【人】 絵描き 要「やってます?」 男子生徒の声が聞こえた。 ふと顔を上げると、派手な色をした髪の毛が目に映る。輝き方からして元々その色ではなさそうだけど。 ふりよう……? なんて言葉が思い浮かんだが、頭から振り払う。見た目で判断するなんて、良くないよな。 やってる。ともやってないとも答えない僕に、痺れを切らしたのか、言葉を続ける。 「アイスコーヒー、ある?ここって、美術部がやってんの?」 ああ、そうか、お客さんか。 そういえば、喫茶店やってたんだっけ。 そうか、お客さんか……。 ……緊張してきた……。 「あ、アイス……あー、えっと、水だしコーヒーは無いですけど、普通のアイスなら、ございます?それで宜しいでしょうか?」 ございます?ございますであってるのか? 「私は一応美術部には所属しておりますが、まあ、幽霊みたいなものです、ので?ここは個人経営?みたいな、?」 個人経営?経営?もう意味わかんなくなってきた。 「えっとその辺の席で適当に、お待ち?ください」 こ、これで本当にいいのか……? バクバクした心臓を抑えながら、とりあえず、マッチでガスバーナーに火を灯す* (231) 2020/06/16(Tue) 13:43:35 |