【神】 パイ焼き ゲイザー>>G36 キファ 「──え?」 ──反転。 視界が一瞬でぐるりと回る。天と地が逆さまに揺れる。 気づいた時にはもう遅い。押し倒されたどころかご丁寧に両腕が塞がれているではないか。 「なん、キファさ、いったい何……を──ッ!」 女は幾度となく他の人間と肌を重ねた事がある。 けれど行われてきた睦事は『数日前に行ったたった一度の情交』を除けば全て女が一方的に男を泣かせ、乱し、犯して穢したものばかり。 故に、恋人同士がするような口付けといった触れ合いなど殆ど経験してこなかったのだ。 「……っ、んぐ、……!やめ、ッ、ん、〜〜ッ!!!」 悲鳴をあげることさえ許されない。ぶつけてやろうと思った呪詛ごと酸素も薬も喉の奥へと押し込まれ── ──こくり、と。 女の細い喉が鳴った。 (G43) 2021/04/24(Sat) 5:58:55 |