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【人】 ユスティ優秀な魔法使いの卵たちが集う魔法学園トカリス。 栄光の冠を擁する学舎の屋上で一人、 新たな魔法の詠唱を試みる青年がいた。 彼の名はユスティ・フレネル。 トップの成績を保ちながらも 一切の妥協を許さない学園の優等生。 授業の中で教えられるものは当然に 暇さえあれば独自の魔法を編み出しては試して 今日もまた狂ったようにその成果を求めていた。 (4) 2023/09/25(Mon) 0:49:07 |
【人】 ユスティ本物を目の当たりにすれば 自惚れる暇もないのだと彼は知っている。 新たに編み出された空間転移の魔法は 詠唱の甲斐も虚しく石ころを空へ運ぶのみ。 これでは星空へ旅立つことなど夢のまた夢。 夕焼け空の小隕石が 小さくため息をついて項垂れていた。** (7) 2023/09/25(Mon) 0:53:21 |
【人】 ユスティ図々しい申し出には無理難題で返すのがいい。 返事の記述と共に再び織り込まれた鳥は 彼女の穏やかなそれとは異なり 勢いよく直線上に飛び、地面へと刺さるだろう。* (26) 2023/09/25(Mon) 19:51:18 |
【人】 ユスティ本来なら出来ないと決めつけるはずだ。 だがしかし彼女は疑わない。 やればできると、疑わない。 挫折を知らないがために 己の実力に蓋をしないからこその芸当 無邪気な大声に心がささくれだつ様は ユスティ自身もまた自己嫌悪を覚えてしまう。 (44) 2023/09/25(Mon) 23:24:25 |
【人】 ユスティ誰もが見惚れた姫の舞 時間が止まったかのような錯覚さえ覚える光景は 目に見える全てを魅了するだろう。 しかしながら裏腹にユスティが感じるものは 腸が焼け爛れたかのような嫉妬でしかなかった。 (50) 2023/09/25(Mon) 23:28:50 |
【人】 ユスティ風に晒された心が乾く。 風が止まり傍へ降り立つ女神は 今のユスティにとっては魂を削る死神に等しい。 嫌味を吐き捨てると離れるように エウロパの三歩先を歩こうとして 何をしていたのかと問われてしまえば 一度だけ歩を止めて 漆黒に淀んだ瞳で問いかけを返す。 (52) 2023/09/25(Mon) 23:30:26 |
【人】 ユスティとはいえ約束は約束だ。 こんなくだらないイベントさっさと済ませよう 妙な真面目ぶりを披露しながら ユスティの足はただ静かに図書館へ向かう。* (55) 2023/09/25(Mon) 23:32:24 |
【人】 ユスティとっさにエウロパの身体を支えながら ユスティは呆れた様子でため息をつく 下手な言い訳をする理由もよく分からないが だとしてもっと上手く言って欲しい これではリアクションもしづらくて仕方ない。 当のエウロパ本人は保健室に行くどころか 図書室に行こうと頑なだ。 その理由が宿題ではないことくらい分かる。 と言ってもじゃあその理由はなんだと 聞かれたところでそこまでは分からない。 (81) 2023/09/26(Tue) 19:01:49 |
【人】 ユスティ腹立たしい。 まるで子供の相手でもしているようだ。 なんの悪意もなく、含みもなく、 自然のままに力を行使する。 その結果どんなことが起こるか 確証は得ずとも憶測はいくつか思い浮かぶ。 いや、思い浮かべなければいけないはずだ。 そしてそれをわざわざ 天才になど教えてやる義理もない。 (82) 2023/09/26(Tue) 19:05:52 |
【人】 ユスティこれは軽い応急処置にしかならないが これで何とかなったというのなら そのまま図書室へ行くとしよう。 ただ今後不調を誤魔化そうものなら 保健室に磔にでもしてやろう。* (84) 2023/09/26(Tue) 19:11:32 |
【人】 ユスティ喜ぶエウロパの横で静かにぼやく。 ちなみに嫌味ではない。しっかりと本音だ。 一大任務を終えて図書室を出ると 校舎もすっかり人の気配がしなくなり、 夕暮れに焼ける廊下を二人で歩いていると ふとエウロパがお礼などと口にする。 ユスティにとってこれ程困る質問もそうはない。 欲しい物は特にないし、手伝うと言っても 彼女に手伝われること自体が ユスティからすれば自身の失敗そのものなのだ。 (112) 2023/09/27(Wed) 10:05:20 |
【人】 ユスティどうせ要らないと言っても聞かないだろう。 初めから断る選択肢など許されていない。 返答に困ったユスティはため息混じりに 保留という逃げの手段へと転じるしかなかった。* (114) 2023/09/27(Wed) 10:06:14 |
【人】 ユスティユスティが言葉を失ったのは想像に難くない。 自分のルーツくらい知っておこうとは思わないのか ありのまま我が道を生きる天才の感性は 自らの常識ではやはり語れない。 天才とは極端に興味の矛先が偏るものだと 誰かが言っていたのだが エウロパにもその片鱗が見えた瞬間だった。 思わず眉間を指で押えながら 魔法でエウロパの持つ参考書のページを捲る。 ページは木星群にある衛星の内容が書かれた 場所でぴたりと止まりユスティは解説を挟む。 (129) 2023/09/27(Wed) 20:25:48 |
