時。

 そんなふうに彼女を“食べる”何度目かの時間で漸く気付いた。翌朝、飢餓感が薄らぐことに。

 どちらも本能に根差した衝動だからだろうか。あるいはそれは、たましいの傷を和らげる方法のひとつだったのかもしれない。
 彼女と共に在れば、誰の命も犠牲にせずに済むのかもしれなかった。彼女のほうはどうかわからないけれど]

[いつの間にか、季節が終わりかけていた。

 重ねていく日々はどれも至宝だった。
 彼女を支え、
 彼女に支えられて、
 寄り添いながら過ごす毎日。

 これからも変わらない幸福が在り続けることを祈って、その夜も眠りに就いた。彼女のあたたかい体を抱き締めて]

[ある町、夜遅く。外套に身を包んだ男が宿の受付を訪れた]


  一人。一泊。急で悪い……、霧で迷っちまって。
  その茶もらえるか? シナモン・シュガーを入れて。


[彼は宿帳に名を書き込んだ後、宿の主人が飲んでいたカップを指差す。そこには煙草のような芳香を漂わせる茶が入っていた。
 主人は当初不審がっていたが、それなりに会話する気のある客と見れば、少しずつ警戒心も和らぐようだ。前払いが決め手となって、茶の入ったカップとともに鍵を差し出してくれた。

 宿帳に書き込んだ名は“楓”──本名ではないけれど、この長い旅路でずっと使っている名だった]

[部屋に入って外套を脱ぐたび、その色が目に留まる。
 白。
 彼女が愛用していたマントの色。
 そしてその裏地は、琥珀色。彼の瞳の色。

 共に暮らした日々の終わりが思い浮かぶ。
 あの地を去る最後の日、小屋を炎で包んだ。
 何も残ってほしくなかった。
 あそこでの暮らしを知るのは二人だけにしたかった。
 帰る場所などいらない。

 そうして彼は独り、旅に出た]

[彼女のマントはあの後、仕立屋に持ち込んだ。
 自分が着られるように直してほしいと無理を承知で頼んだところ、表と同じ布が使われていた裏地を使ってサイズを合わせたらしい。新たに琥珀色の裏地が張られていた。

 仕立屋が何を思ってその裏地を選んだのかはわからない。だが、それ以来、彼女を思い浮かべる機会が増えた。鏡を見るたび、瞳の色を通じて。

 彼女はいつも傍にいる。
 声も聴けず、
 触れることもできず、
 姿を見ることもできないけれど]

 

  ……これ、本当に美味いと思うか?


[カップの中身を味わって、思わず問いかけの言葉を呟いた。確かに風味は随分変わるのだが、どうにも彼の好みからは離れている。
 体を共有したつもりでいても、こういうとき、別個の存在なのを実感せずにいられなかった。

 それがきっかけで普段は気にしない孤独感が増し、ベッドの中に外套を引きずり込む]


  傍にいてくれ──椿。



[もう、彼女の匂いはしない。使い込んでいけばいくほど、彼女のものだった痕跡は薄れていく。それでもこれは、彼女との思い出を繋ぎ止めるもののひとつ]

[変わらないことを望んで縋り続けた生活を捨て、新たな道に踏み出した。かつては一度も考えなかった選択肢の先に、今、立っている。
 かつて歩んだ道と違い、信じられるものは何もない。
 だからこそ、歩み続けてみるしかなかった。

 旅路の先で何か見つけても、何も見つからなくても、今はただ、思いのままに。
 どこにも抜け道のない袋小路だと思っていた場所さえ、こうして抜け出してこられたのだ。
 正しくても間違っていても、心のまま歩めばいい。そうすればいつか行き詰まったとしても、きっとまた、道は拓ける。

 これから先の旅路も、彼女と一緒に。
 誰にも見えない『二人旅』を、共に終えるときまで]**


[ああ、死にたいな。]
 


[天美と共にある時間が楽しければ楽しいほど
 その気持ちは募る。

 共に死にたい。置いて行かれたくなどない。
 そう、口にすることはないけれど。

 共に死ねるのが、一番良い
 俺一人だけが死ねずに天美を看取って、
 その後をどうすればいいか解らない。

 でもあの頃より死ぬ方法は増えたから。
 そのどれかが引っかかってくれるといい。]
 

[自分たちには時間がある
 物はないけど思い出は残る。
 それは憂いではなく、楽しい事なのだと。
 繋いだ手から何か注ぎ込まれでもされているのだろうか。

 そうかもしれない。

 自分にとって生きるために必要な食事は、
 きっと天美の存在だ。]

【人】 天原 珠月

[実は夜中に一度、目が覚めていた。

ふわふわした意識の中であたたかさを感じる。
幼馴染の体温が自分より少しだけ低くて、寝息が静かで、隣が心地良いのは昔から変わらなかった。
熱を出したときに気持ちいいと引っ付いて、ケロリと回復したときには幼馴染>>218の額が熱いなんて良くあった笑い話だ。

