【人】 狐娘 レイ[泉に浸した花は水を得て、逞しくなっていく。 萎れかけていた茎も水気を吸って、強くなる。 ほらね?と花を見せながら、ロンに向かって微笑む。] だいじょうぶよ! ロンがわたしの「だんなさま」になればいいの。 そうしたら、おとうさまとおかあさまのように いっしょにくらせるわ。 レイしってるの。 「けっこん」っていうのよ。 [力の強さは知っていても、花の扱いは分からないという。 ものしりと褒められて鼻を高くしながら、彼に教えていこうと思った。 家族の温かさを、花の繊細さを、独りの孤独さを。 彼の孤独が、どれだけ根深いものかも。 まだその時は知る由もなかった。] (65) 2021/12/02(Thu) 21:46:01 |