【人】 絶対専制君主制 コゴマ組み合わせた椅子と机のバリケードは、倒せばすぐに道をふさぐように。 間にカーテンを張って、銃で狙われにくくなるようにいくらか規則的に垂らした。 この殿に至るまでの道は慌てていても迷わないように、さりげない印を打ち付ける。 「……後方に下がるより、前に進む方法を考えねばならないんでしょうね。 被検体とやらの嫌う匂いだとかでもわかればいいんですが。 ひとつひとつが扱い難く危険となれば、ちょっとしたテストも行えやしない」 遠くの音に耳を澄ませてため息をついた。今のところは硬い靴底の足音は遠い。 何度も人が行き交うのを聴いているうちに、一般的なゴム底との違いははっきりわかるようになった。 まだ、個人を聴き分けるには至らないだろう、そんなに先鋭化した物の話ではない。 「紙の裁断機はないかな? 学校とかにあるやつですよ。 今はペーパーレスが進んでるから、捨てられたか倉庫の奥の奥かもしれないが…… あれで塩ビや材質の薄いパイプを切れば、多少ましな武器にはなるでしょう。 事務類の倉庫も見てきますから、暇な人間が居たら荷物持ちをお願いしますよ」 現状皆が散った方向とはなるべく被らないように、自身も遠征に出る。 とはいえこの場を守る人間も必要だし、そも青年の言うことを聞く義理もない。 ついてくる人間がいなくとも、どちらにせよ部屋の外へと出ていった。 (48) 2022/05/31(Tue) 9:49:32 |