【人】 ユスティ「エウロパという衛星は表面が氷になっていて その奥にはたくさんの水があるとされるけど 最近では生命が生き残れるだけの 環境があるとも言われているんだ。 遠い将来エウロパに人が移住する そんなことも有り得るかもしれないね。」 (130) 2023/09/27(Wed) 20:26:44 |
【人】 ユスティ「そもそも、人に頼らずして 成し遂げるからこその成功でしょ。 日頃やろうとしていることなのに キミに手伝われてたら意味が無いんだよ。」 (133) 2023/09/27(Wed) 20:29:24 |
【人】 ユスティ何もおかしなことは言っていないはず。 だがそれで彼女を納得させられた、 というわけでもなさそうだ。 むしろ行くなと前に立ち塞がれるように 物理的な逃げ場まで塞がれてしまう。 (134) 2023/09/27(Wed) 20:30:44 |
【人】 ユスティ「相変わらず燃費が悪いね。 何か食べていったらいいんじゃない?」 そこは魔力との関係も否定できないから だらしないなどと言う気もなく。 ため息をつくエウロパは流石に不憫で ついつい買い食いの提案をしてしまう。 後は自分だけそそくさと帰ろうと思うのだが それを果たしてエウロパが許してくれるかどうか。* (137) 2023/09/27(Wed) 20:34:28 |
【人】 ユスティ危うく馬鹿と言いかけた。 何とか耐えた自分を褒めてやりたいと ユスティは気を取り直す。 氷になにか嫌な思い出でもあるのか。 エウロパの表情は暗い。 昔、森の中だけ季節が変わった あの時のこととなにか関係があるのだろうか。 考えたところで仕方がないのだが。 この勉学と魔法の技については エウロパという少女はまだまだ謎が深い。 きっと未熟さの中に眠る信念のような芯を ユスティが知ろうともしないせいだ。 (153) 2023/09/29(Fri) 23:35:12 |
【人】 ユスティ勉強範囲ではない話に食いつかれても困るのだが、 興味を否定する行為は学びにおいては毒になる。 本当なら歳が十になる頃には看破すべき ステージのはずなのだが、 まだ到達していないのならば合わせる他ない。 誰かの力を借りるの悪いことじゃない、などと 救われない正論を言われて顔を顰めるのは エウロパのステージの話とはまた別のことだが。 (155) 2023/09/29(Fri) 23:38:14 |
【人】 ユスティ「仮に力を借りたり、助け合ったり そうやって大きな物事を達成する時には 携わる人同士の力がある程度 釣り合っていなければダメなんだ。」 (156) 2023/09/29(Fri) 23:38:35 |
【人】 ユスティ「例えばキミの力を借りて ボクがなにか難しい術を成功させたとしよう。 キミとボクが同じくらいの力なら 協力し合ったと誰が見てもわかる。 でも今キミの力を借りるボクをみたら 皆はボクの事をなんて言うと思う?」 (157) 2023/09/29(Fri) 23:39:36 |
【人】 ユスティユスティはそれ以上を語らず暗に告げる。 エウロパとの間で協力など成立しない。 だからキミにしてもらうことなど何も無いのだと。 決して相入れることなどないし 狐は狐としかつるめない。 その国境を改めて示しながら どこか侘しげにため息をついた。 (160) 2023/09/29(Fri) 23:42:57 |
【人】 ユスティ突如としてユスティに電流走る。 やはりエウロパはただで帰す気がないらしい。 本当は自室で簡素な食事でも作ろうと だからエウロパの誘いには乗れないと そう言おうとして口篭った。 「私もユスティのご飯食べたい!」 と言われる未来しか見えない。 それだけは本当に勘弁して欲しい。 どうにかして断る理由を考えていると エウロパに手を取られた。 男なら嬉しいはずの女の子からお誘い。 だが当の本人にとってはまるで手錠だ。 (161) 2023/09/29(Fri) 23:43:59 |
【人】 ユスティ魔力の分流は肌同士の接触により起きる。 触れれば触れるほど分流の地点は増え より多量の魔力を伝達できるものだ。 しかしエウロパの量は異常であり 手を繋ぐだけでも支障が出かねない。 ごめんと謝りながら手を離しながら どうして自分が謝っているのかと戸惑っていると 何を想ったのか、エウロパの足が止まった。 (163) 2023/09/29(Fri) 23:45:32 |
【人】 ユスティ静かに答える。しかしユスティには分からなかった。 その質問はエウロパにとってなんの意図があるのか。 自分が仮に他の人に同じことをしたとしても それが処置でエウロパも同じやり方を知っていたら きっと同じことをするのではないか。 そこになんの差があるというのだろうか。 (166) 2023/09/29(Fri) 23:47:14 |
【人】 ユスティそんな風に立ち止まったせいか それとたまたまか。 お目当てのホットドックの看板には SOLD OUTの文字が書かれていた。 「時間も遅かったからね。 代わりのものでも食べればいいんじゃない? 今日世界が終わるわけじゃないんだから。」 しれっと最後の一個だったコロッケを買うと 肩を落とすどころか蹲るエウロパが なぜかとても哀れに見えてしまった。 まるでこの世の終わりみたいな空気を発して それを横目に一人だけ食べるということもできず。 (167) 2023/09/29(Fri) 23:49:51 |
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