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![]() | 【赤】 一匹狼 “楓”[共に暮らし始めて間もない頃、彼女が無理なく会話できるようになった頃合いに、楓がふと脈絡無く紡いだ言葉があった] なあ、椿…… “いらないもの”なら後に残るはずねェよな? 後に残るのって、それだけ重要なもの……、 存在の核とか、柱や基盤とか…… そういうものなんじゃねェのか……? [それは確信というより、そうであってほしいという祈りだけれど。 あの夢から覚めた後、彼女に思いを馳せる間に考えついたことだった。 たましいを善と悪のふたつに分けて、悪を滅する。それが彼女が生み出された過程で、彼女は滅せられる側──不要物と扱われた側だった。>>1:*3>>1:*4 それなら、どうして先にもう片方が消えたのか? どうして滅せられる側だったはずの彼女が後に残ったのか? 真に滅せられるべきは向こうだったのか、それともどちらかを滅するという考え自体が誤っていたのか……そこまでは楓に理解の及ばないことだが。 楓にとって、彼女は間違いなく『存在していてほしいひと』だ。それを補強する理屈がどうしても欲しかったのだ]* (*14) 2023/03/13(Mon) 20:12:17 |
![]() | 【赤】 一匹狼 “楓”[初めのうちは楓が食事を作ろうとしただろうけれど、そのうちに彼女が作ってくれるようになったのだろうか。 彼女が歩けるようになったなら、短い時間でも共に散歩しようと誘っただろう。 楓は彼女と一緒にできることが増えるたびに喜び、彼女が望むことを果たす助けであろうとした。寄り添い、支え、尽くし、触れ合った。連理の如く]** (*15) 2023/03/13(Mon) 20:12:34 |
![]() | 【赤】 一匹狼 “楓”[だから今の彼女を見ているだけで楓は幸福だった。>>*17 頬に両手が伸びてくると、彼女の腰に腕を回して抱き寄せた] うん。 ……傍にいてくれ、椿。 [甘える彼女に甘え返して、くちづける。 愛など、もうわかりはしないと思っていた。 全て食欲に塗り替えられてしまったと。 けれど“食べたい”という衝動にはいくつか種類があって、彼女に抱くのは特別なものだった。>>3:*28 もしかしたらこの先、他にも見つけることがあるのかもしれない。失くしたと思っていた人間らしい感情を。 見つけたところで人間に戻っていいと思える日は来ないだろうが、長らく感じていた絶望は少しずつ和らいでいくだろう。大切な人たちに抱く思いを噛み砕くにつれて]** (*19) 2023/03/13(Mon) 22:32:43 |
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![]() | 【赤】 連理 “楓”[ある町、夜遅く。外套に身を包んだ男が宿の受付を訪れた] 一人。一泊。急で悪い……、霧で迷っちまって。 その茶もらえるか? シナモン・シュガーを入れて。 [彼は宿帳に名を書き込んだ後、宿の主人が飲んでいたカップを指差す。そこには煙草のような芳香を漂わせる茶が入っていた。>>3:*3 主人は当初不審がっていたが、それなりに会話する気のある客と見れば、少しずつ警戒心も和らぐようだ。前払いが決め手となって、茶の入ったカップとともに鍵を差し出してくれた。 宿帳に書き込んだ名は“楓”──本名ではないけれど、この長い旅路でずっと使っている名だった] (*24) 2023/03/14(Tue) 10:22:01 |
![]() | 【赤】 連理 “楓”[部屋に入って外套を脱ぐたび、その色が目に留まる。 白。 彼女が愛用していたマントの色。 そしてその裏地は、琥珀色。彼の瞳の色。 共に暮らした日々の終わりが思い浮かぶ。 あの地を去る最後の日、小屋を炎で包んだ。 何も残ってほしくなかった。 あそこでの暮らしを知るのは二人だけにしたかった。 帰る場所などいらない。 そうして彼は独り、旅に出た] (*25) 2023/03/14(Tue) 10:22:14 |
