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人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


夜になると、ときおり思い出すことがある。
はっきりと“いつ”と断言のできない幼少の記憶。
ひとりきりで眠る幼子の記憶。

幼すぎて覚えていないというわけではない。
ただただ、それが常だっただけ。

「……Madre」

夜の消灯は、その頃から苦手だ。
同じように明かりをつけたまま、同じように、呟いた。

きっとどこかの会議室だったかもしれないし
道端だったかも、閑散とした店だったかもしれないけれど。

狂った犬は
“志”
を同じくする者を探していた。

目的は違うかもしれないけれど
為す事は、同じ
さて、どんな顔ぶれが集まるのだろう。


──あ、夢だわこれ。

夢の中特有の妙な確信は不意に訪れた。

「おー。これあれか、明晰夢ってやつじゃん。
 てことはつまり……」

曰く、明晰夢というものは夢を自在にコントロールできるらしい。
つまりは欲しいものも欲しいだけ。むん、と念じる。

「酒!!!」



「出ねえじゃん!!!」


よいこの夢だったらしい。

三日月島の街中、大してひっそりとした場所でもないところに建つホテル。
ひと月ほど前から、この一室には宿泊者がある。
夜になっても、留守の時も消えない電灯。
いつ不在でいつ眠っているかなんて、外からでは決して分からない。

その時在室していた名義人の彼女は、のびやかにあくびなんぞ繰り広げていた。
「そうだ」と、本当に今そこで思い出したどうでもいいことのように。

「一応〜、教えてもらったこと、本当か調べてみたんですけどお」
「嘘じゃあなかったからあ。信用しますねえ」

あまりにも軽い。
そもそも、その腕を信用したから声をかけたのだけれど。
順序が逆で、ちぐはぐだ。その印象を抱いたなら、間違いではない。


「椅子、テーブル、……これはいけんのか。
 んじゃあグラス、レモネード……これも?
 なんで酒だめなんだよ」

本気で夢のデバッグをしている。
延々と…

――反社会組織取締法成立のため、
さる資産家が多額の融資を行った。
そいつは『アリソン・カンパネッロ』という女性だという。
署長代理を強力に支援したという、
けれど正体不明の彼女の存在は、
この法案において独特な立ち位置を持っていた。

そんな彼女から、あなたたちへと連絡が入る。
あなたたちは、警官として秘密裏に摘発チームにアサインされただろうか。
それとも、全く別の理由で関わるのだろうか?


/*改めて、皇狼です。
皆さまよろしくお願いいたします。

もしよろしければですが、所属組織の関係もあり私から皆様にお声をかけるシーンなどやらせていただければと思います。
皆さんはどういう立場で摘発チームに参加しているかなど、
開示できる情報がありましたらお伺いできれば幸いです!

資産家の投資もあり、とんとん拍子で進んだ法案
それに表向きは賛同する形で
部下はその手を上げた。

内心は全く別の物で、守りたいものが守れればそれでいい
その為にはマフィアは勿論…
怪しい者はマフィア以外であってもその手を止めない心構えだ。

外部に漏れる事を恐れてか
その名を
『Albero(アルベッロ)』
と名乗っただろう。

/*どうもお世話になります、凶狼です。
是非ともそのシーンのお伴をさせていただきたく思います。

当PCがこの役割に加担する理由は上で述べたのが
およその理由になっております。

『守るべきものを守るため』
『その為に手段は選ばない』

その2点が主でございます
どうぞ、よろしくお願いいたします。

「金が関わる分確かな情報を出してるからなあ?
 パンの好みぐらいなら時間で変わる可能性もあったが」

手元の手帳と睨み合いっ子をしていた男は声をかけられれば、あなたに視線を向き直して話に応じた。

「そんなもんで信用すんのかー……あー。
 一応使える伝全部に手回しをした。個人を調べるなら一日一件が限界、だな。
 だが調べるために動いているうちに、此処も俺のこともバレやすくなる。
 ……日が経つほど盗聴されたり突入つされるリスクがある、気を配ってくれ」

「大体女一人で大層なことを考えてるが、他の協力者はいるのか?
 そもそも個人か、誰かの差し金なのかぐらい聞いてもいいか」

自分の身内を売る戸惑いのなさの理由を聞いてやりたいのをぐっとこらえて、協力者としての質問をした。
雇っている人数や手間で相手の規模がわかるだろう。
もしかしたらあなたは更に大きな企業に雇われているのかもしれないし、と。

もう一匹の狂った犬は、同じ"志"からここにいるのか。
問いかけたところで肯定を示し笑みを浮かべるだけ。

しかし、為すことは同じであり、
道は違えど行き先は一緒おなじといったところだ。

それは、守りたいものがある訳ではない。
それは、帰るべき場がある訳ではない。
だからこそ利用しやすく、だからこそ選ばれた。
真に自分の意志を持たない犬は、命を受けどんな者にも牙を剥く。


それはもう一匹の狂犬を真似るように、
N.N.エヌエヌ
』と名乗ったことだろう。


/*
遅くなりましたがもう一匹の凶狼です。
改めましてどうぞよろしくお願い致します。

是非ともご提案に乗らせていただければと思います。
どういった立場かという点ですが
本来の人間性として、表向きとは異なるものを持つ事を暴かれ
その結果半ば脅すような形で参加することとなりました。
つまりは『利用しやすさ』『命への忠実さ』からこの場におります。

狂犬でありつつも皆様の良き手足になれれば幸いです。

はあいと間延びをした返事。

「もしものときは、勿論知らん顔して逃げてくださいねえ。」
「…そもそもそんな道理の通った法令では、あんまりなさそうですけどお。」

実情を知る女は、そこでようやく眺めていたディスプレイから視線を外した。
ディスプレイに並ぶのは『反社会組織取締法』、通称マフィア取締法についての概要。
法という名の無法。率直な感想はそれだった。

「んー……」

さて、質問には悩む様子だった。
どうやら一言で答えるのは難しいらしく。

「多分、個人ですよお」
「誰かに命令されたとかじゃ、ありませんしい……」

「ただあたしは警察の、摘発チームの人間ですからあ。」
「……やれないことは、ないですよお。きっと。個人でも。」

内部に信用されているからこそのこの立場であると、女は嘯いている。

――理由など聞かれることはない。
警察の関係しない、だが恐らくは誰かの息がかかった雑居ビル。
打ちっぱなしのコンクリートで覆われたそこの一階に、
狂犬が二人集められた。

無機質な机と椅子が三脚。
それだけの部屋に、

「『Albero』、『N.N.』だな。
 アリソン・カンパネッロだ。
 アリソンと呼べ」

とても『女史』とは呼べない風体の者が、
ドアを押し開け、靴音高く入ってくる。


/*ありがとうございます! よき狼ライフを送りましょう。
ちなみにこちらはこの通り、
法案の成立を強力に後押ししたある意味での仕掛人、クロマクです。
立場上偉そうにふるまい、指示をくだすことも多いかと思いますが、基本的に行動は相談して決めて行ければと思っておりますのでよろしくお願いいたします!

