![]() | 【魂】 迅雷風烈 ラサルハグ>>_17 貴方の流した雫の含む感情が哀しいものではないから、泣かないでとは言わなかった。ただその感情が落ち着くように、穏やかな表情であやすように目尻に口付ける。何度も。 「……ああ、待っているよ、バーナード。他ならない『俺にとっての希望』である大切な人。俺も、お前にとってそうであるなら……こんなに嬉しい事はない。……ん、俺の話?ややこしくて億劫かもだが、それなら後で話すよ。質問カードを用意していてくれ」 ずっと探して、待ち続けていた人。だからこそ、無理に引っ張れることではないのだから信じて待つ。貴方が自分から手を伸ばすその日が来るまで。 貴方が語り出すと静かに耳を傾ける為に目を閉じて、邪魔にならないように相槌だけを返す。聞き終えて口を開こうとした際、最後に紡がれた言葉を聞いて、軽く首を振る。 「俺は2人で見る娯楽作品を探していたんじゃない。だから面白さを求めてないよ。ただ『バーナードの話』が聞きたかった。ここには俺しかいないんだから、そんな気を張ってどこかにサービスもしなくていい。 だから……ありがとう、聞けてよかった。君は迷子のままずっと独りぼっちで寂しがっていたのか」 額がふれあうほどに近い距離を、どうして縮めるか。迷うのも一瞬だけで、少しよいしょと体勢をずらして頭一つ分くらいこちらが上がる。それから、痛む腕も気にせずに貴方を引き寄せた。ちょうど貴方の顔がこちらの胸に埋められるように。貴方が飢えている分だけ沢山、僅かずつでもその飢えを満たせるように抱きしめる。 「でも困ったな?モノクロが好きな理由はわかったが、 肝心の これじゃあ折角整えた部屋も赤を引き立てるだけになってしまう。どうしよう、捨ててしまうかい?」"俺"のもの はこんなにも鮮やかで目を惹く赤 だ。なんて、冗談めかしておどけて笑う。 (_18) poru 2022/02/27(Sun) 11:25:53 |