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人狼物語 三日月国

246 幾星霜のメモワール


【人】 番犬 グノウ

酒場の狭いドアを屈むようにして、金属ばった巨躯が姿を現す。
戦狼を模したそのフォルムは中に人が入っていたとしても、その体躯が190cmを下回ることはないだろうという容貌だ。自然と人は離れていく。

祭りの場には似つかわしくないその風貌でカウンターに座り。

「…………エールを」

と、機械金属の擦れるような低い声で呟いた。

やがて酒精が運ばれてくると、それには口を付けずにバーテンダーに尋ねる。

「………この辺りで……俺を必要とするような、場所は」
「どこかにあるだろうか……………」

声の低さや落ち着きとは裏腹に、どこか居場所を懇願するような……捨て犬のような声が全身鎧の隙間から漏れた。
(23) reji2323 2024/01/22(Mon) 19:57:58