【人】 部隊長 シュゼット[>>307耳を触る手の温度はいつも通り低かったけれど 温かな耳の温度に混ざってか、 それとも、彼女の想いに影響されているのか。 段々と暖かくなっていくようにも思えた。 彼女の優しい手の動きは心地よく 硬く瞑っていた瞼の強ばりがだんだんと溶けていく。 彼女は、どんな顔をして撫でているのだろう。 そう思った僕は、薄っすらと目を開ける。 (……最初から、そんなつもりなかったんじゃないか。) こんな顔をしているルークは、見たことが無くて。 驚きと一緒に、何か、満たされるような気持ちになる。] ………僕も、少しいい、かな。 [そう言って僕も自分の耳から左手を離し ルークの頭にある、狐耳のような白い耳。 痛くしないよう、潰さないよう、撫でてみる。 僕の耳を撫でる彼女は今何を考えているんだろうか。 それが知りたくて、同じことをしてみたんだけど 撫でるのに合わせてたまに震える耳を撫でるうちに、 僕にはこれが、ここに居る、というのを確認するような そんな行為のように思えてきた。 今、隣に居ることができていること。 それは、今への不安が大きくなってきている 僕にとっては、とても大きなことで。 ルークも同じように今を大事に思ってくれているなら それはとても、素敵なことだと思った。] (41) 2020/05/24(Sun) 16:52:29 |