【人】 傭兵団長 ダイゴ ― 現在 ― [王宮近くに住宅街と似たような石造の平屋が続く場所。 そこに自分達の為に設けられた官舎がある。二十数名が暮らすには十分だろう。訓練所となっている裏庭から透き通る金属音がぶつかり、響きあっている。自分と、相手方の剣がぶつかり合うものだ。ネネという隊員の一人だ。 彼女が振るう力の方が弱まっていく。しかし、やがて音が一際大きく弾けた。己の剣が彼女の剣を弾き飛ばしたのだ。遠慮なく突き飛ばし、尻餅をつける。息づく暇も与えず詰め寄って、剣の切っ先を顔に向ける。] 『……降参です』 [彼女は諦めたように自由になった手を上げて肩を竦め、ため息をつく。己もそれを見て剣を鞘へ戻し、座り込んだネネを引き上げる為に手を伸ばした。] ……悪くない動きだった。 相変わらず素早い。流石というべきだな。 [労いの言葉をかければ、ネネは少し俯いていた顔を上げ、眉を下げつつも己の手を取った。] (26) 2021/04/14(Wed) 20:32:51 |