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![]() | 【赤】 連理 “楓”……これ、本当に美味いと思うか? [カップの中身を味わって、思わず問いかけの言葉を呟いた。確かに風味は随分変わるのだが、どうにも彼の好みからは離れている。 体を共有したつもりでいても、こういうとき、別個の存在なのを実感せずにいられなかった。 それがきっかけで普段は気にしない孤独感が増し、ベッドの中に外套を引きずり込む] 傍にいてくれ──椿。 [もう、彼女の匂いはしない。使い込んでいけばいくほど、彼女のものだった痕跡は薄れていく。それでもこれは、彼女との思い出を繋ぎ止めるもののひとつ] (*27) 2023/03/14(Tue) 10:23:19 |
![]() | 【独】 連理 “楓”[どれだけ絶望を味わっても、 どれだけ孤独を感じても、 彼は一度も死を選ばなかった。 それが彼ひとりの意思なのか、 誰かの祈りが届いた結果なのか。 答えを知る日は未だ来ていない] (-531) 2023/03/14(Tue) 10:23:34 |
![]() | 【赤】 連理 “楓”[変わらないことを望んで縋り続けた生活を捨て、新たな道に踏み出した。かつては一度も考えなかった選択肢の先に、今、立っている。 かつて歩んだ道と違い、信じられるものは何もない。 だからこそ、歩み続けてみるしかなかった。 旅路の先で何か見つけても、何も見つからなくても、今はただ、思いのままに。 どこにも抜け道のない袋小路だと思っていた場所さえ、こうして抜け出してこられたのだ。 正しくても間違っていても、心のまま歩めばいい。そうすればいつか行き詰まったとしても、きっとまた、道は拓ける。 これから先の旅路も、彼女と一緒に。 誰にも見えない『二人旅』を、共に終えるときまで]** (*28) 2023/03/14(Tue) 10:24:06 |
![]() | 【独】 連理 “楓”/* お言葉に甘えていろいろしました 椿さん長期間お付き合いありがとうね…… おれも他ペアがなかなか読み進まないな…… 村閉じてから読むことになるかもしれない (-532) 2023/03/14(Tue) 10:25:27 |
![]() | 【独】 連理 “楓”/* 「一緒に行くか?」って言った時点では椿さんが見つけられず一生探し続けるエンドとか、たどり着いたら死体があるエンドとか、再会と同時に死に別れるエンドを考えていたので 3ヶ月も一緒に暮らせるの? そんなご褒美いただいていいんですか? って真剣に思っていた (-544) 2023/03/14(Tue) 10:57:13 |
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![]() | 【独】 連理 “楓”/* >>-572鈴木 ひえ ものすごく気に入っていただいてる……ありがとうございます〜!! 欲求の混濁という表現の仕方が自分の中に無かったので、なるほどそういう言い方が……と新鮮な気持ちになっています 大雑把にくくると「好意」になる諸々のもの(友情、恋、愛情、親近感、信頼など親しい人に抱くポジティブな感情)が、人狼化で一旦「食欲」にまとめられちゃったんですよね 楓はそれがショックすぎてその後掘り下げなかったという…… 人狼の食欲は似た衝動が満たされると代替できるイメージでいたんですよね、体が生きるための栄養は一応普段の食事でだいたい足りてるはずなので なので椿さんへの“食べたい”が満たせる行為を見つけて、そこで収まるようになったという 一緒に暮らす間だけのことですが……! 幸せを見つけてまっすぐに求めた椿さんは可愛いぞ 月はね、もう自分たちに都合のいい舞台にしちゃえ、と 三日月国で三日月の夜が最終日なのいいなと思ったのもあって3日目まで作ったんですよねー >>-576 そっか、天美さんは寿命が極端に長いだけで不死ではないんだな!? 死ねないと思うと死にたくなるし、死が近いと死にたくないって思うものですよね…… せめて存在意義がほしい感じ、とてもわかってしまう (-587) 2023/03/14(Tue) 17:42:10 |
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