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人狼物語 三日月国

150 【R18G】偽曲『主よ、人の望みの喜びよ』【身内】


【人】 ハリの豺狼 カナイ

>>+3 >>+4 弓日向

そうして刹那に嵐は過ぎ去って。

再びの静寂と、それから徐々に血臭に満たされ始めた廊下。
ゆっくりと広がっていく血溜まりと、横たわる少女を見た。

能力の起源に紐付いた奇妙な安堵は長続きしない。
だから今この胸の内を満たすものは。
その思いを理解できたばかりの少女を失った事によって齎された
喪失感と、悲しみと、それから人を手に掛けた罪悪感だった。

「………弓日向さん」

ほんの少し軽く、けれど脱力しきって重く。
まだ温かい身体をすぐ近くの仮眠室へ運び込んだ。
野晒しは忍びなく、けれど会議室へ連れて行くには憚られた。

「あなたはあの時自分の事を薄汚い人間と言ったけど、
 おれはそうは思いませんでした」

寝台へと寝かせて、瞼や唇が開いたままなら閉じさせて。
その横で殆ど唯一の遺品となるであろう端末に指を滑らせた。
連なる望みと、呪詛と、それから。
そして、あなたの最後の言葉を思い返して目を伏せた。

「おれの方がずっとどうしようもない」

そんな人殺しに感謝するだけでなく、生きろと言うなんて。
いったいこれから何処へ生きて行けと言うのだろう。
(8) unforg00 2022/06/07(Tue) 5:05:59