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【念】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 兄さんとヘンリ、どんな顔しているだろうか。 このことは内緒にしてきたけど、 事前に王やセシリーには話を通していた。 もう式の日程も決まっている。 兄さんや母さんに苦労を掛けさせることもない。 むしろ、良い暮らしも出来るようになる。 ヘンリは、セシリーの護衛件専属の騎士>>1:23に なれば良いだろう。 腕の立つ女性、かつセシリーとも友人同士。 ヘンリの為にある役職と言っても過言では無い。 そしたら、俺も、セシリーも安心安全で手放しで喜べる。 と思っていたのだが。] (!3) 2022/09/20(Tue) 22:09:43 |
【念】 勇者 アスベル・レイフェルス……? [ 兄さんとヘンリの姿が見えなかった。 何せこの人数だ、別の場所に移動したか、 単純に人の少ない場所に居るのかもしれない。 気にはなったが、二人はいつでも会える上 大勢に質問攻めに遭ったのもあり しばらくの間動けずににいた。 二人のリアルタイムの反応も見てみたかったが、 時間ならいくらでもある。 後で兄弟仲間水入らずで のんびり未来を語り合うのも良いだろう、と。 何も知らず、呑気に考えていた。* ] (!4) 2022/09/20(Tue) 22:09:46 |
【雲】 妖もどき 辰沙――寮から街へ―― [ 朝食の片づけを済ませて、 部屋の外で彼女の着替えが終わるのを待って。 諸々を済ませた頃には十一時前になっていたか。 寮の門を出ようとしたところで、 ちょうどすれ違うようにして顔見知りに会う。 ] 『あ、先生だ!』 [ 彼女のいうほうへ視線を向けると 此方とは反対に寮のほうへと入っていく人物。 彼にも姿が見えるよう――といっても彼のことだから 隠形していても僕の気配は察知しているだろう――実体化して 人前に姿を現す。 たまたま通りかかった学生たちの何人かが 中空から突然現れた僕の姿に驚いたような声を上げる。 それに構わず、目の前の教師に小さく目礼してみせた。 ] (D19) 2022/09/20(Tue) 22:21:59 |
【雲】 妖もどき 辰沙…先生、今日は。 [ 真浄寺 陽仁。 この学園の教師であり、この国でも有数の現役退魔師であり、 ―――そして、幼少期に故郷を失った彼女を引き取り、 この学園に入学させた保護者でもある。 …そして、僕にとってはどうにも苦手な人だ。 ] (D20) 2022/09/20(Tue) 22:22:33 |
【雲】 妖もどき 辰沙『やぁ辰沙。 相変わらずシャイボーイだね君は。 もう少し顔の筋肉を柔らかくしないと 女の子にモテないよ?』 …。 [ もにもにと頬を不躾に摘ままれて揉まれる。 どうしてこの師弟はやることがそっくりというか、 似てほしくないところばかり似てしまうんだろう? ] 『お? 辰沙も成長してるんだなぁ。 ちゃんと考えてることが顔に出るようになったね』 『あ、先生もわかりますか!? 辰沙だって、ちゃんと成長してるんです』 [ ……やめよう? そこで僕を弄る方向で一致団結するの、本当にやめよう? 必死でぺちぺち、頬を揉む手を払ってから。 ] (D21) 2022/09/20(Tue) 22:23:40 |
【雲】 妖もどき 辰沙…それより、ここに貴方がいるのは少し珍しいのでは? 『あ、そういえばそうだね』 [ 彼は寮監ではないし、職員寮に入っているわけでもない。 郊外の住宅街に今は奥さんと一緒に暮らしている。 見たところ、彼女の様子を見に来たとか 用事があるというわけでもなさそうだ。 ] 『あー、わかっちゃった? 実はねー、ここ数日天文科のほうでちょっと色々あってね。 ゆうべは徹夜で詰めてたのさ。 で、ついさっき一段落ついたんで これから仮眠室で惰眠を貪りにいくところだよ』 (D22) 2022/09/20(Tue) 22:26:24 |
【雲】 妖もどき 辰沙…。本当に? 『ほんとだよ!?なに疑っちゃってんの? よりによって君が!!』 『んー…でも先生だものね……』 『ちょっとちょっと!! なに理音ちゃんまで先生のこと疑っちゃってるのさ?』 …。 『んーなになに? 日頃の行いが悪いからだ、って?』 [ 心外だーと言わんばかりに 僕の顔から胸元までずずず、と、舐めるように 先生が視線を走らせる。 いや、まぁ、うん。 当たらずとも遠からずですね先生。 ] (D23) 2022/09/20(Tue) 22:27:00 |