カツン、と響いた靴の音に反応して
狂犬が一匹、笑みを浮かべる。

「どーも。アリソン女史。
お待ちしておりましたよ。我らがReginetta(女王陛下)。」

今はAlberoだから、そういう振る舞いをする。
上司ともなる相手には礼を尽くさねばと
一礼を取りながらも、何故か砕けた様子で。

「私はAlbero。
貴方様の部下として存分に使っていただきたい。」

なんて、形式だけの言葉を並べる。

「なんてな。まさかアンタがアリソン女史だったとは。
イメチェンにも程がないかい?」

椅子に腰掛けることなく、
壁に背を預け、遠くを眺めるようにしていた一匹は、
響いた靴音に反応して扉へと視線を向ける。

何か言おうかと口を開き、告げようとする頃には、
もう一匹が芝居がかったそれを演じていたものだから。
真似る必要はないだろうと、軽く一礼をし預けた背を浮かして。

「名乗る必要性を感じませんが、自分がN.N.です。
 エヌと……そう呼んでくれればそれで」

普段の様子とは違い、大人しさを見せる一匹は
そのまま近くの椅子を引き、その場に腰掛けた。

どうやら目の前の二人の会話を邪魔する気はないらしく。
机に肘をつき指先に髪を巻き付けて、
薄らと笑みを浮かべながら、二人の様子を眺めている。

「女王でもなんでもない。
 ただのオフィス・レディくらいに扱え」

OLは、法案に莫大な寄付などしない。

「部下でいいのか?
 チームではあるが、組織上の上下などないが」

低いテーブルに腰かけながら、笑みすら浮かべずに返して。

「おれは昔からこうだ。
 眼鏡を外しただけさ」

文字通りだ。

「エヌか。
 お前も頼む」

かつ、かつ、かつ。
靴音がまた響いて、『アリソン』が二人の目の前までやってくる。
差し出されたのは――古びた携帯電話と、口座番号とパスワードが書かれた紙。

「連絡用だ。
 普段は使うな。
 カモフラージュでbotからスパムが延々と届くから、着信音もつかないようになっている」

「こっちはチーム活動用の予算だ。
 好きに使え。領収書なんか出さなくてもいいが、無駄には使うな」

てきぱきと指示してから、他に質問は? と。

「そりゃあ今のあんたは
莫大な資金を融資してくれたスポンサー様だからな。
丁重に扱うようにと言われている。一応だが。」

なんて上から言われた言葉をそのままに。
差し出された諸々を受け取っては、仕舞うだろう。

「ま、そう言ってくれるなら自由にやるさ。
支給品は了解だ。これらに関して質問もない。
ただ、そうだな。確認したい事がある。」

もう1人の同輩の言葉も待ちながら
自分は確認したい事がある、と。

てっきりもう少し話し込むと思っていたためか、
目の前へとやってくるまで指先は解かれずにいて。
物を差し出されてようやくその指先を解放し、
携帯電話と紙を受け取る。

まず目を通すのは口座番号とパスワードが書かれた紙。
続いて古びた携帯電話を軽く操作する。
操作といっても、本当に簡単なものだけだ。

「…了解です。有難くいただきます」

気が済めばそれらをスーツの内側に仕舞い、
確認したい事があると口にする狂犬に視線を向ける。
様子からするに、特に質問はないのだろう。

揃えた指先でどうぞとでも言いたげにさして、
もう一度机に肘をついた。


「無理はしなくてもいいが。

 ああ、もちろん――"アリソン"がどんな女だったかなど、
 上司にも漏らすなよ。
 女について語ることほど無粋なことはない」

確認については、どうぞ、と手をやる。

「無理はしてないさ。
それと勿論、他言は避けるよ。約束する。」

促されれば両者を見据えて
凶狼はこんな確認を。

「疑わしき者は検挙せよ。
これが共通の認識だと思うが。」

「疑わしいと判断すれば
俺は
マフィアだろうが警察だろうが、検挙する。

それでも構わないな?」

それは己自身をもそうする可能性を秘めている。
狂った狼は見境が無い。

ここに来た時点で最初から他言する気はない。
自分に言われている訳ではなくとも頷いて。

言葉として紡がれた確認に、小さく笑った。

「…勿論、それで構わない。
 
自分も、同じ方針で行く予定だからね


こうして告げるのは事実確認としてよりも、
宣言という方が正しいだろう。
ようやく崩した形で話し始めた一匹は、
皇である『女史』と狂犬に深めた笑みを向ける。

マフィアだとしても警察だとしても。
誰であるとしても
、疑わしきは罰せよ。
その方針を元に一匹は動き続ける。

例え、己の牙が奪われてしまったとしても。
それは自分自身がそうであった……というだけの話なのだから。

「勿論、構わない」

何もためらうことなく頷いて。

「ただ、基本の方針として――
 
どちらでもいいならマフィアだ。


いいな、と確認をとりながら。
ばさり。
机の上に資料を投げる。

「読んだら捨てろ。
 最初のターゲットだ」

ガイオという名のマフィアだ。
観光案内所の役付きで、観光客相手に"仕事"をしている。
…あえて狙う必要はなさそうだが、

「"うまく"やっているやつだ。
 そういうやつも叩けると示せば、今後やりやすくなる」

「直接の執行は任せる。人手が必要なら、警察から要求があれば連絡しろ」

「他」

――質問は?

