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人狼物語 三日月国

167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】


【人】 無風 マウロ

「治療は、済んでるんだ」
「動けるようになったら、動く……ただでさえ今は、人員も減っ―――ッ、ぐ」

壁に体がぶつけられて、傷口が酷く痛みを訴える。
じわり、シャツに滲み出る鮮血。
ぐらりと揺れる視界。映る君の顔は、冷たい目をしていた。
掴んだ手は、いつもよりずっと力が入らなくて。
けれど、君の気持ちに呼応するように 返す言葉に力がこもる。

「っ、なわけ、ないだろ……!!」
「まだ、死んでないなら―――生かされたん、なら……やらなきゃいけねえことが、あるだろうが…ッ!」

短絡的な思考。いつも通り。
義務感と、焦りに突き動かされたもの。
2人が、幾度となく気にしてくれていたもの。

その果てに得たものが、大切な物が喪われたという情報だけであったのは。
彼の不運が為すものだったのだろうか。

締まる襟首に、苦し気な咳をした。
(8) otomizu 2022/08/22(Mon) 0:06:18