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人狼物語 三日月国

150 【R18G】偽曲『主よ、人の望みの喜びよ』【身内】


【人】 棕櫚の主日 コゴマ

>>10 伊縫
「結局のところここから離れるまで安心できるわけでもない。
 僕は戦うための力というわけでもないけど……まあ、保険だ」

例えばひとたび使うだけで追手を振り払えるようなものだったなら、
もう少しだけ渋る理由もあったかもしれないし、或いは危険視されてしまって、
今よりも早くエマから駄目押しの注射が振る舞われていたかもしれない。
誰かを斃すに向かずとも、何が出来るわけでもない、とは思っていないようだった。

「……何が怖かったら手を握っててやる、だ。
 注射が怖いから躊躇しているとでも思っているのか?」

長い前髪の向こうで眉間に皺を寄せて、渋い顔。
貴方の忠告を侮られたとでも思ったのかもしれない。
作業の手を止めて、伸ばした人差し指で額をつついてやろうとしたかもしれない。
けれども少なくとも。貴方の言葉に思うところは、あったのだろう。
まとまった荷物を脇に置いて、貴方の隣に座り込む。

「――でも、そうだな。
 ここから出ていくまでの道中が恐ろしいなら。
 僕が、お前の手を握っていてやるさ」

手を、差し伸べて。
(12) redhaguki 2022/06/17(Fri) 5:14:49