「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a2) 2022/11/21(Mon) 1:15:01 |
【人】 「怪人」 ファントムー追憶ー 私について語るなら、まずエリックという青年の生涯について語らねばなるまい。 [仮面の男が、対面の人物へと語りかける。] (4) 2022/11/21(Mon) 1:17:44 |
【人】 「怪人」 ファントムかつて、ラ・コスタで最も人気のあった演者で、歌劇とナイフ投げの名手で、彼を妬んだ者達に、生きたまま顔を焼かれて下水道に捨てられた。 彼の人としての生は、それでおしまい。 だが、彼の魂は死ななかった。 彼は神を呪い、悪魔に魂を売り渡した。 そうして「彼」は居なくなり、「私」が生まれた。 [ただの青年だったエリックは、もうこの世のどこにもいない。 残ったのは、影に潜み、血の滴ったナイフを懐に忍ばせた、人の姿をした怪物。 「怪人 ファントム」の伝承の始まり。] (5) 2022/11/21(Mon) 1:18:35 |
【人】 「怪人」 ファントム…たった今適当にでっちあげたにしては、中々どうしてそれらしいんじゃないか? 今度、この話をテーマに小説でも書いてもいいぞ? [そう、全て即興のでっちあげ。 少しばかり、対面の人物をからかってみただけだ。 結局、己が何者かは明かさぬまま。 そうして、自分の創作の出来に満足し、対面の人物を一頻り揶揄った後、いつものように影の中へと潜っていった。 残されたのは、対面の人物だけだった。] (6) 2022/11/21(Mon) 1:19:20 |
【人】 「怪人」 ファントムー追想 リリーとー 「もっと、自由に舞ってよいのではないかな?」 小さなバーの、殊更小さなステージから降りてきた彼女>>12へと声を掛ける。 何故声をかける気になったのかはわからない、彼女の舞も素晴らしいものだった。 ただ何となく、人には言えない何か>>10を抱えているような気がして。 それは、例えばーー (32) 2022/11/21(Mon) 17:28:19 |
【人】 「怪人」 ファントム「外見の美しさをストイックに求めるのも正解だとおもうが、例え誰にも伝わらずとも、思うままに振る舞ううちに滲み出る『美』もあると思うよ。 私の『美』は歌劇だから、君の参考になるかはわからないけれど」 彼女に背を向けて、ステージへと歩いていく。 彼女がどんな反応を示したか、わざわざ確認もしていない。 ただ、私は私の「魅せ方」で客を見せるだけだ。 「やぁ、今日の伴奏は君かい? よろしく頼むよ。」 途中、リュートを手にした女性演奏家へ声をかけた。 それが、心に惑いを抱いた彼女>>28かはわからないけれど。 (33) 2022/11/21(Mon) 17:31:32 |
【人】 「怪人」 ファントムステージに立ち、ライトと客の注目を一身に浴びる。 ーーこの瞬間が、たまらなく心地よい。 今この瞬間ではこの小さなステージが、世界のすべてだ。 私が何者であるかなど、誰も気にしてはいない。 このステージの外の事など、全て世界の外側の事なのだ。 私が『美』を披露し、皆が魅せられる、それがこの世界の全て。 私は大きく息を吸い、高らかに声を上げる。 (34) 2022/11/21(Mon) 17:32:05 |
【人】 「怪人」 ファントムΕίναι το Φάντασμα. 彼こそはファントム Ο εκδικητής της εκδικητικότητας που σιγοβράζει 煮える怨嗟の復讐者 Οδηγός της μπερδεμένης ψυχής 惑う魂の案内人 Ένα μαχαίρι βουτηγμένο στο αίμα 血に濡れた一本のナイフ (36) 2022/11/21(Mon) 17:34:42 |
【人】 「怪人」 ファントムΕίναι το Φάντασμα. 彼こそはファントム Αυτός που αντηχεί τη φωνή ενός αγγέλου 天使の声を響かせる者 Είναι το άσχημο, χλωμό πρόσωπο 醜く爛れた貌 Ένας φτωχός άνθρωπος, στερημένος από τα πάντα. 全てを奪われた、憐れな男 (37) 2022/11/21(Mon) 17:37:34 |
【人】 「怪人」 ファントムΕίμαι το Φάντασμα 我こそはファントム Τίποτα δεν μπορεί να με πιάσει. 何者も私をとらえられず Λιώνω στο σκοτάδι, χορεύω στις σκιές 闇に溶け 影に舞う (38) 2022/11/21(Mon) 17:39:46 |
【人】 「怪人」 ファントム[高らかに歌い上げる、 誰も、彼の話す言語は知らないだろうが。 それでよいーー何を言っているか分からなくとも、込められた意味は伝わる。 ひとしきり客達に礼をした後、軽やかにステージを降りてーーそこから先に、彼の姿はどこにも無かった。**] (39) 2022/11/21(Mon) 17:42:56 |
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a9) 2022/11/21(Mon) 17:45:33 |
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a11) 2022/11/21(Mon) 18:02:08 |
