【人】 奏者 イルムヒルト― 追想:舞姫と怪盗の邂逅の狭間 ― [女は、その日もステージの端に座り 次の演目の為にリュートの弦を調整していた。 今日も美しい舞姫の踊りに合わせ、 私の弦は常の音を奏でて。 舞姫がステージを降りる際、”その者”はそこに居た。 舞姫へと、声をかける者は次の演目の主ではなかった しかし、彼こそが主役であるかのように 舞台へと向かう足取りに迷いはない>>33 まるで舞姫に、答えの1つを「魅」せるかのように。 彼と舞姫の交わした言葉は、遠くからではわからじとも 伴奏をよろしくと告げる彼が次の演者であると私は定め、 黄昏の目を、その男へと向ける] ――畏まりました。 貴方様の世界を魅せてくださりませ。 [事前に知らされぬ演目。 それでも、私は”それ”に合わせることができると自負していた。 私は奏者であり、私は世界 合わせられぬことがあるものか] (46) 2022/11/21(Mon) 18:02:14 |
【人】 奏者 イルムヒルト[歌の内容はわからねど 歌に込められる情念を。余すところなく伝えましょう 1人1人の記憶に残るように 私は影。輝く星々すら包む闇の帳 されど闇がなければ星は日の光の下だけでは輝きもせず 今、この瞬間の主役は、貴方。] (47) 2022/11/21(Mon) 18:03:01 |
【秘】 奏者 イルムヒルト → 「怪人」 ファントム 貴方は何者にも囚われず されど、 誰かの心に痕を残していくのですね。 [ぽろん。と鳴るリュートの音は 常のものよりも少しばかり、憂う音。] (-20) 2022/11/21(Mon) 18:04:04 |
【人】 奏者 イルムヒルト[ステージを降りる彼は 私の伴奏に満足してくれたのかは分からねど 軽やかに降り立ち、消え去る背はきっと この日の客や、声をかけられた歌姫に 爪痕をつけたのでしょう。*] (48) 2022/11/21(Mon) 18:04:24 |
【人】 奏者 イルムヒルト─ Bar passion ─ [大富豪の噂は耳にしていた。 強い輝きを秘める星々を。眩いものを次々と 探し求め。手に入れていることを>>30 女神に捧げた美はどれ程か。そして得たものはどれ程か。 かの者は英雄ではなく、富豪として名を轟かせ そして今もなお、飽くることなく原石に手を差し伸べ続けていた それは歌姫や、舞姫といった スポットライトの中心人物であったり 或いは、美の極致とも呼べる工芸の品を作る腕であったり 故に、今ここで輝きを放った原石ではなく その路傍の星影に声をかけたことに 女は最後の一小節を奏で終えた後、顔を挙げて男を見た>>41。 可能性を信じるのか。と男は問う 未だ相まみえぬ何かを探し求めているのだと、探究者は言う 歌姫に劣る女の演奏という名の”美” それの可能性を信じるかと男は先回りして尋ねる。 女の答えは決まっていた] (53) 2022/11/21(Mon) 18:26:36 |
【人】 奏者 イルムヒルト ―――私には、可能性「しか」ないのですから。 信じるも何も 其処に在るのが当たり前でございましょう。 あとはそこに至るまでの何かを 掴むだけに。ございますれば。 今宵の時間を貴方様が買われるのなら。 歌姫も、舞姫も今はおらじ。なれば 私の世界を。貴方に。 [リュートの弦を数度調節した後 ぴぃ、ん。と一度、爪弾けば 弾き始めたのは 演者の世界を、情念を、情動を 伝えるためであった音が、今は1人だけへと注がれる 癒しの時間よりも、狂おしい奔流を 飢える者を癒すには、腹八分で足りはせぬ 底知れぬを求める貴方の内を見せよと 叩きつけるような演奏を。貴方に 爪弾く姿は嗚呼、究極のエゴイスト。] (54) 2022/11/21(Mon) 18:27:07 |
【秘】 奏者 イルムヒルト → 大富豪 シメオン[歌姫や舞姫の影に 或いは店の背景へと徹している女が、 一度だけ見せる刃の切っ先。 命のやり取りにも似たその一撃は 男の喉元に食らいつき、引き裂くような 音 を] (-21) 2022/11/21(Mon) 18:27:51 |
【人】 奏者 イルムヒルト[―― 白魚の指が自発的に弾くのは1つだけ。 残りは、リクエストにお答えしましょうと もしもリクエストはないのであれば。 私が次に演じるものは、穏やかな波間を。 或いは柔らかな木漏れ日の様な演奏を。*] (55) 2022/11/21(Mon) 18:28:07 |
奏者 イルムヒルトは、メモを貼った。 (a14) 2022/11/21(Mon) 18:31:52 |
【秘】 奏者 イルムヒルト → 大富豪 シメオン[隙を伺うような眼差しは確かにもののふの 或いは狩人の目であった ――その眼差しに黄昏を向けて 女は喉元に音を食らわせるものの 零れた音もまた、確かに女のざらつく部分を撫でてゆく それは。突如の一閃に 奏でる手は留まることはなけれども 演奏の合間に零さぬ吐息1つが唇から漏れて それは感嘆。 その狂おしい程の執着の1つの果てを 間近で見たことによる、ざらつく何かへ刺さる疼き 嗚、このように研ぎ澄まされたものも1つの解 それがあなたの、美であるならば 私の答えは、何であろう] (-28) 2022/11/21(Mon) 19:30:05 |
