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人狼物語 三日月国

86 【R15RP】君と僕の、夏祭り


【人】 二年生 鳳 凛

〜人間になった貧乏神 
篭芽町立図書館民族伝承資料集より



貧乏神に取り憑かれた家は、成功しない。
人々に昔から語り継がれてきたその神様は瘦せ細った老人の姿をしていたが、それはあくまでも人間の想像に過ぎない。
なぜなら、貧乏神は人間の前にその姿を現すことはないからだ。

貧乏神は自身が決めた人物に取り憑いたら、その人間がこの世を去るまで、ずっと寄り添い続ける。
勿論、人間にはその自覚はないが、その傍で、その人間をずっと見守り続けているのだ。


この女性も、そんな貧乏神のひとりだった。


今より少し昔の時代、彼女がその生涯を見守ると選んだ人間はとあるアパートの一室に住まう30前後の男性だった。
彼は夢を追うために仕事を辞めてもう10年。
彼なりの努力を重ねたものの、一向に拓かれる気配のない未来に行き詰っていた。
思い悩み失敗を重ね涙して、懸命にもがきながら、日々の生活を工夫して生きる姿を貧乏神はずっと傍で見ていた。
(107) 2021/07/25(Sun) 18:03:39