ファミリーへの明白な敵対行為。
血の掟の上に腰を下ろしてどっかと座るようにふてぶてしく、
男はチームの指揮を執る。

「美人に心配されてんのに尻尾巻いて逃げるのは好まんのだけどねえ」

いつもなら問題なく進む個人情報の習得になにか引っかかるものがあった。
誰かが情報漏えいをあえて阻止しようとするような。
はたまた狙うような視線が見えるような、それがあると知って辞められるものでもないのだが。


「んじゃあ、聞き方変えるかあ……
 その立場でお嬢さんは好き好んで摘発するのかい」

「……万が一心が痛むってんならあ勝手に調べて来て不要な情報は知らせん。
 もし、少しでも愉悦や達成感を感じられそうというのなら――」

「調べたいお仲間を指名してくれえ、別に料金は変えんよ」


男にとって眼の前の女性は賢く、芯があるように見えた。
故に気になってしまう、その瞼の奥で何を考えているのかと。
もしくは、自分と同じ様に
何も感じていない
のかと。

こうして直接聞かねば中々読めないのだ、あなたの心中もこの騒動の発端も。

男はマフィア側でありながらこの騒動に感情的に何かを思うことはなかった。
ただ何故その思考に至ったかを知りたい、そんな一つの欲望で危ない橋を渡ろうとしている。

「んー……」
「好き好んで。そおだねえ。」

またどうも、答えるのが難しいのか。
考えているような間のあいだ、女は両手を広げその爪を眺めている。
それぞれの小指にはマリーゴールドの色をしたエナメル。
黄金の花。太陽の色。

「愉悦感とか、達成感とかは、ないけどお…」

そうして眺めていると、右手のエナメルが欠けていることに気付いた。
塗り直さないとなと、ぼんやり。そうして徐に立ち上がった。

この日は自宅のアパルトメントに寄り、荷物を持ち帰っていた。
部屋の隅に置いたそんなに大きくもない箱を開く。
中から7色の缶を取り出した。フレーバー・ティーのアソートだ。
それを飲むでもなくディスプレイの横にとんと置く。

「同じように、罪悪感は、ないですよお。」

強いられているわけでもないから、当然。
そう女は言ったつもりだろうし、声音に特別な色はなかった。
けれど、それを答えるまでの間が、ひとつの事実を幽かに浮かべている。

 ――きっと、あるのだ。罪悪感は。
 そしてそれを女は、ないものにしたい。

あなたに隠すというよりは、もっと根本的な部分で。
女はそれを抱くことを、そんな自分を、許せない。

「だけど調べたい人とかはいないから、そっちはいいですよお。」

続いた声には、幾らか感情が乗った。
それを押し殺そうという意思が女の口から消えたのだ。

「逆に調べなくていい人は、もしかしたら出るかもお。」
「結果を待つ前に動くかもとか、そういうのお。」

余計な手間はかけられないしいとぼやきながら、再度座った女は、欠けたエナメルを剥がしにかかった。
リムーバーをコットンに染みさせ、丁寧に拭いとる。

「だからあたしの目標はあ、お兄さんに共有しますねえ。」
「今狙ってるのは、パオロ巡査。そっちは数日中に。」
「あとは――」

「――ニーノ・サヴィア。」

「そこまでの予定は決まってますからあ。」
「手間をかけて調査するんでしたら、それ以外をおすすめしますう。」

綿棒にもリムーバーを染み込ませ、際や端のエナメルもおとしながら。
もう一度その声は事務的に、無感動に、変わっていく。

ホテルへと戻る前に、女は本来の自室であるアパルトメントに寄り道をした。
そこで荷物を受け取ると、包みを開こうともせず大事そうにそれを抱える。
暫しそうして満足した頃、ようやく大した大きさもなかろう箱を開いた。

中に並んだ7色を眩しそうに見つめ、知らずのうちに口元が緩む。
勿体なくて、まだ食べることの出来ずにいたチョコレート。
一緒に食べろということだろうけど、これもまた少し勿体なくて一度箱を閉じた。

いつもこうなのだ。
あの人が、色んな人に同じようにしていることはわかっている。
それなのにこんなにひとり喜んでいることは、自分だけのささやかな秘密なのだった。


──文面上でのやりとりをしてから数日後。

普段は昼間に顔を合わせることの方が多いが、本日の時刻は陽も暮れた夜に近い頃。
確か貴方が教えてくれたバーは此処だった気がすると、待ち合わせ時間の十分ほど前に店の前でそわついていた。
あまなんちゃら…と頭の中でバーの名前を朧気に思い出そうとしながら、時折周囲に視線を配らせる。
来てくれるかな。

「Si. 仰せのままに。
ふぅん…なるほどね。」

寄越された書類に目を通して
中身を確認すれば

「確かに、牽制にはなるだろうな。
しょっ引くのは任せてくれ。
仕事に関しては俺はこれ以上は無い、な。」

書類は後でシュレッダーに掛けるなりして
抹消するつもりで…取りあえずは頷いているだろうか。

「任せる。やり方もな。

 ああ、部下も逃がすな。
 名簿にあるやつは全員引っ張っていい。
 なるべく殺すなよ。死者はリスクで、俺はリスクが嫌いだ」

殺さなければいいということだろう。

「それと――……別に摘発チームが編成されているらしい。
 そっちについて何か分かったら教えろ。
 警察内部の情報は、さすがにわからん」

「殺さねえよ。
やたらめったら銃を抜くのは此方も不本意だからな。
今でもいい印象があまりないってのに逆効果だろ。」

上手く進めるためには立ち回りもまた重要。
その事を、狼は狂いながらもよく分かっている。

「別の摘発チーム、か。
分かった。何かしらの情報が掴めたら渡すよ。
もしこっちの邪魔になるようだったら潰すかい?」

好戦的な表情で笑う。

「…自分も、それについても構いませんよ」

基本の方針、
"アリソン女史"の方針がそれだと言うならばそれに従おう。
崩れた言葉を元に戻して、投げられた資料を手に取る。

何故ファミリーに?と問うことはない。
それは目の前の人間の素性を知らぬ故ではなく、
どちらであったとしても、わざわざ問おうと言う気はないだけ。

黙って資料を読み込んだ後、そのまま静かに頷く。
あとはこの資料を破棄し、実行するだけ。
とは言っても、隣にいるもうひとりのやる気を見るに。
本命は任せてもいいのかもしれないと机を軽く叩いた。

