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人狼物語 三日月国

203 三月うさぎの不思議なテーブル


【人】 若者 ミスミ

[仕事の都合で彼方此方国内を飛び回って忙しかった父親の代わりに、自分の面倒を見てくれたのは古ぼけた定食屋を営む母方の祖母だ。
お遊戯会も、授業参観も、入園式も、卒業式だって、父親が来てくれたことなんて一度もない。
遠足も運動会も、弁当を用意してくれるのは祖母だったので、大河自身は母親のお弁当というものを知らないし、自分が歩き出す前に母は事故で他界してしまったので母親の味どころか声も顔も古いホームビデオぐらいでしか知りようがない。

そんなわけだから、周りの同級生のようにカッコいい飛行機のチーズが乗ったドライカレーでもなければ、親指姫デザインのドリアでも、うさぎちゃんおにぎりのはいったお弁当でもなかったけれど、ばあちゃんの作ってくれる醤油の香ばしい竜田揚げは飛び切り美味しかったし、薄焼き卵で巻かれたおにぎりをがぶりとかじれば豆ごはん独特の甘いかおりがぷんと口いっぱいにひろがった。
ちょっと地味だけど、誰にも負けないお弁当だと保育園児ながらに思っていたし、春夏秋冬どの季節でもばあちゃんのご飯はおいしかったから、いつか自分もばあちゃんと沢山おいしいものを作りたいと自然と思うようになったのだけど]
(430) azumi 2023/03/02(Thu) 22:25:52