【雲】 妖もどき 辰沙『……はー。 とりあえず、先生に信用がないことはよくわかりました。 それはそれとして、二人はデートかい? なら、楽しんでおいで。 たまには人並みに羽を伸ばすことも重要だからね』 [ 言いながら、彼の大きな手が僕の頭の上へ。 一瞬身構えるものの、その手は優しく僕の頭へ載せられて わしゃわしゃと軽く頭を撫でられた。 隣にいた彼女にも同じように――彼女に対しては、 髪型が乱れないように軽く触れる程度に――頭を撫でて。 にかっと、如何にも人の悪そうな笑みを浮かべてから ひらり手を振って建物のほうへと歩いていった。 ]* (D24) 2022/09/20(Tue) 22:27:44 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音 (D25) 2022/09/20(Tue) 22:29:16 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音…ほら。難しい顔しない。 今日はこれから楽しい一日にしないと。ね? [ 彼の頬に再度、今度は包み込むように柔らかく触れる。 ] (D26) 2022/09/20(Tue) 22:29:35 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音よーし。それじゃあ最初は映画に行こう。 [ 今からバス停までダッシュすれば、 ちょうど駅前行きのバスに乗れるはずだから。 そこから駅前のシアターに行って、映画をみよう。 ] ほら、辰沙もダッシュ! せっかくだから一緒に競争ね! [ 言い終わるより前に、 勢いよく飛び出してバス停まで駆けていく。 人間のわたしと__の辰沙では 勝負にならないなんてわかりきっているけど、 そんなことはどうでもよくて。 ただ、小さくても色んな思い出を、彼と一緒に作りたいんだ。 ]* (D27) 2022/09/20(Tue) 22:30:19 |
【妖】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 気付いていなかった。 愛する人の想い人の存在に。 セシリーが好きな人が居る素振りを 何度か見せていたのは知っていた。 でも、それが同じ人とは思わなかった。 ──何故、気付けなかったの。 勇者と姫、お似合いに決まってるじゃない。 私なんかが入る余地なんて、最初から無かったのに。 無意識の間に、真相を知ることを 避けていたのかもしれない。 アスが、セシリーに。 セシリーが、アスに思いを寄せていることを。] ($5) 2022/09/20(Tue) 22:45:16 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ ……嬉しいはずなのに。喜ばしいことのはずなのに。 セシリーは大事な仲間で女同士 笑い合える友達同士だと思っていた。 ううん、今だって大事な仲間で 友達同士だと思っている。 あの子のことは勿論大好き。 それは今でも何も変わっていない。] (41) 2022/09/20(Tue) 22:45:23 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ なのに。 なぜ、喜びの感情と祝福の言葉が出ないの? なぜ、笑えないの? なぜ、会いに行けないの? いつもなら。一際大きい声で 「おめでとう! やったじゃないお幸せにね!」 って、すぐ駆けつけて言うはずなのに。] (42) 2022/09/20(Tue) 22:45:35 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 二人の姿が良く見える特上の席を用意して貰い 顔は鮮明に見え、声もしっかり聞き取れる。 ──アスベルがこんなに嬉しそうな顔をしているの。 初めて見たかもしれない。 私の好きな、彼の最高の笑顔。 ……私では引き出すことの出来なかったもの。 アスベルが、セシリーが。 あまりにも輝いて眩しいものだから。 明る過ぎる光は、全てを飲み込んでしまう。] (43) 2022/09/20(Tue) 22:46:02 |