寝る前のやりとりを思い出す。
今なら少しだけ落ち着いて受け止められた。
雅空>>224も同じ頃に自分を意識しだしていたこと。
そんなところまで一緒で、呆れてしまうし、嬉しかった。
なんだか夢みたいだ。
朝起きたら幼馴染がいつも通りなんじゃないかって。
でも、ちゃんとそんなことないとも思えている。

だって、心臓がドキドキしているから。
今眠っている雅空の手はきちんと自分の背中に回され、巻き込むようにくっつけられていた足>>223もそのままで。
そこに幼馴染へだけじゃない想いが感じ取れる。]
(265) 2023/03/14(Tue) 20:41:34

【人】 天原 珠月

[そうっと瞼を上げる。
天窓から差し込むあわい月の光に雅空の横顔が浮かぶ。

いつの間にか彼の方を向いて眠っていたらしい。
意識のない間まで焦がれているみたいで気恥ずかしいけれど、やっぱり自分は自分に嘘をつけないんだなぁと諦めである。

メガネをかけていない寝顔。
普段優しげに下がっている眉はすっと引かれていて、群青色は瞼に遮られ、笑っているときは緩んだり意地悪につり上がったりする唇はほんの少しだけ開いていた。
頼むからいきなり起きないでよ、と願う。
ここであの青色と合ったら多分本気で一瞬心臓が止まる。

私にはずっとカッコいいんだから。
これからも、私にだけモテてれば良いんだ。

用心深いから、寝ていたって声に出してやらないけれど。]
(266) 2023/03/14(Tue) 20:41:39

【人】 天原 珠月


 ……。

[そろりそろり。
指先を伸ばして、雅空の鼻先をちょんとつついた。

あ、むずむずしたらしい。
眉根が寄ってる。ふふっ。]

 あーあ、何かしちゃったな。

[何もしなくても、なんて雅空は言っていたっけ。
それを受け取るには素直になりきれないから、照れ隠しの悪戯をひとつ、そうして傍にくっついて目を閉じた。

日常と、変化。
でも朝の目覚めはきっと穏やかになる――]
(267) 2023/03/14(Tue) 20:41:47

【人】 天原 珠月

[――穏やかさどこいった!!? が朝のこと。]

 ……。

[誰が蹴るか、あんだけ近くて寝相悪くできるか!
お互い成長したなーなんて言われたら変に意識して恥ずかしくなっている自分の方がおかしいみたいだ。

じゃなくて、なんで、>>226]

 コンタクト持ってきてるなんて聞いてないし……ッ

[メガネをしないで安心させない云々の話はあった。
今後の覚悟も決めようとしていた、けれど。
昨夜の今日からなんて思わなかった。
実は普段から持ち歩いてたのかと疑い、すぐに湖に潜ったという話を思い出したけれど、落ち着く薬にはならない。]

 メガネとったくらいでね、私をドキドキさせようなんて百万年早いんだから、思い上がったらダメ。

[だれだけ長い付き合いだと思っているのか。
メガネをつけ始める前から幼馴染なのだ。]
(268) 2023/03/14(Tue) 20:42:11

【人】 天原 珠月


 ……。

[隣同士で歯を磨くとき、鏡を見るときに微妙に目を逸らしていたのはバレバレだったことだろう。
でも自分は自分、結局いつもの通りでもあって。]

 朝ご飯、なに? なに?

[幼馴染でも恋人でも、彼のご飯には敵わない。
敵うつもりもない。両手で万歳してお手上げだ。

回りを片付け、コタツテーブルを拭き、洗い物を適宜挟んで、湯飲みに熱い緑茶を淹れる準備は手慣れたもの。
時々手元を少し離れて覗き込みつつお腹を鳴らした。
少しずつ出汁と鯛の上品で食欲をそそる良い匂いに、お味噌汁のほっとする朝の匂いが重なって鼻をくすぐり、卵の殻を割るかろやかな音、卵焼きを作るじゅうじゅうという音が耳から美味しいぞ!と伝えてくるからたまらない。]

 この蓋を開ける瞬間、たまんないよね〜。

[鍋用の座布団をうやうやしくコタツテーブルの中央へ。
雅空が土鍋を置き、見つめる先で蓋を開けていく。]
(269) 2023/03/14(Tue) 20:42:41

【人】 天原 珠月


 うわぁぁ……!

[おいしそう、早く頬張りたい、それしか浮かばない。
耐えきれずに料理人の肩をぱしぱし叩いたら、呆れられたのか苦笑されたのか、まぁいつものことである。]

 すごい。最高の朝ご飯。
 雅空兄ぃは良いお嫁さんになる!

