【秘】 夢中 ユメカワ → 気狂 ネコジマそうして再び口を開いた君の、ひとり呟くような言葉に もはや誰かを死に至らしめる事を酷いことと認識できない死者は、 やっぱり前提のおかしなこたえを返す。人殺しの是非なんてすっ飛ばして。 ただ、君のくるしいが悲しいだけ。 「死んだ人は、ずっとは居ないよ。なんでもはできない」 たとえば、自分はこのあといなくなる。 いなくなる。それだけだ、そういうことにしておこう。 日の下は生者の時間、夜の闇はそれ以外の時間。 入れ代わり立ち代わり、太陽と月みたく居る時と居ない時がある。 もう何処にも居ないわけじゃないけど、違う時の中に居る。 ただ、それだけ。 「でも、お盆とか、ハロウィンとか。 そういう時期ってさ、死んだ人が戻って来るって言うでしょ」 「ずっとは居ない。でも 時々生きてる人の中に混ざって、」 「戻って来るんだよ」 戻って来た死者が、どうしようもなく現実であるなら。 それが語る言葉も、どうしようもなく現実なのだろうかな。 確たる答えを証明できないものの答えなど自分の中にしかない。 君達が認識しているものの定義は、君達が決めることだ。 或いは、全てはただ、楽しくも他愛のない、夏至の夜の夢だとも。 (-11) unforg00 2022/07/15(Fri) 16:24:25 |