【妖】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 私はアスベルのことが 本当に大好きだったんだ、と改めて思う。 痛い。苦しい。辛い。 心が、肩が、身が。 ぶるぶると震えていく。 眩しすぎる光に覆われて 先が、未来が。何も見えない。 ($6) 2022/09/20(Tue) 22:46:19 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム…………。 [ 隣にいるはずのエドゥの方には、振り向けずにいた。 弟の嬉しそうな姿を見て、喜んでいることでしょう。 私が幸せに水を差す訳にはいかない。 かといって、このままこの場所に居続けても あと何秒堪え続けられるかは分からない。 今なら、一言喋った段階で 堰を切ったように涙が流れ出ることが 容易く想像出来てしまう。 おめでとう、と言いたいのは事実なのに。 好きな人の幸せを喜ぶことも出来ず 大事な友人の姿も見られないなんて。 ────私って、どうして、こんなに。 ] (44) 2022/09/20(Tue) 22:46:39 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 王様の祝福、式、契り>>39。 止まぬ周囲の歓喜の声>>40。 幸せに沸き立つ宴の場で、 益々聞きたくない、知りたくない情報が 耳に、脳へと入り込み 心に静かに、深く抉っていく。] ……ごめん、ちょっ、と、 [ 聞き洩らしそうな程の小さな囁きをエドゥに漏らし、 退席の理由も、行き先も言えぬまま 踵を返し、会場を後にしようとした。 その時。 私の愛らしい友人であり 私の好きな人と結ばれた彼女の声が、聞こえた。*] (45) 2022/09/20(Tue) 22:46:45 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音[ わたしと辰沙の競争の行方はまぁさておき。 駅前行きのバスにはどうにか滑り込みで乗り込むことに成功した。 ついでにこれまた運が良いことに座席に座ることもできたので 二人で座って、これから見る予定の映画について簡単に話す。 それから、お昼ご飯に何を食べようかとか、 その後駅前の大きな書店に行ってみようかとか、 書店併設のカフェの人気メニューがどうだとか、 それとも駅からちょっと歩くけれど、 最近リニューアルしたという水族館にいこうかとか。 そんなことを話していれば、あっという間に バスは駅前のロータリーに。 ] (D28) 2022/09/20(Tue) 23:31:51 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音こっちだよ、辰沙。 [ 彼の手を引いて駅前のシアターへ。 わたしより頭一つかそれ以上に背の高い彼が おとなしく手を引かれる様子はなんだか微笑ましい。 うん、わかる。 この街に来て半年だけれど、わたしだって 実質学校と寮を往復するだけの毎日で、 なんなら夏休みだって返上しないといけなかったのだから。 いやまぁそれはそれで楽しかったけれど。 生まれて初めての海とか。] (D29) 2022/09/20(Tue) 23:32:54 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音[ 閑話休題。 何が言いたいって、わたしも辰沙も この街の見るもの全てが初めて尽くしで。 とても、楽しい。 その証拠に、わたしに手を引かれながら、 きょろきょろと落ち着きなく視線を彷徨わせている。 そんな辰沙がなんだか新鮮で、 ああ、学校を抜け出して正解だったなと思う。 そうして辿り着いたシアターで、チケット二枚と ポップコーンとドリンクをそれぞれ二つずつ購入する。 パンフレットやグッズも気になったけれど、 まずは映画を観てからにしようと意見が一致した。 ] (D30) 2022/09/20(Tue) 23:33:38 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音[ そうして、鑑賞後。 ] ……ぐすっ。 [ さっき辰沙と話した駅前の書店の併設カフェ。 地図アプリで確認したら意外と近かったので 映画が終わったらそこで遅めのランチにしようと、 バス移動の時点で二人で決めていたのだけど。 正直、映画が終わってからも 涙が止まらないというのは予想外だった。 いや、正確にはシアターを出る前に一度止まったけれど そのあとふとしたタイミングで思い出し涙が出てしまう。 ] (D31) 2022/09/20(Tue) 23:34:37 |
