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人狼物語 三日月国


69 【R18RP】乾いた風の向こうへ

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視点:


【人】 宵闇 ヴェレス

 起きないよ。

[ 起こしてと言ったり起きないと言ったり、自分の寝穢さは自覚している。

 旅の日々や風景を形として残したなら見せて欲しいとねだっておくと、勿論という快い返事と合わせ、お礼も、との申し出がある。

 礼を貰うどころか、自分が楽しんでいるだけだからと何度か固辞をしたことはあったが彼は譲らず、穏健に見えて譲らない頑固な面もある。
 
 礼を重んじるのは付き合ううちに何度か聞いた彼の生まれや育ちの良さ由縁もあるだろうが、端々の遠慮や気遣いは節度の言い様の元に距離を図っているようなもどかしさを覚え、起こすのは忍びない>>0:177と同宿する寝台を使うのを遠慮するような形で間々それは現れる。]

 服を見繕うのに付き合ってくれればいいよ。先払いになってしまうけど。

[ この国に滞在する間、女性の形である方が都合がよいこと、既に彼に告げてある。
 女性であれば都合がよいとの暗黙のうちを、朝の市で向かい合い言葉を詰まらせたまま、互いに確認せずにやり過ごしている。

 それくらいのこと、と彼は言いそうな気もするが、頑固なのはお互い様だ。]
(11) 2021/04/17(Sat) 12:59:36

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 浴室から出て女性の形をした自分に目を留める彼に、やはり気に入るのならこのままで、と申し出る前にその姿はこの国に滞在する間に>>0:178と機先を制された。
 変化時に多少の疲労があることを除けば、どちらかの形でいること、まして彼の好む姿であることに障りはない。

 彼に喜んで貰いたいという気持ちが利他的なものだけである筈がないが、それが元より自分が厭うた己の種族の特性そのものを用いているものだと思えばとても彼に説明ができない。
 最も、彼が望んでくれたとして、この先をずっと女性として生きるとことには、90年も性の自認を曖昧に過ごせば実感がないというのが正直なところだ。]

 僕は平気。

[ 朝食しか口にしていない自分の方が空腹なのでは、との彼の気遣いに首を振る。元より食事は嗜好品のようなもので、生きていく糧、栄養の摂取は別ごとだ。

 宿の客層故だろうか、隣接の店先に並ぶ衣類や装飾品は華美で値が張り>>0:179、食事目的もあったが市まで足を伸ばすことは特に相談せずともふたりの意向は合致していた。

 ゆるやかな坂を下る折り、転ばぬようにと彼が差し出す手に指先を僅かに掛ける。]
(12) 2021/04/17(Sat) 13:02:29

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 伝え聴きの紋切り方の印象を遠国に持つことはありふれているが、女性は大振りの布を纏う風習というのもその一つで、そういった流行りも以前はあったらしいが実際国に来てみれば必ずしもその姿の女性とすれ違う事は少ない>>0:180
 けれど観光客向けか、品揃えだけは豊富に揃う。]

 これなんか綺麗だね。

[ 淡い染や華やかな染、多種多様なヴェールが店先を飾る。幾つかの軒先を見て回れば、金額に見合った肌触りのよいもの、土産の数を購うに手頃な値付けのもの、織かと思えば布の上に図柄を描き付けただけの値札に首を傾げるもの、場所柄故かどの店も賑わいを見せているが、安易に選ぶと食わせ物を掴まされそうだ。

 陽射し避けが当初の目的であるから、鮮やかな布ではなく黒一色の、それなりの厚さがあるものを選んで身体に当てる。布端に目立ちすぎない程に銀糸の細かな刺繍と水晶が縫い付けられている。]
(13) 2021/04/17(Sat) 13:07:08

【人】 宵闇 ヴェレス

 旅を加護する紋様なんだって。

[ 刺繍で布地に魔法陣を描いているようなものか。他に広い範囲に鳥や聖獣の刺繍や目立つ鉱石を縫い付けた、恋愛成就や長寿祈願など加護も様々なものがあったが、旅の祈願を願うというそれを選んだ。

