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人狼物語 三日月国

168 【飛び入り歓迎】Hospital of Delusion ー妄執の病院ー【R-18RP】


【人】 空虚 タチバナ

[真っ白なパジャマは染みひとつなくこの身を包む。
 当時母が持ち込んだものだろう。
 汚れやすい白なんて不便だったろうになんて
 他人事みたいに思うけれど、生地の薄さを見る限り、
 買い替えの容易な物のようだった。

 そこに最初からあったという顔で開いた穴は、
 肉の色や血を滲ませることなく
 胸元の凹凸によって周囲の肌を晒している。]

  …………あなた、何?

[彼の差し出した上着は自身の肩に乗った。
 生者とは明確に異なる穴を晒しながら、
 生者と同じ質量を持つ存在として
 薄手のパジャマに薄手のカーディガンが沈む。

 だから、不可解だった。
 これまでの人間たちは、血などなくとも
 実際に怪異と遭遇すれば怯えのひとつは見せたもの。
 しかし、この男からは恐怖が見えない気がした。

 二度同じ言葉を告げたのは、
 その怪訝な感情を示すためがひとつ。
 そして、彼の最初の問いを否定するためだった。
 見知らぬ人間にいきなり敵意を明かしたりはしない。

 得体のしれないものを見るように、
 なぜかこちらが後ずさってしまう。]
(18) cle 2022/08/11(Thu) 13:13:21