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人狼物語 三日月国

29 【2IDソロル+ペア混合】交換日記【完全RP村】


【人】 軍医 ルーク

[ 首を傾ける。
 小さな傷だらけの手は、確かにそこにあった。
 自分の右手と、つないだままだった。


 ――その手“だけ”が、あった。

 動いた視界の先に、大きな瓦礫がある。
 その下にあるものは――ああ、位置的にはわたしの脚か、と、
 他人事のように、思う。

 音のすべてが遠ざかる。
 けれど、鼓膜は大丈夫。
 視界に問題はない、赤いのは、血が入っているから。
 そんな風に淡々と分析しながら、
 駆け寄ってくる誰かの足音を聞きながら、

 まるで、ピアノを弾いている指の上に
 蓋を思い切り閉められたように、
 自分の中に『何か』が致命的に断ち切れたということに、
 気づいては、いた。

 そのときは、それは両脚のことだと思った。
 切れてしまった糸はそれだけではなかったということを、
 病室で自分を診察した医師のカルテを盗み見て、知る。

 ―― そのときも、もう、何も感じなかった。]
(395) zelkova 2020/05/17(Sun) 22:39:33