【墓】 充実 バレンタイン>>14 エルナト 『124と125ページの間…… の、どこかまでは忘れちまったから、 その頭から読んでくれたら大丈夫。──ありがとう』 君が離れてから身体は微動だもしていない。 肉声も、表情すらもないけれど、 内側には気持ちが色々、沢山籠っている。 それを伝える手段がないのが心惜しいだけ。 『動けるようになったら……すぐに、── いやすぐには保証できないな。ともかく、 ずっとこのままなわけじゃねえし。 筋肉が衰えないようにと起こされた時に、 身体が大丈夫そうだったら戻しに行くよ』 車椅子を進めて、ちょっとだけ距離を詰める。 『あ』と短く声をあげれば、少しの沈黙が挟まれて。 『……読み切ったら、でいいかな。 もっと時間がかかるかもしれないけど』 (+13) 2022/05/07(Sat) 21:48:42 |