【人】 「邪毒」 スカリオーネ――出生―― [男が一途に『美』肌に向き合う理由はそれ以外に満たされるものがないからだ。 生き方の一つとして『美』を選び磨いてきた者たちと異なる部分として男は生まれた時から『美』と相対しなければならなかった。 男は『美』を求めたパトロンの一人が狂気の末に人と妖の間に産ませた子である。 妖と聞いているがそれが精霊の類なのか、魔物の類なのか、はたまた怪異の類なのかまでは知らされていない。 何せ事実を知る者は男が自我を持ち周囲で起った事柄を自らの意志で記憶に留め始めた頃には皆いなくなっていたからだ。 男は気づいた時には孤児院で生活していたし出生について僅かにでも聞けたのは他の者と比べると幸運だったのだろう。 男の見目はヒトと変わらないが操る魔法がヒトの範疇からズレている。 普通ではないモノとし過ごした幼少期と自らの魔法について考えて過ごした卒院するまでの日々の中で当時男が出来たのは肌を美しくすることだけであった。 生きていく術などこの美と芸術の街で生きるしかなく。 生きてきたからこそ持ちうる矜持、意地、類するものを持ち合わせてしまった**] (283) 2022/11/23(Wed) 18:22:35 |
【人】 「邪毒」 スカリオーネ――街路端―― [男の二度目のわかりやすい吐息は安堵のものだった。 >>289真剣な眼差しで見つめられるのは中々に居心地が悪いものがある。 どこかの狸親父(大富豪)が放つ威圧感に近しいがこちらは本物を目指すからこそ放たれる類のものだろうか。 見定められている間、男は表情を崩すことなく名刺を持つ手も意志で震えを収めていたが>>290女性の、リリーの手が名刺を受け取り裏面も確認してから懐へとそれがしまわれるのを見ての反応である] そうなっているようですね。。 『美』肌を謳っているものの肌が醜いのだから。 俺の腕前までもが同時に疑われているのが現状で。 [受け取ってもらったことで肩の荷が下りたとばかりに肩を竦める。 冗談めかしているが全て行われてきている事実の一端。 その先にある歪みから生じた出来事が表に出ることがないのには絡繰りがあり、当面現在の男は真面目な仕事人間風であるため意識が漏れ出る隙間もない] (297) 2022/11/23(Wed) 19:39:45 |
【人】 「邪毒」 スカリオーネリリーさん、ですね。 お待ちしておりますよ。是非にもね。 予約はできればして頂けると助かります。 少ないながらも他の客と被るといけませんから。 [『美』の星を目指す者の微笑みは何と綺麗なことだろう。 男が望んでも出すことができない気配を齎すリリーに男はなるだけ精一杯の笑みを浮かべ、昔取った杵柄で華麗な所作で一礼を返した。 来店の予約はいつでも構わず、今決められるならば被らぬようにと調整をして時刻を返答しよう] (298) 2022/11/23(Wed) 19:39:50 |
【人】 「邪毒」 スカリオーネ[リュディガーを一度見かけたものの>>287隠れられると男では見つけることは難しい。 一部始終を見られたであろうかどうかも分からない。 リリーとはやりとりが終われば挨拶を交わしてから別れただろうがその時周囲を見回してもその姿は見えず男は首を傾げて雑踏にまた消えようとするだろう。 魔法は便利だが万能ではないのだ。 少なくとも男にとっては――**] (302) 2022/11/23(Wed) 19:43:12 |
【人】 「邪毒」 スカリオーネ――居住区・夜―― [かつてと現在。 男が知ったのは心の美醜という産物。 『美』にどうしてか付属してしまうもの。 男自身も目に見えないが確かに存在し男の内には火傷の瘢痕よりも酷く醜いものが芽吹いている。 大富豪は見目を醜いと言ったのだろうが男は心の在り方を問われたようにも感じられていた。 心の問題の難しいところは見えないだけではない] はは、今宵冗談が冴えますね。 矜持がなくば『美』はなりえない。 あなたの腕前も矜持あってのものだったでしょうに。 [矜持、自尊心、数多の言葉で表されるが信念とも呼ばれるものがあるからこそ立っている。 過去の話として持ち上げながら去り際の言葉にそれはどうもと華麗な一礼をして見送り戸を閉め塩を捲いた] (306) 2022/11/23(Wed) 20:15:12 |
【人】 「邪毒」 スカリオーネ矜持のない『美』ほど浅く、薄く、平たいものですよ。 あなたが一番理解できることのはずなのですがね。 [これも金の魔力なのだろうかと手を動かし葉巻を取ろうとして懐にないことに気づくと男は手持無沙汰に頭をかいた。 吹けば飛ぶ程度の店である。 何をどうにかされれば店は消えてしまうだろうが――] それでもこの胸に宿した炎は永遠に消えはしないのに。 [男は肩を竦めると寝室へと戻りベッドに入ると長く吐息を漏らしてから目を瞑った**] (307) 2022/11/23(Wed) 20:15:22 |
「邪毒」 スカリオーネは、メモを貼った。 (a70) 2022/11/23(Wed) 20:42:49 |
