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人狼物語 三日月国

45 【R18】雲を泳ぐラッコ


【人】 元チアリーダー  早乙女 菜月

[いや。
 ひとつだけ、人影が目の前を横切った。]


 ……え?


[私の声に気づくそぶりもなく、その人は本棚に影を映しながら歩き去る。
 男子だと思う。スカートを履いていないから。

 確信できないのは、人影『だけ』だったから。
 何もない空間から、するすると黒い影が伸びて、本棚に映っている。そうすると、次は窓からピーターパンでも飛び込んでくるのかな。子供のころ見たアニメを思い出したけど、窓からは誰も入ってこない。身動きもできずに見つめていると、実体を持たないその人は、足音も忘れて、図書室の奥へと歩いていく。]


 あ……ねぇ、待って!


[だけど、影は振り返らない。というより、私の声が聞こえてないのかもしれない。歩く速度は全く変わらず、本棚の向こうに消えた。
 思いっきり話しかけたくせに、少し怖くなった。関わらないほうが良いのかもしれない。異世界? ぽい場所で影についていくのって、なんか碌な目に合わない気がする。けど、このままだと確実に見失う。
 ちょっと迷った末に、結局その影を追いかけた。]*
(30) 2020/09/27(Sun) 12:03:17