【人】 小さな心臓の サルガス>>4:17 朝の食堂 ブラキウム 「無茶なんて……ううん。無茶、したのかな。何も……しないのは、はばかられて。 なんか、今日のブラキウムかっこいいね。……ブラキウムこそ、なにかあった?」 成果が得られず、ただ日々を過ごすことにも気を咎め。けれど、それにしたってぼうっとしている。 隠して、ごまかそうとしているよりは、もはや何も具体的に考えることすらできないようで。 そのくせ人の変化には漠然としたものながら気づきがあったようだった。 立ち振舞いになにか、覚悟ともいえるようなものを感じ取っている。 「そうだね、なんでもいいから、食べなきゃ……。 きのう、青りんご、おいてきぼりにしちゃったね」 緩慢な動きながら食事に手を付け始める。 つやつやと魅力的にみつの気配を知らせる青りんごだけが、かがやかしい食べ物に見える。 何事もなく、二人揃って席につけたけれど。ここに呼びたかった者達はどこだろう。 "明日、また明日、また明日と"。 歩み続けるでしかないのに、その足取りがこうも重いのはどうしてだろうか。 前を、顔を上げて前を見つめる彼と、一転して何かが頭を擡げて離れない少年は。 歩みゆく行き先が少しずつ違えてしまっていても、同じものを見つめていると言えるだろうか。 (19) 2021/05/31(Mon) 7:44:37 |