【雲】 妖もどき 辰沙…そんなに泣かないでよ。 [ どんな顔をすればいいのかわからなくて。 ひとまず案内された席に彼女を座らせれば、 ハンカチと水の入ったコップを差し出す。 他の人たちにこの状態を見られたらなんて思われるか。 此方を気遣ってボックス席に案内してくれた店員さんには 素直に感謝しかない。 ] (D32) 2022/09/20(Tue) 23:38:28 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音……うん。ごめんね。 [ 彼が差し出してくれた水を飲んで>>D32 それから深呼吸してどうにか気持ちを落ち着かせる。 そんなに悲しい映画だったのかと言われれば それは少し違っていて。 この国が誇る有名な監督が製作した、 半世紀もの歴史を持つ大人気特撮ヒーロー映画。 結末自体は、ハッピーエンド…なのかしら? 少なくとも、彼は自分が守りたいものを命を賭して守って そして、彼の仲間たちの許へ帰ってこれたのだから。 それでも、涙が止まらないのは。 ] (D33) 2022/09/20(Tue) 23:40:04 |
【雲】 落ちこぼれ退魔師 渡守 理音あのひとが……映画のなかの主人公が、 辰沙に重なってみえたんだ。 [ 感情表現が下手で、少しどころじゃなく人間離れしていて でも、とても優しくて純粋な、人ではない主人公。 そんな主人公が、物語の終盤。 地球を救うためにその身を賭してラスボスを倒しにいって そして発生したブラックホールに吸い込まれて――… ] (D34) 2022/09/20(Tue) 23:40:54 |
【雲】 妖もどき 辰沙[ 正直、はじめての事態に どう声をかけたらいいのかわからなかったから、 よしよしと、先程先生がしていたように彼女の頭を撫でる] ……僕は、きっとヒーローにはなれない。 [ どちらかといえば、 僕はラスボス側の存在ではないだろうか? 何より、僕は命を賭してまで誰かを守ろうと思ったり あの映画の主人公のように誰かを『好き』になったり、 大切になんてできないと思うから。 ―――…たった一人、目の前のを除いて。 もしも明日、世界が滅ぶとして。 自分の命と引き換えに、その世界が救われるとして。 僕はそのとき自分の命を差し出せるとは どうしても思えない。 ずっと、人間たちから『 』と呼ばれてきた。 彼等のことを思い出すたび、胸の奥を深く抉られるような この身を焼かれるような、どうしようもない、 やり場のない感情が心を苛む。 ] (D36) 2022/09/20(Tue) 23:45:57 |
【雲】 妖もどき 辰沙……理音。 [ いつもことあるごとに彼女が僕にそうするように、 いつか幼い彼女にそうしたように 彼女の頬に自分の手を添える。 僕は、きっとあんな献身的な行動はとれない。 ヒーローなんてものにはきっとなれない。 なりたいとも、思わない。 ―――それでも。 もしも君が望むことがあったなら。 或いは彼女が危機に陥って、僕の命一つで それらを贖うことができたなら。 ―――…そのときは、きっと。 僕は命を投げ出すことを選んでしまうだろう。 ] (D37) 2022/09/20(Tue) 23:47:19 |
【雲】 妖もどき 辰沙……うまく、いえないけれど。 でも、約束する。 これから先、なにかあったとしても 僕は必ず、君のところに帰ってくる。 [ 僕の帰るところは、君がいるところなんだ。 この世界だけじゃない。 この星の外にだって、他の宇宙にだって、 他に帰るべきところなんてない。 ] だから、約束。** (D38) 2022/09/20(Tue) 23:56:43 |
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