 刺繍自体はこの店で行っておらず、専門の職人に依頼しているらしい。
 もっと大掛かりな布地自体に魔法を込める代物は市ではなかなか取り扱っておらず、職人自体が直接住宅街などに店を構えている事が多いとも聞いた>>0:175。観光客が踏み入れても問題なさそうなら場所なら滞在中に足を伸ばしてみるのもよいかと彼と話す。

 外衣は選んだのだから、後はその下に着る衣類だ。
 何処かしらダンテの声が弾んでいるように聴こえるのは気の所為ではないだろう>>180

 以前、冬の旅行で外套を新調した時も主には彼が選んでいた。
 自分なんかは普段のような簡素で動きやすい衣類で充分なのだが、折角だから今回も彼に任せてしまうのがいいかもしれない。勿論、外套の時は自分が選んだのだからとダンテが支払いを譲らなかったが、今回は自分で精算すると譲らない気持ちだ。]

 あと、この辺りに良い食事処はありますか?

[ 支払いを済ませるついでに店主に伺うと、市場内ではないがそう離れた場所でもない場所に、最近評判の酒や食事の味と揃えが良い店があると言う>>0:184。]

 反対方向でないなら行ってみようか。

[ 買い物を済ませた後で選択肢として考えよう。店主に礼を言うと、店を辞した。]**
(14) 2021/04/17(Sat) 13:10:59

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 路面から目立つ場所や棚には観光客向け然とした服飾が並べられていたが、縦に長い店の奥へ進むと一般的な衣類も陳列されている。更に奥にはこの店の工房があるらしい。
 遊覧を兼ね他の店を幾つか見て回ってもよかったが、先に購入したヴェールを見てもこの店の品質には信頼が置けそうであること、後の食事の時間もあってか、ダンテは同じ店で見繕うことにしたらしい。

 服を購うのに付き合って欲しいと頼んだ時は、自分が楽しいばかりと気が引ける様子だったが>>20、任せてしまうとあれはどうだろう、これはどうだろうと実際に甲斐甲斐しい。

 色違いのような長衣を2着示されると>>23、似たものであればひとつは着慣れているものを、と普段となんら代わり映えのない簡素な無地のシャツを選ぼうとしてしまい、選び甲斐と言った点では彼に付き合って貰ったのは正解だったかもしれない。

 それにしても、女性の形をして幾らか小柄になった身体は、覚えている自分の体格の感覚とは異なり、上段の棚など届く筈のものに手が届かないというような事が何回かあった。
 恐らくそれに気付く度にダンテが手渡してくれたのだろうが、甲斐甲斐しく女性の世話を焼き、服を選ぶ男性といった旅のふたりづれの様子に対する店主の目は、まとまった買物をする為もあるだろうが多少俗染みていても温かく、そうでなくとも、街行く時に昼に感じた刺すような視線は感じられない。そっと安堵の息を吐く。

 それから愛らしいワンピースをダンテが差し出す。身体の線に沿うシンプルなな作りだが、丈の短い裾は布地をたっぷりと使い、ひらめくドレープが如何にも女性らしい。]
(40) 2021/04/17(Sat) 21:18:59

【人】 宵闇 ヴェレス

 ……いいよ。

[ 普段の自分なら絶対選ばないだろうことは彼もわかっているのだろう。今は20cm近くも自分より背の高い彼が、まるで上目遣いに似て、だめ? と此方を伺う。

 最初に彼が選んだ薄紫のグラデーションの長衣と、色違いの1着の代わりに選んだシャツは、フリルのあるもう少し装飾性のあるものに変えた。立て襟の上衣をもう1着とハーフパンツ、それからワンピース。サンダルは踵が低く編み上げのもの。それからダンテの希望があるなら、もう少し愛らしい服飾品を幾つか。
 寸法を鑑みれば元の姿では着用できないというのに、ダンテが選んだものをを除けば普段とさして印象が変わらないものばかりで、もう一度、彼に任せて正解だったと思う。]
(41) 2021/04/17(Sat) 21:21:54

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 買った服に衣類を取り替え、着ていた服も商品と合わせて纏めて貰い、なんだかんだと時間は掛かったが寸の合った衣服を纏えば気持ちも落ち着く。今は長衣に丈の短いスボンの出で立ちで、陽射しはないからヴェールは不要だ。
 ズボンと言えど、もう男性と見紛われることはないだろう。

 市を歩いているうち河沿いまで出、哨戒船だろうか水面に灯りが落ちている。風がだいぶ涼しい。]

 ダンテ、何が食べたい?

