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人狼物語 三日月国

55 (R18)竜宮城


【人】 ははうさぎ 理恵

[秋口から見ていた奇妙な夢は、ある時から変化するようになった。
 フウタと手を繋いで歩いていると、小さな女の子が間に割り込んでくる。自分たちは笑って、その子を挟んで歩き出す。フウタは右手を、自分は左手をその子に差し出して。
 他愛ないおしゃべりに夢中になっていると、やがて繋いでいた手が離れる。自分ばかりの歩みが速くなる。一か所にとどまることはできない。地面に向かって落ちていくのを止められないように。
 行かないでくれ、という声に振り返ると、二つの影が並んでいる。子供はいつの間にか大きくなって、理恵とそう変わらない背丈になっていた。
 霞むほど遠くなった二つの影を振り返って、ふっと口元をほころばせた。]


 どうせ二人とものろのろなんじゃろ。
 ゆっくり来い。昼寝でもして待っててやる。


[腹の子は、いつも教えてくれた。
 フウタと自分の時の流れが違っていても、いつか触れ合えぬほどにその差が開いてしまったとしても。自分たちは、確かに同じ時を分かち合ったのだと。]**
(36) 2021/01/09(Sat) 23:09:14