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a16) 2022/11/21(Mon) 19:29:35 |
【人】 「怪人」 ファントム―影街「ヴンダーカマー」― それは、まだ自分が「ファントム」となって間もない頃。 「エリック」としての自我がまだ残っていた頃。 その店に訪れたことがある。 (76) 2022/11/21(Mon) 19:54:05 |
【人】 「怪人」 ファントム「――例えば。 彼の寿命を全て支払うなら、何が手に入る? いや、僕としては品の内容は何でもいいんだ。 ただ、このまま僕が手を下すよりも、『彼ら』が僕にした事に相応しい末路はないかと思ってね。」 指し示すのは、足元に転がった大きな袋。 荒く、浅い呼吸音が漏れて、しばしば痙攣したように震えている。 わざわざ中身を言葉にする必要はないだろう。 (77) 2022/11/21(Mon) 19:54:20 |
【人】 「怪人」 ファントム「そうだなぁ、今の僕に相応しいものを、貴方が見繕ってくれないか? ――そうだな、今はこの掻き毟るような怒りが、一時でも鎮まるといい。 このまま、心のない怪物になり果ててしまいたくない。」 自分は――「エリック」は、確かに『彼ら』に助かる見込みのない傷を負わされた。 けれど、今はこうして人ではない何かとなって生きながらえている。 自分ですら、己が何に成れ果ててしまったのかわからない。 だからこそ、心まで手放してしまいたくない。 その為の手段を、彼女に願った。 (78) 2022/11/21(Mon) 19:54:37 |
【人】 「怪人」 ファントム「あまり強い薬はやめてくれよ。 …喉を潰されては、歌えなくなってしまう。」 最期に注文を一つ加えて。 とうに人ではなく、ステージから追放された身だというのに、そんな事を願った。* (79) 2022/11/21(Mon) 19:54:43 |
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a17) 2022/11/21(Mon) 20:01:07 |
【人】 「怪人」 ファントム―影街「ヴンダーカマー」― 『忘却』。 彼女の言葉が甘やかな響きとなって頭の中に広がる。 確かに、全てを忘れてしまえばいい。 自らの身に起こった事も、とうに人の身でない事も、自らがした行いさえ忘れて、何事もなかったかのように、舞台へ上がる。 ――全ての痛みを忘れ去って、幸せな日々に戻っていく。 ゆっくりと、手が小瓶を握りこむ。 蓋を開けて、口元へと運び、中身を流し込むと、喉が液体を飲み下そうとする――― (126) 2022/11/21(Mon) 23:06:35 |
【人】 「怪人」 ファントム「 ――…がふっ!げはっ! 」すんでのところで、薬を飲み込むことは無かった。 うずくまり、喉に流れ込んだ薬を吐き出す。 なぜ、みすみす薬を吐き出したのかは、己にもわからない。 土壇場になって我知らず怖気づいたのか、心の底では「魔女」を信用しきっていなかったのか――はたまた別の何か。 (127) 2022/11/21(Mon) 23:06:53 |
【人】 「怪人」 ファントム「…クリスティーヌ」 止むことのない怒りと引き換えにしても、忘れてはならないものを思い出して、踏みとどまったか。 (128) 2022/11/21(Mon) 23:07:04 |
【人】 「怪人」 ファントム「すみません、店を汚してしまった。」 なんとか、息を整えて立ち上がる。 無理やり吐き出した影響で、肺がずきずきと痛んだ。 「…代わりに、一つ注文が出来ましたよ。 何の意味もない、子供騙しのような薬を一つ下さい。 例えば、しばらく笑いが止まらなくなるとか、一日だけ猫ひげが生えるとか、しっぽが生えるなんて…。 そんなものがいい。 コイツの寿命に、忘れ薬と交換に出来る価値なんてないのだから。 そうでしょう?」 『彼ら』の命に、自分の記憶と引き換えにする価値などない。 だからこそ、くだらない彼らの命に見合う報酬を魔女に求めた。* (129) 2022/11/21(Mon) 23:07:25 |
【人】 「怪人」 ファントム――現在/中央広場 ユスターシャと―― 彼の緩んだ頬>>111を目掛けて、人差し指がぷにっ!っと突き刺さる。 「珍しい魂の持ち主のようだから様子を見に来たが。 この街を気に入ってくれたようで嬉しいよ。 その為に、君が払った代償はあまりに大きすぎるがな。 」最期の一言だけは、彼に聴こえない様に。 彼が、どういった経緯でこの街に来たかはわからない。 けれど、この眼に映る彼の魂は、もう…。 (142) 2022/11/21(Mon) 23:44:58 |
【人】 「怪人」 ファントム「君に、この街を楽しむコツを一つ教えてあげよう。 それは『歌う』事だ。 この街の人々はな、楽しい時には歌うのだよ。」 言うなり、靴底を慣らしてリズムを取り、鼻で音を鳴らす。 言葉も、歌詞も必要ない、ただ心が求めるままに音を響かせる。 目線で、彼にも同じように促しながら。* (143) 2022/11/21(Mon) 23:45:07 |
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a28) 2022/11/22(Tue) 0:14:38 |