[ 自国は旅の要になるような駅であるから旅人の行き来頻りで、眠らない街と言われている。この国も陽がすっかり落ちても市の賑わいは変わらずであるのは心地いい。]

 すぐそこの河で魚が捕れるから新鮮だって。僕、魚食べたいかな。

[ ダンテはどう? と腹の具合を伺ってみる。]**
(42) 2021/04/17(Sat) 21:26:14

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 承諾を得られるとは思わなかったのか、彼の勧めた衣服に肯うと、隠しもせず喜ぶ様子が可愛らしい>>70。スカートは履きつけていないが、女性として不自然な姿でなければサイズが合うなら問題ない。
 こんなにも喜んでくれるなら、自分が選ぶ衣類も多少は飾り気のあるものがよいだろうかと、無地の衣類を棚に返すと今度は別の物を身に当て、彼を伺うように小首を傾げる。それも無地が胸元に少しのフリルとリボンタイに変わった程度の事ではあったが。

 女性の身嗜みを整えようとするなら単純に衣服を求めるだけでは足らず、合わせて下着、化粧品とそれなりの買物になり、愛想の良い衣料品店の主の挨拶を背にそれから更に数軒を回った。

 荷物はダンテが片腕で抱えている。未分化の姿であっても自分より手足の長い彼にそういった点では甘えてしまうことが多いから、彼も当然の様に荷を受け取った。

 アクセサリーも、と彼は言ったが>>72、夕食としても既に遅い時間になりつつあり、また明日以降にしようとの話になった。

 思い出にもなるし、と慌てて付け加えたのは、彼好みの衣装はどうしても払うと譲らなかった彼に、プレゼントと言い出すつもりじゃないよね? との目線を向けた自分への弁解だったかもしれない。

 幸い、買物を終えた場所は店主に勧められた店に近く、魚が特に上手いと言われると、単純ながら魚が食べたくなってくる。]

 よかった。

[ ダンテも否はなかった為、ふたり少しばかり早足になったかもしれない。買物続きで足も疲れたところだし、そろそろ喉も乾いてきたのだ。

 店の名前も親切に書き付けて貰った。此方の文字は慣れてはいないが、看板と照らし合わせれば間違えることはないだろう。]
(81) 2021/04/18(Sun) 2:39:15

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 酒も回る時間帯であるのか、辿り着いた店内は活気に満ちている。けれどその騒がしさは居酒屋の様な猥雑なものでなく、隅々まで磨き上げられた調度品や輝く揃いの食器、グラスなどの店の雰囲気からも、純粋に食事や酒を楽しむ為に客が訪れている事が知れる。
 圧巻であるのはバーカウンターの奥に並ぶ酒の揃えで、思わず案内を待つ間、あれを見て、と囁き合ってしまう。
 席の準備が出来たと通されたのは運良く(?)そのカウンターで、横並びに身を滑り込ませる。]

 魚が美味しいと聞いたんだけど。

[ ダンテが店員に話し掛ける社交性の高さに便乗し、お勧めの料理を聞く。
 揚げ、蒸し、煮込み、なんでもあり特に魚の擂身がよく食べられるらしいが、焼き魚も美味しいという。まるまま焼き上げた魚にレモン、唐辛子、揚げた芋などが添えられている。それから鮭もよく捕れるらしく、これはマリネが美味しい。野菜はナスにズッキーニのフライ。口直しにパセリとミント、玉葱、小麦の挽割りを和えたサラダ。
 ダンテが最初の一品を頼んで以来何も注文を口にしていないことに気付いて、はたと見上げる。なんだか此方を見て笑っているようだ。
 さして食べられない癖、色々なものを少しずつ食べたがるのは悪い癖だ。

 それからこの国の酒精にも様々なものがあるが、ふたりとも酒好きでそれなりに強いのならば蒸留酒はどうかと勧められる。市街地から離れれば葡萄畑もあり、ワインなども作られているからホテルで飲んだのはそれだろう。

