【人】 憂愁 ライカさて。その瞳に何を映すのかと見上げ、 そっと背伸びして、視線の向かう先を覗けば 我々が探していた張本人が居るではないか。 「アー、お前こんなとこに、 居……た、の……………、」 夜の闇。長身の貴方。 それらが遮る光景を、目を凝らしてよぉく見れば。 「………───ッ、!?」 地に伏す麦藁帽子。 机に項垂れる男。 それが異常であることは、遠目でもわかる。 がたん!ぱき。 大きく後退れば、床が激しく鳴いた。 「なんッ…………、 う、嘘………………!!」 動揺。混乱。 頭はすっかりパニック状態だと言うのに その体は。手指は。そうするのが当然だとでも言わんばかりに 肌身離さず持ち歩く、大事なカメラを構えた。 (33) 2022/07/08(Fri) 0:49:01 |