【人】 愛の始まり シャフリヤール……………この葬儀とともに、我、シャフリヤールはシーラを正妻とし、生涯、いや死後も愛を捧げることを誓う。 そしてこの時より我は、人が人の愛を信じて生きられる楽土を築く。そのために働くことを誓おう。 それは長く、困難な道。 我の生きるうちには叶わず、あるいは幾年を重ねてもなお、道半ばであるやもしれぬ。 神はその慈悲とともに試練を我らに与えたもう。 だが、人が死に、土に返りしてもなお、人の心は、魂は繋がり、廻り、続く。 それを神が与えたもうた獄とするか、あるいは神への、いや、神の届かぬ地への道とするかは、我ら次第である。 [……不遜よな、神よ。 再び裁くならそれもよい。 俺は堕ちた天使の守護とともに、幾度でも挑もう。 地獄に堕ちるならばむしろ僥倖、シーラを救って這い上がって見せる。 まずは共を探さねば。 アルバリ、ナディル、……ファルーサ。 小娘……ラナ―は、このような俺を地上に送ってどう思っているか。神に弓引く俺に、それでも情けをかけようとしまいか。 フフッ…… やはり世に退屈など、ありはしないな] [〆] (20) てば(tevasaki) 2021/09/24(Fri) 11:08:36 |