「……別の摘発チームについても了解です。
 自分も、何か情報が入り次第共有します」

邪魔になるようだったら……さて、どうするのか。
従うつもりでいるもう一匹は、好戦的な笑みを横目に眺めた。

「分っているならいい。
 大分強引な仕組みだ、無理をしすぎず実績だけ積み上げて、動きやすくしてやろう」

続く言葉にも、ああ、と頷く。

「これは"アリソン"のプランだ。
 俺の目が届かないチームは要らん。
 潰せ」

淡々と告げる。いらないものをゴミ箱にすてるのは当然のことだと、そういっているだけのよう。


「分っているならいい。
 大分強引な仕組みだ、無理をしすぎず実績だけ積み上げて、動きやすくしてやろう」

続く言葉にも、ああ、と頷く。

「これは"アリソン"のプランだ。
 俺の目が届かないチームは要らん。
 潰せ」


「話がスムーズでなによりだ。
 できるチームを持ててうれしい」

N.N.の言葉にも頷く。
…どういう姿勢か、なぜ参画したのか、そういうことは一切問わない。
ただ話がまとまったという事実だけで十分と、手を鳴らす。

「では、解散。
 ここはもう使わん。
 次の場所は、また連絡する」

「…了解」

潰せと命を下されるなら話は早い。
要らないものは狂犬らしく喰い荒らそう。

解散の合図と同時に立ち上がり、
次の場所についても理解したと肯定を示すように頷いた。
ここでいつものように振る舞うのもひとつだが、最初の会合だ。
まともさを少しくらい見せておく方が
使える
だろう。

そのまま2人へと軽く頭を下げ、扉に手をかけた後。
男はひとり先に、この場から立ち去っていく。

まるで何事もなかったように、いつも通りの笑顔を貼り付けて。

「了解した。じゃあそのように。」

潰せとの言葉に喉で笑いながら
次の会合のことも頷くだろう。 

先に出ていった同胞の背を追って
もう一匹の凶狼もこの場を後にした。

為すべき事を為しに行く為に。

そしてこちらは不意に貴方の正面に置かれる椅子。
更に背後で困惑の気配──振り返れば一人の女が、
あなたに何て声をかけるか惑うようにまごついていた。

「……あ、あの。貴方がお酒、飲むの?」
「……女の子が頼もうとするからダメなのかしら」

貴方が手当たり次第に何かを叫んでいた様子は見守っていたのか、おっかなびっくりに椅子を頼めば、貴方のテーブル正面側に椅子が配置されて女はおずおずとそこに座る。

「それじゃあ……モヒートを」

望んだものはテーブルの上に現れた。

幸運の神に恵まれたらしい。
椅子と同じようにその場に瞬きする間もなく、グリーンが映える爽やかな夏向けのカクテルがすぐ傍に出現した。

「わっ、本当にでてきたわ。
 凄いわね、手品師の人が運営するお店なのかしら?」
「お嬢さん、きっと有名店であろうここはどこかわかる?」

モヒートにまだ口は着けずに軽くグラスを傾けて艶やかな色を味わっている。
貴方の"地"が些か出ている事も知らない女は、きっと男勝りな愛らしい少女なのだろうと誤解……誤解ではないかもしれないが、とにかくそう思ってそう問うた。


「おいなんでだよ!不平等だろ不平等!!」

不意に現れた──ように思えた──あなたに何かを言うより先に、
現れたカクテルを認めれば不平を嘆いた。
もちろん憤りを向ける先は夢だ。あなたではなく。

「あークソ……何処ってこんなん夢だろ夢。
 こんな出鱈目な店あったら世界中で話題沸騰間違いなしだ
 予約で軽く30年は待たされるね。」

「それにしたってこの差はなんだ?
 深層心理で俺の肝臓が反逆してやがんのか?内臓如きが…」

諦めたのかレモネードをちびちびとやり始めた。
所作がおっさん臭い。

「んで、わけわかんない夢に招待されたご感想は?signorinaお嬢さん

「ご、ごめんね私だけ頂いちゃって……
 ……お嬢さん、今おいくつ?」

思った以上に悪態をつく、どことなくおっさん臭い様子を見て思わず「差し出がましいけれど」と言いたげな声色でそう問い直す。

「夢、夢なのね。夢なら……うーん……
 でも夢でも見逃がしちゃうのはよくないと思うから……
 18歳以上なら、私が代わりにお酒を頼んでも、
 このモヒートを渡しても全然構わないのだけれど……」

肝臓が反逆?と、独特の言い回しについていけてないのか、些か疑問符を沢山浮かべ、困惑を一切隠しもしないまましどろもどろにそう提案する。

「……え?」

「感想、感想……そうね……」
「……夢だと言うなら、もう少し美しい庭園みたいな
 場所ならよかったかもしれないかなって」

なんて迂闊に呟けば、薄ぼんやりとした空間に薔薇の庭園が周囲に花を咲かせだす。早送りする映像化のように葉から蕾に、そして花に変わり咲き誇る様子は、まさに夢としか思えない光景だ。