【人】 「邪毒」 スカリオーネ――街路端―― [>>316男はリリーの言葉に頷く。 直前に瞳が瞬き星が散りばめられたが理由を伝えることはなく。 向けられる視線の意味も察することはできない。 自分が肌に術を施せばその星も輝きを増すことを男は疑ってはいない。 一等星の気配を垣間見せるリリーに術を施せる喜びと、同時に施した後に自分が持つである意志を隠し男は頷いて見せるだけに留めていた] その時分であれば問題はないです。 ご来店をお待ちしていますよ。 こちらこそ、ありがとうございます。 この出会いも女神の祝福でありましょう。 [女神の祝福と謳うがその皮肉さに男は微笑を浮かべ他の笑みを殺した。 最後に浮かべてくれた笑みを裏切ってしまうであろうことは間違いないがその笑みが素晴らしいものである程にどうしようもなく胸の内が震えてしまう] 良いフェスを――。 [長らく口にすることのなかった言葉を伝え男はその場を後にした**] (326) 2022/11/23(Wed) 22:14:41 |
【人】 「邪毒」 スカリオーネ――街路―― [リリーと別れた男は少々上機嫌に明日のフェスに賑わう街を歩いていた。 男自身の手で『美』に貢献できるというのだから気分も良くなるものだ。 久しくなかった極上の星への想いは万感である。 >>328足取りも軽やかに雑踏の中を歩いていると名を呼ばれリュディガーが追い付いてきた。 探していると言っていたが先ほど一度姿を見かけていた男としてはどこに潜んでいたのかと訝しむが続く言葉に得心をした。 ずっと願い出てきていたことが叶うのだからリュディガーとしても気が気ではなかったのだろう。 可愛げのないやつだと思っていたが中々こうしたところは可愛げがあるようだ] ……本気か? [ただよくよくその話を聞くに>>231>>232本当にそれで構わないのかと男は逆に心配になってしまう。 ブラン――ブランシュの愉悦の笑みが見ていなくとも思い浮かぶ。 >>334言伝も聞けば猶更に] (340) 2022/11/23(Wed) 23:10:14 |
【人】 「邪毒」 スカリオーネリュディガー……お前……いや、なんでもない。 [男は口を噤んだ。 リュディガーとブランシュの契約なのだから男が口を出すことではないのだ。 最初から最後まで――止めることはダメだと。 ゆっくりと、楽しく――リュディガーが何を言おうともブランシュに施したことと同じことをしろと認識してしまう] ……約束だからな。 予約は承っているからブランシュ嬢の後に入れておくよ。 [きっとブランシュは男が手を抜くことは許さないであろう。 男は覚悟を決め前を見ながら視界に入った美味な珈琲を飲ませてくれるカフェを指さした] リュディガー、良かったら飲んでいくか? 今日は俺が奢ってやるぞ。 [どうしてこうなったのか。 男は考えることを止め、来る時間に降りかかるであろうリュディガーの災難を先に労うために一杯誘った*] (341) 2022/11/23(Wed) 23:10:25 |
「邪毒」 スカリオーネは、メモを貼った。 (a80) 2022/11/23(Wed) 23:12:14 |
【人】 「邪毒」 スカリオーネ――街路―― [男もまた『美』という夢を追う生き物なわけでリュディガーの喜びに水を差すような真似はすることはない。 差しておいた方が後々良かったかもしれないが今一時の高揚を抑え込まれた方が腹立たしいまであることは男は良く知っていた。 >>342男の表情に気づいたろうにリュディガーの調子は変わらなかった] そう、それだな、それだ。 ただブランシュ嬢がしたコースと同じのなのだろう? 当日彼女がどのコースを選ぶのかは分からないからな。 [「基礎ケア」なんてものがあったのかと頭の中で疑問が浮かぶがきっとあるのだろう。あることにしよう。 忙しなくなくなったため男は一人の客に対しかける時間を増やすことができている。 じっくり、ゆっくりとケアをし極上の時間を提供するいつもので良いのだろう。 来店時に最終確認としてブランシュに問う点を覚えておき雑踏からリュディガーを連れて抜ける] (349) 2022/11/24(Thu) 1:05:57 |
【人】 「邪毒」 スカリオーネ指切か、中々古めかしい風習を知っているんだな。 俺も手抜きはしないから安心してくれ。 [>>343そうするとベッドをもう一つと男物の着衣が必要だろう。 笑みまで浮かべているリュディガーを他所に男は準備のことを考えながら件の珈琲店の扉を開け中へと入った。 珈琲店は人気がある風というよりは古風な作りの店内で穏やかな音楽が流れている。 この音楽、魔法的な道具で人もなしに演奏される。 ずっと欲しいと思っており同じものを用意するとして奏者に縁がない男には手が出し難いものであった。 店内の客も静かなもので皆思い思いに穏やかな時間を過ごしていた。 店の主人もまた物静かな御仁であり久しく来店する男に笑みを向けてくれる。 居心地の良い店である] 好きなものを頼んでくれ。 明日の英気を養うためにな。 [完全に悟りの境地に至っている男は普段になく優しくリュディガーに接し、指切までもして『美』味なる珈琲を楽しむ一時を過ごした。 彼――にとって珈琲の味がどうであったかなど感想や他にも話が出来ればしただろう。 リュディガーの受難の日。 >>344別れ去り行く背を見送りながら受難を齎す片割れとなる男もまた背を向けて店への道を歩いく* (350) 2022/11/24(Thu) 1:06:19 |
(a86) 2022/11/24(Thu) 1:07:31 |
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