>>67 ミロク
貴方を、見ている。
賢くはないが、全てを鵜呑みにするほど馬鹿でもない。
しかし。そっと腹を擦る。
……施しを受けたい訳では、ないけれど。
「目的が、あればいいの。
……ミロクさんは、『物』しか、扱ってない?」
つと、視線は外へ向いた。
未だ雨が降り続け、風は雨もそれ以外も建物へ叩きつけている。
「……私、外で仕事がしたいの。
でも、外の事、全然知らないしツテもなくて」
そこで、言葉を区切った。
フジノが欲しいものは、働き口だ。
傷持ちの女が働いて、金銭を稼げる。
此処ではない場所だった。