――が聴こえた。

きっと、耳からと、異形の角を介して脳へ直接と、両方。
不穏と動揺に満ちたそれに、頭を殴られるような衝撃。
混乱の中でも、ただならぬ事態と言うことだけはわかって、声のした方へと駆ける。

こっちから、廊下を抜けて、階段を上がって、また廊下を、こっちは……

チカチカ、チカチカ、視界が点滅する。
嫌な予感が纏まるより先に、脚はそこへ辿り着いてしまって、目はを見てしまって、声の出ない喉がヒュ、と鳴って、それで。

〔＿ 〕

傍に居る年長組に、部屋の入口を塞ぐようにと。
いや、指示なんて考えてない。ただ、咄嗟に出ただけ。