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人狼物語 三日月国

167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】


【人】 鳥葬 コルヴォ

【港の埠頭】

喧騒の外れ、船や人の出入りの活気もやや過ぎた頃の港。

埠頭に立つ人影は相も変わらず喪服じみた黒一色で、
けれど仕事中の重苦しいものよりかは幾らか異なる様相をして。
髪は結い上げ、黒いシャツにスラックス、それからサマーコート。
比較的には、軽装だ。

「こんな日には、鷗だって鳴きやしない」

それでも、ほぼ顔半分しか露出が無いような格好に変わりは無い。
手袋に覆われた手が汗で張り付く前髪を鬱陶しそうに退けて、
心底気怠げに、殆ど溜息のように独り言ちた。
誰かと楽しくお喋りする気分でもないが、追い返す気もしない。

「くたばっちまったのか、或いはただ餌に夢中なだけか
 ……まあ、何でもいいか」

不意に視界の端を、港に住み着く黒猫が横切って・・・・・・・
今は亡きボスの愛猫は、
殆ど主人家族にしか懐かない、実に賢く情深いものだった。

そんな事をふと思う傍らに、煙草の灰をまたひとつ落とした。
(31) unforg00 2022/08/09(Tue) 21:54:02