>>57 キファ
ちくり、ちくりと胸が傷んだ。
もう聞きたくないと思うほど。
「俺がもし――――君に祈りを届けなければ、君は誰かに恋をしていたのかな」
抑えていた想いが口から溢れて眉を寄せた。
最初で最後、二人ででかけたあの日の笑顔を思い出す。
ほしいのは感謝じゃなかった。
そんな事、思う資格もないのに。
そんなものは、俺にはひとつも要らないのに。
開け放たれた蓋はもう戻らない。
愛なんて、俺は知りたくなかった。
「生きてる……そっか、それはよかった。
ねぇ一つだけ聞かせてくれ。……今、君は幸せを感じているかい?」