【秘】 奏者 イルムヒルト → 大富豪 シメオン[きっと、私は未だ知らぬのだろう こうありたいはあれども、それに至るまでの過程を 執着も、情動も、情念も ――心と体を己自身が震わせる体験が 経験が、なかったが故に 未だ完成されぬ”美”は 今のままでは審美眼の肥えた男の耳にもまた 正しく、完成されぬように映るであろう それはどこか口惜しく ] (-29) 2022/11/21(Mon) 19:31:04 |
【人】 奏者 イルムヒルト[情景を奏でるリュートの旋律は無聊の慰めにはなれども 己自身の美としては未完成。 それは自分が誰よりも、理解している 置かれた金貨分の価値。それは今の私にあるのだろうか それに贖うに相応しきはどうすればと 暗中模索は、未だ。 爪弾く音には一切それは現れねども 憂う眼差しに、だけは*] (70) 2022/11/21(Mon) 19:31:25 |
【人】 奏者 イルムヒルト― 怪人との邂逅後:踊り子の娘と ― リリー。 [あの怪人がリリーへと何か声をかけ そして歌を奏でて姿を消したそのあとに 演奏を終え、私は彼女に声をかける いつも私の演奏を買ってくれてか 縁が重なる際には依頼をしてくれる彼女が 常とは少しだけ、違うように見えたのもあって 声をかけた貴女の心に 確かにあの怪人は爪痕を残したのでしょう>>67 何時も神秘的な中に花開く美しさを見せる貴女は あの青年が唄った前後で、どこか雰囲気が違うよう] 今日も素敵だったわ。 ……でも、そうね。 今日はどこか、普段よりも 楽しそうね。 [と、声をかけて談笑する程度には 貴女のことを親しく思っている、私で。 そしてこの娘の”美”の成功を祈る1人でも、ありました。*] (71) 2022/11/21(Mon) 19:37:58 |
【秘】 奏者 イルムヒルト → 大富豪 シメオン[己の奏でる音の合間に 或いは、隙間を縫うようにしてはっきりと届く男の言葉 それは己の柔らかな部分を掻き毟るに相応しいもの。 ああ、その通りなのだ。 胸が張り裂ける程に泣き濡れる慟哭も 死よりもなお、深い絶望も 狂おしい程に愛した男も 心を切り裂いても足りぬ程に憎んだ相手も 私には何もない。 いないというのは正鵠を得ている 嘲る音も確りと耳に届くはどのような絡繰りかはわからねど 震えるのは唇だけ。演奏だけは変わらぬ凪 されど―― 一瞬だけ いないのだろうと揶揄する男に向けた眼差しは それを得たことがあるのであろう男へ向ける嫉妬のような 或いは憤怒のようなものの、色 それは僅かに、凪いだ旋律に色を宿らせる 感情という名の美を ――美への片鱗を いうなれば、未だ染まらぬ水面に男が垂らす一滴に反応する 私の、音 もっと注がれれば色を変えてしまいそうなそれを] (-34) 2022/11/21(Mon) 20:25:33 |
【秘】 奏者 イルムヒルト → 大富豪 シメオン[男の声に変わる”音”を 刹那にさせるか、それともその片鱗に可能性を感じるか 自ら磨こうとする戯れを感じるか 或いは、それが羽虫の如く足掻いて見つけようとするのを 楽しむのかはしらねども 今奏でる曲の後半の。それだけは 穏やかなものではない。 ヨハネの首を求めた女の如くに。 確かに”サロメ”だった。] (-35) 2022/11/21(Mon) 20:25:53 |
【人】 奏者 イルムヒルト[少しだけ、曲調が変わる。 其の1曲の後半だけ。少しだけ普段と違うもの 己の中に新たに芽生えた憤怒を。或いは――…… 混ぜたのは確かに魂をもかき乱す、音*] (89) 2022/11/21(Mon) 20:26:24 |
【人】 奏者 イルムヒルト― 数刻前の ― ああ、「名無し」さん。 来てくださったのね? 今日は魚さんなのね。綺麗……。 [画用紙を開けば、魚達がふわり、ふわりと天に浮かぶ その光景に女は小さく笑みを零す。>>85 この素敵な「おまけ」が時折、女の演奏後 届けられるようになってから時間は割と経つ。 女は演奏後にそれを開いて 絵という調べを感じるのを、心地よくも嬉しく感じていた。] 次はどのような調べを、 見せていただけるのかしら。 [お会いしてみたいけれど、名もなきそれを心待ちにするも事実 そっと懐にしまい込み、リュートの弦を調整することにして 大富豪がやってきたのは、その折に*] (92) 2022/11/21(Mon) 20:40:54 |
【人】 奏者 イルムヒルト そうね。 私は……自由と、いうより。 何方かというと。 ―――――私は、私を奏でたい。 私を、探してるの。 私だけの、”美”を。 [リリーは、どうかな。と その言葉に何か刺さるものが、あったのかしらと 貴女のことを、聞きたがる*] (103) 2022/11/21(Mon) 21:28:36 |
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