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【人】 浮遊する ハグベリー「な─────」 気づいたのは、大きな音がしたから。 悲しみに溺れていた思考が、一気に引き戻される。 ……より大きな悲しみを伴って。 「──にしてるんだ、ノル!!!」 なんで。 なんで、という言葉しか出なかった。 だって、そんな。 「なん、で………」 (3) 2022/07/20(Wed) 23:16:34 |
【赤】 浮遊する ハグベリーなんで?なんで?なんで?なんで?何で殴って? だって、おかしい、ちがうよね、お話したじゃん。 一人ずつ、話していこうって。 俺達が疑われたら、話を聞いてもらえないかもしれないから。 少しだけ、黙っていようって。 そんな、なんで、おかしいよ。 なんで?なんで?殺すの?どうして? 大事な家族、大事な家族だよ。クロ、ノル、俺の大好きな人達。 やだ、やだよ、ノル、なんで、どうして。 まってよ、やめてよ、クロ、やだ、死なないで。 やだ、いや、お願いだよ。 俺の幸せ、きえないで。 (*1) 2022/07/20(Wed) 23:24:17 |
ハグベリーは、手を伸ばしても、身体が重くて、動けない。 (a4) 2022/07/20(Wed) 23:25:33 |
ハグベリーは、息苦しい。吐いた空気が上に昇っていくのを見た。 (a34) 2022/07/22(Fri) 13:21:42 |
【赤】 浮遊する ハグベリー青年が来るのは。 まってからそう時間も経ってないうちだろう。 いつもより少し低い高度で浮かぶ青年は、 貴方の姿を見つければ、近づいて。 「……………………。」 口を、閉じて、開けて、閉じて。 結局、何も発せないまま。 なんであんなことしたの (*4) 2022/07/22(Fri) 13:24:26 |
【赤】 浮遊する ハグベリー青年が、ここに来たのは。 一つは、貴方とお話をするため。 一つは、貴方を心配したため。 なんであんなことをしたのかは、わからなくても。 それをしたことで、貴方が苦しんでいるのではないかと。 泣いていやしないかと心配した、僅かばかりの兄としての。 だけど。 「………なんで………。」 貴方は当然のように言う。 軽い悪戯みたいに言う。 フィラメントも死んじゃった。 吐いた息がガボッという音を立てて、上に昇った。 「……何で死ななきゃいけないの…………」 「なんで、殺さなきゃいけないの…………」 「ノル……置いていかないでよ…………」 「俺まだ、昔の幸せから抜け出せないよ………」 あったはずの日々が崩れていくことに耐えられない。 ねぇ、どうしたらこの息苦しさから解放されるの? 貴方の冷たい言葉で、いよいよ心の拠り所を失くした青年は。 何かに縋るように、貴方に両手を伸ばした。 (*6) 2022/07/22(Fri) 16:04:46 |
【赤】 浮遊する ハグベリー貴方が葛藤して止めた分の距離まで。 青年は藻掻くように近づいて、貴方の手を取り、 そして抱きしめる。強く、強く抱きしめる。 例え貴方が何人殺したって、 貴方が大切な家族であることに、変わりはないんだよ。 「そこに、君がいなかったら………意味がない。」 「誰か一人だけ……取り残されちゃうなんて、駄目なんだ……」 元々、困ってる子を見ては、あの子と一緒にいなさいと言って、 そうして仲良くする家族を、一人にこにこ見守っていたような青年だ。 誰かが一人でいるのは、耐えられない。 貴方だけが苦しみを背負うなんて……許せない。 「…………うん。」 最後の言葉に、小さく頷く。 青年は10年前、9歳の頃にここに来た。…9歳まで、外にいた。 物心がついて、思考が出来て、物の善悪が分かるほどの年まで、 ずっと外で過ごしてきたから………わかる。 外に出るのは、ここで死ぬより辛い事だと。 目を逸らしていただけだ。まだ幸せになれる。まだ平気って。 …家族が死んじゃった以上、もう生きて幸せにはなれないんだ。 息苦しい。 「できるよ。」 皆を"救う"ためなら。 (*8) 2022/07/22(Fri) 18:17:21 |
【赤】 浮遊する ハグベリー抱きしめて、撫でる。 貴方に甘えてしまった分がたくさんある。 返さないといけないよね、俺も。 この世界に、俺達の幸せはなかったけれど。 死の向こう側には、きっと。 あるんだ、あるはずなんだ。あるんだよ。ねぇ。 そう思わなければもう、耐えられない。 今の状況も、これからやることも。 きっと青年の心は、もう壊れたのかもしれない。 「謝らないで、ノル。」 「頑張ってくれて、ありがとう。」 「大好きだよ、俺の家族。」 ねぇ、今日も一緒に寝ようか、なんて。 貴方を抱きしめる青年は、穏やかに微笑んでいて。 ───ぽたぽた、涙が零れていた。 (*10) 2022/07/22(Fri) 20:08:32 |
【赤】 浮遊する ハグベリー青年は、穏やかな笑顔だった。 落ち着いているのか、 覚悟が決まっているのか、 それとも。 心が壊れてしまったか。 「……ワルゴ、アベルが死んでとっても辛そうだった。 助けてあげないと。」 「それに……リーディエも、辛そうだったから。」 助けなきゃ。 壊れた心で思うのは、それでも家族を助けてあげたいと思う事だけだった。 (*13) 2022/07/23(Sat) 21:41:19 |
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