[まだまだ呼び方を変えるのは気恥ずかしいし。
こうしていると、自然といつもの軽口に兄と出てくる。
それはそれで、悪くないんだろうと思う。
雅空も嬉しそうに笑ってくれるから。]

 おいしい!!

[笑顔で顔を見合わせよう。これは幸せな日常のひとつ。]
(270) 2023/03/14(Tue) 20:44:29

【人】 天原 珠月


 ……あ、でもさ。

 お嫁さん、じゃなくて、旦那さんが料理上手もいいよね。

[お代わり中の箸を止めて、ぽつり。]

 なんでもないでーす。

 ほら食べ終わったら温泉行くんだからね!
 湖の周りも散歩したいし!

[これからもこうして、雅空と過ごしていきたい。*]
(271) 2023/03/14(Tue) 20:44:54
[彼を前にすると恋する顏が出てしまう。
ふとした瞬間に溢れる感情は止めどない。エッチな事を口にしたり、実行したりするよりもずっとずっと恥ずかしい。彼を誘惑するほうが恥ずかしくないだなんて、恋心は厄介だ。その上、彼の理想でありたい自分としては、そんな醜態をさらすことで幻滅されないか。と心配と恐怖があった。けど。

彼の胸にすり寄る自分を彼は痛いほど抱きしめてくれた。
惚れぬいて子どもっぽくなる自分をも、愛していると告げるように。優しい手が、緩まりその代わりにと髪に口づけを落としてくれる。撫でられながら、見上げ]


 ……僕も、好きやで。

 めちゃくちゃ好きや。


[彼が思うよりもずっと愛している。
彼が自分ばかりと好きだといつもどこかで思っていると知ったらそれこそ、僕の方が僕ばかりが好きやって思っているで。と教えただろう。彼の性癖が歪んでいるとは思わなかった。本当に自分が嫌がることを彼はしないし、何時だって大切にしてくれたから。

愛されているのだと分かっている。
けど、それ以上に僕は彼を愛しているのだと。
とてつもなく重いのを自覚して]


楽しみにしときや。

[写真部の部室。
誰からも見えない角度で彼の耳裏にキスをして。
赤い舌を出し、ご奉仕したるで。なんて。

誘いをかける。
恋心に真っ赤になって弱ってしまうのも自分なら。
こうして、彼を煽るのもまた自分だから。

 笑う顏は、艶めいていた*]

[アスルとともに故郷に帰ってすぐは目まぐるしかった。
懐かしい顔ぶれとの再会に喜び、長老から明かされる衝撃の真実に愕然とし、両親も説明を受けた上で自分を送り出していたことにはなんとも言えない顔になり、最後には苦笑してしまった。

結構思い詰めたのは事実なのだ。
過去も理由も仕方なく理解できる面はあれど、自らの後を継いだ巫女も似たように思い悩み、辛い思いもするかもしれないと思えば、簡単に納得して自由を謳歌できないのも自分である。
もっと他に方法はないのか考え、ガクたちの世界でいうお見合い相談所企画を作り上げるのは少し先の未来のお話。

もう巫女としての力はない。
当然、恋占いも遠見もまじないも出来ない。

でもアスルと過ごしてきて、これからも暮らしていくこの島のためにできることをしたかった。
この島が、みんなが、大切だから。]


 そういえばね、アスル。

[くすくすと笑って。]

 巫女の力がなくなってきた頃から、急に私の髪と瞳の色が変化してきていたでしょう?
 あれは前例があることではなくて実は理由は不明だったの。

[時期が時期だったので皆そういう見方をしていたが、文献にも残っておらず、実は首を捻られていたのだ。]

 だから、自分で理由を考えてみたわ。

 私は水に親和性のある力だった。
 水は……例えば湖面は姿を映すでしょう。
 私も水と同じように、……大好きな人の、大好きな色ばかり映して、想って焦がれて、ついに自分を変えてしまった。

 なんて、どうかしら。

[完全に同じにはならなかった淡い青に、月のような銀。
両親からもらった元の色も好きだったが、このアスルと混ざり合ったような色合いはお気に入りだった。]

[そして]

 ええ、いつでも大丈夫!

[アスルへ溌剌とした返事をする。
長い髪をひとつに結んでなびかせ、膝上までの衣装にズボンと革のブーツを着た姿は巫女時代と違う活動的なもの。
今は飛行機乗りと、その相方だから。]

 ……、

[美しいアスルの色をまとった飛行機。私たちの鳥。

身体の奥まで響くエンジン音、大きなプロペラの回る音。
いつになっても逸る心臓は、空へ飛び立つ前の彼の横顔を見た瞬間に一際跳ねて、熱い想いがあふれ出す。

ついに地上に縫い止められた鎖が外れて。
悠々と大きな羽根を風に乗せ、青い空へと飛び立った。]

 




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