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人狼物語 三日月国

69 【R18RP】乾いた風の向こうへ


【人】 宵闇 ヴェレス

[ 東へ開いた窓はないが、それでもゆっくりと昇る太陽に室内は明らんでいく。
 寝付いたか寝付かなかったも判別もせず、意識は彼より早く覚醒していた。枕元に持ち込んだ本に手を伸ばすと頁を開く。
 夜目は元より効く方であるし、薄明かりのなかでも文字を追うのに困りはしない。
 うつ伏せ暫く早朝の小鳥の鳴き声だけが聴こえる部屋に、頁を捲る音だけが響く。
 ふと隣へ視線をやると、まだ目を閉じている彼が入る。身を延ばし、そっと額へ唇を触れた。せめてこれくらいを赦されるといい。神のない自分に、誰が赦すのかは知れないが。

 それからまた本へと視線を落とす。彼が目覚めるまでは自然そのままにしておいたし、陽が登りきるなら彼が気付いた頃には読み差しの本に片手を添えたまままま眠っていた。]**
(7) ameya 2021/04/20(Tue) 21:27:54