「……わ、わ……」

それを願った当の本人は、夢をすっかり信じ込んでいるにもかかわらずその様子に思わず口を覆って言葉も出なくなっているが。


「29だけど」

29だけど、ではない。

レモネード片手に椅子にどっかと座り、肘をついたまま。
文字通り夢のように変わっていく景色を見ながら半目になる。
何でもありか、とでも言いたげに。

「ていうかタッパもあんたとそんなに変わらないだろ。
 口振りからしてあんたも成人だろうし」

実際、両者の身長はそう変わりない。
そして未成年飲酒を咎める側ならあなたは成人だろうと推測した。

「夢の中でも未成年飲酒を見逃せないとは
 随分正義感に溢れたお人だな。普段は教師でもやってるのか?」

椅子から立ち上がり、庭園の薔薇を一つ手折りながらそう尋ねる。

相手は所詮は夢の中の住民、詮索する事に大した価値は無い。
この自称29歳は今はそう思っている。
とはいえ詮索するような事を言ってしまうのは職業病か。

「は、はわ……
に、にじゅうきゅう……」


どうぞ、飲んでくださいとばかりにまだ手を付けていなかったモヒートを差し出した。グラスの中の氷がカランと鳴ると同時に、気まずそうに顔を俯かせる。

「す、すすすすみません、すみません……
 随分可愛らしい方だったから、まさか私より年上とは……」

先入観、と言う物の怖さを知る。
こんなだから職場でも叱られるのだ、なんて夢のない話は心の奥にしまって、改めて薔薇を手折る貴方を見て見れば確かに背丈はそう変わらず、失礼な発言ももっと慎重にしていればよかったのだと項垂れる。

「きょ、教師なんて滅相も。
 今は……け、警察官を……していて……」

むしろ人によっては教師以上に滅相もある職業である。
こんな頼りなさが先に見える存在が警察だと知られたら、尚の事呆れられる懸念はあるけれど、隠し通すなんて思考はない。
賢明ともいうし、馬鹿正直ともいうし、愚かともいう。

「……そちらは、その、何の職を?」


「おっしゃ。ラッキー」

差し出されたモヒートを上機嫌に受け取った。
あなたの慌てぶりや気まずさも何処吹く風といった様子だ。
何ならこの自称29歳は元々勘違いをあまり気にはしないたちであり
あなたが一方的に気まずくなり損かもしれない。

「へえ、警察官ねえ……」


………警察官ん〜?

 警察官ってあの警察官か?間違いなく?sul serio?マジで?
 あんたそんだけ弱腰でよく受かったな」

一瞬流しかけた。衝撃の事実を。
呆れを通り越してこれでよく受かったもんだと感心するくらい。
こんな夢を見ている深層心理はどうなっているのだろう。

「何って聞かれると『色々だ』としか言えねえな。
 けどま、大雑把に言うなら……」


「裏のお仕事。所謂マフィアってやつだよ」

「さて、夢の中でも未成年飲酒を見過ごせないお巡りさんは……
 マフィアはどうする?しょっ引くか?」

「あれ。早いじゃん」

あの後紹介したバーの前に向かえば、
既に待ち合わせの相手の姿は店前にあった。
思わずぽろっとそう口に出してから、すぐに貴方の傍に寄って行く。

「すまーん。待たせた?ちゃんと迷わないで来れた?」
「胃薬とか持ってきたから欲しくなったら言えよな。
 金はあんま気にしないでいいから……」

瓶底眼鏡に一つに括った長い髪。
バー自体はおしゃれなので服装こそいつもよりまともだが、
それ以外は普段通りの恰好だ。

「うぅ……す、すみません……
 私なんかが警察官だと不安にさせてしまうかもで……
 ですが本当です。勉強を教えてくれた幼馴染たちがいたから、なんとか、なんとか……受かって……」

指摘されているのは頭ではなく態度の方なのに頓珍漢な受け答えだ。この間の読まなさでは頭の方もお察しだと思われてもまるでおかしくない。

「……え」
「マフィア」

そうして、貴方の告白に息を呑む。
けれど、次がおかしい。
驚きの次に見せた反応は、一般市民連中に比べれば、随分とおかしなものだ。

「お姉さん、」
「マフィアなんですか」

なんせ、むしろ安堵するかのように声色をよりによって紡ぐのだ。
マフィアと別の職を聞き間違えた?そんな事はない。
女の視線は真っ直ぐに、憧憬の眼差しをもって、警察官が向ける反応としてはどう考えてもおかしいそれを、女は後ろめたく思うことなく、向けていた。


「………んんん〜〜???」


安堵したかのような声色、憧憬すら滲む瞳。
予想していた反応と違う。
大方慌てるか、困るか、そのくらいだと踏んでいたのだが。

「マフィアってそんな地域密着型の組織じゃなかったよなあ?
 身内にこっちの人間が居りゃ警察は落とされるだろうし……
 昔スラムに出入りでもしてたか?」

あなたの事など知るよしも無いから、憶測でものを言う。

路地裏、スラム、裏社会と呼ばれるもの。
それら無秩序なりの秩序を保つのがマフィアというものだ。
それに対し親しみを向ける者には、そういった過去がある。
推測未満のものの中から、適当に思い付いたものを挙げた。

