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【赤】 片連理 “椿”わたくしは…… [どう答えれば良いのだろう。少し考える。 とても簡単なことではあるけれど、果たして信じられるかどうか。] “はじめから”です、楓様。 わたくしが人間だったことは、ただの一度もありません。 (*2) 2023/03/05(Sun) 1:33:01 |
【赤】 片連理 “椿”“狼”というのは人喰いの化け物の総称です。 獣の呪い、月の狂気、あるいは一種の病……なりかたは様々ございます。 わたくしはその中でも最も愚かな……自らの手でたましいを引き裂き、獣に堕ちた者。 旧い魔術でございます。ヒトのたましいを善と悪との二つに割り、悪を滅する。ある求道の者が、己を高みに至らせる道としてそれを行いました。 失敗だったのか、そもそも術が不完全だったのかはわかりません。ともかくそうして、その者はたましいを切り離すことができず、不完全に繋がった二人となりました。それが、わたくしとあの人です。 (*3) 2023/03/05(Sun) 1:38:48 |
【赤】 片連理 “椿”わたくしは滅せられるべき側でした。 ですから、この身の内には怨嗟や、嫉妬や、嘘。そういった様々のものが渦を巻いております。今は静かにしておりますが……時折騒ぎ出すこともございます。 わたくしを無理に殺せばたましいの繋がったあの人も死ぬことになります。だからあの人はわたくしを殺せず、逆に憐れみを覚えて、自分のせいでわたくしが生まれてしまったのだと言ってわたくしを庇護してくださいました。 わたくしは、ヒトの世界に守るべきものなどございません。ですから、ヒトの世界の外から、ヒトを喰らい続けました。その度にあの人はかなしい顔をしました。 それに、ヒトではなくとも、ヒトの理がわからぬではないのです。わたくしが、ヒトであるべきでありながら、ヒトではありえないことくらいはわかります。ですから……わたくしは、世界に捨てられた身なのです。 (*4) 2023/03/05(Sun) 1:51:47 |
【赤】 片連理 “椿”[そこまで話して、息をついた。 喰わずにいられないことは重荷ではあるが、 はじめからヒトではないのだから諦めはつく。 そして、誰を守るでもなく、喰いたくなれば狩ればいい。 だが楓は違う。 そうせざるを得ずにそうなるのではなく、 自ら選んでヒトを喰っている。 かつては自身も確かにヒトであったというのに。] (*5) 2023/03/05(Sun) 2:12:36 |
【人】 片連理 “椿”[カップに茶を注いだ。 はじめの美しい黄金色が消え失せて、冷めて苦味を増した褐色の液体をひと息に呷る。 震えが来るほどの苦味に、椿は思わず眉を顰めた。]** (20) 2023/03/05(Sun) 2:26:28 |
【赤】 片連理 “椿”……ありがとうございます。 あの人も、同じことを言いました。 [一人になったことのない自分に一人で生きろなどと 随分無理を言うものだ、と今更になって思いながら。 月はもう昇っているだろうか。 太陽に少し遅れてついていく、 糸のように細い月は。] (*9) 2023/03/05(Sun) 10:38:19 |
【人】 片連理 “椿”召し上がったら、お皿を持ってきてくださいね [半分以上残ったままの皿を取り上げて、椿はキッチンへと向かう。片付けたら、何をしようか。とりあえず、着替えてしまおう。 改めて自分の姿を見下ろして、そういえばこんなものを着るのは初めてだったなと思い出す。同時に、普段着ているものなんて記憶にもないことも知る。 自分は本当に生きているのだろうか? もしかしたら、もう死んでいるのではないか。 あるいはこれは死の間際に見る夢なのかもしれない。 冗談まじりにそんなこと思い、しかしあながち冗談でもないような気もして。]** (33) 2023/03/05(Sun) 10:59:55 |
【人】 片連理 “椿”[屋根裏のクローゼットには、様々な衣服が掛けられている。扉の裏の姿見に映しながら灰色のロングシャツと黒のワイドパンツを選んで、手早く着替えた。 ついでに、薄紫のショールを羽織る。鏡の中の自分は、昨日よりも幾分か顔色がよくない。 階下で何か物音がした。椿は梯子の降り口のそばに猫のように丸くなって、荷物を開けて何かしている楓の様子を窺う。声のひとつもかければ良いのに、なんとなくただ黙って見ているだけで。楓がこちらに気づけばにこりとするし、気づかなければそのまま様子を見ているつもりだ。 外に垂れ下がった髪は不気味に映るだろうか。椿はそんなことは気にしていないのだが。]** (37) 2023/03/05(Sun) 12:56:13 |
