【墓】 夕凪 あまり手の入っていない、雑木林の中を分け入って少し。 誰も来なくなってしまった、秘密基地。 月日に埋もれる事も無く、今も形を保ったままの石畳を踏んで。 違和感に気づいた、もしかしたら自分だけ。 「―――なれなかった」 聖なる乙女のような君になりきる事が出来なかった。 自分は誰も導くことが出来ない子供のまま。 なりきれなかった自分は何か大切なことを忘れている気がする。 どうしてここにいるんだろう、何を忘れているんだろう。 夕凪がここにいたい理由は――――。 遊びたいか ら ? 『強く思い出さなきゃ。 ”この田舎”に縋る以外にすることがあるはずって、伝えるんだ』 (+0) 2021/08/12(Thu) 22:27:55 |