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人狼物語 三日月国

70 【第36回TRPG村】百鬼夜行綺譚


【人】 封じ手 鬼一 百継

……かつての、鬼一邸。
あやかし共に蹂躙され、無惨に崩れ落ちている。
ああ、子供の泣き声がする。
あれは、儂じゃ。
9年前の百鬼夜行。
偉大で強い父、しとやかで優しい母、利発で美しい姉を一度に喪い、泣きじゃくる齢5ツの儂の泣き声じゃ。


その子供は、泣きながらも、これだけは理解しておった。
自分が鬼一最後のひとりであり、封印の責はこれよりすべて自分が背負わなければいけなくなったということを。


そんな時、継置が隣にいた。
昨日まで、儂の姉に「十四になろうというのに歌も碌に詠めぬ」とからかわれていた、武官の息子が、兄のように慕う幼馴染がいた。
継置もまた、同じわざわいで、同じように大切な家族を喪っていた。

儂は咄嗟に手を伸ばした。
儂ひとりに鬼一の名は重すぎる。
共に背負ってはくれないか。
家族になってはくれないか。
……「是非養子に」との申し出はつまり、そういうことだった。
(5) TSO 2021/04/21(Wed) 22:31:51