 グラスに満ちた液体は透明だが、水で割ると不思議に濁る。この様子から、獅子の乳などとも呼ばれるらしい。

 未だ透明な方のグラスを取って、縁に口つけぺろりと舐めると、まずは舌を熱さのような感覚が焼く。]

 うわ。

[ 相当度数の高い酒のようだ。]**
(82) 2021/04/18(Sun) 2:41:42

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 良い街だね、とダンテが一際明るい街並みを眺めて口にする>101のに頷いた。

 平時に比べ治安は悪化しているというが、陽が暮れても街は賑わいが収まる様子を見せず、人通りある場所ならこうして旅人も漫ろ歩く事ができる。

 国王が崩御し統治が乱れるまでは聞き及ぶままの豊かで穏やかな国だったのだろう。
 それは一介の旅客が表面を浚い覚えた感想に過ぎず、政争の当事者>>2のみが知る国の歴史に刻まれた血腥さを自分たちが知ることは恐らくない。

 店に着き、扉を開けての賑わいに此処まで足を運んで満席かと一瞬危惧を覚えたが、運良くカウンターに空いた席に身を滑り込ませる。
 市から少し離れた立地もあり、観光客より地元の住人が客層としては大半なのだろう。初めて店を訪れた体の自分たちに、店員はわかりやすく店の名物を紹介してくれた。

 それから酒精。アラックと呼ばれる蒸留酒が水を加えると白濁するのは、酒に溶かした香草の成分が分離する為らしい。
 ショットグラスに注がれたそれを一舐めすると、ダンテのいう甘味より薬草のような香りが度数の強さと共に鼻につく。]

 君も少し試してみる?

[ 既に割り物をしたアラックに口をつけているダンテへ小さなグラスを差し出す。]
(125) 2021/04/18(Sun) 19:59:02

【人】 宵闇 ヴェレス

 僕だって酔うよ。

[ ダンテは自分をワクだと思っているようだが、自分だって人並みに酔う。酒を片手に読書をしていれば気付けば寝込んでいたなんてこともある。ただ、自分が酔う前に同席している相手が潰れる場合が大半なのだ。]

 酔い潰してみたいって言ってたけど、まだ叶わないね。

[ 冬の旅先のスタンドで、店主と戯れてダンテがそんな話をしていた。同じ様にバーテンダーから彼女のほうが強いのかと問われて笑うダンテに澄ました様子で言ってみせる。

 アラックに合うからと、料理を待つ間前菜の様に出されたフムスで空腹を紛らわせていると、待つほどもなく焼いた魚が運ばれてきた。フォークを入れるとぱりぱりと焼き目の付いた皮目が割れる音がする。
 店員が器用に半身を外すと、そのまま骨も外して後の半身も現わになる。あとは好みで薬味とともに口にする。

 厨房から湯気の立つ料理が次々と運ばれ、食べる速度が追いつかずカウンターから皿が溢れそうになり焦りもする。
 自分たちが7割方料理を食べ終えた頃は、客数は半分ほどになっていた。
 カウンターも落ち着いた様子で、暫く国内に足止めをされている事を世間話の中で話した。どうせ是も否もなく滞在しなければならないのなら、見て回るに適した場所などを聞く。]*
(126) 2021/04/18(Sun) 20:01:20

【人】 宵闇 ヴェレス

 数が居ればいいってもんじゃないだろうにね。

[ 血統の維持として誇示として為政者は得てしてそういうものか。自分の故国は出生数の低下からゆるやかに滅びを迎えているだろうが、国に残っていれば統治側の縁戚として、女として成人を定められ産めよ増やせよとせっつかれていたのだろうこと想像に難くなく、些かうんざりとした声音が漏れた。辟易として国を出てそれきりだ。二度と戻るつもりはない。
 故国とこのアルファルドでは事情も異なるだろうが、王子が二桁も居れば後継を定めていなければ争い事になるのは必然も、生憎その皇太子も王の死後弑されているから>>0:151泥沼である。

 皇太子が殺害されたことは自分も読んだが、理由までは紙面に記されてなかった。
 調度ダンテと話題にしたから耳についたのか、地元の住人で混み合う店内のざわめきの中に、あれは禁忌を犯したから処されたのだ>>2、との声を拾った。嘘か真実かはわからない。]

 どうだろう?