「出入りしていた訳ではないんですけど、その」

「誘拐された所を、誘拐されかけた所を、
 マフィアの方たちに助けて貰った事があって……」

言い間違いの訂正ではない。
つまるところ、そのような機会が複数回起こり、数度は恩を感じる程に、別人にそれぞれ助けられたと言うことだろう。

それだけ攫われかけるのはただの不運で片付けるには少々苦しいが、性格や立ち振る舞いを考えるとそうあり得ない話でもない、そんな印象かもしれない。

「私が今ここに居るのは、その人たちのお陰です。
 だから、どうしても抜けきらないんです。色々と。
 ……私はアリーチェ。貴方のお名前をお聞きしても?」

抜けきらない。その言葉からは、憧憬に近い眼差しは本人なりに自覚があって普段はもう少し隠そうとしている事を指している。


「ペネロペ。」

息をするように偽名を名乗る。
これを名乗る間はただの一市民のペネロペ・ベリーニだ。
それは血の掟に対する屁理屈でもあった。

「あんたが昔っからおっちょこちょいなのはよーくわかった。
 今の今まで恩が抜け切らないほどマフィアに助けられるような、
 天然記念物並みのな。」

「ま、俺も抗争……対立は好きじゃない」

デカけりゃデカい程な。そう続けて。

「仲良くしようじゃねえの。酒の礼だ」

テーブルの方へと戻り、手折った薔薇をあなたに差し出した。

「ペネロペ……よろしくね、ペネロペ」

音の響きを確かめるように、二度そう呼んで。
おっちょこちょいを指摘されれば気恥ずかしさと情けなさで眉尻を下げながら困り顔笑いを浮かべた。

「奇遇ね。私も対立や抗争は好きじゃないわ。
 組織同士では相容れなくても、
 個人間では分かり合えることだってあるんじゃないかって」

それから差し出された薔薇を両の手で、硝子細工でも受け取るかのように慎重に受け取って、淡く頬を色付かせた笑みを返す。

「Grazie mille。ええ、この奇妙な縁こそ、大事にするわ。
 園芸が好きな幼馴染がいてね。それで私もお花が好きなの。
 ペネロペもお花は好き?」


「そう、美しさに惹かれて108人の男が押し掛けた逸話が有名な
 あのペネロペだ。よろしくどーぞ」

あなたの頬のように淡く色付いた薔薇を渡せば、
そんな余計な話を付け足して応える。
自分はその名を欲しいがままにしている、とでも言うように。

「ま、所属でレッテル貼って個人を見ないのは前時代的だわな。
 とはいえ誰も彼もがそうともいかねえのが現実だが……
 奇妙な縁ねえ。またこの夢を見る事がありゃいいけどな。」

「花ァ?良くも悪くも普通だな。
 貰う事はあるし、知り合いに好きそうな奴は居るが…
 そこまで特別気にした事は無いな」

「俺はメンタリストでも飯屋でもないただの便利な男だがあ。
 お前さんから考え事をしていると食事を抜く人間の気配がする。
 ひっつかまる前に倒れないでくれよお、雇い主様。
 信頼関係とかどうでもいいから」

無感動か、感情が乗っている方か、何方の感情の素であるかなど男にとっては些事だ。
貴方が少なくともこの会話の中で隠そうとしたものがあり、
何かが揺れていることだけがなんとなく分かった、それだけでいい。
女心というモノを見るのは慣れている、正しくさばけるかは置いておいて、だ。

今日で感じたことは、目の前の人間はどことなくストレスを一人でためるような人間に見えたことだ。

「ああそうだな、もうターゲットが決まってるなら。
 そいつは除いておこう、その都度教えてくれ。
 
あとはあいつも要らんか……奴が大層な仕事を任されるわけもない。
リヴィオやニコロも……でかい仕事任されないだろ……


誰にするかを決めあぐねていたが自分で選ぶことになりそうだ。
知人の警察の悪口をいいつつ手元の手帳に視線を戻し、あなたの話に耳を傾ける。

「ニーノ・サヴィア……? あー、聞く名前だな……」

手元にある手帳には、現在多くの警察の名がある。
頁をいくつか捲り聞かせてもらった名前を見つければその文字列に指を止めた。
名前に年齢、少し調べればわかる程度の最低限の情報。
個人的な縁は無いが、自分の部下や同僚とも仲がいいと記述があった名前だ。

「……あの金髪のガキか」

多分思い浮かんでいる顔であっているだろう。
敢えて問わずとも何故また彼を、という感情を声色ににじませて貴方の顔を見た。返事がなくとも、構わないが。

「あ!ロメオさん!」

貴方が到着したのを見ればぱっと顔を輝かせた男は、そのまま駆け寄っていく。
こちらの服装はシャツにスラックスにベストと、ジャケットを外したスーツスタイルだ。
もっとラフな出で立ちをしていることもあるが、職業柄か家柄かきっちりとしていることも多いのであまり珍しくはない。

「ちゃんと迷わないで来れた!
 でも普段入らないからそわそわしてて、来てくれてよかった」

「い、胃薬はいるほど飲むかなぁ。
 わかんね〜けど……っていうかお金も!
 オレ働いてるからちゃんと出すよ」

えいと腕を小突くのは普段のじゃれ合いのひとつ。
一先ずは此処で立ちんぼしているのもなんだからと、二人で店内へと足を運ぶのだろう。
けれど入ってすぐこちらは足を止める。
昼間の店とは異なる薄暗さ、その中に漂う大人な雰囲気に圧倒された様子で店内を見回して。

「おっ……オレ、場違いじゃない……?」

先程の腕の小突きとは異なり、今度はちょん……と貴方の服の裾を握った。

「カクテルって度数強いからさぁ、油断してると来るし……」
「いーだろ。払いたいってんなら割り勘でも」

小突かれたら小突き返す。いつものやりとりだ。
ドアを開けて店内に入れば、薄暗い空間に雰囲気の良いBGMが流れていた。
それに混じって聞こえるのは先客の談笑、シェーカーのフラれる音、グラスが置かれる固い音。

「場違いなもんかよ。あんたちゃんとしたカッコしてんだから」
「どうせならカウンター座るべ〜」

こちらはそんな空気に気圧される様子はない。
むしろ慣れた様子で裾を握られたままカウンター席を指さし歩き出した。

「マスターどーもぉ。チーズ貰える?」

先につまみの注文も。カクテルは二人で選ぼうと思って。

じゃあ割り勘!と元気な返事を返したりしていた店前。
その快活さは店内に入ってすぐ、ひととき鳴りを潜めていて。

「え、え〜でもぉ……あっ、待って、待って」

店を教えてくれた辺り貴方はこういう場に慣れているのだろう。
さすがだな、なんて内心感心しきる前に歩き出してしまう。
それで指先を離すということはなく、ちゃんと着いていけば隣り合ってカウンター席に座ることになるのだろう。
すぐにつまみの注文をしている辺りも"慣れ"を感じて、今度こそ素直に感心しながら。

「こんにちは〜……こんばんはか。
 えっとドリンクメニューはこれで……」

テーブルに備え付けられていたメニューを開けば、視線を落として文字を追う。
文字を……追う……お洒落な響きがたくさん……並んで……。

「………………」

「……なっ、名前だけじゃ何がなんだかわかんね〜んだけど……!?」


どうしたら……!?みたいな顔で貴方を見上げた。適当に選んで博打するのかなって思ってる。

エナメルを剥がし終えた手を保湿する。
そうして漸く視線が上がった。鮮やかなミントブルー。

「…倒れませんよお。」
「そんな暇、ありませんしい?」

声に、多少の笑みが乗る。
お金のためであったとしても、その言葉は少し嬉しかった。
それでもその笑みに寂寥が乗ったのはきっと、続いたボヤきを聞いたからだ。
瞬きとともにその寂寥も、塗り潰して消えてしまったけれど。