【人】 片連理 “椿” はい。見ておりました。 [悪戯を見つかった子供のような笑みを浮かべて、椿はもそもそと起き上がり、さっきまで着ていた部屋着を抱えて梯子を降りてきた。] 銃ですか? そういえば、職人なのでしたっけ。 [裸足のままぺたぺたと近づいてきた椿は、楓のすぐそばに立つ。横に並ぶと背丈は大人と子供ほども違っていた。] (44) 2023/03/05(Sun) 14:58:42 |
【赤】 片連理 “椿”ここでは、危ないこともそうそうないでしょうけど。 [椿は楓を見上げた。 もしそんなことがあるとすれば、それは互いに牙を剥くときだろう。そう思うと、ほんの少しだけ、心の底がちりつくような感じを覚える。] (*12) 2023/03/05(Sun) 15:06:27 |
【赤】 片連理 “椿”[椿は無意識に、楓のシャツの裾を掴んでいた。] ……わかりません。あるのかしら、 いつも、突然だから—— でももし、そんなことが起こったら [少し怯えたような顔をして、椿は楓を見上げる。 あり得るだろうか、この人を食べたいと思うことが。] (*13) 2023/03/05(Sun) 15:20:32 |
【赤】 片連理 “椿”その時は、迷わず撃ってくださいまし。 [逆も考えないではなかったが。 その時は素直に喰われて仕舞えばいいと、この時の椿は考えていた。]** (*14) 2023/03/05(Sun) 15:23:54 |
【赤】 片連理 “椿”まあ。 それなら、安心ですわね? [椿は“狼”どうしの争いには関知したことがない。ゆえに、自分以外の“狼”がどういうものであるのかについては無知だった。都市部では熾烈な縄張り争いがあるとも聞くが、それを避けるために椿らは田舎ばかりを選んで住処を転々とさせていた。 楓の言葉は、単純に「お前では勝てない」という意味に受け取った。確かに、小柄な女の力で楓ほどの大柄の男にまともに当たって勝てるとは思えない。殺すだけならいくらでも方法はありそうだが、彼を殺したいわけでは、決してない。 本当に彼を喰べたいと思ってしまったなら、その時には我を忘れているのだからそんなことにはお構いなしだろう。返り討ちにあうならば、それでも構わない。] (*18) 2023/03/05(Sun) 18:06:26 |
【赤】 片連理 “椿” であれば—— [椿はシャツの裾を掴んでいた手を離し、楓の頬へと差し伸べた。しかし触れることを迷って、その手は萎れるように自身の胸元へと帰っていった。一瞬だけ悲壮な表情を浮かべかけたが、すぐにまた笑みを取り戻した。] その時は、我らが王に牙を向けた罪を、償いましょう。 [冗談めかしはしたが、半ば事実で、椿は本気でもあった。 以前ともに過ごしたとき、彼はまさに王であった。 気高き王と、力ある王とに率いられ、椿はその気高さに、あるいは力に、素直に憧れを抱いたものだった。彼らのように生きられていたならば。そんな嫉妬に近いような感情すらも秘めていた。] (*19) 2023/03/05(Sun) 18:07:32 |
【人】 片連理 “椿” ふふ。安心できそうですし、 わたくし、少しお散歩に行ってきますわね。 [そう言って、椿は兎のように一歩後ろに跳ね、長い髪を揺らしながらくるりと回って、ぺたりぺたりと裸足の足音を残して駆けていった。]** (54) 2023/03/05(Sun) 18:07:57 |
【独】 片連理 “椿”/*使う習慣がなさすぎて今の今まで忘れていたなどと 事前情報から闇に走らせていいと今のところ判断している しているけども ううむ できればどうにかなって欲しくありつつ、本人に考えさせたら一緒に死んでしか発想が出ないのでPLの舵取り必須 (-66) 2023/03/05(Sun) 19:09:14 |
【人】 片連理 “椿”[裸足のまま、ウッドデッキから外に出た。 外は相変わらず気持ちの良い天気だ。 どこへ行こうか考えて、湖とは反対の方を選ぶ。 歩けども歩けども、他のロッジには辿りつかない。 途中に似たような建物が他にもあるのは見ていたし、夜には明かりも見えていた。しかしそれも、そういうものだと受け入れられている。] (63) 2023/03/05(Sun) 20:20:35 |
【赤】 片連理 “椿”[湖も、川も、海も苦手だ。 ついでに、井戸も。 時折見るひどい悪夢を思い出してしまう。 突然水の中に落ちて、絡まった水草に底へ底へと引き摺り込まれていく。 呼吸ができなくて、どれだけもがいても水面の光は遠くなるばかり。しまいにはどちらが底かもわからなくなって、ただ暗がりに落ちていく。 やがて、ふと足元を見ると、そこには見慣れたひとがなんの表情もなくしがみついていて。 飛び起きて子供のように泣く彼女を慰める彼のことも、恐ろしくて仕方がなかった。] (*22) 2023/03/05(Sun) 20:38:55 |
