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人狼物語 三日月国

168 【飛び入り歓迎】Hospital of Delusion ー妄執の病院ー【R-18RP】


【人】 千早 結


[初めの頃は、不安と他人事の間を行き来する夜もあった。どこか「多分死なないだろう」と思う自分と、「ああ、死ぬんだろうな」と思う自分が客観的に存在していた。

確かなのは治療をしなければ死ぬと言う事。
治療をしても生存率は三割という事。
それも個人差があるので不確定だと言う事。
治療に入ればあまり外には出られなくなり、薬の副作用は想像を絶するものだという事を知った。

病気の事は画廊のオーナーにしか話していない。いや正しくは同ゼミの友人と教授達には話したか。休学して治療に専念して帰って来いよとか、言葉を失い目を潤ませたりだとか、絶対に治るだとか。

多分ぼくが同じ事を言われても、返す言葉は似通うのだろう。どれもこれも空虚に感じた。きっとぼくの生きてきた道は、
ぼくが空虚と思うように、波風を立てないようにとする程に、希薄なものだったのだろう。

ぼくには強い情熱も未練も後悔するほどの醜い爪痕もない。それは誰かにとってはとても辛い事なのかもしれないのだが、ぼくはどこかで羨ましくもあり、哀しくもあり、美しいものだと思っている。生きている証でもあるのだから]
(122) lumny_ 2022/08/10(Wed) 0:23:00