「そお。あたしたちの可愛い後輩クン。」

さすが、名前くらいは知ってるんだねえと。
続いたその声は、少し明るい。

「新人だから、御しやすいとかあ。」
「同じことを署長代理お上も思ってるかもしれないとかあ。」

「…いろいろあるけど、1番は」
「ちょっと、個人的な事情。って、ことでえ。」

それに巻き込まれるあの子は本当に不憫だ。
だけど、煙が立つ前に日は消さねばならなかった。

並んでカウンター席に座れば、マスターの向こうのボトルや道具なんかが良く見える。
探せばキープボトルに付けられたタグに見知った名前があるかもしれないが、まあ、それはそれとして。

貴方が開いたメニューを覗き見る。
何にしようかね、と並ぶ名前に指を滑らせ──、

「……フ」
「アハハ!や、そーだよな。わかるよ、オレも初めて来た時そうなったから……えーと?」

その反応に声を弾ませて笑った。
それもそうだ。ここはファミリーレストランじゃないのだから、ご親切に全てのメニューに写真が付いている訳じゃない。
ましてやどんな酒で何が入っているかなんて説明が書かれていることの方が少ないし。

「何が気になる?わかる範囲なら教えるよ。
 オレもわかんなかったら……一緒に飲むべ」
「ラムコークとかホワイトルシアンとかもいいぞ。あれ殆どコーラと生クリームコーヒーだから」

まだ緊張の抜けきっていない男はボトルをまじまじと眺めるほどの余裕を生み出せていなかった。
ので、キープボトルのタグには気が付かないまま、そもキープボトルの概念も知らない初心者だが…
笑われると少し恥ずかしそうに一瞬頬を膨らませたが、それこそ子供っぽいのですぐにやめて。

「えっと……えっと」

何が気になるかと言われると、全部気になる。分からなさ過ぎて。
強いて言うならを探そうとする前、貴方からの例示を受けたのでぱっと顔を上げた。

「オレ、コーヒーは好き!
 生クリームコーヒーってうまそ〜……!
 最初それにしようかな、ええっと、ホワイトルシアン?」

「ロメオさんはいつも何頼むの?どんなのが好き?」

おいしそうを思えば単純なので瞳の輝きが戻ってくる。
その勢いのままに貴方の好きなものも知りたくなって元気に尋ねていた。

/*襲撃まわりの描写について、いかがいたしましょうか。
 アリソンからは初回は特にありません。
 運営ちゃんさんには、寄付者の名前としてアリソン・カンパネッロ女史を伝えてあります。お二方から描写などありましたら投げて頂きましたら!

「ひゃ、108人も?美しさと愛くるしさを兼ね備えた存在……
 どうしたらそんなに殿方に意識して貰えるのかしら……
 美しさと言うからにはやはり、見た目が10割だったり…?」

自信満々な調子で放たれた言葉を疑う様子はない。
むしろ108人の男を魅了した蠱惑的な人物ペネロペ氏に、
その極意の一つでも伝授してもらおう、と言う姿勢だ。
こんな女でも一応は異性としての意識はされたいものらしい。

「そう。現実にそぐわない理想論だと叱られる事もあるから
 こうして静かに聞いて貰えるのって、嬉しい物なのね」

「夢なら、目覚めてもまたもう一度会って話がしたいな。
 案外近くに住んでいたり。出会う予知夢かもしれないわ」

花については然程興味がなさそうだから、相槌を打つだけで深く言及したりはしない。女性は花を愛でる人が多いからふわりと聞いただけで、アリーチェも花が好きだが詳しい訳でもなかったからだ。


「さあ?神話の類はスケールが大味だからな。
 108人もの男共を魅惑した所以はオデュッセイア…
 古代ギリシアの『ペネロペ』に学ぶこった」

「俺はまあ素材が良いんだわ、素材が」

やはり自分の外見が良いと言って憚らない。
とはいえそれ相応の努力もしてはいるのだろうが。

「あんたも見た目は悪かないと思うが……
 ここまで聞いた事を考えたら、
 男よりトラブルの方を引き寄せてそうだな」

或いはトラブルの一つでもある悪い男か。
話す傍らにモヒートを一口。あーこれだよこれ、と呟いた。

「予知夢ねえ。
 俺ぁオカルトは信じない質だが……
 ま、あったらあったで面白いかもしれねえな」

夢ならば、あなたが実在する人物かすら怪しいのに。
そう思うのは、こんな奇妙な夢だからかもしれない。

「そうする? んじゃそれにするか。
 カルーアミルクっつーほぼミルクコーヒーみたいなやつもあるんだけどさ。それよりも少し甘いのが、アイリッシュコーヒー……これは生クリームがホイップされて上に乗ってるしザラメも入ってる。しかも温かいカクテル」

コーヒーが好きと聞けば、
すらすらと他のコーヒーカクテルの名前を挙げる。
どれも一回は試し飲みしたものだ。酒は嫌いじゃない。
だからここにも、ここじゃないバーにも通っていたり。

「オレはフルーツ系が好きかなー……カンパリ・オレンジとか、
 スカーレットオハラ……クランベリーとライムのやつね。
 あとチョコっぽいのもおもしれーからたまに飲む。
 グラスホッパーとかほぼチョコミントだし」

メニューを点々と指差してすらすら答えている途中、
自分でも慣れてきたな……と思っていたり。

「お、おお……おお…………」

さらさらと貴方の唇から零れていくお酒の名前の数々。
ミルクコーヒーもおいしそうだし、温かいカクテルだって物珍しいし楽しそう。
そっか、ちゃんとフルーツ系もあるんだって納得しながら、そういうのもさっぱりしていていいんだろうなとか考えつつ。