【人】 片連理 “椿”[ロッジの周りを大きく一周回ってみる。よくよく見れば、生い茂る木々は見慣れないもので、季節も場所もよくわからない。 奇妙な場所だが、景色は美しく、気候は穏やか。例えば、ずっとここで過ごすのも、悪くはない。] (68) 2023/03/05(Sun) 20:56:33 |
【人】 片連理 “椿”[同じようにウッドデッキから戻ってきて、今度はリビングではなく玄関から中に入った。土に塗れた足を軽くはたいて、バスルームへ。 足を洗って、キッチンで紅茶を見つけて湯を沸かす。冷たい水は苦手だ。] (69) 2023/03/05(Sun) 21:13:47 |
【赤】 片連理 “椿”[あたたかい茶を一口だけ飲んでから、カップを持って二階のホールへ向かう。ここのソファは一階のよりも柔らかくて座り心地が良い。 銀の弾丸について考える。 椿は楓とは多少出自が違うから、性質も大きく異なっている。彼女にとって、銀の弾丸、というのはものの例え以上のものではなく、触れても全く平気ではあるのだが、その代わり、当たり前に、銀であろうが鉛であろうが、撃たれれば死ぬ。 弾丸を打ち込まれるのはどんな感じだろう。あるいは、牙に貫かれるのは。 今まで自分がしてきた所業が、この身に返ってくるのを想像すると、なんとも言い難い感情に襲われる。 激しい拒否と、当然の諦観と、胸がすくような清々しさと、それらが全てひとつになったような。微かな不快を押し流すように、まだ熱い紅茶をひと息に飲んだ。] (*23) 2023/03/05(Sun) 21:26:16 |
【赤】 片連理 “椿”[楓はどこにいるだろう、とぼんやり思う。まだ寝室にいるだろうか。 今はただひとり、互いに理解できるかもしれないひと。近いような、遠いような、どちらもを感じている。時には傅き、時には慈しみ、時には気安い友のようにも思う。自分の心さえよくわからないのは、いつものことだ。 ふと思考が逸れる。夕食は何を作ろうか。しかしまだ、空腹感はまだない。 ないはずなのだが。] お腹が空いたな。 [自分でも気づかないうちに、ぽつりと呟いていた。]** (*24) 2023/03/05(Sun) 21:39:22 |
【人】 片連理 “椿”[目覚めると日が暮れかけていた。 いつの間にか眠ってしまったようだ。 寝室を覗いてみたが、楓はそこにはいない。カップをキッチンのシンクに置いてから一階を見て回ったが、そこにも気配はなかった。 外に出ているのだろうか、と、サンダルをつっかけて外に出てみる。 ウッドデッキの方には誰もいない。少し風がひんやりとし始めて、薄紫のショールをぎゅっと握りしめる。 玄関の方へ回ってみると、すぐ正面の芝生に横たわる楓が見えた。どこかで行き違ったのだろう、椿は階段を下りて、楓のもとへと歩み寄る。] (84) 2023/03/05(Sun) 22:17:27 |
【赤】 片連理 “椿”[……揺らした、つもりだった。 不意に視界が揺れて、一瞬重力を失ったように方向がわからなくなる。楓がいる。眠っている。指先が冷たい。頬を撫ぜる。目の前の、無防備に曝された首筋に顔を埋める。 そして。] (*25) 2023/03/05(Sun) 22:31:20 |
【赤】 片連理 “椿”[そこで、我に返った。椿は眠っている楓のそばに膝をついて、その頬に触れていた。呼吸は浅く、心臓が早鐘を打つ。 楓が目覚めるまで、椿はそこで呆然としたまま座っている。]** (*26) 2023/03/05(Sun) 22:31:55 |
【赤】 片連理 “椿” 大丈夫……はい、大丈夫です。 [辛うじて答える。 気分が悪い。 今のは、やはり“そう”だろうか? こんなに短時間で波がひくことは、今まではなかったはずだが。楓が同類であることが理由だろうか。 ついさっきそれでも構わないと思ったはずなのに、実際に起こると暗澹たる気分になる。 それは、椿に生きていてほしい、と言った楓にわざわざ殺させたくないのだ、と気がつく。 ならば自害すべきだろうか。 それにも、頭の奥でNOが響く。 『ヒトでないものが生きようとして、何が悪い』 楓の言葉が繰り返される。 そう、そうだ。どこかでずっと、そう思っていなかったか。 認められなかった。それを認めてしまえば、あの人が悲しむ。同時に、やはり彼こそが椿を最も拒絶していたのだと知ることになる。あれほど愛してくれたというのに。] (*28) 2023/03/06(Mon) 3:16:15 |
【人】 片連理 “椿”おはようございます。 ここは冷えるわ、戻りましょう [少し青ざめた顔で、椿は微笑んだ。 楓の手を取り、その身を起こさせようと]** (115) 2023/03/06(Mon) 7:28:10 |
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