![]() | 【人】 オーク フォボス 先手の有利は、準備の邪魔をされないことだ。 ――師により全身に埋め込まれた魔術回路に魔力を通す。 全身に気炎を巡らせ、血肉の一片に渡るまで肉体強化を施していく。 一瞬にして起こる大量の発汗と蒸発は湯気を羅刹の如くうねらせる。 身を低くし、二本の丸太を身体の前で盾のようにしてそれにも魔力を通していく。 「征くぞっ」 不意打ちはしない。 征くと言ってから真っすぐに突撃するだけだ。 その速度は常よりも圧倒的に速い。 雷鳴よりも速く、空気の壁を喰い破り摩擦で肌を焦がして寒さを感じる前に一瞬で目の前まで駆け抜けよう。 奥の手とは、自分を今の限界まで磨き尽くした先のものだ* (303) rusyi 2023/06/24(Sat) 20:04:58 |