【神】 風任せ マウロ【ノッテアジト】 暫く黙っていた。口を開けば、自分でも悪態しか出ないだろうことを理解していたからだ。 名前を呼ぶ部下の姿も、隣に座る同僚の姿も見えていたけれど。 どちらにも視線を向けるだけ。 「……ハァ」 「さっさと実行犯を見つけてぶっ殺す」 「アルバの虫共だけじゃねえ、俺はノッテの中に裏切者がいたんならそいつに同じような死に方させてやるよ」 凡その話が終わったと見るや、煙草に火をつけて吹かした。 くゆる煙を睨みつけて、喪った者を思うのだ。 主人に忠実なもう一匹の猫は、縄張りを荒らす者を許しはしない。 (G27) 2022/08/09(Tue) 22:43:05 |