【人】 酔吟 ミズガネ>>20 イクリール 「……な、なんだよ……」 気まずげに顔をプイと逸らした。でも絡められる腕は拒否しないし、そもそも"二人きりならいい"と明言も同然だ。「あー!」と叫んでから彼女の頭を髪が手櫛で直せる程度にわしゃわしゃに撫でた。照れ隠しと誤魔化し。 「か、可愛い……?ち、違うタイプじゃね?俺……」 でも、イクリールは自分(32)を指して可愛いと言いそうなのもそうなので何も油断できない。正直、男として複雑ではあるが、褒め言葉もとい肯定の言葉に弱いのでぐらぐらしていた。 「……海、か。いいな。宮があるかはお前ん地の地図みねーとわからんが、探してみるか。あと俺、お前が何度やっても発見されて出られなかった理由、知ってるから。 その爆乳なんとかして俺がいりゃあ幾らでも誤魔化せるさ。何とかして少なくとも故郷の森は出してやれるだろうよ。そっからどうするかとか、路銀とかは……家を出る前に作戦会議だな。……準備に10年かけたっていいんだろ?」 薬の作用で、しかも互いに時間が流れるのが遅いなら。イクリールの家で入念にしっかりと作戦は立てられる。……これからは言われたことだけでなく、一から草案の必要がある。それを想像すると、少しだけ楽しみで思わず笑みが溢れた。 (23) 2022/01/29(Sat) 13:23:03 |