「チョコミント……!?」


そんなのもあるの……!?の声色である。
瞳を輝かせながら口からハワワ…の声でも出てきそうなところ。

「……ど、どうしよ、ロメオさん。
 全部おいしそうに聞こえるんだけど」

「全部飲んだらオレ潰れる……?」

入るまではそんなに飲みません的なことを言っていたくせに、すぐに覚悟は瓦解した。あれもそれも、気になる。

「すごいよな。しかもちゃんと酒なんだぜ」

「…………」
「飲み方によるかなー……。全部15度以上あるだろうし」

全部か。腕を組んで少し考えた後、
ペース配分によるだろうとの結論を出した。

「一気にいっぱい飲んだら潰れるよ、多分。
 ……オレでも潰れるし。少し分けてやろうか。
 それかマスターなら小さめのグラスにでも
 出してくれんじゃねーかなあ」

なー、とマスターに促せば、マスターは微笑みを返すだろうか。

「とりあえずオレはー……ブルームーンで」

それから、少しの思考の間。
今までの例には挙げなかったカクテルを一つ頼む。

/*な、何も考えてなかった〜〜
初手の初手ですから、大して匂わせずしょっ引きたいところ。
所長代理殿のお顔立ても兼ねて

『直々に選抜された部隊が突撃して抜き打ち検挙した』

って形はどうでしょうか…
他案あれば練り込んだりも考え…考えます…

「ギリシャ神話……
 それなら相応しい名前を頂いたのね、ペネロペ。
 込められた想いの通りに生きられるって憧れるもの」

「……あは、は……
 見た目、はよくわからないんだけど、そうね……
 トラブルを起こしてしまいがちだからかしら、女と言うよりはその、妹として見られている気がしてならなくて……」

愛には繋がるが、恋には繋がらない。
愛を得られているならそこで充分大事にされているのではないか、だからと言って恋に憧れを持たないわけではないのが、女の難しい性だ。

「もしオカルトが現実だったら。
 警察だからって邪険にせずまたこうして仲良くお話して。
 無視されたら、取り締まっちゃうんだから」

なんて、この弱気女では絶対にできないとわかり切った冗談を言って、目を瞬かせた。心なしか、ほんの少し視界が霧がかった気がして訝しむように何度も目を擦る。

夢が少しずつ覚める合図だと女は薄々気付きかけた。


「そういうあんたは……んん〜、
 確かそうだな……アリーチェ、『高貴な』って意味だったか?
 ま、いつかそんな日も来るんじゃねえの」

ずいぶん楽観的な事を言いながら、またモヒートをぐいと飲む。
見た目にも涼しいカクテルは、喉に通しても涼を運ぶ。

「個人間では分かり合える、だったか?
 それで一本筋を通して見せたら、
 今よりもっと魅力的な女になるかもしれねえし」

「そう、そう。そうやっておっかないお巡りさんで居てみろよ。
 そうでもないと俺ぁ捕まんねえぞ」

けらけらと笑って、冷たいカクテルを飲み乾した。
それとほとんど同時に、視界がぼやけ霞んでいく。
なんとはなしに、それが目覚めの予兆だとわかる。

「んじゃ、『また』があったらまたな。Buona giornataごきげんよう

/*それで大丈夫と思います!
お二人は現場にいくということでよいですよね?
(名前は出しませんが)
それで大丈夫そうなら運営ちゃんにいっておきます!

“いつか”はこない。
破られることがわかっている約束を交わす。
それに罪悪感を抱く必要なんてないはずで。
それでも一瞬、確かに良心と呼ばれるものがずきりと痛んだ。

「高貴さとはかけ離れている女だと思うけど……
 もう、そんな簡単に高貴さなんて得られないのよ」

楽観的な発言に少し異議を挟むように呟く。高貴さ、だなんて、下手にいい女になるよりも遥かに難しそうだと思わず力なく首を振った。

「一本筋……私、すぐどっちつかずになっちゃうの。
 ……そうね、だからこそ、いつかそれを貫き通せる何かが来たら、今よりはきっと、」

「きっ、と……」
「わ、わかりあえるかなぁ………」


気弱さが途端に顔を見せた。全く、自分に欠片も自信のない女は言葉にすら強い自信を持てないらしい。
それでも、冗談めいて伝えた言葉は意外と好評だったらしく、へへ……と締まりのない緩い笑顔を返し。

「ええ、『また』。Buona giornata」

/*大丈夫です〜お手数おかけします!
そのような形で此方はお願いします!

/*
お返事遅くなりました、申し訳ございません!
特に出された案で問題ないかと存じますので、
そちらにてよろしくお願いいたします…。

また現場に行くで大丈夫です。
ガイオはお任せし、残りの部下確保にあたります。

お手数お掛け致しますが、
運営ちゃんへのお声かけよろしくお願いいたします…!!

/*確認ありがとうございます!
それではそのように運営ちゃんに良い感じにしてもらいますね!

二日目以降もよろしくおねがいしますーーー!

「まあこの年の新人は大層可愛らしいだろうよ。
 ……囲うだけでもなく、個人的な事情、か」

「いいじゃないか、わかりやすくて」

自分がそうしたいからする、大いに結構。

「俺も身内を漁る躊躇がないわけでもなかったからなあ。
 お陰で美人に色のついた大金を払わせずに済みそうだ」

お金のやり取りがあるとはいえ身内を調べ上げることに躊躇がないわけではない、というような言い方をする。
その言葉と表情と声色は何処まで正直に身の内にある感情を伝えられただろうか。

しかし表面上以上に仲良くなろうにも、自分たちはまだ何かを起こす前。
今だけのビジネスパートナーとはいえ男女二人きりのホテルでお気楽にネイルを整えていることに注意をするのはお節介か?

否、今すぐにでもこうるさく叱ってやりたいが考えることが多い。
すべての情報を自分一人で調べ切るような真似もしていない。
部下にも指示を出さねばならないし、と。

「………………イレネオ・デ・マリア」

しばらくして呟いたのは一人の男の名前だ。
近々調べる対象にするのだろう、一応貴方へのひとまずの報告であった。

「でしょおー。」

へらりと口許が笑みを形づくる。
わかりやすい。確かにそうだ。
女もそう思ったからこそ、言わずともいいことまで口にした。
それこそ信頼関係云々の話もあるが、
話せないこと
に比べれば、それくらいは易いものだった。

「あたしも、良心的な情報屋さんに巡り会えて果報者ですよお。」
「…だから、その辺は安心してくださあい。」

少なくとも女の命令で、あなたが身内を調査対象にすることはないだろう。
…あなたから言い出した場合は、別だろうが。
しかしその場合女が色を乗せねばならない義務もない。

 




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