【人】 「怪人」 ファントムー追想 『クリスティーヌ』ー 「もっと自由に歌ってもいいんじゃない?」 かつて、とある女性にそう言われた事がある。 身なりも言葉遣いも上等なもの、恐らく上流階級だったのだろう。 けれど、どういうわけか彼女の顔は右半分が焼け爛れ、誰もが気味悪がって、積極的に関わりを持とうとしなかった。 だが、ひとたび彼女が歌声を響かせれば、あらゆる人が耳を傾けて立ち止まる。 まさに、天の使いが降りてきたかの如くだった。 彼女は「クリスティーヌ」と名乗った。 当時の私は、まだ十をいくつも過ぎていない子供で、見様見真似で彼女の真似をしていた。 そんな時に掛けられたのが、先の言葉であった。 (152) 2022/11/22(Tue) 7:33:14 |
【人】 「怪人」 ファントム彼女には、随分と多くを学んだ。 声の出し方ではなく、生きることを楽しみ、心に歌をのせる方法を。 段々と私は大人になり栄誉も金も手に入ったが、それでも彼女の元へ通い続けた。 そうしてあの日も私は彼女の元へ向かった、『彼ら』がつけてきているなど、気づくわけもなく。 (153) 2022/11/22(Tue) 7:33:30 |
【人】 「怪人」 ファントムそうして、あの日。 私は全てを奪われて、表舞台から姿を消した。 ーーけれど、あの日いなくなったのは私だけではなく、彼女も一緒だった。 誰にも顧みられることなく、私以外の記憶から忘れ去られた。 私一人であれば、魂を売り渡すこともなかったろうに。 かくして私は、復讐へと身を落とすことになったのだ。* * (154) 2022/11/22(Tue) 7:38:56 |
【人】 「怪人」 ファントム―影街「ヴンダーカマー」― 「ーー薬の埋め合わせは、近いうちに。 まだ、この店に連れてこないといけない奴らがいるのでね。 貴方にも、損な話ではないでしょう?」 そう、まだ復讐を果たしていない。 彼女に捧げる供物なら、すぐに調達できる。 「カラス、ね。 そうですね、これがいい。 この程度が、今の僕には丁度いい。」 これが、彼らの結末。 実にくだらなくて、無用な薬。 小瓶を懐に仕舞い込んで店の出口へと足を向ける。 さっさと薬のツケを、彼らの命で精算させてもらうとしよう。 ーー程なくして、彼女の店に中身入りの袋が複数届くだろう。 彼が復讐を果たし終えて、報復する相手がいなくなるまで。 (161) 2022/11/22(Tue) 15:16:48 |
【人】 「怪人」 ファントムーーそうして、随分と時が経ち。 すっかり忘れていた薬を飲んだ事で、カラス頭の謎の怪物がラ・コスタ中で歌い騒いだ事は、また別の話になる。 (162) 2022/11/22(Tue) 15:19:11 |
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a34) 2022/11/22(Tue) 15:31:50 |
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a35) 2022/11/22(Tue) 15:32:47 |
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a36) 2022/11/22(Tue) 15:33:52 |
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a38) 2022/11/22(Tue) 18:23:07 |
「怪人」 ファントムは、メモを貼った。 (a43) 2022/11/22(Tue) 22:32:40 |
【人】 「怪人」 ファントム――現在/中央広場 ユスターシュと―― 靴底で石床を叩いて、リズムをとる。 彼の歌をリードし、自分は彼のあとを半拍ほど遅らせて歌い上げる。 今の自分は、彼のフォロワー。 彼の歌を支えて、より歌に込められた想いを強調する。 例え、彼の語彙が拙いものであっても。 例え、歌う事を知らなくても。 きっと、歌う事の魅力は伝わる。 (220) 2022/11/22(Tue) 23:21:44 |
【人】 「怪人」 ファントム「その調子。 大丈夫、一人じゃない。」 伴奏も、歌詞も、楽譜もない。 けれど、ここには彼がいる。 そして、彼には声がある。 歌う事を楽しんでいる。 余計なものは必要ない。 私は、彼に寄り添うだけでいい。 何より、彼の歌に寄り添うのは私だけでもない。 直ぐに、彼も気付いてくれる。 (221) 2022/11/22(Tue) 23:22:36 |
【人】 「怪人」 ファントムその証拠に、通り過ぎていく足音が、少しずつ減っている事に彼は気付いたろうか。 行き交う人々の目線が、自分たちに集まり始めている。 彼の歌に魅せられて、より多くの人が集まり始めている。 ――どこからか別の声が歌に混ざり始めた。 小さな、子供の声。 どこにいるかはわからないが、確かに彼の声に合わせて歌い上げている。 どこかで、誰かがリズムに合わせて指を鳴らし始めた。 彼の楽しげに歌う様子に、誰かが応じている。 「自分も、共にこの瞬間を楽しんでいる」と、言葉を使わず彼に伝えているのだ。 どこからか、リュートの音が歌に重ねられる。 靴で石床を叩く音が、男性の声が、女性の声が――。 彼の歌を中心に、多くの人の歌が一つに重なっていく。 それは、知らずその場に居た踊り子>>218>>219の耳に届いたろうか。 (224) 2022/11/22(Tue) 23:23:17 |
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