[ 折角の地元産の酒精だ。流通に秀でた自国でも望めば入手することは可能だろうが、産地の風土で口にするのとは味が違う。

 ダンテも折角だから、と口にしたが>>156、味と度数を確かめるような暫くの沈黙に笑ってしまった。]

 僕もこれは止めておく。

[ 笑ってバーテンダーに新しい杯と、水と氷をオーダーする。食事に合わせるには風味も度数も強過ぎる。それに此処から宿に戻るにもそれなりに歩く。前後不覚になることはないだろうが、あまりに気を緩める気にもなれなかった。]
(162) 2021/04/19(Mon) 1:56:11

【人】 宵闇 ヴェレス

 酔うよ。ダンテが知らないだけだよ。
 ハンデってどれくらい? ワインボトル1本くらい?

[ もう1回言った。常にダンテが酔って終わっているのだと念押ししているようなものだ。挙げ句ハンデの値をつけたが、2本でもさして状況は変わらない気もする。

 カウンター向こうの店員だけでなく、並びの客からも冷やかしが入る。
 買物の時も感じたが、朝方この国に到着したばかりの頃に受けた疑心の眼差しは既にない。店の人間であったり、酔客であったりするからだろうが、概ね旅人を受け入れる様子は感じが良い。元の姿のままでは恐らくこのような扱いではなかったのではないか。それを思うと、この国に生まれ、同性を愛したならば苦労だろうな、というようなことを思考の端にぼんやりと思う。

 アラックを数杯頼み、ダンテの頼んだ赤と白の酒瓶も分けてもらった。というよりも、主に飲んだのは恐らく自分で、食事を平らげた割合とボトルを開けた割合はダンテでと自分で綺麗に反比例していそうだ。]
(163) 2021/04/19(Mon) 1:59:03

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 自分と同様、ダンテも滞在の間見回るところを店員に尋ね、商店で聞いた魔法を織り込んだ布を扱う職人の店を気にしているようだ。
 旅が多い彼なので、利便高い品があるなら見てみたいのかもしれない。
 それから王宮は警備が厳しく見学することは出来ないが、外から見てもそれは壮麗な造りだという。確かに、此処への道すがら幾筋か向こうであっても煌々と灯された燈籠の光は漏れ、一角は粛然とした雰囲気を醸し出していた。]

 ご馳走様、此方にいる間にできればまた来ます。

[ そうして席を辞そうとする頃には、自分たちの他に客はもう一組、二組しかいなかった。

 飲み比べの結果は、勝てる気がしない、とダンテの言葉で締め括られたが、足元は確かで>>158、実際張り合うような呑み方はしていなかった。
 彼も宿に戻るまでの道行きを気にしていたのだろう。]

 ほんとに強いね、あのお酒。

[ 自分もワインの1本、2本くらいなら平常の様だが、アラックの方が幾らか酔いを巡らせた。度数が強い故というより、独特の風味と口当たりで、どれほど呑んでいるのか見当が付きにくい事が理由だろう。

 歩みが危うい程ではない癖、許可もなく彼の腕を取り、宿への帰路を辿る。]**
(164) 2021/04/19(Mon) 2:01:41

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 個々を軽んじるつもりはなかったが、何処かただ流れるものを見送るに似た平坦さが透けたかもしれない>>172

 偉くも何もなく、年寄りが威張ってるだけの国だよと、出会った頃にダンテに話したような記憶がある。生国のことは聞かれた分は話したが、楽しくもない話だよと常に前置いた為、此方を慮るばかりの彼があまり深くを問う事はなかったのかもしれない。
 その癖、彼の故郷や、幼い頃より居たという修道院の話は聞きたがった。彼の綴る言葉と同様、その記憶の情景は美しく思え、またそれが今の彼をつくりあげたと思えば一層の愛しみが増す。]

