【人】 小さな心臓の サルガス>>4:26 朝の食堂 シェルタン 「……ああ、ああ。"ごめんなさい"、"ごめんなさい"。 ぼくらにできることは、それだったのかもしれない。何があっても負けないことだったのかもしれない。 きみが、つよくて、まぶしくて。いつもその音色があったことに、もっときづけばよかったな」 ヘイズがいなくなった時。自らがいなくなった時。自らがもとってきた時。 いずれの時でも美しい音色でそこにいることを訴えていたあなたを、ひょっとしたらよく見ていなかったかもしれない。 もっとそばに居たならば、もっと良い気づきを早くに得られただろうか。 抱き着くというには弱々しく、伸べられた腕に両手を引っ掛けた。 きゅうと、小さい指が袖を握りしめる。 「そうだね、シェルタン。いつでも、どうあっても、おたがいの傷を癒やしあえれば、それが救いになったんだね。 きみのやってきたことが、どれほどだれかの助けになったか。 ……メレフとカストルを、見かけないんだ。 おねがい、シェルタン。かれらを、みつけてあげてください」 (28) 2021/05/31(Mon) 12:53:44 |