 自宅か、せめて宿に持ち帰るならいいけど、流石に。

[ 此処は旅先の見知らぬ土地で、況や治安においても警句が出ている。飲めない訳ではないと言外に漏れている。]
(185) 2021/04/19(Mon) 21:12:49

【人】 宵闇 ヴェレス

 僕だって好きで隠している訳じゃないよ。それに、ボトル3本は流石に胃に入らない。

[ 完全に戯れだ。酒精ではなく量の為だと言った。3本くらいなら執筆の傍らに栓を開け、気付けば明け方空瓶が並んでいるのに気付いた事があったかもしれない。

 そのうち、と勝負を順延する言葉に周囲から野次も飛んだが、その手の煽りに乗らない程度の節度はふたりとも弁えている。
 とは言っても、2杯、3杯を重ねた頃は窘め、ダンテを伺うような目配せをしたバーテンダーが、4杯、5杯と顔色を変えず呑みつける二十歳そこそこに見える娘にやがて諸手を上げ、先に野次を飛ばした酔客は終いにダンテに肩入れをする始末。]

 君はすぐ僕が水と酒の区別がつかないような言い方をする。

[ 礼と共に店を出、僅かに火照りを感じるような頬を運河からの風に晒し、火酒の素直な感想を口にするとダンテが驚いたような素振りを見せるからねめつけた。

 口噤んだまま許可なく腕を捉えても、彼は咎めることなく帰ろう、と優しく促す。

 それが旅先であっても自家であっても、こうして同じ塒に帰る夜道が好きだと言うことを、彼は知っているだろうか。]
(186) 2021/04/19(Mon) 21:16:08

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 留守の間に部屋は整えられており>>0:179、午睡で横になった寝台のシーツも皺ひとつなく張り直されている。大半の灯りが落ちた街並みを窓から見下ろすと、王宮の周辺だけが煌々と輝く様が見える。夜通しあの灯火は保たれるのだろうか。]

 近くで見てみたいな。

[ 窓際で呟くと欠伸をした。本来なら人種の昼日中に近いような時間帯だが、朝からの一連は酷く長い一日だったようにも思え、慣れない陽射しや身体の変化は疲れを澱の様に溜まらせて眠気を誘う。

 外出用の衣服は揃えても流石に寝間着まで買い求めておらず、荷から引き出した夜着は一回り大きい。その場で無造作に着替えようとし、咎められたか己が気がついたのが早かったのか、兎に角黙って浴室に向かい眠る支度を整えた。

 その合間にダンテが眠ってしまって居たなら、本を一冊片手に広い寝台の片端へと潜り込む。夜の眠りは浅く、恐らく明け方前の一番闇の深い時間に目を覚ます。]**
(187) 2021/04/19(Mon) 21:17:47

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 自宅か宿か、これほど強い酒をそのままに味わうなら気兼ねなく寛げる場所がいいと言ったが、本当に持ち帰る土産という発想が抜けていたから、あ、と声が出た後くしゃくしゃと笑った。

 封の切られていないアラックの瓶を貰い受け、化粧箱に入れて貰う。服であるやら化粧品であるやら、嵩張る荷物をダンテに任せていたから、これは僕が持つよと片手に抱え、空いた腕を彼の腕へと絡ませる。

 酔ってないよ、と拗ねたように呟いて帰路を辿る。]*
(218) 2021/04/20(Tue) 7:24:02

【人】 宵闇 ヴェレス

[ 部屋に帰り窓から王宮方向を眺めていると、明日の朝に向かってみようと彼から同意が返る。]

 起きられるかな。

[ 自分は部屋に残した白ワインを酔い醒ましの水代わりにし、彼に氷水はどう? と伺った。

 起きられないのはどちらかとは言わない。陽が上がってしまえば自分がぐずつきそうだし、夜明けぎりぎりの時間では彼の眠りが足りないかもしれない。]

 せめてもう少しだけでも陽射しが弱ければいいのに。
 ダンテは行きたいところはある?

[ 職人の店を気にしていたようだからそこか>>158。同じ寝台に潜り込むと、存外近い他人の体温は一層眠気を誘う。どちらかが眠りに落ちる前に、答えは聞けたかどうか。]*
(219) 2021/04/20(Tue) 7:32:18